38 / 78
宮殿
35.学びたいという気持ち
しおりを挟む
「お招きいただき、ありがとうございます、マナヴィカ様」
ミオに手を引いてもらってたどりついた離宮で、膝を折って挨拶する。入り口で訪問を告げて、取り次ぎを待ったり案内された部屋でさらに待ったり、カガルトゥラードで人と会うのは難しいことなのかもしれなかった。
ようやく出てきたマナヴィカは、今日もふんわり裾の広がった服を着ていて、穏やかな気配の精霊が傍を漂っている。
「いらしていただいて、私も光栄です、神子様」
他の場所と違って穏やかな気配の精霊が多くて、落ちついた雰囲気はカガルトゥラードには珍しい。離宮というのは全てこういう場所なのか聞きたかったが、今そういうことを聞くべきではなさそうなのは、キアラにもわかる。
マナヴィカが優雅にお辞儀しているのもわかるのだが、やはりベールがあるので顔がよくわからない。
「どうぞ、こちらへ」
先に立って建物の奥に進むマナヴィカのあとについて歩くが、ベールのせいで建物の中もわからない。織物が敷かれているのは他と変わらないのだが、ここはふかふかというよりずっしりとした印象の織物だし、置いてあるものもカガルトゥラードのものとは作りが違う気がする。もっとよく見てみたい。
「……ミオ、まだいけませんか」
「……いけません、神子様」
お茶というからには少なくとも飲み物を口にするはずで、ベールを外しても許されるだろうと思ったら、マナヴィカの離宮に入るまではいけませんと言われてしまった。それなら今は離宮の中だから、ベールを外してもいいだろうと思ったのだが、まだいけないらしい。
むう、と口を尖らせたところで、キアラは大人しくついていくしかない。マナヴィカの案内に従って離宮の奥に進み、足を踏み出した感触が変わったのに目を瞬く。
草を、踏んでいる。
「今日は天気もよさそうですし、庭に席を用意しましたの。神子様は、外はお嫌かしら」
「いいえ……素敵、ですね」
穏やかな気配の精霊も、楽しげな気配の精霊も、ぽわぽわと自由に飛び回っている。今まで立ち寄ったどの庭より、土のにおいを感じてヨラガンを思い出す。
椅子に座らせてもらって落ちつくと、ミオがベールを取ってくれた。少しまぶしい。瞬きしているとため息とも何ともつかない音が聞こえ、キアラはそちらに顔を向けた。マナヴィカが、軽く目を見開いて口元を押さえている。
「マナヴィカ様、どうかなさいましたか」
「……ごめんなさい、お噂は伺っていたのですけれど……想像以上、でしたので」
何を想像されていたのだろう。首を傾げたキアラのもとに、手押し車のようなもので何かが運ばれてくる。
「……私はまだ、カガルトゥラード様式には不慣れで……ヴァルヴェキア風になってしまいますの。ご容赦くださいませね」
キアラの前にカップが置かれて、透明なかたまりが入れられる。その上からお茶が注がれたかと思うと、別の器に入れられていた白いとろっとした液体がスプーン一杯、さらにカップに加えられた。白い液体がふわふわと、お茶の中に雲のようにたゆたっている。
「雲が浮かんでいるようですね」
「ええ。ヴァルヴェキアでは、これをかき混ぜずにいただきますの」
なるほど、とキアラがカップを手に取ろうとすると、横からシアに持ち上げられてしまった。一口飲むと戻してくれたが、シアもヴァルヴェキア風のお茶が飲んでみたかったのだろうか。
きょとんと見上げるキアラの横から、軽やかな笑い声がする。
「素直な方ね、そのまま召し上がろうとなさるなんて」
かき混ぜずに飲むと聞いたから、そのまま飲むものだと思ったのだが、からかわれたのだろうか。
首を傾げて見上げたキアラにシアが苦笑し、ミオがマナヴィカに頭を下げる。
「神子様が口になさるものにはすべて、毒見が必要なのです。申し訳ございません」
「構いません。あなたたちの役目でしょうから」
三人や、マナヴィカの後ろで控えている人たちには何やら通じるものがあるようだが、ミオが何を謝ったのか、マナヴィカが何を役目と言っているのか、キアラにはわからない。
「……シア、どくみ、とは何ですか」
マナヴィカは純粋なカガルトゥラードの人というわけではないようだし、キアラが多少質問をしていても怒らないだろう。そう思ってシアの服を引いて尋ねると、小さな声で教えてくれた。
「神子様のお食事に、毒が入っていないか確かめることです」
「どく……」
マナヴィカは、そんなことをしないと思うし、疑っているようでよくない気がする。なるほど、それでミオが謝罪していたのかと納得して、キアラははっとした。
「そ、そんなことをして、本当に毒が入っていたとき、どうするのですか……!」
思わず立ち上がって、キアラはシアの服をぎゅっと掴んだ。
