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第一章 悪役王女になりまして
15. ゲームと違う流れ
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「ふわぁ……」
横になるだけのつもりが、二度寝をしてしまったようだった。彩花は、起き上がって、時間を確認する。
(11時……もうすぐお昼じゃん)
思ったよりも寝てしまっていたことに驚きつつも、呆れていた。
(いつになったら出してくれるのかな!義務感の強い王子さまは!!)
部屋から出られないフラストレーションも溜まっていたので、少しイライラしている。
枕を王子に見立てて、何度も殴るくらいには。
数発殴ったところで、大きくため息をついた。
「お昼くらいは、食堂で食べたらダメかなぁ……」
毒を盛られた問題の場所なので、アルフォンスは許可しなさそうだった。お茶に入っていたことは言ってしまっているので、自分がそれをどこで口にしたのかは、すでに調べているであろうことは、想像がつく。
ずっと部屋にいるのは、本当につまらなく、少しくらいは外に出たかった。
ダメ元で聞いてみようと、外にいる見張り達に声をかける。
「お昼が食べたいので、食堂に行きたいのですが」
「ダメですよ。王子殿下の許可なくは……」
予想していたが、やはり断られた。やっぱりダメかと思いながら、ベッドに腰かける。
(それにしても、まだ見つかってないのかな)
エルルーアが毒を盛られてから、もう一週間は経ちそうだ。それなのに、手がかりすらも見つからないのだろうかと。
エルルーアが毒を盛られたであろうものはすでにわかっている。それなら、そこを起点に調べれば、犯人の目星くらいはつくはずだ。
(まだ、断定できてないからってこと?)
それこそ、彩花はよくわからなかった。エルルーアの記憶だと、アルフォンスからは、大してよく思われていなかった。
今は、それなりに心配してくれるくらいには、名誉が回復しているのかもしれないが、あくまでも義務感からだ。自分にも、義務を向けるようにはなってくれただけのこと。
(おとりには使いそうなのに)
いくら義務を向けてくれるようになったからといって、おそらくはまだ家族とは思われてないだろう。それなら、自分をおとりに使うくらいはやりそうだ。
彩花は、自分が殺されそうになったことは自覚している。もしかしたら、エルルーアが死んだのはこの毒殺かもしれないことも。
だが、その考えはすぐに消えた。
『ゲームが始まる前に死んじゃうんだよね、暗殺者が来て』
前世の友達である美月が、言っていたこと。エルルーアは、暗殺者の手によって殺される。そのため、ゲームの死因は毒殺ではないということだ。
それなのに、下手すれば死んでいた。それは、ゲームの流れが変わってきているということだ。
(エルルーアは、結構恨みは買っているけど……怪しいのは、王妃派の派閥だ。ゲームでもそうだったし)
暗殺者を送ったのは、ゲームでは王妃派の派閥だった。
美月の話では、嫌ってて、邪魔に思ったから。それが理由だった。今までは大丈夫だったのに、今になって命が狙われるようになった。
それは、今に邪魔に思われているということ。だが、彩花には原因がよくわからなかった。彩花が乗り移って、まだ間もない。
それなのに、狙われたのだ。
(エルルーアは馬鹿なままの方が、都合が良かったとしたら……?)
今のエルルーアと変わったのは、婚約者に対して冷たくなったのと、魔法のコントロール力が上がったことだ。
その二つのどちらか、あるいは両方が理由で、エルルーアが邪魔になった。そう考えたら、殺されそうになった理由がわかる。そして、ゲームでは、エルルーアは転生なんてしていなかったから、あり得るとすれば、魔法のコントロール力が上がったのが理由の方が可能性としては高い。
(何らかの理由で、エルルーアの魔法のコントロール力が上がって、邪魔に思われた……?そう考えたら、妾の子という噂も……)
エルルーアは、妾の子という噂が流れていたのは知っていた。だからこそ、王族になろうと愚かな行為を繰り返していた。
もし、それを王妃派の派閥が流した噂で、エルルーアが馬鹿な王女になるように仕立てたのであれば、エルルーアの存在がそもそも気に入らなかったことになる。
(魔力が強いことと、関係がある?それとも、エルルーアの母親……?)
