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期末テスト③
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榎本が 玄関を開けると 大きくドアが開いた
「母ちゃん びっくりした~」
榎本のお母さんが 買い物袋を下げて立っていた
「びっくりしたのは こっちよ・・・ あら 悠君 もう帰るの 早く帰って来たのに 遅かった・・・」
「はい お邪魔しました」
「俺 悠を送って来る」
「あっ 悠君これからカレー作るから 明日 食べてくれる・・・」
「えっ」
「やったー 悠 明日は カレーだってよ~ カレーは 次の日の方がうまいんだ」
「もう少し早く帰って来てたら 悠君と話出来たのに・・・」
「母ちゃん 前にも言ったけど・・・」
「はいはい 分かってる テストね・・・ でも いいじゃない少しぐらい」
「母ちゃんの少しは 少しじゃ~ねぇ~よ まぁ~ 夏休みもあっから 少しは話出来んじゃねぇ~の」
「そうよ 悠君 夏休み・・・ 悠君ママとも 話してみたいし・・・ ねぇ~ 悠君」
僕を 置き去りに 話がどんどん進んでいた
「悠 行くぞ」
榎本は 歩き出し 僕は 榎本のお母さんに 頭を下げ エレベーターへ乗り込んだ
「榎本・・・ 悪いよ~ 今日だって お昼ご飯を ごちそうになったのに 明日も・・・」
榎本は 僕の肩に手を置いて 僕と向かい合った
「悠・・・ 俺が言ったんじゃ~ねぇ~よ 母ちゃんが 言ったんだよ」
榎本は 嬉しそうにそう言った
(そうだけど・・・)
榎本の顔がだんだん 僕に近づいて来た すると エレベーターの音が鳴り 扉が開いた
「悠 行くよ」
榎本は 振り返り 僕を見た
(ヤッベ~ 俺 今 悠に・・・ こんな所で 悠にキスしたら ゼッテ~ 悠に怒られる)
僕は 慌ててエレベーターを降りた
(今・・・ 僕 榎本の事を待っていた? 榎本が キスしてくるのを・・・ 嫌だ 僕・・・)
僕は 急に恥ずかしくなり 下を向いて 榎本の後ろを歩いた
「悠・・・ 明日で最後だなぁ~」
「えっ?」
僕は 顔を上げた
「テストは あさってまであるよ」
「いや~ 悠とこうやって 一緒に帰れるのがさ~ もっと 悠と話したい」
(榎本に 僕もって言ったら 榎本は どんな顔をしてくれるんだろう・・・)
僕は 榎本の顔を見つめていた
2日目も 今日と同じく 3時間のテストがあり
3日目 期末テストの最終日は 給食があり 午後は通常授業に戻る
榎本の家の帰り道 ケーキ屋さんの前を通る
僕は 頭を下げるとケーキ屋さんのおじさんは 手を上げてくれた
「悠のそういうこと 好き」
「えっ?」
(榎本は 今 なんて言ったの? 聞こえなかった・・・)
僕のマンションの前まで来た
「悠・・・ じゃ~ 明日な」
榎本は そう言って 走って帰って行った 僕は榎本が 見えなくなるまで 榎本の後ろ姿を見ていた
「ただいま」
僕は お母さんの居る 台所へ向かった
「悠・・・ お帰り」
僕は ポケットから財布を出し 千円札をお母さんの方へ置いた
「悠・・・ お昼ご飯 食べなかったの?」
僕は 首を振った
「今日も 榎本の家で勉強する事になって 榎本が オムライスを作ってくれたんだ 凄く 美味しかったよ」
(思い出すだけで・・・ 顔が 緩むよ・・・)
「そう・・・ 悠の顔見るだけで 美味しかったのは 伝わっ来るわね じゃ~ 明日のお昼ご飯にして」
お母さんは 千円札を僕の方へ置いた
「榎本のお母さんが 今夜カレーにするから 明日 食べてって」
「まぁ~ そうなの・・・ 榎本君と 榎本君のお母さんに お礼をしなくちゃねぇ~」
お母さんは 嬉しそうにそう言った
「じゃ~ 明日 夕方には お母さん 帰って来るから 榎本君 お家へ連れて来てくれる 悠が いろいろとお世話になってるし お母さんも 榎本君に会ってみたいし 直接 お礼が言いたいの」
「うん 榎本に言っておくよ お母さん ありがとう」
「悠・・・ 直ぐ ご飯にするから」
「うん わかった」
僕は 部屋へと入った
昨日 お母さんに言われた事を 榎本に言おうと 僕は 朝から ソワソワしていた
(教室で・・・ しかも みんなが居る前で 榎本に話しかけるのは 初めてだ・・・ ドキドキする 榎本が来たら 自然に おはようって言うんだ 言えるかなぁ~)
「高橋君 おはよう」
リーダーと須藤さんが 僕に 挨拶をしてくれた
「おはよう」
「高橋君 どうしたの? なんか元気がないねぇ~」
リーダーが 僕を見てそう言った
「なっ 何でもないよ」
(僕 リーダーに 心配されてる?)
