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入学式
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榎本が突然僕の目の前に現れキスをされた
僕は久しぶりの長いキスに頭がついて行かず
榎本はとても嬉しそうに話をしていたけれど
僕は榎本の言葉をあまり覚えてはいなかった
(卒業式が終わって まさか榎本が追いかけて来るなんて しかも外であんな事を・・・ 誰にも見られてなかったよね大丈夫だったよね 僕は本当にどうかしている 学校でも榎本に抱きついたりして 僕は自分が思ってた以上に榎本に会いたかったんだ・・・)
榎本は凄く優しい言葉で話かけてくれたのに
僕は榎本の言葉がまったく耳には入らなかった
帰って来てからその事ばかり思い出していた
お母さんが卒業アルバムを嬉しそうに見ていた
「中学校生活は楽しかった?」
「うん とっても」
「そう お母さんも友達がたくさん出来たわ」
お母さんはそう言って卒業アルバムを閉じた
お母さんのスマホが鳴り榎本のお母さんから 僕の写真が送られて来た
「本当に凄く楽しそうに写ってる」
お母さんは嬉しそうにスマホを見ていた
「悠 榎本君のお母さんからなんだけど まだ榎本君に高校の事言ってないのよね」
「あっうん言えなかった 入学式になっちゃう」
「そう 榎本君のお母さんに伝えておくわね」
「うん ありがとうお母さん」
お母さんはスマホを操作し スマホを見て笑っていた
(僕はお母さんだけでなく おばさんにも迷惑をかけている・・・)
高校の準備がいろいろとあり
榎本と鉢合わせしない様に お母さんは榎本のお母さんと連絡を取ってくれた
そして入学式当日になった
「お母さんどうしよう・・・ ネクタイ」
僕の家は母子家庭で ネクタイを結べる人は居ない
制服は着たものの 僕はネクタイを持ちお母さんの所へ
「困ったわねぇ~」
お母さんはそう言いながらも 手を動かしネクタイを結んでくれた
「これが正しいのかはわからないけど 何とか出来たわ」
「ありがとうお母さん」
「榎本君に教わって来てね」
「うんそうする」
新しい制服を着て僕は鏡の前へ
(榎本と同じ制服・・・)
僕は嬉し過ぎて顔がニヤけてしまった
「悠 お母さん先に出るわね 榎本君によろしくね」
「うん お母さんいってらっしゃい」
僕も少し早目に家を出た
(あの時と同じだ 凄くドキドキする)
僕は入試の時の様に 榎本に見つからない様に 駅から少し離れた所で榎本を待っていた
(あっ榎本だ)
僕は榎本と距離を取り歩いた
榎本はうつむいたまま歩いていた
(榎本眠いのかなぁ~)
僕は榎本の様子を伺いながら電車に乗り込んだ
(今日は入学式で時間が遅いけど 明日の電車は通勤や学生でごった返すかもしれない)
榎本は真っ直ぐ学校へと向かった
(先輩達と部活して自分の弱点わかってきた そんで俺はもっとやれる事もわかった だけど悠に会えずじまいだ 落ち着いたらちゃんと悠と話してどっか行きてぇ~なぁ~ そんで悠とイチャイチャしてぇ~ 結局俺悠の高校聞いてねぇ~し)
俺は西高校へ 校門には入学式と書かれてあった
僕は榎本を見ながら校舎を見上げた
(ここで榎本と3年間・・・)
榎本は貼り出されているクラス表を見て 校舎へと入って行った
(榎本は何組だろう・・・)
僕もみんなが見ているクラス表を 真ん中から横に見ていった
(あっあった僕の名前・・・)
僕はそのまま上に目線を送った
(えっ榎本の名前がある B組)
僕はもう一度確認してみた
(やっぱり僕は榎本と同じクラスだ 榎本は気づいたのかなぁ~ でもさっきの様子だと気づいてなのかも)
僕は下駄箱へ行って上履きに履き替え教室へ
(あぁ~ドキドキする 榎本が教室に居るんだよね)
僕はゆっくりと教室をのぞいた
榎本は1番前の席で机に身体を伏せていた
(榎本本当に眠かったんだ)
教室の黒板に座席表が書いてあり 僕は自分の番号を探した
(僕の席の両側は誰も居ない 僕の机と窓側の席は飛び出している このクラスは男子が多いんだ)
僕は榎本を見ながら席に着いた
何人かは座っているけれど 友達を作って話をしている人も居た
(榎本が同じ教室に居るなんて 奇跡だよ 榎本はいつ僕に気づくかなぁ~)
僕はワクワクしながら榎本を見ていた
女の先生が教室に入って来た
「みなさん席に着いて下さい」
みんなが自分の席へ
