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3組最後の日
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学年末テストが無事に終わると 榎本は受験が終わった先輩とサッカーを楽しんでいた
卒業式の練習もすぐに始まり 慌ただしく時が過ぎていった
(ヤベ~ 教室に居る時でしか悠と話が出来ねぇ~ 3年生になったら 一緒のクラスにはどう考えてもなれねぇ~のに・・・ 俺何やってんだ~)
俺は毎日隆や友達後輩とで 先輩の話やサッカーに明け暮れていた
卒業式が終わり 僕は部活動にも入っていなかった為 知っている先輩も居ない
みんなは先輩方を見送る為 グランドに集まっていた
僕はみんなの邪魔にならない様にと 教室へと向かった
(ヤベ~悠を見失った~ さっきまではちゃんと・・・ 悠どこだ・・・)
俺はあちこち 悠の姿を探していた
「あれ~高橋君」
「リーダー」
僕が教室に居るとリーダーがやって来た
「高橋君 帰るの」
「うん 僕知ってる先輩も居ないから・・・」
「そっか・・・」
リーダーはそう言いながら カバンの中に手を入れ小さな花束を出した
「私 先輩に渡す花束忘れちゃって・・・ じゃ~ね高橋君明日」
「うん」
そう言ってリーダーは教室を出て行った
(教室に1人で居るのは久しぶりだ・・・)
僕は教室を見渡していた
(悠・・・ 教室に居てくれ・・・)
俺は階段を駆け上がっていた
「榎本」
俺が顔を上げると リーダーが小さな花束を持って立っていた
「何?榎本も忘れ物したの?」
「あっいや~」
(忘れ物って言うか・・・)
「リーダー教室に誰か居た?」
「うん 高橋君が居たよ でも帰るんだって・・・」
(あぁ~良かった・・・ 悠まだ帰ってなかった・・・)
「榎本も早くした方がいいよ 先輩帰っちゃうよ~」
「あぁ~わかってる」
(俺は先輩よりも悠の方が・・・)
俺はリーダーと別れて 少しゆっくり階段を上った
「悠」
(良かった本当に教室に居た・・・ ヤベ~何か悠の姿見たらドキドキして来た)
僕が顔を上げると 榎本がそこに立っていた
「榎本どうしたの? 榎本も忘れ物?」
(あぁ~そうだなぁ~忘れ物・・・)
「悠・・・ 悠の顔が見たくて」
そう言いながら榎本はドンドン僕に近づいて来た
僕の心臓が久しぶりに大きく動いた
(榎本それ以上近づかないで・・・ 僕が榎本の胸に顔をうずめたくなちゃう)
俺は悠の顔に手が伸びそうになった
「悠・・・ 明日からは悠とずーっと一緒に居たい」
「うんわかった でも今は早く行かないと先輩達が帰っちゃうよ」
僕は榎本の腕を掴みクルリと回し 榎本の背中を押した
「榎本・・・ ちゃんと先輩方をお見送りするんだよ」
俺は振り向いて 悠の顔を見た
(悠のそう言う笑顔はホントかわいい・・・)
俺は悠に手をあげ教室を出た
卒業式が終わり とうとうこの日が来てしまった
(今日でこのクラスのみんなとお別れだ・・・)
僕はそう思いながら いつも通りに席に着いた
委員長と副ちゃんが教室へ
いつもは楽しそうに話をしながら 教室に入って来る副ちゃんは 何も言わず席に着いた
委員長は僕に首を振った
チャイムが鳴ると同時に リーダーと須藤さん 榎本と大塚君が楽しそうに教室に入って来た
みんなは笑顔で 僕と委員長と副ちゃんに挨拶をしてくれた
榊先生が教室に入って来た
「みんな~座ってくれ~」
いつの様に教室を見渡した
「お休みは居ないなぁ~」
「先生~何持って来たの?」
僕の隣の席の須藤さんが 立ち上がり先生に聞いた
「あぁ~これか~みんなにお願いがあるんだ・・・ 後ろの席少し机を開けてくれ みんなで写真撮りたいんだ」
みんなが騒ぐのと同時に みんなが一斉に机を動かし 班ごとにまとまった
みんなが並び先生がカメラを構えた
「みんな~笑顔で頼む」
「もう1枚」
先生がカメラから顔が離れると 委員長が前に出た