「高橋君も テスト 不安な事があるんだね・・・ テスト範囲 広すぎだよねー」
「うん そうだね」
僕は 笑ってリーダーに そう言った
リーダーが 話しかけてくれたおかげで 僕のドキドキは 少しおさまっていた
(榎本が まだ来ない・・・ こんな日に限って 遅い・・・)
僕は 教科書を開いた
チャイムが鳴ると同時に 榎本と大塚君が教室に入って来た
「セーフ セーフ 危なかった~」
榎本と大塚君が 笑いながらそう言った
(どうしよう・・・ 今は ダメだ 休み時間も テストの確認をするし・・・)
2日目の期末テストが終わった
榊先生が 教室を出て行くと 僕は 急いでカバンを持って 榎本の机に向かった
「えっ 榎本」
僕は カバンを抱え 榎本の机の前に立った
榎本は 少し驚いていた
「悠 どした?」
(どうしよう・・・ 榎本に言わなといけないのに 榎本の顔を見たら 涙が出てきそうだよ・・・)
(なんか 悠の様子がおかしい・・・ 嫌な予感がする)
俺は 立ち上がり 後ろの席の隆に言った
「隆 悠と先に帰るから・・・」
俺は 悠の腕を掴んだ
「悠 行こう」
(悠のこんな顔 他のヤツに見せたら ダメだ・・・)
俺は 悠の腕を掴みながら 階段を駆け下り そのまま 黙って昇降口へ
校門を出て 少し歩いたところで 俺は 振り返り 悠に聞いた
「悠 どうした?」
「あっ ごめん」
「なんか あった? テスト ダメだったか?」
(どうしよう・・・ テストで何かあったら・・・ 俺のセイだ)
僕は 首を振った
(嫌だ 僕・・・ 榎本にも 変な気をつかわせた・・・ でも 榎本と向かい合えて やっと落ち着けた気がする)
「榎本・・・ 朝 言おうと思っていたんだけど・・・」
(何だろう 悠の言葉が怖い・・・)
「うちのお母さんが 榎本にお礼を言いたいって・・・ だから今日 僕と一緒に家まだ来てくれないかなぁ~」
僕は そう言いながら 榎本を見た
「あ~」
榎本が歩道の真ん中で 急にしゃがみ込んだ
「榎本 大丈夫 どこか 痛いの?」
僕は思わず 大きな声を出していた
(ハァ~ なんだよ~ そんな事か~ 良かった・・・ 悠が 変な顔してたから スゲー 最悪の事 考えてた)
榎本は まだ 立ち上がらない
(どうしよう・・・ どうしたらいい 誰か 呼んで来た方が・・・)
「榎本 待ってて 今 誰か 呼んで来るから」
「悠 待って」
榎本は しゃがんだまま 顔を上げた
僕も しゃがんで 榎本に目線を合わせた
「榎本 大丈夫?」
(あぁ~ このまま 悠と見つめ合っていたいけど・・・)
榎本は スーっと立ち上がった
「悠が 深刻な顔をしてたから 俺 焦ったよ」
「えっ 僕」
(僕が 原因?)
