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第二章 溺愛はいりません
4. テスト期間 1
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授業が終わったら生徒会室に行って、書類整理。そして、帰りはフランキスカの送り。そして、逃がさないとばかりに、授業が終わったタイミングを見計らって、教室に迎えに来るので、逃げるのは不可能。そんなローテーションを繰り返していた。
さすがにこんなブラックのようなことが続くと、少しやつれてくる。これを当たり前のようにこなしつつ、エルルーアの毒殺未遂の調査をしていたアルフォンスを、初めて尊敬した。
そんなある日。
そろそろ中間考査の時期だ。みんな、まるで前世の受験期のような勉強をしている。その理由は、この成績で、クラスの昇格や、降格があるからだ。
だが、それでも涼しい顔をしているのが一人だけいた。エルルーアこと、彩花だ。ただ一人の友人は、その他大勢と同じように、危機感を抱いていた。
イルーミアとエルルーアは、放課後に食堂で会話をしている。ここは、ランチタイムが終わったら、今度はカフェタイムとなり、内装もカフェのように変わり、出てくるものも、軽食と飲み物だけになる。
上級貴族の使うようなサロンも当然あるのだが、格式張った場所は苦手なので、ここでよくイルーミアと会話している。
他には、数名の下級貴族がいるだけだった。
「エルルーアさまぁ。私、成績ヤバイんですよぉ~……」
「赤点になったら、クラス降格じゃなかったっけ?」
「そうなんですよ!全部で五教科ですが、半分以上が赤点でクラス降格です!実家に迷惑をかけてしまいます……!」
イルーミアは平民だ。この学園の学費は高いため、それなりに裕福なのだが、貴族よりは余裕がないので、悪い成績をとったら、親に申し訳がたたない。
彩花は、エルルーアが頭が悪かったのは周知の事実なので、平均点くらいはとっていればいいかとのんきに考えている。良い成績をとって目立ちたくはなかったから。
「そういえば、実家は何をされてるの?」
「あぁ、言ってませんでしたっけ?商会ですよ!商会!」
「へぇ~、どこの?」
「マグノリア商会です!」
それを聞いて、彩花は飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
マグノリア商会は、ランディミア王国でも一、二を争う大商会だ。この国で、その商会の名前を知らない人はいないと言われている。
ただニコニコしているだけの、お花畑みたいな女の子かと思っていたら、まさかの大商会のご令嬢だった。
「……確かに、それならまずいかもね」
「そうです!イメージダウンしてしまったらどうしようと……」
商会の娘の学園のクラスが落ちただけでイメージダウンするくらいなら、大商会まで成長していないんじゃないのとは思ったが、机に顔をくっつけるくらい落ち込んでいる友人を見たら、そんな言葉は言えない。焼け石に水になるだけだ。
「エルルーアさまぁ。私に勉強教えてくだしゃい……」
涙目になりながら、イルーミアはエルルーアに詰め寄る。
「いや、私も教えられるくらいにかしこいわけではないんだけど……」
中身が大学生なので、ここの初等部のテストくらいは楽々に解けるだけだ。お世辞にも、優等生だったかと聞かれれば、そうではない。
読めば覚えられるので、暗記科目は得意だったが、英語のリスニングや、並べ替え、国語の書き問題は苦手な傾向にあった。
「じゃあ、エルルーアさまのお姉さまとお兄さまに頼んでくださいよー。二人ともプラチナって聞きましたよ?」
二人とも、プラチナクラスに所属していて、初等部と中等部の生徒会長をやっているだけあって、成績は優秀だ。実技と合わせれば、総合一位になっている。
「フランお姉さまはともかく、アルフォンスさまが頼みを聞いてくれるような優しさを持ってるとは思わないからなぁ……」
かわいい妹の頼みというのは、アルフォンスには通じない。そして、アルフォンスに教わるのは、彩花のプライドが許さないのだ。
水と油と言ってもおかしくないくらいには、アルフォンスと彩花は合わない。口を開けば喧嘩しかしていなかった記憶がある。
フランキスカは、頼めば聞いてくれるかもしれないが、何か見返りを要求してきそうだった。使えるものは使う精神が身についている姉に何か頼むのは、嫌な予感しかしなかった。
「ずいぶんと失礼なことを言ってくれるな」
「事実じゃないですか」
「あ、アルフォンス殿下……」
アルフォンスに聞かれていたのを焦るようなこともせずに、冷たく言い返している。イルーミアはそんな度胸は持ち合わせていないので、顔を青くして震えている。
「ここは初等部の食堂ですよ?なんでアルフォンスさまがここにいるのですか?」