「先生も入ってください」
そう言って委員長は 先生からカメラを受け取った
「撮るよ もう1枚」
シャッターが切られ みんなから拍手がおこった
「委員長 ありがとう」
先生は委員長からカメラを受け取り 僕達は机を元の位置に戻した
「みんなもありがとう・・・ 人数分焼き増しして 委員長に渡しておくから受け取ってくれ」
みんながまた騒ぎ出した
「じゃ~これから このクラスの最後の通知表を渡す 名前を呼ばれた者は前に来てくれ」
榊先生がそう言うとみんなが静かになった
先生は1人1人に話をして 通知表を渡していた
「榎本正臣」
「はい」
榎本は名前を呼ばれて先生のところへ
先生は榎本と楽しそうに話をしている
(何話してるんだろう・・・)
みんなの話し声で榎本と先生が 何を話しているのかわからなかった
榎本は僕を見ながら席に着いた
「大塚隆」
「はい」
僕の前の席の大塚君が呼ばれた
大塚君も先生と楽しそうに話をしている
(僕はどんな話をするんだろう・・・)
だんだんとみんなが静かになってきた
(静かにならないでほしい・・・ もうすぐ僕の名前が呼ばれるのに・・・)
「高橋悠」
「はい」
先生が僕の名前を呼び 僕は少し緊張しながら先生の前に立った
「悠・・・ 悠は1度も成績を落とさないかったなぁ~偉いぞ~ 悠は将来こうなりたいみたいなものが もうあったりするのかなぁ~ 先生悠の将来が凄く楽しみなんだ」
先生は嬉しそうに僕にそう聞いてきた
僕は両手を口元に当て 小さな声でこう言った
「僕は 榊先生みたいな先生になりたいと思っています」
先生は驚いた顔から笑顔になった
先生も僕に顔を近づけてきてくれて 小さな声でこう言った
「そうか~ じゃ~悠と再会する時を楽しみに待ってる」
先生はゆっくりと僕から離れた
「1年生の時 村上が担任だっただろう」
「はい」
「村上から悠の事いろいろ聞いていてなぁ~ 村上も悠の事を心配してて 正直先生もさぁ~ 悠はこのクラスで 浮いちゃうんじゃないかって心配してたんだよ」
(僕の事・・・ 村上先生も榊先生も心配してくれてたなんて 知らなかった)
「でもそんな心配いらなかったなぁ~ 悠には笑顔になれる友達がたくさん出来た・・・ 村上にさぁ~悠の笑顔を見たよって言ったら 驚いたのと同時に喜んでたなぁ~」
先生は嬉しそうにそう言ってくれた
「悠 1年間ありがとう」
そう言って先生は僕に通知表を渡した
先生の言葉に僕は涙がこみあげてきた
僕は席へと向かう時
「悠」
榎本の小さな声が聞こえ 僕は榎本の席の前で立ち止まり涙をふいた
(悠が泣いてる・・・ ここに今俺と悠の2人きりだとしたら 確実に俺は悠を抱きしめている)
(もしもここに誰も居なかったら 僕は間違いなく 榎本の胸に飛び込んで泣いていた)
榎本の優しい笑顔に また僕は涙が出そうになり席に着いた
(途中から先生と悠の話が聞こえなくなった 悠が泣くほど どんな話してたんだ・・・)
みんなのすすり泣く声と先生の話で また僕は涙が溢れ出していた
「藤原慎也」
「はい」
僕の後ろの席の委員長が立ち上がり 先生のところへ
「委員長 文武両道その言葉通り 勉強とスポーツとの両立 そして委員長がこのクラスをまとめてくれた事 先生は凄く委員長に助けていただきました 委員長的には このクラスはどうだったかなぁ~」
「はい みんなが協力してくれたので 何も問題なく過ごす事が出来ました まとまりのあるとても良いクラスでした」
「そうか・・・」
先生は嬉しそうに笑っていた
「委員長 そのまま真っ直ぐ自分の道を歩んで行ってください 委員長の将来に期待しています 委員長1年間ご苦労様でした」
そう言って先生は 通知表を委員長に渡した
男子の次は女子の番 僕の班はリーダーがはじめに名前が呼ばれた
「鈴木楓」
「はい」
リーダーが名前を呼ばれ先生のもとへ
