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第一章 最強の少年
18 言い争い
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追い返してきたあのパーティーはというと、ルイスを街に追い返して、すぐに魔物を討伐しに向かった。
街に追い返されてしまったルイスは、とりあえずギルドに向かうことにする。
今思えば、アノリカルも採取しておけばよかったかもと思ったが、今更な話だ。
ある程度のルナ草は手に入れていたし、こっそり街に出ていったところで、またあの人たちに見つかってしまっては、連れ戻されるからだ。ルイスの黒髪は、遠くからでも目立つのでなおさらだろう。
(今日の練習は諦めるしかないか……)
ルイスは、落胆しながらギルドの中へと入る。
中へは入ってみると、ギルドの様子がなんだか変だ。いつもなら、受付で誰かが依頼を受けていたり、冒険者同士で何か話したりしているのに、妙に慌ただしい。
慌ただしいのは受付だけで、他の冒険者たちは野次馬のようにそれを見ているが、それだけでも異様な光景であった。
(何かあったのかなぁ……?)
そう思ったものの、とりあえずルナ草の採取依頼の達成を伝えなければならない。
ルイスは、いつもよりもドキドキしながら受付へと向かう。
「あの~……依頼の達成報告に来たんですけど……」
おそるおそる声をかけると、向こうもルイスに気がついた。
「あっ、ちょっと待ってて、ルイスくん!すぐに行くから!」
そうは言いながらも、受付に人が来たのは、それから十分後だった。
ルイスは、ルナ草とライセンスカードを渡して、依頼の達成手続きをして貰う。
その間に、ルイスはこの慌ただしさの理由を尋ねる。
「なんで、こんなに忙しそうなの?」
「最近、魔物の数が増えていてね。持ち込まれる素材の数も多くなってしまったから、いつも以上に忙しいの。今日はギルマスが用事で休んでいるし……」
「そうなんだ……」
討伐依頼を受けなかったルイスは、森に入ったりはしなかったので、魔物が増えているのは気づかなかった。
街に追い返したあのパーティーの人たちは、何を討伐したのだろうと考えているうちに、手続きが終わる。
「はい、全部で十本だから、銅貨二枚ね」
「ありがとうございまーす」
こんなことになるのなら、もう少し採取してくるべきだったかと思いながらも、ルイスはお金を受け取る。
この銅貨は、当然ながら孤児院に寄付するつもりだが……これではあまり意味がないような気もする。追加で受けるか、それとも今日は家に戻るか。
家に戻るのなら、レカーティアがいるので、レカーティアが付きっきりで練習を見ていてくれるだろうがーーレカーティアは、普段は優しいものの、魔法の練習などは、一気に厳しくなる。
そんなレカーティアの指導は、あまり喜ばしいものではない。
(……他にも何か受けようかな)
家に帰った場合のことを想像して、顔が青くなったルイスは、残っている依頼を見てみることにした。
あの受付嬢が言っていたように、魔物の討伐依頼がいつものより多い。でも、気になるほどではない。言われなければ気づかないだろう。
特にめぼしい依頼がなかったので、ルイスはギルドを出る。
(う~ん……どうしよう)
ギルドの依頼もない。街の外には出られない。もうルイスが外に出る理由がなかった。
仕方なく、ルイスは家に戻ることにする。
レカーティアからのスパルタの覚悟を決めてドアを開けようとすると、中から怒鳴り声のようなものが聞こえてくる。
「なんでそんなに頑ななんだ!」
その声は、ルイスには聞き覚えがあった。それは、ダグラスの声だ。
ダグラスがギルドにいなかったのは、ルイスの家に向かっていたためだった。
だが、ルイスはダグラスがいる理由がわからない。
「何度も言っているでしょう!話すわけにはいかないって!」
今度は、女の人の声が聞こえる。これもルイスは知っている。
ルイスの養母であるレカーティアだ。
「お前らがそうやって頑なに隠すから、ルイスも日没後の危機感を持たねぇんだろうが!迷宮の時は時間を作ったが、本来、俺は立場上、ほいほいと街の外は出歩けねぇんだよ!ルイスが帰ってこなかったら、誰も迎えには行けないんだ!わかってるのか!?」
ルイスは、取っ手にかけた手を、ゆっくりと離した。
自分でもよくわからないが、今は家に入らないほうがいい気がしたからだ。
ルイスがその場を立ち去ろうとすると、ギイと木の軋む音が、ルイスの後ろから聞こえた。
ルイスが後ろを向くと、ドアからダグラスが出てくる。
「ルイス……いたのか」
「ダグラスおじさん……」
なんと声をかけていいのかわからずおどおどしていると、ダグラスはルイスの頭をぽんぽんと叩く。
「悪いことは話してねぇから安心しな」
「うん……」
ルイスが頷くと、ダグラスは家から立ち去る。
ルイスは、何がなんだかわからず、しばらくその場に呆然と立っていた。
街に追い返されてしまったルイスは、とりあえずギルドに向かうことにする。
今思えば、アノリカルも採取しておけばよかったかもと思ったが、今更な話だ。
ある程度のルナ草は手に入れていたし、こっそり街に出ていったところで、またあの人たちに見つかってしまっては、連れ戻されるからだ。ルイスの黒髪は、遠くからでも目立つのでなおさらだろう。
(今日の練習は諦めるしかないか……)
ルイスは、落胆しながらギルドの中へと入る。
中へは入ってみると、ギルドの様子がなんだか変だ。いつもなら、受付で誰かが依頼を受けていたり、冒険者同士で何か話したりしているのに、妙に慌ただしい。
慌ただしいのは受付だけで、他の冒険者たちは野次馬のようにそれを見ているが、それだけでも異様な光景であった。
(何かあったのかなぁ……?)
