あやかし診療所〜明日は所により唐傘お化けが必要でしょう

コリモ

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1章 雨の日は足元に注意

カルテ 2 雨降り小僧と河童 1

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ここ数日カラカラ天気が続いて今日も30度越えを記録した夕方
「すいません開けてもらえますか?」と玄関先で声が聞こえた。
急いで玄関へ行くと二人の妖がへたり込んでいた。

「大丈夫ですか?すぐに中に入って涼んでください」そうサヨリが言って扉を開いて中に招き入れると
「僕はまだ仕事があるので。その代わりこの子をお願いします」そう言って一人外に出て行こうとするので、
「その前に診察をさせてもらうよ。この問診票に必要事項を書いてくれるかな?」そう言って問診票を二枚渡した。
「僕はなんでもないのでとにかくこの子をお願いします」そういうので
「その割には君の仕事がうまく行っていないようだね。一応不調についても調べるよ」そう言って改めて問診票に必要事項を記入してもらうと
「僕が何者かわかっているということですね。僕はヘタッピだからうまく雨を降らせられなくてこの子達にも迷惑をかけてしまったのです」そう言って診察台の上で横になっている子のフードを外した。
頭の上に小さなお皿が確認できたので急いでお皿に水を少しずつかけてやった。


暫くして河童の子も元気が出たらしく、
「ありがとうございます」そうお礼を言われた。
「他の仲間はどうしたんだい?」そう問診票を見ながら確認すると
「みんな他の場所へ移動したり、消えていきました。この辺りに残っているのは僕だけです」と答えた。
「そうか。行くあてがないのならここにいるといい。その前に、雨振り小僧くん。君の状態を確認するから其処に横になってくれるかな?」というと
「とにかく急がなければならないんです。このまま行くとゲリラ豪雨を起こしかねないんです」と外に行こうとするので
「ひとまず妖力の回路を確認するよ」そう言って彼の額に手をかざすと、やはり途中で循環が悪くなっており、うまく発動できなかったみたいだ。
「ちょっと待ってね。このままじゃあうまくお仕事がでいないからこの処方箋どうりやってみて」とサヨリが簡単な対処法を書いて手渡した。
「その前に妖力の調整をするね」そう言ってかざした手から軽く妖力を流し循環をスムーズにすると
「凄い!!体が軽くて現在状況が手に取るようにわかります」そう言って外に出るや否や夕立とともに雷が落ちた。雨の中小僧は歌を歌いながら消えて行った。

「やっぱり彼がこの地域の雨降り小僧だったんだ」とサヨリがポツリと言った
彼らは担当地域を持っているので、異常だとわかっていても手が出せない。結局自分で解決するしか手立てがないのだ。
暫くすると夕立もやんで外に出てみるときれいな虹が東の空に出ているのが見えた。
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