「楓はさぁ~ 正直みんなからリーダーって呼ばれる事に 抵抗はなかったのかなぁ~ 楓はこのクラスでも部活でも リーダーシップが取れる訳なんだけど・・・」
「先生それねぇ~ 美咲が最初に言い始めたんだよ そしたらいつの間にか私のあだ名になっててさぁ~」
「そうだったのかー 美咲かぁ~」
先生が嬉しそうに笑っていた
「先生・・・ 部活では村上先生とふざけすぎー」
「あぁ~悪い 楓には本当に悪いと思ってる でもボール触ってると シュート打ちたくなるんだよ 村上と居ると余計に学生時代に戻ってついなぁ~」
「でもたまに 私も見行っちゃう時があるよ 先生凄く楽しそうにバスケするから・・・」
「いや~ありがとう・・・ 楓と美咲もなかなかだぞ」
「先生 私も美咲の素早さについていくのは大変だよー」
「そうかぁ~」
先生は凄く嬉しそうに笑っていた
「楓 部活引退まで頼むよ」
「うん先生任せて」
リーダーはそう言って通知表を受け取った
「須藤美咲」
「はい」
僕の隣の席の須藤さんが先生のもとへ
「美咲のその天真爛漫なところが 先生もこのクラスのみんなも救われていたと 先生は思うんだけど」
「何先生 いきなり私褒められてるの 気持ち悪いんだけど・・・ 」
「いや~本当だって~ 美咲のその天然なところ 部活でもピリピリとした空気が美咲の言葉でなごむ そんな場面が何度もあった 美咲も部活引退まであと少し頼むなぁ~」
「結局私は 褒められたでいいんだよねぇ~」
「あぁ~そうだ」
須藤さんが嬉しそうに席に着いた
僕は副ちゃんが気になり振り返った すると副ちゃんは下を向いたままだった
(副ちゃん大丈夫かなぁ~ もうすぐ副ちゃんが呼ばれるよ)
「吉岡ひとみ」
副ちゃんはゆっくりと立ち上がった
「副ちゃん 顔をあげてくれないかぁ~」
副ちゃんは 顔をハンカチでおさえながら ゆっくりと顔をあげた
「副ちゃん 委員長と一緒にこのクラスをまとめてくれてありがとう」
副ちゃんは首を振った
「先生が副委員長って呼びにくいから副ちゃんって呼んだら いつの間にかクラスのみんなもそう呼ぶ様になっていたなぁ~」
副ちゃんがうなずいた
「副ちゃんの笑顔が先生も大好きです 最後に副ちゃん 先生にその綺麗な副ちゃんの笑顔を見せて下さい」
副ちゃんは顔からハンカチを離した
「副ちゃん 1年間副委員長ご苦労様でした」
そう言って先生は通知表を副ちゃんに渡した
全員の通知表を渡し終え 先生がみんなを見渡した
「みんな~ 最後だから顔をあげてくれ」
みんなが顔をあげた
「先生が担任をもった中でダントツ このクラスが1番まとまりのあるクラスでした 1人1人が個性的で先生初めて名簿を見た時 いいクラスになると思いました 本当に先生が思っていた通り とてもいいクラスになりました みんなもこのクラスでの思い出がある様に 先生もたくさんの思い出があります 3組のみなさんこれまで本当にありがとう 先生も楽しかったです 最後に1人1人握手をしてこの教室を出て行ってほしい」
先生はそう言って前の教室のドアへと向かった
1班から1人ずつ先生のもとへ
僕達の班は6班なので みんなが教室を出たあとになった
先生と握手をして次々と教室から みんなが居なくなっていく
リーダーが立ち上がって先生のところへ
「楓 じゃ~またな」
「引退までに先生と1対1したい」
「お~いいなぁ~ 先生も本気ださなきゃ」
先生とリーダーが握手をした
須藤さんが立ち上がった
「美咲もまたな」
「先生 私もやりたい」
「楓も言ってたけど 美咲とじゃ~先生もかなわないよ~」
「え~ダメなの?」
「村上と2対1なら 美咲に勝てるかもなぁ~」
そう言って先生と須藤さんが握手をした
副ちゃんがゆっくりと立ち上がった
「副ちゃん ありがとう」
副ちゃんが先生としっかりと握手をした
榎本が立ち上がった
「正臣はどこまで大きくなるんだ」
「先生 俺まだまだ伸びるよ」
榎本と先生が握手をした
僕の前の大塚君が立ち上がった
(次は僕だ少しドキドキする)
「隆 サッカー部の顧問の先生が褒めてたぞ」