もし本当に、キアラの食べるものや飲むものに毒が入っていたら、ミオやシアが苦しむことになる。もしかしたら、命だって落とすかもしれない。
侍従というものはキアラのために働く人たちを示すらしいが、ミオもシアも、そんなことは関係なくキアラにとって大切な人になっている。大切な人たちが、苦しんだり、死んでしまったりするのは、嫌だ。
「嫌、です、そんな……ミオ、も、シアも……嫌、です」
今までも、そうだったのだろうか。ミオやシアが、もしかしたら他の誰かが、キアラの食べるもののどくみをしてくれていて、もしかしたら、誰かが苦しんだり、命を落としたりしていたのだろうか。
何も知らず、無邪気に、おいしいご飯だと思って食べていたものが、キアラの目に見えないところで、誰かの犠牲で成り立っていたのだろうか。
「……神子様、落ちついてくださいませ」
静かに声をかけられて、キアラはそちらにゆっくり顔を向けた。ゆったりと椅子に座ったままのマナヴィカが、少し困った顔で微笑んでいる。
「この離宮は私が預かる場所ですから、私が責任をもってすべてを手配しております。怖いことは起きませんから、どうかご安心くださいな」
マナヴィカの少し黄色みを帯びた薄茶の瞳が、柔らかくキアラに向けられている。彼女の周囲を漂っていた精霊の気配も傍に来てくれて、ぽわぽわとキアラを取り巻いている。
優しく背中を撫でられて、キアラはシアに視線を戻した。穏やかに微笑んでくれている。
「大丈夫ですよ、神子様」
おずおずとシアの服を掴んでいた手を放して、キアラは促されるまま席に戻った。シアの手が、ずっと背中を撫でてくれている。
「……申し訳、ありません、騒いでしまって……」
大きな声を出すのは、行儀がよくないことだ。うつむいたキアラに、マナヴィカの柔らかい声と精霊たちが寄り添ってくれる。
「いいえ、神子様がとても優しい方なのが伝わってきました。恥じることではありません」
マナヴィカは気にしない、と言ってくれているらしいのがわかって、キアラはそっと顔を上げた。視線の先にある顔は確かに、怒っているようには見えない。
「……私は、知らないことが多いのです」
どくみ、という役目のことも、今まで知らなかった。ヴァルヴェキアという国のこともよく知らないし、実際のところ、カガルトゥラードのことも、ヨラガンのことさえわかっているとは思えない。
もっとしっかり、大切な人やものに、細やかに目を配って、守れるようになりたい。
ユクガや、イェノアやククィツァがしてくれたように。
「……神子様は、学びたいと思っておいでなのかしら」
静かに問いかけられて、キアラははた、と目を瞬いた。
これは、学びたい、という気持ちなのだろうか。ベルリアーナが文字や読み書き、計算を教えてくれていたころ、とても楽しかった。もっとたくさんのことを知って、誰かを守れるようになりたいというのは、学びたいという気持ちに繋がるのだろうか。
「そう……かも、しれません」
これが学びたいという気持ちなのか、キアラには判別できなかった。
ただ、マナヴィカの問いかけに、いいえと答えようとも思わなかった。
学ぶということは、きっと、大切な人やものを守る力に繋がるはずだ。
「失礼ですけれど、神子様はカガルトゥラードの文字を読めますこと?」
「はい、以前教えていただきました。難しい言葉でなければ……わかると、思います」
ヨラガンの文字と、カガルトゥラードの文字は少し違う。ベルリアーナはどちらもすいすいと読み書きができていて、すごいと言っていたら文字を教えてくれるようになったのだった。
「でしたら、書庫に行かれたらよろしいかと存じます」
「しょこ、ですか」
「ええ、本がたくさんありますの」
本というのは、誰かが持っている知識や調べたこと、考えたことを紙に書き記し、束にしてまとめてあるものなのだそうだ。そのおかげで、本を読めば他の人も同じ知識を得ることができる。
「すごいですね……!」
ヨラガンでは大事なことは言葉で伝えるのが普通だったから、本で何度も確認できるのはすごい。
そう思って口にしたのだが、マナヴィカには楽しそうに笑われてしまった。
ミオに手を引いてもらってたどりついた離宮で、膝を折って挨拶する。入り口で訪問を告げて、取り次ぎを待ったり案内された部屋でさらに待ったり、カガルトゥラードで人と会うのは難しいことなのかもしれなかった。
ようやく出てきたマナヴィカは、今日もふんわり裾の広がった服を着ていて、穏やかな気配の精霊が傍を漂っている。
「いらしていただいて、私も光栄です、神子様」
他の場所と違って穏やかな気配の精霊が多くて、落ちついた雰囲気はカガルトゥラードには珍しい。離宮というのは全てこういう場所なのか聞きたかったが、今そういうことを聞くべきではなさそうなのは、キアラにもわかる。