噂を流したのであれば、エルルーアの存在がそもそも気に入らなかったことになるために、エルルーアがそもそも持っていたものに、気に入らない要素があることになる。
その中で、彩花が思いついたのは、自分の魔力の強さと、自分の死んでしまった母親のことだった。
思いつきはしたが、どちらかなんてわからない。
母親はエルルーアを産んで亡くなっているので、名前くらいしか自分は知らないし、母親が貴族なのか、それとも庶民なのか。そんなのも知らない。
(アルフォンスは教えてくれなさそうだし、フランキスカに聞いてみようかな……)
それなりにエルルーアに好意的だったフランキスカなら、教えてくれるかもしれない。そう思ったが、たった一つの問題があった。
部屋から出してくれるのかということ。それも、女子寮に行かせてくれるのか。
王子は、エルルーアつきのメイドがやったのではないかと疑いを持っている。そんな人がいるところに向かわせてくれるのだろうかと。
だったら、こちらに呼べばいいのではという考えもあるが、それはここのシステムが邪魔をする。
女子は、やむを得ない状況以外で、許可なく男子寮に入るのは禁じられている。
エルルーアの場合は、服毒してしまったので、やむを得ない状況に入ったが、フランキスカはそうではない。そのため、許可を取らないと入れないが、あの王子に隠してというのは難しい。尋問されたら、話術で負ける彩花は、正直に話すしかなくなってしまう。
(ド直球に聞いてみる……?)
一番簡単なのは、アルフォンスに直接聞くことだ。答えが返ってくる確率は低いが、一番手軽な方法。
(一か八かで、やってみるか!)
もうどうにでもなれと、半ばやけになって、彩花は決意を固めた。
横になるだけのつもりが、二度寝をしてしまったようだった。彩花は、起き上がって、時間を確認する。
(11時……もうすぐお昼じゃん)
思ったよりも寝てしまっていたことに驚きつつも、呆れていた。
(いつになったら出してくれるのかな!義務感の強い王子さまは!!)
部屋から出られないフラストレーションも溜まっていたので、少しイライラしている。
枕を王子に見立てて、何度も殴るくらいには。
数発殴ったところで、大きくため息をついた。
「お昼くらいは、食堂で食べたらダメかなぁ……」
毒を盛られた問題の場所なので、アルフォンスは許可しなさそうだった。お茶に入っていたことは言ってしまっているので、自分がそれをどこで口にしたのかは、すでに調べているであろうことは、想像がつく。
ずっと部屋にいるのは、本当につまらなく、少しくらいは外に出たかった。
ダメ元で聞いてみようと、外にいる見張り達に声をかける。
「お昼が食べたいので、食堂に行きたいのですが」
「ダメですよ。王子殿下の許可なくは……」
予想していたが、やはり断られた。やっぱりダメかと思いながら、ベッドに腰かける。
(それにしても、まだ見つかってないのかな)
エルルーアが毒を盛られてから、もう一週間は経ちそうだ。それなのに、手がかりすらも見つからないのだろうかと。
エルルーアが毒を盛られたであろうものはすでにわかっている。それなら、そこを起点に調べれば、犯人の目星くらいはつくはずだ。
(まだ、断定できてないからってこと?)