「そっすか~」
大塚君と先生が握手をした
(いよいよ僕だ)
僕はゆっくりと立ち上がった
「悠 先生楽しみに待ってるよ」
「はい」
先生の言葉にまた僕の目から涙が溢れ出した
先生と握手をし 僕は教室を出て涙をふいた
廊下には誰も居ない
先生と委員長の声が聞こえてきた
「先生 絶対にこのクラスで同窓会を開くので 先生もぜひ参加して下さい」
「それは楽しみだ 連絡待っているよ」
「はい」
僕はその場から動けず 最後まで話を聞いてしまった
「高橋君」
委員長が教室から出て来た
「もしかして先生との話聞かれちゃった」
「うん ごめん」
僕は申し訳ない気持ちでいっぱいだった
「高橋君 俺が言い出すまで みんなには内緒してくれる」
僕は委員長を見てうなずいた
階段のところまで行くとみんなが待っていてくれた
「悠」
榎本が僕に気付いて みんなが僕と委員長を見上げた
(悠は委員長と来たのか・・・ 悠とゆっくり話たいんだけどなぁ~)
委員長がすぐに副ちゃんのところへ行くと リーダーと須藤さんは副ちゃんから離れた
(みんなとこうして一緒に帰るのが 今日で最後なんだ・・・)
「榎本のさぁ~ 高橋君を呼ぶその悠って言うのも 今日で聞けなくなるねぇ~」
須藤さんが振り返りそう言った
「えー俺そんなに悠の事呼んでた」
「正臣 自覚ねぇ~のかよ」
大塚君の言葉にみんなが笑った
僕は少し恥ずかしくなった
僕は榎本と並んで階段を降りた
「悠 これから俺ん家来れる?」
榎本が小さな声でそう言った
「うん 大丈夫だけど」
僕がそう答えると榎本は嬉しそうに笑った
(ヨッシャー これで悠とゆっくり話が出来るぞ・・・)
(つづく)
卒業式の練習もすぐに始まり 慌ただしく時が過ぎていった
(ヤベ~ 教室に居る時でしか悠と話が出来ねぇ~ 3年生になったら 一緒のクラスにはどう考えてもなれねぇ~のに・・・ 俺何やってんだ~)
俺は毎日隆や友達後輩とで 先輩の話やサッカーに明け暮れていた
卒業式が終わり 僕は部活動にも入っていなかった為 知っている先輩も居ない
みんなは先輩方を見送る為 グランドに集まっていた
僕はみんなの邪魔にならない様にと 教室へと向かった
(ヤベ~悠を見失った~ さっきまではちゃんと・・・ 悠どこだ・・・)
俺はあちこち 悠の姿を探していた
「あれ~高橋君」
「リーダー」
僕が教室に居るとリーダーがやって来た
「高橋君 帰るの」
「うん 僕知ってる先輩も居ないから・・・」
「そっか・・・」
リーダーはそう言いながら カバンの中に手を入れ小さな花束を出した
「私 先輩に渡す花束忘れちゃって・・・ じゃ~ね高橋君明日」
「うん」
そう言ってリーダーは教室を出て行った
(教室に1人で居るのは久しぶりだ・・・)
僕は教室を見渡していた
(悠・・・ 教室に居てくれ・・・)
俺は階段を駆け上がっていた
「榎本」
俺が顔を上げると リーダーが小さな花束を持って立っていた
「何?榎本も忘れ物したの?」
「あっいや~」
(忘れ物って言うか・・・)
「リーダー教室に誰か居た?」
「うん 高橋君が居たよ でも帰るんだって・・・」
(あぁ~良かった・・・ 悠まだ帰ってなかった・・・)
「榎本も早くした方がいいよ 先輩帰っちゃうよ~」
「あぁ~わかってる」
(俺は先輩よりも悠の方が・・・)
俺はリーダーと別れて 少しゆっくり階段を上った
「悠」
(良かった本当に教室に居た・・・ ヤベ~何か悠の姿見たらドキドキして来た)
僕が顔を上げると 榎本がそこに立っていた
「榎本どうしたの? 榎本も忘れ物?」
(あぁ~そうだなぁ~忘れ物・・・)
「悠・・・ 悠の顔が見たくて」
そう言いながら榎本はドンドン僕に近づいて来た
僕の心臓が久しぶりに大きく動いた
(榎本それ以上近づかないで・・・ 僕が榎本の胸に顔をうずめたくなちゃう)
俺は悠の顔に手が伸びそうになった
「悠・・・ 明日からは悠とずーっと一緒に居たい」
