この胸の高鳴りは・・・

暁エネル

文字の大きさ
19 / 50

忍さんの話②

しおりを挟む
僕はマンションを飛び出していた




(どうしよう飛び出して来ちゃった でも戻れない 拓巳君は追って来ない・・・)




僕は少し落ち込みながら立ち止まり振り返っていた


僕は息を整えゆっくりと駅の方へと向かって歩いていた




(どうしよう飛び出して来たのはいいんだけどどこに行けば・・・ 拓巳君は僕の事を心配してるかなぁ~ 急に飛び出して驚いたよね でもあそこには居られない もう僕は拓巳君と会ってはダメだ 僕が拓巳君と離れられなくなる・・・)




僕はとりあえず駅へと向かい ホームに入って来た電車に乗った




俺は翔に電話をかけていた


「翔忍さん大丈夫かなぁ~ 泣いていたかもしれないんだ 俺心配だよ・・・」


「拓巳忍はそんなに弱くねぇ~から大丈夫だ」


「俺が悪かったのかなぁ~?」


「拓巳も忍も何も悪くわねぇ~だろう・・・」


「俺翔がうらやましいよ 忍さんの事を俺よりも知ってて・・・」


「付き合いが長いだけだ 話てくれないか何があったんだ?」




俺は忍さんをマンションのエントランスで待っていた事から


忍さんと夕飯を食べて話をした内容を翔に聞いてもらった




「翔俺はどうして忍さんが 俺から離れなくちゃならないのか ぜんぜんわかんねぇ~よ だって忍さんと俺スゲーいい感じだったんだ だから忍さんが何であんな事を言ったのか 俺ぜんぜんわかんねぇ~」


「忍は拓巳よりも大人だからなぁ~ まぁ~忍はどうせ拓巳の為とか思ったんだろう・・・」


「忍さんにも言ったけど 俺の気持ちは完全に無視ですよね」


「あぁ~ それに関しては拓巳が怒っていい それは忍が悪いからなぁ~ 拓巳ちょっと待ってろお客様が帰られるみたいだ」


俺は翔にそう言われ静かに待っていた




「お帰りですか?」


「ありがとうまた寄らせてもらうよ」


「お待ちいたしております お気を付けてお帰り下さい」





僕は翔のお店を目指していた




(確かこの辺りだったよね ここへ来るのは凄く久しぶりだ この辺りはあまり変わってないなぁ~)




僕が細い階段を上るとドアがゆっくりと開いた


男の人と女の人がドアから出て来た


僕はよけて隅へ


「あっすいませんありがとうございます」


僕はそう言われて小さく頭を下げた


僕は階段を下りたのを確認してからドアを開けた




(まだお客さんは居るのかなぁ~)




翔はまぶしいくらいのカウンターの中でこっちを見て立っていた




「拓巳忍だ 忍が来たこのまま聞いていてくれ・・・」


翔に小さな声でそう言われ 俺はスピーカーにして黙ってそのままスマホをテーブルに置いた




(良かった忍さんは翔のお店に行ってくれたんだ 本当に良かった・・・)



俺は静かに聞き耳を立てていた




僕はゆっくりとカウンター席へ


「忍いらっしゃい めずらしいなぁ~」


「ごめんね翔 もうお客さんが帰ったから終わりなんだよね」


「いいさ おもての電気は切ったからもう誰も入って来ない それよりも忍がここへ来たのいつぶりだ 嬉しいよ顔見られて・・・」


「本当にそうだよね 何も変わってないねここは 翔の髪の毛が伸びたぐらいかなぁ~ 変わったところと言えば・・・」


僕はそう言って少し笑った


「忍何にする? 久しぶりに忍が良く飲んでいたの作るか?」


「えっ翔覚えているの?」


「覚えているさ 忍が飲みやすい様に 見た目と色と香りといろいろと苦労して作ったからなぁ~」


「僕翔のカクテルなら飲めるんだよ それまではぜんぜんお酒はダメでさぁ~ 仕事で断るとやっぱり気まずくなるんだよね 今も僕は無理して飲まないけど・・・」


翔が僕の為にカクテルを作り始めた


「誰かに作ったりとかは? あるの? 弘ちゃんとか?」


「それはない このカクテルは忍のカクテルだからなぁ~ 弘樹は飲めないからソフトドリンクだ そう言えば弘樹は飲むとどうなるのか見た事がない 一度飲ませどうなるのか見てみたいものだなぁ~」


「弘ちゃんは翔に進められたら 断れないんじゃない」


「だとしてももちろん 俺と2人で居る時に限るけどなぁ~」


そう言って翔は僕の前にカクテルを置いてくれた


「そうこれこの色キレイだね 何でこんな色を出せるの? もったいないけどいただきます」


キラキラと光グラスに並々と注がれていた


僕は久しぶりにカクテルを口にした


「う~ん美味しい そうこの味だった」


「何かあったのか?」


僕は翔の言葉に一瞬止ってしまった


「翔には隠し事が出来ないね ショッピングモールで会ったでしょう拓巳君」


「あぁ~拓巳と何かあったのか?」


「僕は・・・ 拓巳君は凄くいい子なんだよ 凄く優しくて料理上手で思いやりがあってね 僕ね拓巳君に甘えてばかりで一緒に居ると凄く楽しいんだ でも でもね僕が一緒に居たら拓巳君はダメになっちゃう 拓巳君はこれから社会人としてたくさんの人達と出会う 僕が傍に居たらきっと拓巳君が苦しむ 僕が拓巳君を追い詰めてしまうんだよ そんなの耐えられないよ僕・・・」