マナヴィカが優雅にお辞儀しているのもわかるのだが、やはりベールがあるので顔がよくわからない。
「どうぞ、こちらへ」
先に立って建物の奥に進むマナヴィカのあとについて歩くが、ベールのせいで建物の中もわからない。織物が敷かれているのは他と変わらないのだが、ここはふかふかというよりずっしりとした印象の織物だし、置いてあるものもカガルトゥラードのものとは作りが違う気がする。もっとよく見てみたい。
「……ミオ、まだいけませんか」
「……いけません、神子様」
お茶というからには少なくとも飲み物を口にするはずで、ベールを外しても許されるだろうと思ったら、マナヴィカの離宮に入るまではいけませんと言われてしまった。それなら今は離宮の中だから、ベールを外してもいいだろうと思ったのだが、まだいけないらしい。
むう、と口を尖らせたところで、キアラは大人しくついていくしかない。マナヴィカの案内に従って離宮の奥に進み、足を踏み出した感触が変わったのに目を瞬く。
草を、踏んでいる。
「今日は天気もよさそうですし、庭に席を用意しましたの。神子様は、外はお嫌かしら」
「いいえ……素敵、ですね」
穏やかな気配の精霊も、楽しげな気配の精霊も、ぽわぽわと自由に飛び回っている。今まで立ち寄ったどの庭より、土のにおいを感じてヨラガンを思い出す。
椅子に座らせてもらって落ちつくと、ミオがベールを取ってくれた。少しまぶしい。瞬きしているとため息とも何ともつかない音が聞こえ、キアラはそちらに顔を向けた。マナヴィカが、軽く目を見開いて口元を押さえている。
「マナヴィカ様、どうかなさいましたか」
「……ごめんなさい、お噂は伺っていたのですけれど……想像以上、でしたので」
何を想像されていたのだろう。首を傾げたキアラのもとに、手押し車のようなもので何かが運ばれてくる。
「……私はまだ、カガルトゥラード様式には不慣れで……ヴァルヴェキア風になってしまいますの。ご容赦くださいませね」
キアラの前にカップが置かれて、透明なかたまりが入れられる。その上からお茶が注がれたかと思うと、別の器に入れられていた白いとろっとした液体がスプーン一杯、さらにカップに加えられた。白い液体がふわふわと、お茶の中に雲のようにたゆたっている。
「雲が浮かんでいるようですね」
「ええ。ヴァルヴェキアでは、これをかき混ぜずにいただきますの」
なるほど、とキアラがカップを手に取ろうとすると、横からシアに持ち上げられてしまった。一口飲むと戻してくれたが、シアもヴァルヴェキア風のお茶が飲んでみたかったのだろうか。
きょとんと見上げるキアラの横から、軽やかな笑い声がする。
「素直な方ね、そのまま召し上がろうとなさるなんて」
かき混ぜずに飲むと聞いたから、そのまま飲むものだと思ったのだが、からかわれたのだろうか。
首を傾げて見上げたキアラにシアが苦笑し、ミオがマナヴィカに頭を下げる。
「神子様が口になさるものにはすべて、毒見が必要なのです。申し訳ございません」
「構いません。あなたたちの役目でしょうから」
三人や、マナヴィカの後ろで控えている人たちには何やら通じるものがあるようだが、ミオが何を謝ったのか、マナヴィカが何を役目と言っているのか、キアラにはわからない。
「……シア、どくみ、とは何ですか」
マナヴィカは純粋なカガルトゥラードの人というわけではないようだし、キアラが多少質問をしていても怒らないだろう。そう思ってシアの服を引いて尋ねると、小さな声で教えてくれた。
「神子様のお食事に、毒が入っていないか確かめることです」
「どく……」
マナヴィカは、そんなことをしないと思うし、疑っているようでよくない気がする。なるほど、それでミオが謝罪していたのかと納得して、キアラははっとした。
「そ、そんなことをして、本当に毒が入っていたとき、どうするのですか……!」
思わず立ち上がって、キアラはシアの服をぎゅっと掴んだ。
もし本当に、キアラの食べるものや飲むものに毒が入っていたら、ミオやシアが苦しむことになる。もしかしたら、命だって落とすかもしれない。
侍従というものはキアラのために働く人たちを示すらしいが、ミオもシアも、そんなことは関係なくキアラにとって大切な人になっている。大切な人たちが、苦しんだり、死んでしまったりするのは、嫌だ。
「嫌、です、そんな……ミオ、も、シアも……嫌、です」
今までも、そうだったのだろうか。ミオやシアが、もしかしたら他の誰かが、キアラの食べるもののどくみをしてくれていて、もしかしたら、誰かが苦しんだり、命を落としたりしていたのだろうか。
何も知らず、無邪気に、おいしいご飯だと思って食べていたものが、キアラの目に見えないところで、誰かの犠牲で成り立っていたのだろうか。
