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旅路

ソルドの冒険者ギルド sideカイル

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突然ギルド内が騒がしくなった。王都のスラム街を整備して溢れた者を開拓団に入れて耕作地を増やすという政策を突然国が言い出したからだ。
「大変です。王都の北部ギルドマスターが突然ギルドを離れて開拓団に参加するという連絡が来ました」と受付にいたソフィアが慌ただしくノックもしないで部屋に入ってきた。
俺とガントとは同期でギルドの職員になったが、研修で会う以外別のまちのギルドに所属しているため会うことがなかった。
「どこの開拓団に参加すると聞いた?」と聞くと
「北部開拓団です。最初の目的地はこのソルドですから一度は顔を出してくれるでしょうね」と期待の目で見ていたが、渡された書類を見ると一癖も二癖もある連中が入っているのに気がついた。
「こいつら絶対移動の途中で何かやらかしそうだな。急いで北部ギルドに連絡を入れないと」というと
「誰ですか?」とソフィアが書類を覗き込んできた。
「この5人だ。最近王都から流れてきた冒険者達からの情報だと素行の悪い貴族と付き合いがあるらしい。子供達や従魔が危ないんだ」というと
「そういえばブラックリストに上げるかと話していたパーティですよね。そういえば彼らはいつ出発ですか?」
「明日の昼だそうだ」そう言ってギルド間で連絡が取れるてんい箱を使って連絡を入れたが、一足遅くガントには連絡が取れなかった。



4日後、大勢で門を潜ろうとすると一般の人たちに迷惑をかけるということで王都より門の外に仮設の検問所を作って受け入れる人数と野営をする人数などを確認するように門番通達が来ていたらしく門の外で受付をしていた。
「すみません。領主様の使いという方がいらしているのですが」とソフィアが言うか言わないかで横柄な男達が
「邪魔をする。今日王都より開拓団の一行が着いたと聞いたのだが、こちらには情報が来ていないか?」と言って入ってきた。
「あなた方は?」と尋ねると
「私はこの街を統括するゲルグという者だ。ご領主様より開拓団を歓待せよとの命令が出ているのだ。速やかに情報を開示せよ」めんどくさいことを言いやがる
「先ほど着いたと連絡はありましたがどこにおられるかはわかりません」と答えると
「では門の近くにいれば会えるのだな。急いで向かおう」と後ろにいた2人に声をかけると慌ただしく出て行った。
「いったい誰を迎えに行ったのですか?」とソフィアが聞いてきたので
「多分元第3王子あたりだと思うよ」そういて先日見ていた開拓団参加リストの中からそれらしき人物を指した。
「なるほど。確かに王族である限り歓待しなければ問題ありと思われると思ったのでしょうね」実際は王籍離脱をしているため一介の冒険者なのだが…
「後、先日開拓団に参加したいと言ってうちに紹介を頼んだパーティはどう致しますか?」そういえばその問題もあったんだった。
「彼らにも門の近くで待たせておけ。うまくすれば合流することもできるし、話をしやすくなると思うぞ」そう言って5人組のパーティに必要最低限の情報を渡した。
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