「私がこのクラスの担任の長谷川(はせがわ)です 1年間よろしくお願いします」
先生は丁寧に頭を下げた
「ではこれからみなさんは 体育館へと移動し入学式をします 前の人に続いて速やかに廊下に並んで下さい 入学式が終わったら教室に戻り 自己紹介をして今日は解散となります では廊下に並んで下さい」
みんなが席を立ち廊下に並んだ
榎本はゆっくりと立ち上がり 前のドアから廊下に並んだ
僕は榎本に気づかれる事なく廊下へ
榎本はよそ見もせず進んで行った
体育館へ入ると1例に座った
僕の位置からは榎本の様子がわからなかった
入学式が終わり生徒が退場する
今度は先生に続いて 先頭がUターンして来る
僕は下を向いた 榎本が僕の横を通った
(榎本が僕に気付いて 僕の肩を叩いたらどうしよう・・・)
僕は榎本が通り過ぎるのを ドキドキしながら待っていた
榎本は僕に気づく事なく通り過ぎて行った
(良かった~ 榎本はやっぱり僕に気づいてないまだ大丈夫だ)
僕は後ろのドアから教室へ
「みなさん静かにして下さい まず連絡事項から みなさんが西高校を合格した時の封筒にありました様に 明日の放課後教科書の販売があります 同様に明日身体測定があります 体操着とジャージを忘れずに持って来て下さい 連絡事項は以上です 何か質問はありませんか」
長谷川先生は小さく手をあげて僕達を見た
「なければ自己紹介へ移ります」
みんなが静かになった
「では先生から」
先生はまた小さく手をあげた
「え~私は長谷川恭子(はせがわきょうこ)と申します 西高校へ赴任してから3年目になります 教科は国語です 西高校は部活動がとても盛んで 私は学生の頃バレーボールをしていたので バレーボール部の顧問をしています もしねぇ~この中でバレーボールに興味がある人が居たら 一緒に頑張りましょう 何か困った事や悩み事なんか もしあったら遠慮なく先生の所へ相談に来て下さい このB組を気持のいいクラスにしましょう よろしくお願いします」
先生が頭を下げた
(なんだか榊先生と雰囲気が似てる感じがする)
僕はそう思いながら拍手をした
先生は照れた様子で笑っていた
「それでは1番の人から自己紹介お願いします」
自己紹介が始まり同じ中学校の人が何人も居る事がわかった
いよいよ榎本の番
榎本は立ち上がって振り返りみんなの方を向いた
僕は榎本に見つからない様に 顔を手でかくし身体を小さくしていた
「俺は藤山中から来た榎本正臣って言います 小さな頃からサッカーをやっていたので 部活はサッカー部に入ります よろしくお願いします」
榎本そう言って座った
榎本とは一度も目が合わなかった
(良かった 榎本はまだ気づいてない でも僕が凄いドキドキしちゃった・・・)
僕の順番が回って来た
僕は立ち上がり 榎本を見ながら自己紹介をはじめた
「出身中学校は藤山中学校です 高橋悠と言います」
榎本が振り返りながら立ち上がって 僕の名前を大きな声で呼んだ
「悠・・・」
(ウソだろう・・・ 何で悠がここに居るんだよ)
僕は榎本に笑顔で小さく手を振った
(榎本のあんな顔初めて見た)
「座って聞こうか」
長谷川先生は榎本の肩に手を置いて 座る様にうながした
榎本は僕を見ながら座った
「みんなも静かに もう一度いいかなぁ~」
「はい」
長谷川先生の言葉でみんなが静かになった
「高橋悠と言います 出身中学校は藤山中学校です よろしくお願いします」
僕が座っても榎本は身体を斜めにして僕を見ていた
全員の自己紹介が終わった
「はいそれでは明日から よろしくお願いします 言い忘れていましたが明日 係や班を決めます 今日は先生が号令をかけます では起立 礼」
みんなが席を立ち頭を下げ 先生は教室から出て行った
榎本が凄い勢いで僕の机の前に来た
「悠 悠が何で西高に居るの」
榎本は大きな声でそう言った
「僕も西高を受験したからだよ」
僕の言葉に榎本は両手を僕の机についた
「そんな事を聞いてるんじゃ~ねぇ~」
榎本は凄い迫力でそう言った
(榎本顔が近いよ でも嬉しい)
クラス中のみんなが僕と榎本を見ていた
僕は立ち上がり 榎本の腕を掴み教室を出た
(榎本凄い怒ってる当たり前かぁ~ でもやっと堂々と言える)
(マジで悠なんだよなぁ~ 夢とかじゃ~ねぇ~んだよなぁ~ 俺が悠に腕引っ張られる日が来るなんてなぁ~)
僕は榎本の腕を掴んだまま下駄箱へ
榎本は何も言わずに 僕について来てくれた
榎本は僕が靴を履くのを待っていてくれた
(榎本怒ってる?)