それこそ、彩花はよくわからなかった。エルルーアの記憶だと、アルフォンスからは、大してよく思われていなかった。
今は、それなりに心配してくれるくらいには、名誉が回復しているのかもしれないが、あくまでも義務感からだ。自分にも、義務を向けるようにはなってくれただけのこと。
(おとりには使いそうなのに)
いくら義務を向けてくれるようになったからといって、おそらくはまだ家族とは思われてないだろう。それなら、自分をおとりに使うくらいはやりそうだ。
彩花は、自分が殺されそうになったことは自覚している。もしかしたら、エルルーアが死んだのはこの毒殺かもしれないことも。
だが、その考えはすぐに消えた。
『ゲームが始まる前に死んじゃうんだよね、暗殺者が来て』
前世の友達である美月が、言っていたこと。エルルーアは、暗殺者の手によって殺される。そのため、ゲームの死因は毒殺ではないということだ。
それなのに、下手すれば死んでいた。それは、ゲームの流れが変わってきているということだ。
(エルルーアは、結構恨みは買っているけど……怪しいのは、王妃派の派閥だ。ゲームでもそうだったし)
暗殺者を送ったのは、ゲームでは王妃派の派閥だった。
美月の話では、嫌ってて、邪魔に思ったから。それが理由だった。今までは大丈夫だったのに、今になって命が狙われるようになった。
それは、今に邪魔に思われているということ。だが、彩花には原因がよくわからなかった。彩花が乗り移って、まだ間もない。
それなのに、狙われたのだ。
(エルルーアは馬鹿なままの方が、都合が良かったとしたら……?)
今のエルルーアと変わったのは、婚約者に対して冷たくなったのと、魔法のコントロール力が上がったことだ。
その二つのどちらか、あるいは両方が理由で、エルルーアが邪魔になった。そう考えたら、殺されそうになった理由がわかる。そして、ゲームでは、エルルーアは転生なんてしていなかったから、あり得るとすれば、魔法のコントロール力が上がったのが理由の方が可能性としては高い。
(何らかの理由で、エルルーアの魔法のコントロール力が上がって、邪魔に思われた……?そう考えたら、妾の子という噂も……)
エルルーアは、妾の子という噂が流れていたのは知っていた。だからこそ、王族になろうと愚かな行為を繰り返していた。
もし、それを王妃派の派閥が流した噂で、エルルーアが馬鹿な王女になるように仕立てたのであれば、エルルーアの存在がそもそも気に入らなかったことになる。
(魔力が強いことと、関係がある?それとも、エルルーアの母親……?)
噂を流したのであれば、エルルーアの存在がそもそも気に入らなかったことになるために、エルルーアがそもそも持っていたものに、気に入らない要素があることになる。
その中で、彩花が思いついたのは、自分の魔力の強さと、自分の死んでしまった母親のことだった。
思いつきはしたが、どちらかなんてわからない。
母親はエルルーアを産んで亡くなっているので、名前くらいしか自分は知らないし、母親が貴族なのか、それとも庶民なのか。そんなのも知らない。
(アルフォンスは教えてくれなさそうだし、フランキスカに聞いてみようかな……)
それなりにエルルーアに好意的だったフランキスカなら、教えてくれるかもしれない。そう思ったが、たった一つの問題があった。
部屋から出してくれるのかということ。それも、女子寮に行かせてくれるのか。
王子は、エルルーアつきのメイドがやったのではないかと疑いを持っている。そんな人がいるところに向かわせてくれるのだろうかと。
だったら、こちらに呼べばいいのではという考えもあるが、それはここのシステムが邪魔をする。
女子は、やむを得ない状況以外で、許可なく男子寮に入るのは禁じられている。
エルルーアの場合は、服毒してしまったので、やむを得ない状況に入ったが、フランキスカはそうではない。そのため、許可を取らないと入れないが、あの王子に隠してというのは難しい。尋問されたら、話術で負ける彩花は、正直に話すしかなくなってしまう。
(ド直球に聞いてみる……?)
一番簡単なのは、アルフォンスに直接聞くことだ。答えが返ってくる確率は低いが、一番手軽な方法。
(一か八かで、やってみるか!)
もうどうにでもなれと、半ばやけになって、彩花は決意を固めた。
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