そう思ったものの、とりあえずルナ草の採取依頼の達成を伝えなければならない。
ルイスは、いつもよりもドキドキしながら受付へと向かう。
「あの~……依頼の達成報告に来たんですけど……」
おそるおそる声をかけると、向こうもルイスに気がついた。
「あっ、ちょっと待ってて、ルイスくん!すぐに行くから!」
そうは言いながらも、受付に人が来たのは、それから十分後だった。
ルイスは、ルナ草とライセンスカードを渡して、依頼の達成手続きをして貰う。
その間に、ルイスはこの慌ただしさの理由を尋ねる。
「なんで、こんなに忙しそうなの?」
「最近、魔物の数が増えていてね。持ち込まれる素材の数も多くなってしまったから、いつも以上に忙しいの。今日はギルマスが用事で休んでいるし……」
「そうなんだ……」
討伐依頼を受けなかったルイスは、森に入ったりはしなかったので、魔物が増えているのは気づかなかった。
街に追い返したあのパーティーの人たちは、何を討伐したのだろうと考えているうちに、手続きが終わる。
「はい、全部で十本だから、銅貨二枚ね」
「ありがとうございまーす」
こんなことになるのなら、もう少し採取してくるべきだったかと思いながらも、ルイスはお金を受け取る。
この銅貨は、当然ながら孤児院に寄付するつもりだが……これではあまり意味がないような気もする。追加で受けるか、それとも今日は家に戻るか。
家に戻るのなら、レカーティアがいるので、レカーティアが付きっきりで練習を見ていてくれるだろうがーーレカーティアは、普段は優しいものの、魔法の練習などは、一気に厳しくなる。
そんなレカーティアの指導は、あまり喜ばしいものではない。
(……他にも何か受けようかな)
家に帰った場合のことを想像して、顔が青くなったルイスは、残っている依頼を見てみることにした。
あの受付嬢が言っていたように、魔物の討伐依頼がいつものより多い。でも、気になるほどではない。言われなければ気づかないだろう。
特にめぼしい依頼がなかったので、ルイスはギルドを出る。
(う~ん……どうしよう)
ギルドの依頼もない。街の外には出られない。もうルイスが外に出る理由がなかった。
仕方なく、ルイスは家に戻ることにする。
レカーティアからのスパルタの覚悟を決めてドアを開けようとすると、中から怒鳴り声のようなものが聞こえてくる。
「なんでそんなに頑ななんだ!」
その声は、ルイスには聞き覚えがあった。それは、ダグラスの声だ。
ダグラスがギルドにいなかったのは、ルイスの家に向かっていたためだった。
だが、ルイスはダグラスがいる理由がわからない。
「何度も言っているでしょう!話すわけにはいかないって!」
今度は、女の人の声が聞こえる。これもルイスは知っている。
ルイスの養母であるレカーティアだ。
「お前らがそうやって頑なに隠すから、ルイスも日没後の危機感を持たねぇんだろうが!迷宮の時は時間を作ったが、本来、俺は立場上、ほいほいと街の外は出歩けねぇんだよ!ルイスが帰ってこなかったら、誰も迎えには行けないんだ!わかってるのか!?」
ルイスは、取っ手にかけた手を、ゆっくりと離した。
自分でもよくわからないが、今は家に入らないほうがいい気がしたからだ。
ルイスがその場を立ち去ろうとすると、ギイと木の軋む音が、ルイスの後ろから聞こえた。
ルイスが後ろを向くと、ドアからダグラスが出てくる。
「ルイス……いたのか」
「ダグラスおじさん……」
なんと声をかけていいのかわからずおどおどしていると、ダグラスはルイスの頭をぽんぽんと叩く。
「悪いことは話してねぇから安心しな」
「うん……」
ルイスが頷くと、ダグラスは家から立ち去る。
ルイスは、何がなんだかわからず、しばらくその場に呆然と立っていた。
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