僕が榎本の顔を覗き込むと 榎本は前に進んで行ってしまった
(榎本の顔を見れなかった どうしよう何から話をすれば)
(ヤベ~マジでヤベ~悠が俺の横を歩いてる 受験の日正俊が言ってたのって 本当に悠の事だったのかぁ~ でも何で悠が西高校? もうそんなのどうでもいい 今俺の隣に居るのは間違いなく悠だ この事実だけで十分だ)
俺は嬉しい気持ちを抑えられず 悠に俺のニヤけた顔を見せない様に
悠とは反対側を向いたり上を向いたり 必死に隠していた
榎本は速く歩く事もなく 僕に合わせて歩いてくれた
電車に乗っても榎本は黙ったままで 僕はどうしたらいいのかわからなかった
駅に着き 榎本は口を開いた
「悠 俺ん家来て」
榎本は優しい顔でそう言ってくれた
僕は榎本のその優しい顔に返事をする事が出来なかった
(榎本はもう怒ってないのかなぁ~ 榎本の部屋へ行ったら 榎本に全部話をしよう)
ケーキ屋さんの前を通り にぎやかな商店街
榎本の家へ行くのは久しぶりで 僕はちょっとドキドキしていた
榎本はオートロックを操作し 自動ドアが開きエレベーターに乗り込んだ
(俺がどれだけびっくりして嬉しかったのか 悠に身体でわからせてやる・・・ 俺だってどれだけ我慢してきたかなんて 悠にはわからねぇ~だろうし 今日は悠にはワリーけど 俺のやりたい様にやらせてもらう)
俺は玄関のドアを開けた
「悠入って」
「うん お邪魔します」
(つづく)
僕は久しぶりの長いキスに頭がついて行かず
榎本はとても嬉しそうに話をしていたけれど
僕は榎本の言葉をあまり覚えてはいなかった
(卒業式が終わって まさか榎本が追いかけて来るなんて しかも外であんな事を・・・ 誰にも見られてなかったよね大丈夫だったよね 僕は本当にどうかしている 学校でも榎本に抱きついたりして 僕は自分が思ってた以上に榎本に会いたかったんだ・・・)
榎本は凄く優しい言葉で話かけてくれたのに
僕は榎本の言葉がまったく耳には入らなかった
帰って来てからその事ばかり思い出していた
お母さんが卒業アルバムを嬉しそうに見ていた
「中学校生活は楽しかった?」
「うん とっても」
「そう お母さんも友達がたくさん出来たわ」
お母さんはそう言って卒業アルバムを閉じた
お母さんのスマホが鳴り榎本のお母さんから 僕の写真が送られて来た
「本当に凄く楽しそうに写ってる」
お母さんは嬉しそうにスマホを見ていた
「悠 榎本君のお母さんからなんだけど まだ榎本君に高校の事言ってないのよね」
「あっうん言えなかった 入学式になっちゃう」
「そう 榎本君のお母さんに伝えておくわね」
「うん ありがとうお母さん」
お母さんはスマホを操作し スマホを見て笑っていた
(僕はお母さんだけでなく おばさんにも迷惑をかけている・・・)
高校の準備がいろいろとあり
榎本と鉢合わせしない様に お母さんは榎本のお母さんと連絡を取ってくれた
そして入学式当日になった
「お母さんどうしよう・・・ ネクタイ」
僕の家は母子家庭で ネクタイを結べる人は居ない
制服は着たものの 僕はネクタイを持ちお母さんの所へ
「困ったわねぇ~」
お母さんはそう言いながらも 手を動かしネクタイを結んでくれた
「これが正しいのかはわからないけど 何とか出来たわ」
「ありがとうお母さん」
「榎本君に教わって来てね」
「うんそうする」
新しい制服を着て僕は鏡の前へ
(榎本と同じ制服・・・)
僕は嬉し過ぎて顔がニヤけてしまった
「悠 お母さん先に出るわね 榎本君によろしくね」
「うん お母さんいってらっしゃい」
僕も少し早目に家を出た
(あの時と同じだ 凄くドキドキする)
僕は入試の時の様に 榎本に見つからない様に 駅から少し離れた所で榎本を待っていた
(あっ榎本だ)
僕は榎本と距離を取り歩いた
榎本はうつむいたまま歩いていた
(榎本眠いのかなぁ~)
僕は榎本の様子を伺いながら電車に乗り込んだ