僕はカクテルを一気に口へと放り込んだ




(いいんだ僕は 僕は大人だし1人でも生きていける でも拓巳君はご両親に大切に育てられて 拓巳君の人生はこれからなんだ 僕なんかにかまっている暇はない)




「僕翔がうらやましいよ 弘ちゃんと出会えた翔がさぁ~」


「前嶋は俺の気持ちを知ってたからなのか 忍と上手くいかなかった腹いせなのか なかなか弘樹に会わせてもらえなかったけどなぁ~ 俺は早く弘樹に会って確かめたかった 弘樹は予想以上だった・・・」


「おのろけありがとう そうかそんな事もあったね 前嶋さん僕と翔をくっつけたかったんだよね ねぇ~もしも僕が翔の事を好きになってたらさぁ~ 僕達は上手くいってたのかなぁ~」


「お互い会った時にわかってた事だろう・・・」


「そうだね 少しもそうは思わなかったよね 不思議だね」


「弘ちゃんは翔に好かれて幸せだね」


「弘樹には感謝してる だから弘樹を俺は離さない」


「弘ちゃんも一緒だよそれは・・・」


「忍はどうなんだ? 忍の心の声はなんて言ってるんだ?」


「僕の心の声?」


「あぁ~忍の本当の気持ちだ・・・」


「僕は・・・ 僕だって拓巳君の事が好きだよ でも拓巳君はわかってないんだ 男と男が恋愛をするって事が 僕だって男なんだよ 拓巳君はまだ僕の事を何も知らない」


「それは弘樹も同じだったぞ そこは時間をかけていいんじゃねぇ~のか?」


「僕拓巳君の前では凄くいい大人を演じてるんだ 僕はヤキモチ焼きだし 嫉妬だってするしわがままだし そんなところはとてもじゃないけど拓巳君には見せられないよ」


「拓巳君に愛想をつかされるか?」


「だって拓巳君はカッコイイし 僕なんかすぐに愛想つかされて捨てられる・・・」




黙って聞いていた俺はつい口から言葉が出てしまった


「そんな事あるはずがないじゃないですか」


「えっ拓巳君?」


僕は振り返ってドアを見た けれども拓巳君の声は翔の方から聞こえて来た


僕はカウンターに手をついてキョロキョロとカウンターの中をのぞいた


「忍 拓巳はここだ」


そう言って翔はスマホをカウンターに置いた


「えっウソ拓巳君いつから・・・」


「忍さんが来る前からです ずっと聞いてました」


「ウソ嫌だ・・・」


僕は恥ずかしくなり顔を手で隠していた


「拓巳は忍の話どう思った?」


「正直嬉しいです 忍さんも俺の事を好きでいてくれた事 俺は忍さんが初恋だから 電車の中で忍さんを見た時 俺はもう忍さんに恋をしていたんです 忍さん何度でも言います 俺は忍さんが好きです」


僕は顔から手を離した


「拓巳君はわかってないよ 僕わがままなんだよ」


「わがまま言って下さい 俺忍さんのわがまま聞きたいです」


「僕嫉妬もするし ヤキモチだって凄いんだよ」


「忍さんにヤキモチされたいです 嬉しいと思います」


「拓巳君はいい子過ぎるよ 僕なんかにはもったいないんだよ」


「俺は忍さんが好きです だから誓います 翔にもそこには居ない弘樹さんにも 俺は忍さんから離れません これからもずっと忍さんと一緒に生きていきます それを翔と弘樹さんに誓います」


「年下の拓巳にここまで言われて忍はどうなんだ?」


「翔・・・ 嬉しい・・・」




(こんな僕を拓巳君は受け入れてくれる どうしよう涙が止まらない)




僕の目から涙が溢れていた


「忍 忍の骨なら俺と弘樹が拾ってやる 拓巳を信じてもいいんじゃねぇ~のか?」


翔の言葉にうなづく事しかできず 僕の目からまた涙が流れ落ちた


「忍さん帰って来て下さい 俺待ってますから・・・」


「拓巳 忍を車で送って行くから少し待っててくれ・・・」


「翔ありがとうございます いろいろ話を聞いてくれて 忍さんの事をお願いします」


「俺は何もしてねぇ~よ それじゃ~電話を切るぞ」


「はい」


そう言って電話は切れた




俺は食べ終わった食器をキッチンへ テーブルをキレイした


食器やフライパンを洗い終え 俺はソファーに座っていた




(忍さんはずっと不安だったんだなぁ~ 俺がまだ学生だから でもこれで堂々と忍さんに・・・)




俺はぬいぐるみに寄りかかった


「ううん? もしかしてこれ忍さんのニオイか?」


俺は思わずぬいぐるみに顔を押し付けていた


(つづく)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

処理中です...