あやかし診療所〜明日は所により唐傘お化けが必要でしょう

1章 雨の日は足元に注意

カルテ 3 台風と猫又2

一夜開け、台風が過ぎ去り、人間界側の店舗もなんとか被害が無く安心した。

「申し訳ありませんでした。怪我をしていた俺をここまで運んでくれたそうで」普段使っている母屋では無く店舗側の居間で河原で保護した 人間達也がそう言って来た。
「いいえ。あそこに住み着いている野良猫を保護するために行ったら、たまたま倒れているのを見つけて連れ帰っただけですから」そう言って気にしないよういうと横からハヤテが尻尾で合図を出して来た。
「ところでなぜ台風が近づいているとわかっていてあそこに？」と聞くと
「実はこいつらのことが気になって迎えに行ったつもりがすべって転んでその後の記憶がないんです。本当にありがとうございました」なるほどこいつらのために危険を冒してまで河原にきてくれたんだ。
「もしよろしければこいつらの誰かをもらっていただけませんか？」そう話すと
「実は俺ペット不可の物件に住んでいるんです。そのため、こいつらを引き取りたくても引き取れないんです」と悲しげにちび達を撫でていた。
どうしょうもない人間界の起きてである以上彼もその掟に従わなければならない。どうしたものか悩んでいると
「もし良ければうちの2階を使いませんか？」とサヨリが唐突に声をかけた。
「あのう、嬉しいのですが、お二人が住む場所がなくなるのでは？」と聞いて来たので、
「大丈夫この奥に別棟があって、そこにうちらは住んでいるから。食事はこの居間で好きなときにとるスタイルでどうかな？」もう押せ押せ状態のサヨリに彼は
「一度借りているアパートの状態を確認してから決めますね。その間こいつらをお願いします」と頭を下げられたので
「大丈夫よっぽどでない限りここからは出さないよ。今回の台風かなり強烈だったから急いで確認したほうがいい」そう言って彼を送り出した。


結局住んでいたアパートは倒壊は免れたものの、ガラスなどが割れて生活ができない状態のため、達也はうちに下宿することになった。もちろん河原にいたハヤテ達と一緒に





余談だが、イズモはやっぱりイズモだった。いったいあの台風の日に勇気を出して出て来た彼はどこへ…