悠と榎本

暁エネル

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運動会④

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「高橋 正臣が戻ってくるだろうから ここで待っていようぜ」


僕の隣に座っていた大塚君が そう言った


「うんそうだね」




生徒はみんな お弁当を食べる為 校舎に向かって歩いていた




すると榎本の大きな声が 行き交う生徒達の中から聞こえてきた


「悠~」




「榎本やったなぁ~ 凄かったね」


榎本はたちまち クラスのみんなに囲まれていた





(嬉しいけど・・・ 今はそれどころじゃねぇ~ 早く悠を 連れ出さねぇ~と・・・)





俺は クラスのみんなをよけて 悠を探していた




僕と大塚君も榎本のところへ


「あっ居た 隆 アイツら集めてくれ・・・ 悠 こっち」


榎本は僕の腕を掴み 引っ張っていた


「あぁ~正臣 高橋が 正臣の事心配してたぞ・・・ それにアイツらも わかってると思うぞ」





(えっ悠が・・・ 俺の事を何で?)





「とりあえず隆 アイツら頼む・・・ 悠 行こう」


榎本は僕の腕を引っ張って どんどん歩いて行った





(早く早く悠を連れて行かねぇ~と みんなが来ちまう)





榎本は僕の腕を掴んで 生徒をかき分け 進んで行った






(榎本はどこへ行くんだろう・・・ 教室とは反対だ・・・)






僕はそう思いながら 榎本について行った


榎本は保護者の人達の前へ


榎本のお母さんの周りには スマホを持った人がたくさん そこには居た




「正臣 あれ~うちの隆は?」


大塚君に似ている人が 榎本に聞いていた


「隆なら アイツらを呼びに行ってる」




僕は どうしたらいいのか わからずただ 榎本の隣で話を聞いていた



「母ちゃん 悠と写真撮って 早く」


榎本は僕をずらし おばさんの前へ


「悠君 久しぶり」


「はい お久しぶりです」





(おばさんに会うのは 本当に久しぶりだ)





「母ちゃんそんな事いいから 早く写真・・・ 写真撮って」






(アイツらに邪魔されたくねぇ~ アイツらが来る前に早く)





俺は 母ちゃんから少し離れて 悠の肩に腕を回した





(榎本の顔が近いよ)





僕は少し驚いて 榎本を見ていた


「悠君こっち見て笑って~」


榎本のお母さんに そう言われて 僕はスマホに目を向けた


「母ちゃん撮れた?」


「ちゃんと撮れてるわよ・・・ 悠君 ママは?」


「あっ 今日は仕事です」


「そっか~ じゃ~また写真送っとくね」


おばさんは僕に スマホを振ってみせた


「いつも すみません」


僕は少し 頭を下げた


その様子を隣で見ていた 大塚君に似た人が 榎本のお母さんに話をしていた


「ねぇ~もしかして 同じクラスの」


「そうよ うちの高橋悠君よ~ 頭が良くてかわいいでしょう・・・ うちの悠君」


「やっぱりそうなんだ・・・ 私 大塚隆の母です」


榎本のお母さんと大塚君のお母さんとの会話は


僕にとって 嬉しいやら恥ずかしやらで


今 自分がどんな顔をしているか わからなかった



「あっはじめまして 高橋悠です」





(やっぱり 大塚君のお母さんだった)





僕は大塚君のお母さんに 頭を下げた


「隆から いろいろ話は聞いていてねぇ~ 本当に凄く礼儀正しいのねぇ~ どうしたらこういう子が 育つのかしら・・・ うちの隆とは違うわねぇ~同い年なのにねぇ~」


「違うって 何がだよ」



僕が振り向くと 大塚君と中村君 小島君 僕の知らない人達がたくさん居た


「高橋 久しぶり」


中村君と小島君が僕に 挨拶をしてくれた


「うん 久しぶり」


「えっ何? 高橋と久しぶりってどこで?」


「あぁ~ 夏休みにプールで・・・」


「えっ あれって高橋も来たの?」


「あぁ~それで友達・・・ いいだろう」


そんな話を 僕の隣でしていた




僕達の前へ 保護者の人達が集まった

「さぁ~みんな 並んでこっち向いて」




(これって)




