悠と榎本

暁エネル

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サッカー部の試合①

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僕のクラスの特別進学クラスは 他のクラスとは少し違っていた


普通に授業は行われるものの 豊田先生による過去の入試問題のテストが 定期的に小テストとして行われ


その結果を教室内に貼り出された


先生の狙いとしては 切磋琢磨してほしいと言う事らしく


僕にはあまり興味はなかった




給食当番や掃除当番は 副ちゃんが僕と同じ班で とても助けてもらっていた


委員長(藤原君)と副ちゃん(吉田さん)は クラスの誰とでも話が出来て


人見知りの僕は あまり話たことのない人とは どう接したらいいのかがわからず


こんな僕を 藤原君と吉田さんは3組に居た時と同じ様に 僕に話しかけてくれていた





中間テストも終わり 期末テストを残すだけとなり


榎本と僕は榎本の家で いつも通りにテスト勉強をしていた



「悠」


「ううん何?」


僕は顔をあげた


「このテストが終わったらさぁ~ サッカー部の試合があるんだけど 悠に見に来てほしいんだ」


「えっ僕が見に行ってもいいの?」


「あぁ~最後の試合だから・・・ 悠に見てほしい」






(榎本のこの優しい顔を見るのは 久しぶりだ・・・)






「あっでも悠の勉強が最優先だけど・・・」






(悠ダメかなぁ~ 悠が見に来てくれたらいつも以上に 俺頑張るんだけど・・・)






「行く・・・ 僕見たい ルールとかはよくわからないけど・・・」






(去年の放課後の教室で 僕は何度も榎本がグランドを走っている姿を こっそり実は見ていたんだ 榎本には絶対に言えないけど・・・)






「良かった じゃ~時間とかあとで連絡するよ」


「うんわかった」





(やったー 悠が見に来てくれるゼッテー勝って 悠にいいとこ見せる)







期末テストが無事に終わり 榎本の試合の日になった


榎本は先に試合会場へ行くと おばさんからお母さんのスマホに連絡が入り


僕はおばさんと一緒に会場へ行くことになった





(今日は凄く蒸し暑い こんな中走り回るなんて・・・ 過酷なスポーツだ)






僕はそう思いながら 駅でおばさんを待っていた


両手に重たそうな荷物を持って おばさんは僕の方へ


「悠君 お待たせ」


「おはようございます 今日はよろしくお願いします」


僕はおばさんに頭をさげた


「あっおばさん僕持ちますよ」


僕はおばさんが持っていた荷物に 手を伸ばした


「ありがとう悠君 重いけど大丈夫」


「はい」


「それじゃ~お願いしようかなぁ~ いっぱいお弁当作ったから食べてね」


おばさんはそう言って 僕に荷物を渡してくれた


「それじゃ~悠君行こうか」


「はい」


僕とおばさんは電車に乗った


おばさんは榎本の幼稚園の頃の話や小学生の時の話 サッカークラブの話を聞かせてくれた


電車を乗り換えて会場へ


おばさんの話がおもしろくて あっという間に目的地まで来てしまった


「悠君 ちょっと待っててね」


おばさんはスマホを出して 誰かと話をしていた


「悠君こっちだって」


僕はおばさんのあとをついて行った


階段を上ると サッカー部のジャージを着た生徒が座っていた





(1年生と2年生かなぁ~)




僕はおばさんのあとを追い なだらかな階段を下りた


おばさんが座って居る お母さん方に手を振っていた


目の前には広いフィールドが広がっていた




「やっと来た」


「ごめんごめん 何事もなくあの子達ちゃんと来られた」


運動会でおばさんと一緒に居た人達が 僕の方を見ていた


「もしかして高橋君」


「そうよ うちの悠君」


おばさんが僕を紹介してくれた


「あなたの息子はあっちでしょう」


「いいじゃない 悠君うちの子みたいな者なんだから~」


お母さん方は笑っていた


「あっ悠君 ありがとう荷物 重たかったでしょう」


「いいえ」


僕はおばさんに荷物を渡した


「悠君 そこ座って」


「はい」


僕はおばさんの隣へ おばさんはお母さん方と楽しそうに話をしていた


僕はショルダーバッグから ペットボトルのお茶を取り出した





(それにしても凄い暑い・・・)





僕はおばさん方と並んで 1番前の席に座らせてもらっていた


席は階段状になっていて とても見やすくなっていた


ユニフォームを着た選手が フィールドに出て来た


みんなは立ち上がり 拍手をしたり声をかけていた


僕は少し遅れて 拍手をしながら榎本を探した


榎本は背も高く すぐに榎本を見つけられた





(どうしよう・・・ 選手でもないのにドキドキしてる)





「悠君 いよいよ始まるよ」


「はい」


おばさんにそう言われ 僕はますます緊張していった




みんながバラバラに散らばっていた


榎本をよく見ると 手首に黄色い物が・・・





(あっあれ 僕のあげたリストバンドだ 榎本してくれてたんだ)





僕はそれを見た瞬間 涙が出そうになっていた




中央にボールが置かれた 審判員がホイッスルを鳴らしてボールが蹴られ 試合が始まった


選手が一斉に走り出し ボールが転がりパスで繋いでいく


すると大塚君がボールに向かって 凄い勢いで走り出し 相手のボールを奪った





(大塚君凄い)





ドリブルでボールを運んで 相手チームも大塚君からボールを奪おうと 大塚君を追いかけている





(凄いよ大塚君)





すると榎本がゴールへ向かって走っていた


大塚君の蹴ったボールが宙を舞って そのボールが榎本のところへ


榎本はボールを胸で受け取り 凄い勢いでボールを蹴って ボールはそのままゴールネットを揺らしていた


僕はおばさん方の凄い勢いの応援に置いて行かれ 静かに手を叩いていた





(榎本凄い 大塚君も凄かったけど あんなに相手チームが居たのに・・・)





(まずは1点・・・ 悠俺の事見てくれてたかなぁ~)






榎本は僕のあげたリストバンドの左手を 高々とあげていた





(何だろうこの気持ち 僕まで嬉しい・・・)





相手チームはボールをすぐに中央へ ボールが転がりまた試合が始まった






(えっ休まないの・・・)





今度はなかなかボールが奪えない ゴール前までボールが来てしまった





(ヤバいよーみんな頑張って・・・)





僕は祈る様に手を合わせボールを追った


みんなが身体を張って ゴールを守っていた


ボールが選手にあたり ゴールラインからボールが出てしまった


相手選手がコーナーへ 





(あんな角からボールを蹴るんだ)





ボールが蹴られ ボールはゴール前へ


僕のところからでは ボールの行方がわからない


みんながゴールから離れて行った


ゴールキーパーがしっかりとボールをキャッチしていた


座ってるみんなが拍手をしたり 声を出したりしていた






(良かった・・・ でもみんな走りっぱなしだ)





大塚君の大きな声が聞こえた


「もう1点取るぞ」


すると榎本が手をあげて また走り出した


相手チームも榎本に合わせて走り出していた


なかなかゴールまでボールを運ぶことが出来ない


するとボールが大きく反対側へ


榎本とは違う 反対側へとボールが飛んだ





(凄い 何であんにボールが飛ぶの)





ボールを受け取りゴールの近くまで来た いつも間に榎本のマークが外れていた


そこへ榎本が走り込んで来て その勢いのままボールを蹴り ボールがゴールへと吸い込まれた


みんなは立ち上がり歓声をあげていた





(榎本凄い凄いよ)





榎本はまた黄色いリストバンドを 高々とあげていた





(悠に見えているといいなぁ~)






相手チームはまたボールをすぐに拾い 中央へとボールを置いた





(みんな凄いよ 相手チームも諦めてない)





おばさん方の応援や 榎本の後輩の応援の迫力が凄すぎて 僕は圧倒されていた


相手チームがボールをパスすると ボールが宙を舞い一気にゴール前へとボールが運ばれた





(応援するみんなの声が凄い・・・)





僕の手にも力が入った





(みんな頑張ってゴールを守って・・・)





相手チームのドリブルもうまく 榎本のチームもボールを奪おうと必死だった


でもボールが蹴られてしまった


ゴールキーパーの手がボールに当たっていたけれど ボールがゴールネットを揺らしていた





(榎本はあんなに離れたところに それぞれの役割があるんだなぁ~)





応援するみんなが落胆していた





(1点返された・・・ でもまだ大丈夫みんな頑張って)





榎本のチームもすぐにボールを中央へ ボールが蹴られた


ドリブルでパスを繋いでいたところで 長いホイッスルが鳴った


応援しているみんなが座り出した 


フィールドに居る榎本達が みんな同じ方向へと歩いていた





(悠はちゃんと俺の事 見てくれてたかなぁ~)





(みんなどこへ行くんだろう)






おばさんも席に着いた


「悠君 ここでちょっと休憩ね」


おばさんが僕の方を見てそう言った





(休憩って何分ぐらいあるんだろう)





「おばさん 僕トイレに行ってきます」


「場所わかる?」


「はい 入口に書いてありました」


「さすが悠君ね いってらっしゃい」


僕は立ち上がり なだらかな階段を上った


試合中は夢中になっていて この暑さを忘れていた


トイレから出ると廊下の涼しい場所に みんなの荷物が置いてあった


僕が壁に寄りかかり涼んでいると 


階段から大塚君のお母さんが降りて来た


「あれ高橋君」


「はい」


「座ってるだけなんだけどね暑いよね この暑さ・・・ ここ涼しいね」


「はい」


大塚君のお母さんが僕の前に立った


「あれ~高橋君 背伸びた? 隆が小さいって言ってたんだけど・・・」


僕は大塚君のお母さんに見つめられ どうしていいのかわからなかった


「うちの隆もね よく高橋君の話するのよ 正臣ほどじゃ~ないけどね」


大塚君のお母さんは笑って僕にそう話をしてくれた





(大塚君が僕の話を・・・)





僕が席に戻るとまだ試合は始まっていなかった


少し動いただけなのに汗が出る そんな中榎本は全力で走っている





(榎本って凄い でも大丈夫かなぁ~)





「そろそろ始まるよー」


誰かのお母さんがみんなに声をかけていた




(つづく)

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