「分かった・・・ いいよ 俺 悠の母ちゃんに会うよ」
「うん 榎本 ありがとう」
「安心したら 腹 減ってきた 悠 早く帰ろう カレー うまいよ」
「うん 凄く 楽しみ」
(悠が 笑顔になって良かったけど・・・ なんで 悠は あんな顔をしたんだ?)
榎本が 玄関を開けると かすかに カレーの香りがしていた
「お邪魔します」
「悠 こっち」
榎本と奥へと進む
カーテンと窓を開け 榎本は 自分の部屋の窓を開けに行くと 一気に風が流れ込んだ
「悠・・・ 座ってて 温めるだけだから 直ぐに 出来るよ」
「うん ありがとう」
榎本が お皿によそってくれた
「ありがとう」
「悠 福神漬いる?」
「うん 貰う」
お皿に盛られた カレーは 野菜がゴロゴロと入っている
「いただきます」
(悠が うちのカレーを食べてる・・・ なんか スゲー信じられねぇ~)
「悠 うちのカレー どう?」
「凄く 美味しい 僕 骨付き肉 初めて お肉が柔らかいね~ スプーンでお肉が ほら ほぐせるよ~ 僕 こんなの初めて・・・」
「そっか 良かった」
(悠が 嬉しそうに笑ってる・・・ 良かった 本当 何もなくって・・・)
僕が食べ終わる前に 榎本は 既にカレーを 食べ終わっていた
「悠 足りた?」
「榎本 ごちそうさま お腹いっぱいで 苦しい」
「そっか それなら 良かった」
僕は 麦茶をゆっくりと飲んだ
「悠・・・ 俺の部屋へ行ってて」
榎本は そう言いながら 立ち上がった
「榎本 僕が洗うよ」
(ご飯は 作れないけど 食器洗いは 何度もしているんだ)
「悠 悪い・・・ 食器は 直ぐに洗えないんだ 水につけとかないと・・・」
「そうなの?」
「うん 水につけとくと 後で 洗うのが楽なんだ」
榎本は 食器を流し台へ 持って行ってくれた
僕と榎本は 一緒に榎本の部屋へ入った
(明日で 期末テストも終わる そしたら 榎本の部屋へは もう 来られないのかなぁ~)
僕は いつものように 丸いテーブルに座った
「悠・・・ 明日は そんなに難しいテストは無いよな」
榎本は そう言いながら 僕の隣に座った
「うん そうだね」
(榎本が 近いとドキドキする)
「悠 聞いてもいいかなぁ~」
「うん 何? 榎本」
僕は 榎本の顔を見た
「教室で 悠が俺に言おうとしていた事は 分かったんだけど 悠 なんで あんな顔をした?」
「えっ あっ ごめん」
(急に 恥ずかしくなってきた・・・ 本当だ なんで あんな事が言えなかったんだろう)
「悠」
榎本は 僕の顔を覗き込んでいた
(どうしよう 何か言わないと・・・)
「悠のあんな顔 誰にも見せられねぇ~」
「えっ」
榎本の顔が近づき榎本の舌が スルスルと僕の中へと流れ込む
(どうしよう 止められねぇ~ 悠の舌が絡んでくる)
俺は ゆっくりと悠から離れた すると 悠が 俺に抱きついて来た
(今・・・ 榎本と離れたら 嫌だ・・・)
僕は 榎本の首に腕を回し ゆっくりと頭に手を寄せた
(今 俺に何が起きている? 信じられねぇ~ 悠が 俺に・・・ これから 悠の 母ちゃんに会うのに 悠の母ちゃんの顔 俺見らんねぇ~かも こんな事が 起きるなんて・・・去年は ただ 見ているだけで 精いっぱいだったのに スゲー 嬉しい・・・)
俺は わざと 悠の顔をこすりながら 悠から離れた
(つづく)
「母ちゃん びっくりした~」
榎本のお母さんが 買い物袋を下げて立っていた
「びっくりしたのは こっちよ・・・ あら 悠君 もう帰るの 早く帰って来たのに 遅かった・・・」
「はい お邪魔しました」
「俺 悠を送って来る」
「あっ 悠君これからカレー作るから 明日 食べてくれる・・・」
「えっ」
「やったー 悠 明日は カレーだってよ~ カレーは 次の日の方がうまいんだ」
「もう少し早く帰って来てたら 悠君と話出来たのに・・・」