初等部、中等部、高等部は食堂も別々だ。ここの学園が広すぎるので、それぞれの校舎、寮、教室、食堂がある。さすがに、訓練場などは共用だが。
「フランが忙しくて迎えに行けないから代わりに来ただけだ」
「いや、送り迎えはいらないんですけど」
これは、もう10回くらいはフランキスカに訴えているが、のらりくらりとかわされている。
「多分、お前がいないと仕事が回らないからだろ」
「えっ?そうなんですか?」
言われてみれば、日が増すごとに、仕事の内容が難しくなったり、量が多くなったりはした。でも、新人研修みたいなものかと、そこまで気には止めてなかった。
「あいつは、優秀な人材は絶対に逃がさないからな。お前を囲うつもりなんだろう」
アルフォンスのこの話を聞くと、保護が表向きなんじゃないかと思い始めた。もちろん、保護というのも本当なんだろうが、どちらかといえば、書類整理のほうが真の目的のような気がする。
だが、今の彩花は、部屋で休みたい。一日でもいいから、休暇がほしいのだ。
「私は、テスト勉強があるので今日はお休みーー」
「ちなみに、テスト勉強という言い訳を使ったら、私が教えてあげるから安心しなさいと伝えろと言われている」
お休みすると言いきる前に、彩花の退路を断った。
フランキスカは、プラチナクラスでもトップレベルの学力を持つ。自学自習よりも、そんなフランキスカに教えてもらったほうが、学力は身につくだろう。
「じゃあ、テスト勉強をしに行くだけですから。ミアさんも行く?」
「えっ、あっ、いや……」
おどおどして、エルルーアの質問に答えられない。生徒会は、生徒にとっては登竜門というくらいに憧れの場所だ。お誘いを受けるだけでもステータスになる。当然生徒会になったら、今後のステータスになる。
そんな場所にイルーミアにとっては雲の上の存在の王族であるフランキスカに会いに行こうと行っているのだ。震えないわけがない。
エルルーアも王族だが、ずっと一緒にいるおかげで、あまり緊張を持ったりはしない。
「あ、ありがたいお話ですけど……」
「別に、一人増えたくらいではあいつの負担は変わらん。生徒会室は、生徒会の者と一緒ならば、部外者も立ち入りを許される」
「さっき、お姉さまにかけあってくれって頼んでたし、ちょうどいいんじゃない?」
(ほんの冗談だったのに……!)
二人が頭がいいから、冗談で教わりたいと言っただけだった。それなのに、本当になるなんて思いもしていなかったのだ。
でも、冗談であろうと、そう言ったのは確かに事実だ。イルーミアは、意を決してうなずいた。
「お願いします……」
「それじゃあ、行きましょうか」
彩花とアルフォンスに連れられて、イルーミアはとぼとぼとついていった。
さすがにこんなブラックのようなことが続くと、少しやつれてくる。これを当たり前のようにこなしつつ、エルルーアの毒殺未遂の調査をしていたアルフォンスを、初めて尊敬した。
そんなある日。
そろそろ中間考査の時期だ。みんな、まるで前世の受験期のような勉強をしている。その理由は、この成績で、クラスの昇格や、降格があるからだ。
だが、それでも涼しい顔をしているのが一人だけいた。エルルーアこと、彩花だ。ただ一人の友人は、その他大勢と同じように、危機感を抱いていた。
イルーミアとエルルーアは、放課後に食堂で会話をしている。ここは、ランチタイムが終わったら、今度はカフェタイムとなり、内装もカフェのように変わり、出てくるものも、軽食と飲み物だけになる。
上級貴族の使うようなサロンも当然あるのだが、格式張った場所は苦手なので、ここでよくイルーミアと会話している。
他には、数名の下級貴族がいるだけだった。
「エルルーアさまぁ。私、成績ヤバイんですよぉ~……」
「赤点になったら、クラス降格じゃなかったっけ?」
「そうなんですよ!全部で五教科ですが、半分以上が赤点でクラス降格です!実家に迷惑をかけてしまいます……!」
イルーミアは平民だ。この学園の学費は高いため、それなりに裕福なのだが、貴族よりは余裕がないので、悪い成績をとったら、親に申し訳がたたない。
彩花は、エルルーアが頭が悪かったのは周知の事実なので、平均点くらいはとっていればいいかとのんきに考えている。良い成績をとって目立ちたくはなかったから。
「そういえば、実家は何をされてるの?」
「あぁ、言ってませんでしたっけ?商会ですよ!商会!」
「へぇ~、どこの?」
「マグノリア商会です!」
それを聞いて、彩花は飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
マグノリア商会は、ランディミア王国でも一、二を争う大商会だ。この国で、その商会の名前を知らない人はいないと言われている。
ただニコニコしているだけの、お花畑みたいな女の子かと思っていたら、まさかの大商会のご令嬢だった。
