君への想い

暁エネル

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入院

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俺はみんなのおみやげを持って会社へ




(これだけあれば みんなに行き渡るだろう・・・)




みんなへおみやげを配ってくれる様に 女子社員に頼んでいた



「溝口旅行はどうだったんだ」


「佐々木 良かったよ旅館が古風で居心地が凄く良かった」


「そっかそれは良かったなぁ~」


同僚の佐々木がいつもの様に 俺に絡んで来た



俺はいつもの様に 外回りへ行く支度をしていた


でもいくらオフィスの中を見渡しても 片岡の姿が見つからなかった




(何で片岡が居ないんだ・・・)




片岡の机はキレイなままだった


俺は経理部部長の鈴木部長の所へ




「鈴木部長」


「あぁ~溝口君 さつきがお世話になったね さつきが凄く喜んでいたよ」


「あの~ 鈴木部長それで今日片岡は・・・」


「あぁ~さつきは今日は休みだ」


「休みって・・・」


「あぁ~ 疲れが出たんだろう 溝口君との旅行は凄く楽しみにしてたから・・・」


「そうですか・・・」


「溝口遅れるぞ」


俺の営業部長が大きな声を出していた


「あっすいませんでした 鈴木部長」


俺は鈴木部長に頭を下げ 外回りへと出掛けた


携帯電話を取り出し片岡にメッセージを送った




(ひとまずこれでいいだろう・・・)




俺は取引先へ行く為電車に乗った




各部の部長の間では 片岡の病状の事はすでに知られていた


各部の部長同士も大変仲が良く 俺の知らない事実が隠されていた





僕は病室で目を覚ました


僕の口には人工呼吸器があった


「さつき」




(お母さん)




「先生呼んで来るから・・・」


そう言ってお母さんの姿は僕から見えなくなった




(僕どうしたんだろう・・・)




先生が病室に入って来て 僕の人工呼吸器をはずしてくれた


「落ち着いているね もう大丈夫でしょう」


先生は僕の心臓の音を聞きそう言った


「ありがとうございます」


お母さんは先生に頭を下げていた




「お母さん」


「さつき良かった」


「僕」


「旅行から帰って来て楽しかった話をしてくれていたのよ さつき」


僕はだんたんと思い出していた




(僕はおみやげを渡して あかりは変な顔をして受け取ってた・・・)




「凄く楽しかったのよね さつき凄く行きたがってたし・・・ さつきは少し疲れが出たのよ」


「お母さんごめん」


お母さんは首を振った



「あとであかりも来るから・・・」


「お母さん 僕どれくらい?」


「大丈夫・・・ 会社は兄がフォローしてくれるから・・・」




(あぁ~またみんなに迷惑かけてる 薫さんも心配してるよね・・・)




「何か飲む?」


「あっうん僕お茶が飲みたい」


「じゃ~売店で買って来るから・・・」


「うんありがとう」


僕は病室に1人 点滴が落ちるのをながめていた




(僕はどうして病院に居るんだろう・・・ おみやげを渡した所までは思い出せるのに・・・)




