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第2章隣町にて

襲撃の理由

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ギルマスの部屋に入ると、知らない天使族の人が立っていた。
「おかえり。で、そこにいるのが、今日襲ってきた人物かい?」とギルマスに聞かれて
「ハイ。ゴブリンとオークの計30体もいる集団に襲われてました。草原の上、コロニーがあるとは一言も聞いていなかったので、不審に思っていたら、トムがこのものを連れてきました。テイマーのスキルを持っているらしく、彼女を拘束しました」
「「「へ彼女?」」」どう見ても中性的で断定できなかったのだが、トムやエミーにはわかったらしい。
「本来の姿に戻ってもらえるかな?多分この方は君の上司だろ」そうモリーが言うと、彼女は頷いて隠蔽を解いた。


「……………なんで同族を攻撃するの?」と聞くと
「違う!ガントが捕まったと思ったから」
そう彼女は天使族だったのだ。やはり他の土地で襲撃にあったり、奴隷に落とされた仲間が多くいるらしく、ガントも同じだと思ったらしい。
「すまん。こちらから連絡を入れておくのが遅れてしまった。本来、こちらに派遣されるのは2人1組なのだ。しかし合流が遅れて、危ないところをあなたたちに救われたということを、サマンサはしらなかった。すまなかった」と上司である天使族の人に言われた。
「ということは、本当に襲撃犯はあの4人が主犯と思っていいのですね」とモリーが聞くと
「ああ。大丈夫だ。あいつらの独断で行われたものらしい。クレア殿、このまま2人で調査をさせるより、このものたちと一緒にしばらく行動させてはいかがでしょう。このものたちなら安全です。」ギルマスに目配せで隠蔽などを解くよう指示されたので全員解くと、
カリエは角を持つ悪魔族に、モリーとケリーは猫獣人、トムは人狼。そして一番驚いたのが、エミーの天使族だった。
「あなたはもしかして、バーグマン家のご息女では?」とクレア様が聞くと
「家名は知りません。ただのエミーです」と答えた。
「そういえば聞いたことがある。地上に恋をして、戻ってこなかった天使族がいると。そんな馬鹿な仲間がいるものかと嘲笑ったことがあったが、その子孫?」とガントが言った。
「人の親を馬鹿にしないでください!!」どうやら2人で地上に降りた際、この土地を気に入り居ついてしまったらしい。
「ひとまず、あなたのご家族は?」とクレア様が確認すると
「私をカリエの家に預けた後、どこにいるのかわかりません」
「そういえば80年程前、地上に向かって2人の捜索隊が新たに出発している。何か覚えはないか?」
「多分、私の力が初めて発動したときかもしれません。その後すぐにカリエのうちに預けられましたから」
ちょうど私が4歳のときのことだ。



ーーーーーーーーーー(回 想)ーーーーーーーー
父が突然「カリエラ、お前のお友達になってくれる人を連れてきた。仲良くするように」と紹介してくれたのがエミー。
当時私は魔力制御がうまくいかなくて暴走しっぱなしだった。
制御の方法も、扱い方もわからない私に誰も近づけなかったのに、エミーだけがそばに来てくれた。
「大丈夫ですよ。落ち着いて、一緒に制御の方法など覚えていきましょう」そう言って手を差し伸べてくれた彼女は白い翼を持っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後、エミーは翼をしまってしまい、幻を見たと思ってすっかり忘れていた。確かエミリア・バーグマンって父が言っていたような…


「私は、カリエの家に預けられた時に家名を捨てました。父や母が探しに来てくれるか、迎えに来てくれるまで家名はいりません」そうエミーは言ってくれた。
「一応上の方には内緒にしておきますので、見つからないようご注意ください」そうクレア様はいうと
「アーサー殿、この話受けさせてもらいます。このもの達だけでは心もとないが、これだけ種族が色々いるパーティなら問題ないでしょう。エミー殿、モリー殿よろしくお願いする」そう言って、クレア様は帰って行った。
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