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序章の序章

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昔、人々からたいへん恐れられた暗黒騎士が居た。
ある時は村の食料と女を全て奪い、挙句焼き払い。
ある時は魔王軍幹部を引き連れ総指揮を取り国を一つ壊滅に追い込み。
ある時は一騎で国王軍騎士先鋭部隊千人以上を薙ぎ倒した。
そんな数々の恐ろしい伝説を残した暗黒騎士は、ある日を境に姿を消した。
その暗黒騎士は今・・・・・・。
 
 
聖騎士となっていた。
 
「見て!カルマさんよ!」
「ほんとだ!カルマさんだ!」
彼の名はカルマ=アルダン、長めの金髪と同じ人間とは思えないと評判の美しい顔をしている青年で、更にこの国、聖ガルシア王国一の騎士と呼ばれる聖騎士でもある。
その名前は国王の耳にまで届いておりこの国では有名人である。
だが、カルマは市民に、政府に、国王に、国に大きな嘘を付いている。
その大きな嘘とは。
 
『私の父は聖騎士王で母は協会のマザー、生まれた時からこの王国に住んでいていつかあの魔王軍を打ち倒す為に幼い頃から聖騎士になる事を夢見ていた。』だ。
全くの大嘘というか真逆である。
彼の生まれは魔王の国の暗黒騎士王の父とトロールの母の子で生まれた時から父に憧れ暗黒騎士を目指し、いつかこの世界全ての王国を滅ぼしてやろうと思っていた。
そして、成長するにつれ暗黒騎士になり、なって二年も経てばまさに暗黒騎士っぽく傍若無人っぷりを存分に発揮し、奪い、争い、支配していた。
だが、色々あって聖騎士となってしまい、思考が正常化し始め、初めて王都で自分の話を聞いて。

 
とても・・・・・・困っていた。
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