お母さんが戻って来て 僕にお茶を渡してくれた


「お母さんありがとう」


「じゃ~お母さん買い物とさつきの着替え持って来るから・・・」


「うん」


「もうすぐあかりも来てくれるけど 何かあったらすぐにナースを呼んでね」


「うんわかった」


お母さんは 僕の着替えを取りに病室を出て行った




しばらくして あかりが病室へとやって来た


「兄ちゃん」


「あかり」


弟のあかりが病室のドアから顔を出していた


「兄ちゃん元気じゃん」


「ごめん心配かけて・・・」


「ホントだよ いきなり倒れるなよなぁ~ こっちがびっくりなんですけど・・・」


そう言いながら あかりは椅子に座った


「えっ僕倒れたの?」


「いきなりだよいきなり 頭とかどこも打ってなかったみたいだから良かったけど・・・」


「ごめん」


「救急車呼んで大変だったんだからね」


「そうだったんだ」


「みんなに心配かけたんだから兄ちゃんは これからいっぱい笑顔で居ないとダメじゃない」


「そうだね」


「ほら笑顔笑顔」


あかりにおだてられて 僕は笑顔になる事が出来た


「ところで何 あの俺へのおみやげ・・・」


「えっかわいいでしょう」


「どこが・・・」


「おみやげ屋さんで見た時 これだって思ったくらいなんだけどなぁ~」


「兄ちゃんのセンスを疑うレベルだよあれは・・・」


「えっそうかなぁ~」


「一緒に行った人は何も言わなかった訳・・・」


「えっ薫さんは違う所を見てたから・・・」


あかりは不服そうな顔をしていた


あかりのおかげで僕は笑顔が戻り 声を出して笑う事が出来た





夜になり おじさんが僕の病室へお見舞いに来てくれた


「さつき」


「おじさん」


「元気そうだなぁ~」


そう言っておじさんは椅子に座った


「おじさんごめんなさい 僕はまた会社のみんなにも おじさんにも心配をかけてる」


「そうだなぁ~ だから元気になって戻って来てもらわないと困る」


おじさんはそう言って笑っていた


「ちゃんと食べてるか まぁ~病院食は身体の事を考えて薄味なんだろうけどなぁ~」


おじさんはそう言ってまた笑っていた


「おじさん 薫さん溝口さんは・・・」


「あぁ~そうだなぁ~ 旅行から帰って来てさつきの姿がなかったから すぐに溝口君は私の所へ聞きに来たよ うまくフォロー出来たのかは疑問だが 営業部長の森本にも助けられて 何とか切り抜けたって感じかなぁ~ さつきの事を溝口君だけじゃなく みんながさつきの事待っているんだ・・・」


「おじさんありがとう でももう僕は多分会社へは行かれないと思う」


「そんな事言ったらダメだ 病は気からって言うだろう・・・」


「おじさん僕わかるんだ 自分の身体だから・・・」


「さつき・・・ さつきはまだまだこれからなんだぞ 若者がそんな弱気な事を言ってはダメだ」


おじさんは力強くそう言った


「おじさんありがとう お母さんには言わないでほしいんだけど 僕は二十歳まで生きられないって お医者さんが話してるの聞いちゃったんだ だけど僕はまだ生きているもう十分だよ」


僕は笑顔でおじさんに話をした


「さつきはまだ おじさんの半分も生きてないんだぞ これから楽しい事がたくさんあるんだぞ」


おじさんはそう思いながら 涙をポロポロ流していた


「おじさん 僕はこんなにも長生きする事が出来て 薫さんとも初めての旅行も行かれたんだ これ以上僕が望んだら・・・」


「さつきはもっともっと わがままを言っていいんだよ・・・ 本当に何でこんなにいい子が・・・」


おじさんはそう言って ハンカチで目を押さえて泣いていた





俺は今日こそ片岡の姿が見られると思いながら会社へと向かった


「溝口 この頃一緒に行ったって言う 経理部の人懐っこいそうな子の姿見ねぇ~なぁ~」


いつもの様に同僚の佐々木が話かけて来た


「片岡だろう・・・ 俺も気になって 経理部の鈴木部長に聞いてみたんだ だってよ~スゲ~旅行先では凄く元気でよ まぁ~食欲は俺の方があったけど 体調崩すほど連れまわしてはねぇ~しよ~」


「溝口おめ~知らず知らずのうちに 傷つけた覚えてとかねぇ~のか?」


「俺がか?」


「あぁ~」


「だってよ~帰る時だって また一緒に行こうって言ってたの片岡だぜ・・・ あっそう言えば 帰る時片岡何か言いかけてたなぁ~」


「それじゃ~ねぇ~のか?」


「それってなんだよ?」


「俺が知るかよ・・・」


佐々木にそう言われて 俺は今日もキレイな片岡のデスクを見ていた


(つづく)


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