「うんわかった でも今は早く行かないと先輩達が帰っちゃうよ」
僕は榎本の腕を掴みクルリと回し 榎本の背中を押した
「榎本・・・ ちゃんと先輩方をお見送りするんだよ」
俺は振り向いて 悠の顔を見た
(悠のそう言う笑顔はホントかわいい・・・)
俺は悠に手をあげ教室を出た
卒業式が終わり とうとうこの日が来てしまった
(今日でこのクラスのみんなとお別れだ・・・)
僕はそう思いながら いつも通りに席に着いた
委員長と副ちゃんが教室へ
いつもは楽しそうに話をしながら 教室に入って来る副ちゃんは 何も言わず席に着いた
委員長は僕に首を振った
チャイムが鳴ると同時に リーダーと須藤さん 榎本と大塚君が楽しそうに教室に入って来た
みんなは笑顔で 僕と委員長と副ちゃんに挨拶をしてくれた
榊先生が教室に入って来た
「みんな~座ってくれ~」
いつの様に教室を見渡した
「お休みは居ないなぁ~」
「先生~何持って来たの?」
僕の隣の席の須藤さんが 立ち上がり先生に聞いた
「あぁ~これか~みんなにお願いがあるんだ・・・ 後ろの席少し机を開けてくれ みんなで写真撮りたいんだ」
みんなが騒ぐのと同時に みんなが一斉に机を動かし 班ごとにまとまった
みんなが並び先生がカメラを構えた
「みんな~笑顔で頼む」
「もう1枚」
先生がカメラから顔が離れると 委員長が前に出た
「先生も入ってください」
そう言って委員長は 先生からカメラを受け取った
「撮るよ もう1枚」
シャッターが切られ みんなから拍手がおこった
「委員長 ありがとう」
先生は委員長からカメラを受け取り 僕達は机を元の位置に戻した
「みんなもありがとう・・・ 人数分焼き増しして 委員長に渡しておくから受け取ってくれ」
みんながまた騒ぎ出した
「じゃ~これから このクラスの最後の通知表を渡す 名前を呼ばれた者は前に来てくれ」
榊先生がそう言うとみんなが静かになった
先生は1人1人に話をして 通知表を渡していた
「榎本正臣」
「はい」
榎本は名前を呼ばれて先生のところへ
先生は榎本と楽しそうに話をしている
(何話してるんだろう・・・)
みんなの話し声で榎本と先生が 何を話しているのかわからなかった
榎本は僕を見ながら席に着いた
「大塚隆」
「はい」
僕の前の席の大塚君が呼ばれた
大塚君も先生と楽しそうに話をしている
(僕はどんな話をするんだろう・・・)
だんだんとみんなが静かになってきた
(静かにならないでほしい・・・ もうすぐ僕の名前が呼ばれるのに・・・)
「高橋悠」
「はい」
先生が僕の名前を呼び 僕は少し緊張しながら先生の前に立った
「悠・・・ 悠は1度も成績を落とさないかったなぁ~偉いぞ~ 悠は将来こうなりたいみたいなものが もうあったりするのかなぁ~ 先生悠の将来が凄く楽しみなんだ」
先生は嬉しそうに僕にそう聞いてきた
僕は両手を口元に当て 小さな声でこう言った
「僕は 榊先生みたいな先生になりたいと思っています」
先生は驚いた顔から笑顔になった
先生も僕に顔を近づけてきてくれて 小さな声でこう言った
「そうか~ じゃ~悠と再会する時を楽しみに待ってる」
先生はゆっくりと僕から離れた
「1年生の時 村上が担任だっただろう」
「はい」
「村上から悠の事いろいろ聞いていてなぁ~ 村上も悠の事を心配してて 正直先生もさぁ~ 悠はこのクラスで 浮いちゃうんじゃないかって心配してたんだよ」
(僕の事・・・ 村上先生も榊先生も心配してくれてたなんて 知らなかった)
「でもそんな心配いらなかったなぁ~ 悠には笑顔になれる友達がたくさん出来た・・・ 村上にさぁ~悠の笑顔を見たよって言ったら 驚いたのと同時に喜んでたなぁ~」
先生は嬉しそうにそう言ってくれた
「悠 1年間ありがとう」
そう言って先生は僕に通知表を渡した
先生の言葉に僕は涙がこみあげてきた
僕は席へと向かう時
「悠」
榎本の小さな声が聞こえ 僕は榎本の席の前で立ち止まり涙をふいた