(今日は入学式で時間が遅いけど 明日の電車は通勤や学生でごった返すかもしれない)
榎本は真っ直ぐ学校へと向かった
(先輩達と部活して自分の弱点わかってきた そんで俺はもっとやれる事もわかった だけど悠に会えずじまいだ 落ち着いたらちゃんと悠と話してどっか行きてぇ~なぁ~ そんで悠とイチャイチャしてぇ~ 結局俺悠の高校聞いてねぇ~し)
俺は西高校へ 校門には入学式と書かれてあった
僕は榎本を見ながら校舎を見上げた
(ここで榎本と3年間・・・)
榎本は貼り出されているクラス表を見て 校舎へと入って行った
(榎本は何組だろう・・・)
僕もみんなが見ているクラス表を 真ん中から横に見ていった
(あっあった僕の名前・・・)
僕はそのまま上に目線を送った
(えっ榎本の名前がある B組)
僕はもう一度確認してみた
(やっぱり僕は榎本と同じクラスだ 榎本は気づいたのかなぁ~ でもさっきの様子だと気づいてなのかも)
僕は下駄箱へ行って上履きに履き替え教室へ
(あぁ~ドキドキする 榎本が教室に居るんだよね)
僕はゆっくりと教室をのぞいた
榎本は1番前の席で机に身体を伏せていた
(榎本本当に眠かったんだ)
教室の黒板に座席表が書いてあり 僕は自分の番号を探した
(僕の席の両側は誰も居ない 僕の机と窓側の席は飛び出している このクラスは男子が多いんだ)
僕は榎本を見ながら席に着いた
何人かは座っているけれど 友達を作って話をしている人も居た
(榎本が同じ教室に居るなんて 奇跡だよ 榎本はいつ僕に気づくかなぁ~)
僕はワクワクしながら榎本を見ていた
女の先生が教室に入って来た
「みなさん席に着いて下さい」
みんなが自分の席へ
「私がこのクラスの担任の長谷川(はせがわ)です 1年間よろしくお願いします」
先生は丁寧に頭を下げた
「ではこれからみなさんは 体育館へと移動し入学式をします 前の人に続いて速やかに廊下に並んで下さい 入学式が終わったら教室に戻り 自己紹介をして今日は解散となります では廊下に並んで下さい」
みんなが席を立ち廊下に並んだ
榎本はゆっくりと立ち上がり 前のドアから廊下に並んだ
僕は榎本に気づかれる事なく廊下へ
榎本はよそ見もせず進んで行った
体育館へ入ると1例に座った
僕の位置からは榎本の様子がわからなかった
入学式が終わり生徒が退場する
今度は先生に続いて 先頭がUターンして来る
僕は下を向いた 榎本が僕の横を通った
(榎本が僕に気付いて 僕の肩を叩いたらどうしよう・・・)
僕は榎本が通り過ぎるのを ドキドキしながら待っていた
榎本は僕に気づく事なく通り過ぎて行った
(良かった~ 榎本はやっぱり僕に気づいてないまだ大丈夫だ)
僕は後ろのドアから教室へ
「みなさん静かにして下さい まず連絡事項から みなさんが西高校を合格した時の封筒にありました様に 明日の放課後教科書の販売があります 同様に明日身体測定があります 体操着とジャージを忘れずに持って来て下さい 連絡事項は以上です 何か質問はありませんか」
長谷川先生は小さく手をあげて僕達を見た
「なければ自己紹介へ移ります」
みんなが静かになった
「では先生から」
先生はまた小さく手をあげた
「え~私は長谷川恭子(はせがわきょうこ)と申します 西高校へ赴任してから3年目になります 教科は国語です 西高校は部活動がとても盛んで 私は学生の頃バレーボールをしていたので バレーボール部の顧問をしています もしねぇ~この中でバレーボールに興味がある人が居たら 一緒に頑張りましょう 何か困った事や悩み事なんか もしあったら遠慮なく先生の所へ相談に来て下さい このB組を気持のいいクラスにしましょう よろしくお願いします」
先生が頭を下げた
(なんだか榊先生と雰囲気が似てる感じがする)
僕はそう思いながら拍手をした
先生は照れた様子で笑っていた