「母ちゃん 前にも言ったけど・・・」
「はいはい 分かってる テストね・・・ でも いいじゃない少しぐらい」
「母ちゃんの少しは 少しじゃ~ねぇ~よ まぁ~ 夏休みもあっから 少しは話出来んじゃねぇ~の」
「そうよ 悠君 夏休み・・・ 悠君ママとも 話してみたいし・・・ ねぇ~ 悠君」
僕を 置き去りに 話がどんどん進んでいた
「悠 行くぞ」
榎本は 歩き出し 僕は 榎本のお母さんに 頭を下げ エレベーターへ乗り込んだ
「榎本・・・ 悪いよ~ 今日だって お昼ご飯を ごちそうになったのに 明日も・・・」
榎本は 僕の肩に手を置いて 僕と向かい合った
「悠・・・ 俺が言ったんじゃ~ねぇ~よ 母ちゃんが 言ったんだよ」
榎本は 嬉しそうにそう言った
(そうだけど・・・)
榎本の顔がだんだん 僕に近づいて来た すると エレベーターの音が鳴り 扉が開いた
「悠 行くよ」
榎本は 振り返り 僕を見た
(ヤッベ~ 俺 今 悠に・・・ こんな所で 悠にキスしたら ゼッテ~ 悠に怒られる)
僕は 慌ててエレベーターを降りた
(今・・・ 僕 榎本の事を待っていた? 榎本が キスしてくるのを・・・ 嫌だ 僕・・・)
僕は 急に恥ずかしくなり 下を向いて 榎本の後ろを歩いた
「悠・・・ 明日で最後だなぁ~」
「えっ?」
僕は 顔を上げた
「テストは あさってまであるよ」
「いや~ 悠とこうやって 一緒に帰れるのがさ~ もっと 悠と話したい」
(榎本に 僕もって言ったら 榎本は どんな顔をしてくれるんだろう・・・)
僕は 榎本の顔を見つめていた
2日目も 今日と同じく 3時間のテストがあり
3日目 期末テストの最終日は 給食があり 午後は通常授業に戻る
榎本の家の帰り道 ケーキ屋さんの前を通る
僕は 頭を下げるとケーキ屋さんのおじさんは 手を上げてくれた
「悠のそういうこと 好き」
「えっ?」
(榎本は 今 なんて言ったの? 聞こえなかった・・・)
僕のマンションの前まで来た
「悠・・・ じゃ~ 明日な」
榎本は そう言って 走って帰って行った 僕は榎本が 見えなくなるまで 榎本の後ろ姿を見ていた
「ただいま」
僕は お母さんの居る 台所へ向かった
「悠・・・ お帰り」
僕は ポケットから財布を出し 千円札をお母さんの方へ置いた
「悠・・・ お昼ご飯 食べなかったの?」
僕は 首を振った
「今日も 榎本の家で勉強する事になって 榎本が オムライスを作ってくれたんだ 凄く 美味しかったよ」
(思い出すだけで・・・ 顔が 緩むよ・・・)
「そう・・・ 悠の顔見るだけで 美味しかったのは 伝わっ来るわね じゃ~ 明日のお昼ご飯にして」
お母さんは 千円札を僕の方へ置いた
「榎本のお母さんが 今夜カレーにするから 明日 食べてって」
「まぁ~ そうなの・・・ 榎本君と 榎本君のお母さんに お礼をしなくちゃねぇ~」
お母さんは 嬉しそうにそう言った
「じゃ~ 明日 夕方には お母さん 帰って来るから 榎本君 お家へ連れて来てくれる 悠が いろいろとお世話になってるし お母さんも 榎本君に会ってみたいし 直接 お礼が言いたいの」
「うん 榎本に言っておくよ お母さん ありがとう」
「悠・・・ 直ぐ ご飯にするから」
「うん わかった」
僕は 部屋へと入った
昨日 お母さんに言われた事を 榎本に言おうと 僕は 朝から ソワソワしていた
(教室で・・・ しかも みんなが居る前で 榎本に話しかけるのは 初めてだ・・・ ドキドキする 榎本が来たら 自然に おはようって言うんだ 言えるかなぁ~)
「高橋君 おはよう」
リーダーと須藤さんが 僕に 挨拶をしてくれた
「おはよう」
「高橋君 どうしたの? なんか元気がないねぇ~」
リーダーが 僕を見てそう言った
「なっ 何でもないよ」
(僕 リーダーに 心配されてる?)