(悠が泣いてる・・・ ここに今俺と悠の2人きりだとしたら 確実に俺は悠を抱きしめている)
(もしもここに誰も居なかったら 僕は間違いなく 榎本の胸に飛び込んで泣いていた)
榎本の優しい笑顔に また僕は涙が出そうになり席に着いた
(途中から先生と悠の話が聞こえなくなった 悠が泣くほど どんな話してたんだ・・・)
みんなのすすり泣く声と先生の話で また僕は涙が溢れ出していた
「藤原慎也」
「はい」
僕の後ろの席の委員長が立ち上がり 先生のところへ
「委員長 文武両道その言葉通り 勉強とスポーツとの両立 そして委員長がこのクラスをまとめてくれた事 先生は凄く委員長に助けていただきました 委員長的には このクラスはどうだったかなぁ~」
「はい みんなが協力してくれたので 何も問題なく過ごす事が出来ました まとまりのあるとても良いクラスでした」
「そうか・・・」
先生は嬉しそうに笑っていた
「委員長 そのまま真っ直ぐ自分の道を歩んで行ってください 委員長の将来に期待しています 委員長1年間ご苦労様でした」
そう言って先生は 通知表を委員長に渡した
男子の次は女子の番 僕の班はリーダーがはじめに名前が呼ばれた
「鈴木楓」
「はい」
リーダーが名前を呼ばれ先生のもとへ
「楓はさぁ~ 正直みんなからリーダーって呼ばれる事に 抵抗はなかったのかなぁ~ 楓はこのクラスでも部活でも リーダーシップが取れる訳なんだけど・・・」
「先生それねぇ~ 美咲が最初に言い始めたんだよ そしたらいつの間にか私のあだ名になっててさぁ~」
「そうだったのかー 美咲かぁ~」
先生が嬉しそうに笑っていた
「先生・・・ 部活では村上先生とふざけすぎー」
「あぁ~悪い 楓には本当に悪いと思ってる でもボール触ってると シュート打ちたくなるんだよ 村上と居ると余計に学生時代に戻ってついなぁ~」
「でもたまに 私も見行っちゃう時があるよ 先生凄く楽しそうにバスケするから・・・」
「いや~ありがとう・・・ 楓と美咲もなかなかだぞ」
「先生 私も美咲の素早さについていくのは大変だよー」
「そうかぁ~」
先生は凄く嬉しそうに笑っていた
「楓 部活引退まで頼むよ」
「うん先生任せて」
リーダーはそう言って通知表を受け取った
「須藤美咲」
「はい」
僕の隣の席の須藤さんが先生のもとへ
「美咲のその天真爛漫なところが 先生もこのクラスのみんなも救われていたと 先生は思うんだけど」
「何先生 いきなり私褒められてるの 気持ち悪いんだけど・・・ 」
「いや~本当だって~ 美咲のその天然なところ 部活でもピリピリとした空気が美咲の言葉でなごむ そんな場面が何度もあった 美咲も部活引退まであと少し頼むなぁ~」
「結局私は 褒められたでいいんだよねぇ~」
「あぁ~そうだ」
須藤さんが嬉しそうに席に着いた
僕は副ちゃんが気になり振り返った すると副ちゃんは下を向いたままだった
(副ちゃん大丈夫かなぁ~ もうすぐ副ちゃんが呼ばれるよ)
「吉岡ひとみ」
副ちゃんはゆっくりと立ち上がった
「副ちゃん 顔をあげてくれないかぁ~」
副ちゃんは 顔をハンカチでおさえながら ゆっくりと顔をあげた
「副ちゃん 委員長と一緒にこのクラスをまとめてくれてありがとう」
副ちゃんは首を振った
「先生が副委員長って呼びにくいから副ちゃんって呼んだら いつの間にかクラスのみんなもそう呼ぶ様になっていたなぁ~」
副ちゃんがうなずいた
「副ちゃんの笑顔が先生も大好きです 最後に副ちゃん 先生にその綺麗な副ちゃんの笑顔を見せて下さい」
副ちゃんは顔からハンカチを離した
「副ちゃん 1年間副委員長ご苦労様でした」
そう言って先生は通知表を副ちゃんに渡した
全員の通知表を渡し終え 先生がみんなを見渡した
「みんな~ 最後だから顔をあげてくれ」
みんなが顔をあげた
