メトロポリタン

暁エネル

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遊園地②

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俺と翔はペットボトルのお茶を片付け ぶらぶらと歩いていた


「弘樹 あそこ・・・」


そう言って翔は指をさした そこにあったのはお化け屋敷だった


「弘樹おもしろそう 行ってみよう」


そう言って翔はまた 俺の腕を掴み進んで行った




(えっ 翔はこういうのも好きなの?)




俺は翔に腕を引っ張られながらそう思った



お化け屋敷にもたくさんの人達が並んでいた



立て看板には3つのコースの説明が書かれてあった


1コース もののけコース 何が出て来るかお楽しみ


2コース ドラキュラコース あなたの後ろに気を付けて


3コース 忍者屋敷コース 忍び足で進め




「弘樹はどのコースがいい」


「そうだなぁ~」




(もののけは 何が出て来るのかわからないから怖いし・・・ ドラキュラは 後ろからって書いてあって嫌だし・・・ 忍者って何だろう?忍び足?あんまり怖くないかも・・・)




「ねぇ~翔 3コースの忍者屋敷っておもしろそうだよ 翔は?)


「俺も忍者屋敷が気に入ってた じゃ~決まりだな」


そう言った翔の笑顔に俺はまた見とれてしまっていた


「弘樹はどんなの想像してる?」


「忍者屋敷?」


「あぁ~」


「忍者屋敷って言うくらいだからねぇ~ そうだなぁ~忍び足って書いてあるから 少しでも音を立てると 人が出て来て襲われるとか 何か飛んで来るとかかなぁ~」


俺と翔は並びながら 忍者屋敷コースの事を話し合っていた


「どちらにせよ お化け屋敷となっているから 脅かされる事は間違いないんだろうけどなぁ~」


翔は笑いながらそう話ていた




(やっぱり翔は 絶叫マシンとかお化け屋敷が好きなんだ・・・)




俺と翔の順番が回って来た


「ようこそお化け屋敷へ これはカッコいいお兄さん どのコースをお選びですか?」


係のおねえさんにそう聞かれ翔は答えた


「忍者屋敷コースをお願いします」


「忍者屋敷コース かしこまりました では準備が整いました くれぐれも忍び足でお願いします ではいってらっしゃい」


そう言っておねえさんは 忍者屋敷コースのドアを開けてくれた


俺と翔は真っ黒なカーテンを開け前に進んだ


中は真っ暗で何も見えない おねえさんがドアを閉めたから


なおさら 俺と翔はその場から動く事が出来なくなっていた


「翔 離れないでね・・・」


俺は翔に出来るだけ小さな声でそう言った


翔は俺の肩に手を置いてくれた


俺はその手を掴み 俺の胸に持って来て 両手でしっかりと掴んでいた



奥に赤く小さな光が見えた


「翔 あそこ赤く光ってるよ」


俺がそう言ったとたん 冷たい風が通り抜け 


次の瞬間 俺の真横から何かが飛び出して来た


俺は思わず反射的に翔に抱きついていた




(何?今の? 何か飛んで来たよ・・・)




「弘樹大丈夫か? 今のは俺もびっくりしたよ」


翔は明るい声でそう言った


俺は翔に抱きついている事に気づいた


「あっ翔 ごめん」


俺はそう言って翔から離れた


「さっきのはいったい何だったの?」


「俺もはっきりとはわからん」


俺はまた翔の腕を両手でしっかりと掴んで進んだ


さっきよりも少しだけ明るくなった通路


壁にはシュリケンや刀 忍者が壁をよじ登って居る様子もあった


俺と翔は辺りを見渡しながらゆっくりと進んだ


「翔 何か書いてあるよ」



ここに座り 奥にある巻き物を取るべし 出来たらこの忍者屋敷は無事に出られる



「翔 どうしよう・・・」



透明なアクリル板に閉ざされ 腕が入るだけの小さな穴が開いている 巻き物はすぐに取れる位置にあった


「巻き物ってあれだね」




(何か仕掛けがありそうだ ここは忍者屋敷何もない訳がない・・・)




「弘樹頑張って・・・」


「え~俺?」


「ここを出られるかは 弘樹にかっかてる」


そう言いながら翔は俺の肩に手を置いて 俺を椅子に座らせた


「え~だって絶対何か仕掛けがあるじゃん」


俺は振り返って翔にそう言った


「そうだなぁ~ だけどこれをクリアしたら出口はすぐそこだ 弘樹頑張れ・・・」


翔にそう言われ 俺は仕方なく穴に目を向けた





(巻き物はすぐそこなんだけど この見えない部分が怖い 絶対に何かある)




俺は腕をまくった


「弘樹大丈夫だもし失敗しても またやればいい」




(翔はあくまでも俺にやらせる気だ・・・)




俺は息をはき 腕をゆっくりと穴の中へ入れた


すると横から刀が現れた


俺は腕を慌てて引っ込めた


「えっ何? 刀で俺の腕切られるの?」


「弘樹 危なかったなぁ~」


翔は笑いながらそう言った




(おもちゃの刀とわかっていても いい気持ちはしない これは素早さが求められる もっと早く腕を巻き物まで伸ばす そして掴んだら素早く腕を引く)




俺はもう一度チャレンジしてみる事にした


息をはき腕をまくり一気に腕を穴の中へ 


刀が出て来て 振り落とされた時には 


もう俺は腕を穴から出していた




(危なかった・・・)




「弘樹凄いなぁ~」


翔の笑顔に俺は巻き物を握り締めていた




(良かった取れて・・・ もう少し遅かったらアウトだった・・・)




通路が明るく照らされ あとは出口へ向かうだけと 俺は油断をしていた


最後に浅く掘られた通路に気づかず 俺はまた膝から崩れ落ちた


「弘樹大丈夫?」


翔が素早く俺の腕を掴み 俺は転ばずにすんでいた


俺は翔の腕にしがみつき立ち上がった


「もう 何だよ」


俺がそう言ったとたん 翔の笑い声が通路に響いていた


「翔 笑い過ぎ・・・」


俺がそう言うと翔は益々笑い出していた




(こりゃ~ダメだ さっきと同じパターンだ)




俺は翔が笑っているのを 横目に出口へと進んだ




「お疲れ様でした」


係の人が出口でそう言ってくれた



翔はまだ口元を押さえて笑っていた


「はぁ~弘樹 おもしろかったなぁ~」


「本当に翔は良く笑うね」


「弘樹がおもしろくてつい・・・ ところで さっきの巻き物には何て書いてあった?」


「あっそうだ・・・」


俺は手に持っていた 小さな巻き物を開いてみた


俺が開くと翔が覗き込んで来た


「いつまでも一緒に居るでござる」


翔が読み上げ 俺は翔と目を合わせていた


「こっこれってさぁ~ カップルを想定しているんじゃない・・・」




(何で翔は何も言ってくれないの・・・)




(いつまでも一緒にかぁ~ そう出来たら苦労はしない・・・)





「弘樹」


「ううん」


「お腹すいたなぁ~」


「翔は笑い過ぎたセイでしょう」


翔は笑顔を俺に向けていた


「そうかもしれない・・・」


「えっ 俺のセイ?」


翔は笑いながら歩き出した


「あっ待ってよ翔・・・」


俺は小走りで翔を追いかけた



(つづく)

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