「高橋君も テスト 不安な事があるんだね・・・ テスト範囲 広すぎだよねー」
「うん そうだね」
僕は 笑ってリーダーに そう言った
リーダーが 話しかけてくれたおかげで 僕のドキドキは 少しおさまっていた
(榎本が まだ来ない・・・ こんな日に限って 遅い・・・)
僕は 教科書を開いた
チャイムが鳴ると同時に 榎本と大塚君が教室に入って来た
「セーフ セーフ 危なかった~」
榎本と大塚君が 笑いながらそう言った
(どうしよう・・・ 今は ダメだ 休み時間も テストの確認をするし・・・)
2日目の期末テストが終わった
榊先生が 教室を出て行くと 僕は 急いでカバンを持って 榎本の机に向かった
「えっ 榎本」
僕は カバンを抱え 榎本の机の前に立った
榎本は 少し驚いていた
「悠 どした?」
(どうしよう・・・ 榎本に言わなといけないのに 榎本の顔を見たら 涙が出てきそうだよ・・・)
(なんか 悠の様子がおかしい・・・ 嫌な予感がする)
俺は 立ち上がり 後ろの席の隆に言った
「隆 悠と先に帰るから・・・」
俺は 悠の腕を掴んだ
「悠 行こう」
(悠のこんな顔 他のヤツに見せたら ダメだ・・・)
俺は 悠の腕を掴みながら 階段を駆け下り そのまま 黙って昇降口へ
校門を出て 少し歩いたところで 俺は 振り返り 悠に聞いた
「悠 どうした?」
「あっ ごめん」
「なんか あった? テスト ダメだったか?」
(どうしよう・・・ テストで何かあったら・・・ 俺のセイだ)
僕は 首を振った
(嫌だ 僕・・・ 榎本にも 変な気をつかわせた・・・ でも 榎本と向かい合えて やっと落ち着けた気がする)
「榎本・・・ 朝 言おうと思っていたんだけど・・・」
(何だろう 悠の言葉が怖い・・・)
「うちのお母さんが 榎本にお礼を言いたいって・・・ だから今日 僕と一緒に家まだ来てくれないかなぁ~」
僕は そう言いながら 榎本を見た
「あ~」
榎本が歩道の真ん中で 急にしゃがみ込んだ
「榎本 大丈夫 どこか 痛いの?」
僕は思わず 大きな声を出していた
(ハァ~ なんだよ~ そんな事か~ 良かった・・・ 悠が 変な顔してたから スゲー 最悪の事 考えてた)
榎本は まだ 立ち上がらない
(どうしよう・・・ どうしたらいい 誰か 呼んで来た方が・・・)
「榎本 待ってて 今 誰か 呼んで来るから」
「悠 待って」
榎本は しゃがんだまま 顔を上げた
僕も しゃがんで 榎本に目線を合わせた
「榎本 大丈夫?」
(あぁ~ このまま 悠と見つめ合っていたいけど・・・)
榎本は スーっと立ち上がった
「悠が 深刻な顔をしてたから 俺 焦ったよ」
「えっ 僕」
(僕が 原因?)