「それでは1番の人から自己紹介お願いします」
自己紹介が始まり同じ中学校の人が何人も居る事がわかった
いよいよ榎本の番
榎本は立ち上がって振り返りみんなの方を向いた
僕は榎本に見つからない様に 顔を手でかくし身体を小さくしていた
「俺は藤山中から来た榎本正臣って言います 小さな頃からサッカーをやっていたので 部活はサッカー部に入ります よろしくお願いします」
榎本そう言って座った
榎本とは一度も目が合わなかった
(良かった 榎本はまだ気づいてない でも僕が凄いドキドキしちゃった・・・)
僕の順番が回って来た
僕は立ち上がり 榎本を見ながら自己紹介をはじめた
「出身中学校は藤山中学校です 高橋悠と言います」
榎本が振り返りながら立ち上がって 僕の名前を大きな声で呼んだ
「悠・・・」
(ウソだろう・・・ 何で悠がここに居るんだよ)
僕は榎本に笑顔で小さく手を振った
(榎本のあんな顔初めて見た)
「座って聞こうか」
長谷川先生は榎本の肩に手を置いて 座る様にうながした
榎本は僕を見ながら座った
「みんなも静かに もう一度いいかなぁ~」
「はい」
長谷川先生の言葉でみんなが静かになった
「高橋悠と言います 出身中学校は藤山中学校です よろしくお願いします」
僕が座っても榎本は身体を斜めにして僕を見ていた
全員の自己紹介が終わった
「はいそれでは明日から よろしくお願いします 言い忘れていましたが明日 係や班を決めます 今日は先生が号令をかけます では起立 礼」
みんなが席を立ち頭を下げ 先生は教室から出て行った
榎本が凄い勢いで僕の机の前に来た
「悠 悠が何で西高に居るの」
榎本は大きな声でそう言った
「僕も西高を受験したからだよ」
僕の言葉に榎本は両手を僕の机についた
「そんな事を聞いてるんじゃ~ねぇ~」
榎本は凄い迫力でそう言った
(榎本顔が近いよ でも嬉しい)
クラス中のみんなが僕と榎本を見ていた
僕は立ち上がり 榎本の腕を掴み教室を出た
(榎本凄い怒ってる当たり前かぁ~ でもやっと堂々と言える)
(マジで悠なんだよなぁ~ 夢とかじゃ~ねぇ~んだよなぁ~ 俺が悠に腕引っ張られる日が来るなんてなぁ~)
僕は榎本の腕を掴んだまま下駄箱へ
榎本は何も言わずに 僕について来てくれた
榎本は僕が靴を履くのを待っていてくれた
(榎本怒ってる?)
僕が榎本の顔を覗き込むと 榎本は前に進んで行ってしまった
(榎本の顔を見れなかった どうしよう何から話をすれば)
(ヤベ~マジでヤベ~悠が俺の横を歩いてる 受験の日正俊が言ってたのって 本当に悠の事だったのかぁ~ でも何で悠が西高校? もうそんなのどうでもいい 今俺の隣に居るのは間違いなく悠だ この事実だけで十分だ)
俺は嬉しい気持ちを抑えられず 悠に俺のニヤけた顔を見せない様に
悠とは反対側を向いたり上を向いたり 必死に隠していた
榎本は速く歩く事もなく 僕に合わせて歩いてくれた
電車に乗っても榎本は黙ったままで 僕はどうしたらいいのかわからなかった
駅に着き 榎本は口を開いた
「悠 俺ん家来て」
榎本は優しい顔でそう言ってくれた
僕は榎本のその優しい顔に返事をする事が出来なかった
(榎本はもう怒ってないのかなぁ~ 榎本の部屋へ行ったら 榎本に全部話をしよう)
ケーキ屋さんの前を通り にぎやかな商店街
榎本の家へ行くのは久しぶりで 僕はちょっとドキドキしていた
榎本はオートロックを操作し 自動ドアが開きエレベーターに乗り込んだ
(俺がどれだけびっくりして嬉しかったのか 悠に身体でわからせてやる・・・ 俺だってどれだけ我慢してきたかなんて 悠にはわからねぇ~だろうし 今日は悠にはワリーけど 俺のやりたい様にやらせてもらう)
俺は玄関のドアを開けた
「悠入って」
「うん お邪魔します」
(つづく)
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