「先生が担任をもった中でダントツ このクラスが1番まとまりのあるクラスでした 1人1人が個性的で先生初めて名簿を見た時 いいクラスになると思いました 本当に先生が思っていた通り とてもいいクラスになりました みんなもこのクラスでの思い出がある様に 先生もたくさんの思い出があります 3組のみなさんこれまで本当にありがとう 先生も楽しかったです 最後に1人1人握手をしてこの教室を出て行ってほしい」
先生はそう言って前の教室のドアへと向かった
1班から1人ずつ先生のもとへ
僕達の班は6班なので みんなが教室を出たあとになった
先生と握手をして次々と教室から みんなが居なくなっていく
リーダーが立ち上がって先生のところへ
「楓 じゃ~またな」
「引退までに先生と1対1したい」
「お~いいなぁ~ 先生も本気ださなきゃ」
先生とリーダーが握手をした
須藤さんが立ち上がった
「美咲もまたな」
「先生 私もやりたい」
「楓も言ってたけど 美咲とじゃ~先生もかなわないよ~」
「え~ダメなの?」
「村上と2対1なら 美咲に勝てるかもなぁ~」
そう言って先生と須藤さんが握手をした
副ちゃんがゆっくりと立ち上がった
「副ちゃん ありがとう」
副ちゃんが先生としっかりと握手をした
榎本が立ち上がった
「正臣はどこまで大きくなるんだ」
「先生 俺まだまだ伸びるよ」
榎本と先生が握手をした
僕の前の大塚君が立ち上がった
(次は僕だ少しドキドキする)
「隆 サッカー部の顧問の先生が褒めてたぞ」
「そっすか~」
大塚君と先生が握手をした
(いよいよ僕だ)
僕はゆっくりと立ち上がった
「悠 先生楽しみに待ってるよ」
「はい」
先生の言葉にまた僕の目から涙が溢れ出した
先生と握手をし 僕は教室を出て涙をふいた
廊下には誰も居ない
先生と委員長の声が聞こえてきた
「先生 絶対にこのクラスで同窓会を開くので 先生もぜひ参加して下さい」
「それは楽しみだ 連絡待っているよ」
「はい」
僕はその場から動けず 最後まで話を聞いてしまった
「高橋君」
委員長が教室から出て来た
「もしかして先生との話聞かれちゃった」
「うん ごめん」
僕は申し訳ない気持ちでいっぱいだった
「高橋君 俺が言い出すまで みんなには内緒してくれる」
僕は委員長を見てうなずいた
階段のところまで行くとみんなが待っていてくれた
「悠」
榎本が僕に気付いて みんなが僕と委員長を見上げた
(悠は委員長と来たのか・・・ 悠とゆっくり話たいんだけどなぁ~)
委員長がすぐに副ちゃんのところへ行くと リーダーと須藤さんは副ちゃんから離れた
(みんなとこうして一緒に帰るのが 今日で最後なんだ・・・)
「榎本のさぁ~ 高橋君を呼ぶその悠って言うのも 今日で聞けなくなるねぇ~」
須藤さんが振り返りそう言った
「えー俺そんなに悠の事呼んでた」
「正臣 自覚ねぇ~のかよ」
大塚君の言葉にみんなが笑った
僕は少し恥ずかしくなった
僕は榎本と並んで階段を降りた
「悠 これから俺ん家来れる?」
榎本が小さな声でそう言った
「うん 大丈夫だけど」
僕がそう答えると榎本は嬉しそうに笑った
(ヨッシャー これで悠とゆっくり話が出来るぞ・・・)
(つづく)
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劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜
星寝むぎ
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――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ――
“隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け”
音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。
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