「……神子様、落ちついてくださいませ」
静かに声をかけられて、キアラはそちらにゆっくり顔を向けた。ゆったりと椅子に座ったままのマナヴィカが、少し困った顔で微笑んでいる。
「この離宮は私が預かる場所ですから、私が責任をもってすべてを手配しております。怖いことは起きませんから、どうかご安心くださいな」
マナヴィカの少し黄色みを帯びた薄茶の瞳が、柔らかくキアラに向けられている。彼女の周囲を漂っていた精霊の気配も傍に来てくれて、ぽわぽわとキアラを取り巻いている。
優しく背中を撫でられて、キアラはシアに視線を戻した。穏やかに微笑んでくれている。
「大丈夫ですよ、神子様」
おずおずとシアの服を掴んでいた手を放して、キアラは促されるまま席に戻った。シアの手が、ずっと背中を撫でてくれている。
「……申し訳、ありません、騒いでしまって……」
大きな声を出すのは、行儀がよくないことだ。うつむいたキアラに、マナヴィカの柔らかい声と精霊たちが寄り添ってくれる。
「いいえ、神子様がとても優しい方なのが伝わってきました。恥じることではありません」
マナヴィカは気にしない、と言ってくれているらしいのがわかって、キアラはそっと顔を上げた。視線の先にある顔は確かに、怒っているようには見えない。
「……私は、知らないことが多いのです」
どくみ、という役目のことも、今まで知らなかった。ヴァルヴェキアという国のこともよく知らないし、実際のところ、カガルトゥラードのことも、ヨラガンのことさえわかっているとは思えない。
もっとしっかり、大切な人やものに、細やかに目を配って、守れるようになりたい。
ユクガや、イェノアやククィツァがしてくれたように。
「……神子様は、学びたいと思っておいでなのかしら」
静かに問いかけられて、キアラははた、と目を瞬いた。
これは、学びたい、という気持ちなのだろうか。ベルリアーナが文字や読み書き、計算を教えてくれていたころ、とても楽しかった。もっとたくさんのことを知って、誰かを守れるようになりたいというのは、学びたいという気持ちに繋がるのだろうか。
「そう……かも、しれません」
これが学びたいという気持ちなのか、キアラには判別できなかった。
ただ、マナヴィカの問いかけに、いいえと答えようとも思わなかった。
学ぶということは、きっと、大切な人やものを守る力に繋がるはずだ。
「失礼ですけれど、神子様はカガルトゥラードの文字を読めますこと?」
「はい、以前教えていただきました。難しい言葉でなければ……わかると、思います」
ヨラガンの文字と、カガルトゥラードの文字は少し違う。ベルリアーナはどちらもすいすいと読み書きができていて、すごいと言っていたら文字を教えてくれるようになったのだった。
「でしたら、書庫に行かれたらよろしいかと存じます」
「しょこ、ですか」
「ええ、本がたくさんありますの」
本というのは、誰かが持っている知識や調べたこと、考えたことを紙に書き記し、束にしてまとめてあるものなのだそうだ。そのおかげで、本を読めば他の人も同じ知識を得ることができる。
「すごいですね……!」
ヨラガンでは大事なことは言葉で伝えるのが普通だったから、本で何度も確認できるのはすごい。
そう思って口にしたのだが、マナヴィカには楽しそうに笑われてしまった。
52
あなたにおすすめの小説
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
うそつきΩのとりかえ話譚
沖弉 えぬ
BL
療養を終えた王子が都に帰還するのに合わせて開催される「番候補戦」。王子は国の将来を担うのに相応しいアルファであり番といえば当然オメガであるが、貧乏一家の財政難を救うべく、18歳のトキはアルファでありながらオメガのフリをして王子の「番候補戦」に参加する事を決める。一方王子にはとある秘密があって……。雪の積もった日に出会った紅梅色の髪の青年と都で再会を果たしたトキは、彼の助けもあってオメガたちによる候補戦に身を投じる。
舞台は和風×中華風の国セイシンで織りなす、同い年の青年たちによる旅と恋の話です。
回帰したシリルの見る夢は
riiko
BL
公爵令息シリルは幼い頃より王太子の婚約者として、彼と番になる未来を夢見てきた。
しかし王太子は婚約者の自分には冷たい。どうやら彼には恋人がいるのだと知った日、物語は動き出した。
嫉妬に狂い断罪されたシリルは、何故だかきっかけの日に回帰した。そして回帰前には見えなかったことが少しずつ見えてきて、本当に望む夢が何かを徐々に思い出す。
執着をやめた途端、執着される側になったオメガが、次こそ間違えないようにと、可愛くも真面目に奮闘する物語!
