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第四話
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母親を殺した日から、ひと月が経過した。
日増しに強くなる罪悪感を吐き出すことも出来ず、この頃は睡眠薬に頼って眠る夜も増えてきた。
もっと他の選択があったのではないかと、毎日のように考える。
そしてそんな日々の中には、いつも静真がいた。
「……静真君はさ、大丈夫なの?」
「何がですか?」
「あの日のこと、……怖くないの?」
静真は黙考する。気難しい顔をしているが、そこに辛苦は感じられない。
このひと月の間で見てきた限りの話だが、彼は存外冷静だった。
共犯と言えど、実際に手にかけたという事実がないからだろうか。
訝しげに見つめていると、
「僕は、正直あの日のことまだ信じられてないんです」
微笑を含んだ答えが返ってきた。
「だって、告白したらオーケーされて、そのあと桐ヶ谷さんのお母さんの死体を二人で埋めに行ったんですよ。夢でもこんな事ないですよ」
静真の笑顔が霞む。
発言と表情の矛盾は、いくらかの苛立ちを齎した。しかし、全ての元凶が自分であることも分かっていたため、感情を押し殺すしかなかった。
日増しに強くなる罪悪感を吐き出すことも出来ず、この頃は睡眠薬に頼って眠る夜も増えてきた。
もっと他の選択があったのではないかと、毎日のように考える。
そしてそんな日々の中には、いつも静真がいた。
「……静真君はさ、大丈夫なの?」
「何がですか?」
「あの日のこと、……怖くないの?」
静真は黙考する。気難しい顔をしているが、そこに辛苦は感じられない。
このひと月の間で見てきた限りの話だが、彼は存外冷静だった。
共犯と言えど、実際に手にかけたという事実がないからだろうか。
訝しげに見つめていると、
「僕は、正直あの日のことまだ信じられてないんです」
微笑を含んだ答えが返ってきた。
「だって、告白したらオーケーされて、そのあと桐ヶ谷さんのお母さんの死体を二人で埋めに行ったんですよ。夢でもこんな事ないですよ」
静真の笑顔が霞む。
発言と表情の矛盾は、いくらかの苛立ちを齎した。しかし、全ての元凶が自分であることも分かっていたため、感情を押し殺すしかなかった。
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