「……確かに、それならまずいかもね」
「そうです!イメージダウンしてしまったらどうしようと……」
商会の娘の学園のクラスが落ちただけでイメージダウンするくらいなら、大商会まで成長していないんじゃないのとは思ったが、机に顔をくっつけるくらい落ち込んでいる友人を見たら、そんな言葉は言えない。焼け石に水になるだけだ。
「エルルーアさまぁ。私に勉強教えてくだしゃい……」
涙目になりながら、イルーミアはエルルーアに詰め寄る。
「いや、私も教えられるくらいにかしこいわけではないんだけど……」
中身が大学生なので、ここの初等部のテストくらいは楽々に解けるだけだ。お世辞にも、優等生だったかと聞かれれば、そうではない。
読めば覚えられるので、暗記科目は得意だったが、英語のリスニングや、並べ替え、国語の書き問題は苦手な傾向にあった。
「じゃあ、エルルーアさまのお姉さまとお兄さまに頼んでくださいよー。二人ともプラチナって聞きましたよ?」
二人とも、プラチナクラスに所属していて、初等部と中等部の生徒会長をやっているだけあって、成績は優秀だ。実技と合わせれば、総合一位になっている。
「フランお姉さまはともかく、アルフォンスさまが頼みを聞いてくれるような優しさを持ってるとは思わないからなぁ……」
かわいい妹の頼みというのは、アルフォンスには通じない。そして、アルフォンスに教わるのは、彩花のプライドが許さないのだ。
水と油と言ってもおかしくないくらいには、アルフォンスと彩花は合わない。口を開けば喧嘩しかしていなかった記憶がある。
フランキスカは、頼めば聞いてくれるかもしれないが、何か見返りを要求してきそうだった。使えるものは使う精神が身についている姉に何か頼むのは、嫌な予感しかしなかった。
「ずいぶんと失礼なことを言ってくれるな」
「事実じゃないですか」
「あ、アルフォンス殿下……」
アルフォンスに聞かれていたのを焦るようなこともせずに、冷たく言い返している。イルーミアはそんな度胸は持ち合わせていないので、顔を青くして震えている。
「ここは初等部の食堂ですよ?なんでアルフォンスさまがここにいるのですか?」
初等部、中等部、高等部は食堂も別々だ。ここの学園が広すぎるので、それぞれの校舎、寮、教室、食堂がある。さすがに、訓練場などは共用だが。
「フランが忙しくて迎えに行けないから代わりに来ただけだ」
「いや、送り迎えはいらないんですけど」
これは、もう10回くらいはフランキスカに訴えているが、のらりくらりとかわされている。
「多分、お前がいないと仕事が回らないからだろ」
「えっ?そうなんですか?」
言われてみれば、日が増すごとに、仕事の内容が難しくなったり、量が多くなったりはした。でも、新人研修みたいなものかと、そこまで気には止めてなかった。
「あいつは、優秀な人材は絶対に逃がさないからな。お前を囲うつもりなんだろう」
アルフォンスのこの話を聞くと、保護が表向きなんじゃないかと思い始めた。もちろん、保護というのも本当なんだろうが、どちらかといえば、書類整理のほうが真の目的のような気がする。
だが、今の彩花は、部屋で休みたい。一日でもいいから、休暇がほしいのだ。
「私は、テスト勉強があるので今日はお休みーー」
「ちなみに、テスト勉強という言い訳を使ったら、私が教えてあげるから安心しなさいと伝えろと言われている」
お休みすると言いきる前に、彩花の退路を断った。
フランキスカは、プラチナクラスでもトップレベルの学力を持つ。自学自習よりも、そんなフランキスカに教えてもらったほうが、学力は身につくだろう。
「じゃあ、テスト勉強をしに行くだけですから。ミアさんも行く?」
「えっ、あっ、いや……」
おどおどして、エルルーアの質問に答えられない。生徒会は、生徒にとっては登竜門というくらいに憧れの場所だ。お誘いを受けるだけでもステータスになる。当然生徒会になったら、今後のステータスになる。
そんな場所にイルーミアにとっては雲の上の存在の王族であるフランキスカに会いに行こうと行っているのだ。震えないわけがない。
エルルーアも王族だが、ずっと一緒にいるおかげで、あまり緊張を持ったりはしない。
「あ、ありがたいお話ですけど……」
「別に、一人増えたくらいではあいつの負担は変わらん。生徒会室は、生徒会の者と一緒ならば、部外者も立ち入りを許される」
「さっき、お姉さまにかけあってくれって頼んでたし、ちょうどいいんじゃない?」
(ほんの冗談だったのに……!)
二人が頭がいいから、冗談で教わりたいと言っただけだった。それなのに、本当になるなんて思いもしていなかったのだ。
でも、冗談であろうと、そう言ったのは確かに事実だ。イルーミアは、意を決してうなずいた。
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