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Episode-5
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翌日、アミエルの体調は明らかに悪化した。
当然のことだった。彼女は医者に外出を禁じられていたのだから。
苦笑しながらも激しく咳き込むアミエルを置いていくのは気が引けたが、人手不足の今、仕事を休むわけにはいかず、ベルネは渋々家を後にした。
昨夜のあれは、夢じゃなかった。
濡れそぼった人工植物や、雨が降った後の独特な匂い、湿った地面と空気が、真実だと教えているようだ。
既に晴れ渡っていたが、夜から朝方にかけて降り続けた雨の余韻を子供は楽しみ、大人は今でも信じられない、と言いたげな顔で景色に首を巡らせていた。
施設に入るなり、職員がベルネの肩を抱え、宇宙人でも目撃したかのような顔で言った。
「昨日の雨すごかったねぇ! 降水量が過去最大とかって、さっきニュースでやってたよ!」
「……本当にびっくりしましたね」
「昨日の朝起きた地震が影響しているみたいだよ」
「地震……」
やっと腑に落ちた。
大規模な災害が、この町にも異常気象を齎したのだ。
それは此処だけではなく世界各地で起こったらしく、何処も彼処も同じ話題で持ちきりだった。
当然のことだった。彼女は医者に外出を禁じられていたのだから。
苦笑しながらも激しく咳き込むアミエルを置いていくのは気が引けたが、人手不足の今、仕事を休むわけにはいかず、ベルネは渋々家を後にした。
昨夜のあれは、夢じゃなかった。
濡れそぼった人工植物や、雨が降った後の独特な匂い、湿った地面と空気が、真実だと教えているようだ。
既に晴れ渡っていたが、夜から朝方にかけて降り続けた雨の余韻を子供は楽しみ、大人は今でも信じられない、と言いたげな顔で景色に首を巡らせていた。
施設に入るなり、職員がベルネの肩を抱え、宇宙人でも目撃したかのような顔で言った。
「昨日の雨すごかったねぇ! 降水量が過去最大とかって、さっきニュースでやってたよ!」
「……本当にびっくりしましたね」
「昨日の朝起きた地震が影響しているみたいだよ」
「地震……」
やっと腑に落ちた。
大規模な災害が、この町にも異常気象を齎したのだ。
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