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最終回
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まな板に洗った玉ねぎを置き、静止する。
つい癖のように持ち出してきたが、献立を考えていなかった。
電子レンジの上を一瞥する。そこには、先程出来たばかりの玉ねぎのかき揚げが二つある。
「……玉ねぎ食べすぎかな? たしか食べすぎもよくないって言ってたっけ」
いつかに聞いた双葉の言葉を思い出し、洗った玉ねぎを真空包装する。
早茹でが売りのうどんを熱湯に放り込み、日向は機械的に菜箸を揺らした。
――――一ヵ月後には、玉ねぎを貰う事も無くなる。
その事実がどうしようもなく悲しくて、また涙が零れそうになった。
日向の意識を逸らすかのように、タイマーが鳴る。市販のだしを薄めたつゆの中にうどんを投入し、その上にかき揚げをひとつ乗せた。
双葉の祖母が作ったかき揚げは、表面の衣はサクサクしており、よく熱の通った中の玉ねぎは、双葉が嬉々として話していた通り、甘くてトロトロだ。
久し振りに噛み締める“家庭の味”に、思わず満たされた唸りが零れる。
多幸感を味わう度に思い浮かぶのは、やはり双葉の顔だった。
これまでに不都合が無かった為、連絡先すら聞けていない。日向の中の焦りは、日増しに色濃くなっていた。
つい癖のように持ち出してきたが、献立を考えていなかった。
電子レンジの上を一瞥する。そこには、先程出来たばかりの玉ねぎのかき揚げが二つある。
「……玉ねぎ食べすぎかな? たしか食べすぎもよくないって言ってたっけ」
いつかに聞いた双葉の言葉を思い出し、洗った玉ねぎを真空包装する。
早茹でが売りのうどんを熱湯に放り込み、日向は機械的に菜箸を揺らした。
――――一ヵ月後には、玉ねぎを貰う事も無くなる。
その事実がどうしようもなく悲しくて、また涙が零れそうになった。
日向の意識を逸らすかのように、タイマーが鳴る。市販のだしを薄めたつゆの中にうどんを投入し、その上にかき揚げをひとつ乗せた。
双葉の祖母が作ったかき揚げは、表面の衣はサクサクしており、よく熱の通った中の玉ねぎは、双葉が嬉々として話していた通り、甘くてトロトロだ。
久し振りに噛み締める“家庭の味”に、思わず満たされた唸りが零れる。
多幸感を味わう度に思い浮かぶのは、やはり双葉の顔だった。
これまでに不都合が無かった為、連絡先すら聞けていない。日向の中の焦りは、日増しに色濃くなっていた。
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