「分かった・・・ いいよ 俺 悠の母ちゃんに会うよ」
「うん 榎本 ありがとう」
「安心したら 腹 減ってきた 悠 早く帰ろう カレー うまいよ」
「うん 凄く 楽しみ」
(悠が 笑顔になって良かったけど・・・ なんで 悠は あんな顔をしたんだ?)
榎本が 玄関を開けると かすかに カレーの香りがしていた
「お邪魔します」
「悠 こっち」
榎本と奥へと進む
カーテンと窓を開け 榎本は 自分の部屋の窓を開けに行くと 一気に風が流れ込んだ
「悠・・・ 座ってて 温めるだけだから 直ぐに 出来るよ」
「うん ありがとう」
榎本が お皿によそってくれた
「ありがとう」
「悠 福神漬いる?」
「うん 貰う」
お皿に盛られた カレーは 野菜がゴロゴロと入っている
「いただきます」
(悠が うちのカレーを食べてる・・・ なんか スゲー信じられねぇ~)
「悠 うちのカレー どう?」
「凄く 美味しい 僕 骨付き肉 初めて お肉が柔らかいね~ スプーンでお肉が ほら ほぐせるよ~ 僕 こんなの初めて・・・」
「そっか 良かった」
(悠が 嬉しそうに笑ってる・・・ 良かった 本当 何もなくって・・・)
僕が食べ終わる前に 榎本は 既にカレーを 食べ終わっていた
「悠 足りた?」
「榎本 ごちそうさま お腹いっぱいで 苦しい」
「そっか それなら 良かった」
僕は 麦茶をゆっくりと飲んだ
「悠・・・ 俺の部屋へ行ってて」
榎本は そう言いながら 立ち上がった
「榎本 僕が洗うよ」
(ご飯は 作れないけど 食器洗いは 何度もしているんだ)
「悠 悪い・・・ 食器は 直ぐに洗えないんだ 水につけとかないと・・・」
「そうなの?」
「うん 水につけとくと 後で 洗うのが楽なんだ」
榎本は 食器を流し台へ 持って行ってくれた
僕と榎本は 一緒に榎本の部屋へ入った
(明日で 期末テストも終わる そしたら 榎本の部屋へは もう 来られないのかなぁ~)
僕は いつものように 丸いテーブルに座った
「悠・・・ 明日は そんなに難しいテストは無いよな」
榎本は そう言いながら 僕の隣に座った
「うん そうだね」
(榎本が 近いとドキドキする)
「悠 聞いてもいいかなぁ~」
「うん 何? 榎本」
僕は 榎本の顔を見た
「教室で 悠が俺に言おうとしていた事は 分かったんだけど 悠 なんで あんな顔をした?」
「えっ あっ ごめん」
(急に 恥ずかしくなってきた・・・ 本当だ なんで あんな事が言えなかったんだろう)
「悠」
榎本は 僕の顔を覗き込んでいた
(どうしよう 何か言わないと・・・)
「悠のあんな顔 誰にも見せられねぇ~」
「えっ」
榎本の顔が近づき榎本の舌が スルスルと僕の中へと流れ込む
(どうしよう 止められねぇ~ 悠の舌が絡んでくる)
俺は ゆっくりと悠から離れた すると 悠が 俺に抱きついて来た
(今・・・ 榎本と離れたら 嫌だ・・・)
僕は 榎本の首に腕を回し ゆっくりと頭に手を寄せた
(今 俺に何が起きている? 信じられねぇ~ 悠が 俺に・・・ これから 悠の 母ちゃんに会うのに 悠の母ちゃんの顔 俺見らんねぇ~かも こんな事が 起きるなんて・・・去年は ただ 見ているだけで 精いっぱいだったのに スゲー 嬉しい・・・)
俺は わざと 悠の顔をこすりながら 悠から離れた
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