「榎本・・・ 僕 抜けた方がいいよね」


「悠は そんな事気にしないでいいんだよ」


榎本はそう言って 僕の後ろに立ち 僕の肩に両手を乗せ みんなの真ん中へと進んだ


「さぁ~撮るわよ~」


僕達に 一斉にスマホが向けられた


僕は どこを向いたらいいのかわからず


榎本のお母さんのスマホを見ていた


保護者の人達のスマホが 次々とおろされた




「それにしても正臣 ぶっちぎりで速かったわねぇ~」


大塚君のお母さんが 榎本に向かってそう言った


「正臣 自分が何周走ったか わかんないの?恥ずかしい」


榎本のお母さんが続いて話た


「わかんねぇ~から みんなに頼んだんだろう」


榎本が続くと 大塚君も続いた


「正臣 威張るな」


ぴしゃり言った 大塚君の言葉にみんなが笑っていた





(サッカー部の人達は みんな本当に仲がいいんだなぁ~)





「さぁ~みんな お弁当食べる時間がなくなっちゃう」


榎本のお母さんの言葉に みんなが動いた


辺りを見ると ほとんどの生徒が居なくなっていた


「俺 腹減った~ 早く教室行こう」


「午後も 頑張りなさいよ~」


みんなは 足早に教室へと向かった





(榎本に話したいことが たくさんあるのに・・・ 榎本と話が出来ない)







僕達が教室に着くと 机は後ろに下げれ みんながお弁当を広げていた


「あっ榎本 こっちこっち」


リーダーと須藤さんが 手招きをしていた


「荷物 これでいいんだよね」


僕のカバンと榎本と大塚君のカバンが そこにあった 


「ありがとう 取ってくれたんだね」


僕はそう言って カバンを受け取った


みんなで輪になり お弁当を広げた



「正臣の弁当でっけぇ~なぁ~」


大塚君が 榎本のお弁当を見て言った


「逆に高橋 そんだけなのかよ~」


「うん僕 あんまり食べると 気持ち悪くなっちゃうから」


「そう言えば プールの時もそうだったなぁ~」


僕達がそんな話をしていると 榊先生が教室に入って来た


「みんな~食べながら聞いてくれ・・・ 具合が悪くなった者 ケガをした者は居ないなぁ~ 午前の部 みんな よくやってくれた 全員リレーは見事だったなぁ~ 作戦通りこのクラスらしさが出てた 先生 感動したよ」


先生はみんなを見渡した


「午後の部は 大ムカデがある そこでもみんな大暴れしてくれ 大きな声を出しあって 普段 溜め込んでいるもの全部 吐き出しちゃえ でもケガだけはしてくれるなよ・・・ 最後のリレーが勝敗を分ける だからどの競技も気を抜くなよ」


「先生 任せて」


リーダーが手を上げてた 


「うん 先生も期待しているよ」


「ところで先生 お弁当食べたの?」


須藤さんが先生に聞いていた


「まだだ・・・ 村上から逃げて来たんだ」


「先生達 本当に仲いいよね」


「やめてくれよ~ ヤツとは腐れ縁だ・・・ たまたま赴任先が一緒になっただけだ もう戻らないと じゃ~頑張れ」


先生は時計を見て 慌てて教室を出て行った




「ねぇ~榎本 先生と何を話していたの?」


リーダーが榎本にそう言った


「あっそれ 私も聞きたい ねぇ~みんな・・・」


そう言って須藤さんも 僕達の方を向いた


「えっ 何の話?」


「ほら 1500メートル走の時・・・」


リーダーの言葉に 榎本は思い出し話し始めた


「あぁ~あれねぇ~ 入場門で俺が並んでいると 榊先生と村上先生が来て 何番目に走るのか聞いたら・・・ 榊先生は3番目で 村上先生は 最終から2番目だって言うから ゼッテー抜かしてやるって言ったら やってみろってなって それから走り出して 榊先生はさぁ~ 俺 抜けなかったなかったけど 村上先生は抜いてやったから 俺が走り終わって 榊先生に 危なかったって言われて もう少し距離があったら ゼッテー抜いてたって話をしていたら 村上先生が苦しそうに脇腹押さえながら来て 村上先生遅って言ったらさぁ~ 俺 村上先生に尻蹴られて 意味わかんなくねぇ~」