執着アルファ×回帰オメガ
本編では明かされなかった、回帰前の出来事は外伝に掲載しております。
性描写が入るシーンは
※マークをタイトルにつけます。
物語お楽しみいただけたら幸いです。
***
2022.12.26「第10回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました!
応援してくれた皆様のお陰です。
ご投票いただけた方、お読みくださった方、本当にありがとうございました!!
☆☆☆
2024.3.13 書籍発売&レンタル開始いたしました!!!!
応援してくださった読者さまのお陰でございます。本当にありがとうございます。書籍化にあたり連載時よりも読みやすく書き直しました。お楽しみいただけたら幸いです。
金曜日の少年~「仕方ないよね。僕は、オメガなんだもの」虐げられた駿は、わがまま御曹司アルファの伊織に振り回されるうちに変わってゆく~
大波小波
BL
貧しい家庭に育ち、さらに第二性がオメガである御影 駿(みかげ しゅん)は、スクールカーストの底辺にいた。
そんな駿は、思いきって憧れの生徒会書記・篠崎(しのざき)にラブレターを書く。
だが、ちょっとした行き違いで、その手紙は生徒会長・天宮司 伊織(てんぐうじ いおり)の手に渡ってしまった。
駿に興味を持った伊織は、彼を新しい玩具にしようと、従者『金曜日の少年』に任命するが、そのことによってお互いは少しずつ変わってゆく。
【完結】運命の番に逃げられたアルファと、身代わりベータの結婚
貴宮 あすか
BL
ベータの新は、オメガである兄、律の身代わりとなって結婚した。
相手は優れた経営手腕で新たちの両親に見込まれた、アルファの木南直樹だった。
しかし、直樹は自分の運命の番である律が、他のアルファと駆け落ちするのを手助けした新を、律の身代わりにすると言って組み敷き、何もかも初めての新を律の名前を呼びながら抱いた。それでも新は幸せだった。新にとって木南直樹は少年の頃に初めての恋をした相手だったから。
アルファ×ベータの身代わり結婚ものです。
無能扱いの聖職者は聖女代理に選ばれました
芳一
BL
無能扱いを受けていた聖職者が、聖女代理として瘴気に塗れた地に赴き諦めたものを色々と取り戻していく話。(あらすじ修正あり)***4話に描写のミスがあったので修正させて頂きました(10月11日)
すれ違い夫夫は発情期にしか素直になれない
和泉臨音
BL
とある事件をきっかけに大好きなユーグリッドと結婚したレオンだったが、番になった日以来、発情期ですらベッドを共にすることはなかった。ユーグリッドに避けられるのは寂しいが不満はなく、これ以上重荷にならないよう、レオンは受けた恩を返すべく日々の仕事に邁進する。一方、レオンに軽蔑され嫌われていると思っているユーグリッドはなるべくレオンの視界に、記憶に残らないようにレオンを避け続けているのだった。
お互いに嫌われていると誤解して、すれ違う番の話。
===================
美形侯爵長男α×平凡平民Ω。本編24話完結。それ以降は番外編です。
オメガバース設定ですが独自設定もあるのでこの世界のオメガバースはそうなんだな、と思っていただければ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる