悠と榎本

暁エネル

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三者面談

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僕は榎本に会えないまま期末テストを終えた





「悠 また背が伸びた?」


「えっそうかなぁ~」


お母さんは嬉しそうに笑っていた



今日は僕の三者面談の日


僕はお母さんと学校へと向かっていた


「悠 この頃榎本君と一緒に居ないみたいだけど・・・」


「うんそうなんだ あっでも別にケンカしてるとかじゃ~ないよ 榎本と初詣で一緒に行く約束してるし お互い受験生だから・・・」


「そう~ 榎本君のお母さんも 悠に会いたがってるみたいだし 心配してたみたいなのよね・・・」





(お母さんやおばさんに心配かけてたんだ 今までこんなに榎本と一緒に居なかった事なんかなかったもんなぁ~ 学校に行っても榎本の姿を見る事もないし でももう僕が限界かもしれない・・・)






僕とお母さんは階段を上り 教室の前で前の人が終わるのを待っていた




前の人が出て来ると 僕とお母さんは教室へ


「失礼します」


「どうぞ おかけください」


「よろしくお願いします」


お母さんは先生に頭を下げた


僕が先生の前へ座った


「これがこれまでの高橋君のテストの結果をまとめた表です」


先生は僕のテストの結果をお母さんに見せていた


「高橋君は 学校でもとても落ち着いて授業を受け 成績も常にトップの成績でとても優秀な生徒です」


先生の机の上には個人面談の時のノートがあり そこには『西高校 確認』と書かれてあった





(先生が僕の志望校を・・・)





「どうですかお母さん 進路の事について高橋君とお話をされましたか?」


「はい 前回お話をした様に 私は悠が行きたい高校へ進学してくれるのが 一番いいと思っています」


先生の視線が僕の方へ


「高橋君は 前に聞いた進路を変える気はありませんか?」


僕は先生の言葉に迷わず答えた


「はい 僕は西高校を受験したいと思います」


「そうですか」


先生は力が抜けた様にそう言っていた


西高校と書かれたノートに 先生は赤色のペンで丸を付けた




「お母さん 高橋君なら西高校は合格間違いないでしょう くれぐれも風邪などひかない様に万全の態勢で望んで下さい 私の方からは以上ですが お母さんの方から何かありますか?」


「いいえ 私の方からは何もありません」


「そうですか では高橋君受験まで体調を崩さない様に」


「はい ありがとうございました」


僕とお母さんは先生に頭を下げ教室を出た


僕は三者面談が終わり 何事もなかった事にホッとしていた





「何か拍子抜けだわ・・・」


「お母さん」


僕はお母さんの言葉に驚き少し大きな声を出してしまった


「だって~ 前の三者面談の時悠の話聞かない先生だったでしょう お母さん先生と戦うつもりで今日は来たから」


「え~」


僕はまたお母さんの言葉に驚いてしまった


「でも ずいぶんあっさりとしてたわね もっと押し通すと思ったけど・・・」


「特別進学クラスの先生は 思っている以上に大変だと思うよ 他のクラスと違ってさぁ~ それにもう時間もないしね・・・ 」






(多分 豊田先生自身が凄いプレッシャーやストレスがあったに違いない)






「悠は何も言わなかったけど あの先生にいろいろ 悠は言われてたんじゃない?」


「そんな事ないよ 生徒は僕だけじゃないから 僕1人になんかにかまってられないし 先生もいろいろ大変だったと思うよ」


「そう~ 悠がそう言うなら お母さんは何も言う事はないけど・・・」






(僕の三者面談は終わったけど 榎本はいつなんだろう・・・)






僕は毎日の様に榎本の事を考えていた





終業式 全校生徒が体育館へと整列する


僕達特別進学クラスは 最後に体育館へと入る




俺は1番後ろへと並び 悠を待っていた





(悠まだかなぁ~ 今日はゼッテー悠と帰る 話した事があり過ぎる・・・)





僕が豊田先生の次に体育館へ入ると 榎本が振り返り僕と目が合った


「悠 今日一緒に帰ろう」


榎本は口に手をそえてそう言った


僕にはハッキリと榎本の声が届いていた


僕は驚きのあまりうなずく事しか出来なかった





(今僕ちゃんと榎本にうなずいてた 大丈夫だよね・・・)





僕の心臓が大きく動き 僕の身体が揺れていた





(久しぶりだこんな事・・・ 榎本の顔も 僕の心臓が大きい揺れるのも・・・)





体育館に居る間 榎本の姿が僕の目に焼き付いて離れなかった




教室へと戻り 帰り支度をしていると榎本の声が聞こえた


「悠帰ろう」


榎本が僕の教室へ


榎本の声に僕はドキドキしてしまった


「榎本君久しぶり」


「委員長 副ちゃん久しぶり」





(どうしよう・・・ いつもどうしてた? 榎本の声に僕の身体が思う様に動かない)






「委員長副ちゃんワリー 悠と急いで帰らなくちゃいけねぇ~んだ またなぁ~ 悠行こう」


榎本はそう言って 僕の腕を掴んで教室を出た


「あっ藤原君吉田さん またね」


僕は榎本に引っ張られながら 藤原君と吉田さんにさよならを言った


吉田さんはとても嬉しそうな笑顔だった





(ヤベ~思わず悠の腕じゃなくて 悠の事を抱きしめるところだった・・・ あぶなかった)





俺は悠と階段を下りて下駄箱へ


「悠 副ちゃんの顔見た~ スゲー顔してたなぁ~」


榎本が振り返り嬉しそうに笑っていた


僕はその榎本の笑顔に 僕が耐えられなくなっていた





(何でいつもこうなんだ 榎本に会いたくて会いたくて会えて嬉しいのに これじゃ~)





僕の目から涙が溢れ 止められなくなっていた


僕は急いで上履きをしまい走り出した


「悠」





(えっ何?悠どうしたんだ・・・ 今の今まで普通に話してたのに・・・)





俺は悠を追いかけた


榎本の足音が僕に近いて来て 急いで校門を出た


「悠待った こっち」


榎本は僕の肩に手を置くと 僕の腕を掴み走り出した





(俺がまた悠を泣かせてる・・・ ホント何やってんだよ俺)





俺は悠と走りながら 話が出来そうな所を探した





(確かこの辺に・・・ あったこの場所)





榎本の手が僕から離れ 僕は涙をふきながら 榎本にあやまっていた


「榎本 ごめん・・・」





(榎本はきっと困ってる 何で僕はいつもこうなるんだ 榎本にあんなに会いたかったのに これじゃ~)





(あぁ~悠が目の前に居るのに あの時は暗かったからなぁ~ 今は誰が通るかわかんねぇ~し それにしてもやっぱ悠はかわいいなぁ~ 抱きしめやりてぇ~しキスしてぇ~)






榎本は僕が泣きやむのを待ってくれた



「悠もうへ~き? 寒くないか?」


僕が顔を上げると 榎本の優しい顔とその声に また僕の目から涙がこぼれた





(あぁ~ 悠は泣いているのに何でこんなにかわいいんだ・・・ 俺が泣かせたのになぁ~)





「悠 この場所覚える?」


僕は榎本にうなずいた


「悠 俺勉強頑張ってるよ」


僕はまた榎本にうなずいた


「悠 俺も悠に会いたかった」


僕は榎本に何度もうなずいた





(あぁ~ 悠を抱きしめてぇ~)





俺は空を見上げて 息を吸い込んだ


「悠 送るよ」


俺は悠の背中に手を添え 悠と歩き出した




榎本と久しぶりに一緒に帰る帰り道


榎本は 期末テストの話や三者面談の話を僕にしてくれた


僕は榎本に添えられた背中が とても暖かく心地よかった


「悠寒くないか・・・」


榎本はそう言いなが 僕の顔を覗き込む





(あぁ~悠の目がまだウルウルしてる これは俺を試しているのか? いや~悠はそんな事しねぇ~ 俺が耐えられのかって話だよなぁ~)





「うん 榎本ありがとう大丈夫だよ」






(僕泣き過ぎだよね 榎本に引かれてるよね 何でいつも僕はこうなんだろう・・・)





「悠 俺夏休みに悠と勉強したところ もう一度自分でやってみるよ あと西高校の過去問も・・・」


「うん 榎本頑張って僕も頑張る」


榎本は僕に優しい顔を向けていた





(あぁ~ 悠と正月まで会えねぇ~のかぁ~)





「榎本ごめんね僕・・・」





(榎本に会いたかったのに 僕はただ泣いてただけで・・・)





「いいんだ悠 わかっているから・・・」





(マジでヤベ~って悠のその顔 無自覚ってこぇ~ でもこんなにかわいい悠の顔見れたから 頑張れそうだよ)





榎本はそう言って また優しい顔を僕に向けてくれた





(もうマンションだ 榎本の話は聞けたけど 僕は少しも話が出来なかった)





「じゃ~な悠 電話するよ」


「うん」


僕のマンションの下で榎本は 僕に手を振り走って帰って行った




(つづく)


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