「それで 榊先生の周りを回ってたの」


須藤さんが言うと 榎本は驚いている顔を みんなに向けた


「見てたのか」


みんながうなずいた




「係の生徒は 本部に集合して下さい」


放送が流れた


運動会委員の生徒が立ち上がり みんなに送り出された


「委員の人も大変だよね・・・ 運動会が始まるずっと前から準備して 今日も早くから集まったらしいよ」


須藤さんの言葉に リーダーが続いた


「でもさぁ~ 委員の人みんな楽しそうだよね 本部に居る人もみんな笑顔だし・・・」


「あぁ~それ 俺も思った」


大塚君の言葉に みんながうなずいた




教室に居るみんなが動き始めた


「俺らも行くか」


そう言って榎本が立ち上がり みんなと教室を出た





「午後の部 最初の競技は 3年生と保護者 先生方による綱引きです」


放送が流れ 3年生男子は 入場門へ


保護者と先生方は 退場門へと向かった


「母ちゃんとかゼッテー居るなぁ~」


榎本が僕の隣に座って 僕をはさんで大塚君にそう言った


「あぁ~うちらの母ちゃんは 好きだよなぁ~こういうの」


大塚君も 納得している様子だった



3年生は体も大きく 凄い迫力があり たくさんの保護者の後ろに 先生方が並んでいた


ピストルの音が鳴り 綱が右に左に引き合っていた


パン パンと音が鳴り 3年生の方に 旗が上がった


綱引きは3回戦行われ 2対1で3年生の勝利となった




「学級対抗リレーの選手の方は 入場門へ集まって下さい」


放送が流れ 大塚君とリーダーが立ち上がった


「じゃ~ 行って来る」


「頑張ってね」


みんなが声をかけていた


「悠 どうした?」


榎本が僕に 声をかけてくれた


「榎本 僕 トイレに行って来るよ」


「じゃ~ 俺も行く」


「え~ 早く戻ってよ~」


須藤さんの言葉に 僕も榎本もうなずいた


その時 僕は副ちゃんと目が合った




トイレは3ヶ所 体育館と校舎の2ヶ所


僕と榎本は 校舎の1番奥のトイレへ向かった


榎本は何も言わずに ついて来てくれた





(榎本と少しでも 話がしたい・・・)





僕は個室に入った





(何の音も聞こえない・・・ 榎本はもう トイレを出たのかも知れない)





僕は鍵を開け トイレのドアを開けた


すると榎本が ドアの目の前に立っていて 僕はそのまま榎本に トイレの中へ押し込まれた


僕は榎本に抱きしめられていた


突然の出来事に 僕の頭がついていけなかった





(榎本のニオイに 吸い込まれそうだ・・・)





榎本が ゆっくりと僕から離れた


「榎本・・・ 僕 榎本と話が・・・」


僕が顔を上げ話し始めたら 榎本のくちびるが重なって


榎本の舌が僕の舌を スルスルと絡み合わせていた




「悠 俺も悠と話がしたい・・・ でも今日はダメだ ゆっくり話てらんねぇ~ それに副ちゃんがさっき 俺達の事見てたしなぁ~」


僕は榎本に しがみつきながらうなずいた





(榎本も副ちゃんに 気が付いていたんだ・・・ でもどうしよう 榎本と離れたくない・・・ 行かなくちゃいけないのに・・・)





(悠にまた 突き放されるかと思った・・・ ヤベ~ 悠がかわいい このままもう少しだけ)






僕はゆっくり 榎本から離れた


「榎本ごめん また僕・・・」


榎本は トイレの鍵を開け 僕の手を引っ張った


僕達はトイレを出た




「悠・・・ 俺も悠と同じだから」


榎本は振り向いて 優しい顔でそう言った




僕と榎本が グランドに戻ると 音楽とみんなの声が聞こえてきた


「悠 急げ」


「うん」


僕と榎本は 急いで席に向かった




「遅い」


須藤さんの大きな声に みんなが振り向いた


「悪い」


榎本は須藤さんに 手を合わせながら椅子に座った


僕も続いて 榎本の隣に座った


「で隆は もう走っちゃた?」


榎本は須藤さんにそう聞いていた


「まだ 楓もこれから」


「ヤベ~ 悠セーフだセーフ」


榎本はそう言って笑っていた


(つづく)

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