悪役同士の開拓生活

コリモ

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プロローグ

王城にて2

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どう考えても国王陛下の話が先だったのでこちらを題名変更しました
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sideジェームス

結局、二つの婚約破棄(解消?)について王城での話し合いになった。
なぜこのようなことにと思っても仕方がない。自分で言ったらしい。ダンスパーティの時の記憶が全くないのだ。
「殿下。皆様が謁見の間にいらっしゃいましたので、来るようにとの国王陛下のお言葉です」とわたしつきの近衛兵が声をかけてきた。
「わかった。では行こう」そう言って自分の部屋を離れ、謁見の間に入ると、オーガスト公爵一家とメルク子爵一家そしてクロス男爵一家が揃っているところに戸惑いながらわたしは入って行った。
「お待たせいたしました。お集まりいただいてありがとうございます」そう言ってマリアの横に移動した。
「さて。お前に聞きたいことがあるのだが、このクリス・ミディー・オーガスト公爵令嬢と婚約を解消して、そのマリア・クロス男爵令嬢と婚約したいと申したそうだな」と父である国王陛下に問われたので
「申し訳ございません。記憶がはっきりしていないため、確認いたしましたところ、確かに婚約破棄を告げておりました」と申し上げると
「では聞くが、何故クリス嬢ではなく男爵令嬢を当日エスコートしたのだ?」
「実はクロス男爵令嬢であるマリア嬢は、婚約者が誰だかわからないと私に助けを求められておりました。その前にもメルク子爵令息であるカイル殿からも贈り物などの相談を受けていたため、わたしがダンスパーティー当日引き合わせる手筈になっていたのです」
「本当か?メルク子爵令息」
「殿下に悩みを打ち明けたのは確かです。しかし、解決方法がいまいち効果がなく諦めてもう一度自分から動くことにしたのです」
「すまん。しかし、この間わかったのだが、クロス男爵令嬢は匂いに敏感だそうだ。そこまでちゃんと把握していたのか?」と聞くと
「まさか。そんなことわかっていたらもっと香りの柔らかい花をチョイスしていました」
「それに自分が婚約者のカイル・ジャン・メルクである事を話したのか?」
「自分が婚約者だとは話していますが?」
「名を名乗っていない」
「…」
「その上、婚約者だと言って、まだ社交界デビュー前の女性にドレスを沢山贈ったりしていたらしいな。髪飾りはいつも同じものを合わせて」
この話を聞いてクリス嬢は呆れた目でカイル殿を見ていた
「何を贈ったら喜ぶかわからなかったんです。ちょうど似合いそうな髪飾りやドレスを見つけて買い求めていただけです」
「それ、ストーカーって言うらしいですわよ」と王妃である母上がいった。
「発言をお許しください」とマリア嬢がいうと
「よろしい許可をする」と父上が言われたので
「ありがとうございます。本当に婚約者だとしかおっしゃらなくて、二人きりでのお出かけが怖かったのです。そのため、花束や髪留め、着る機会がないドレスなどどんどん部屋に溢れていまいそうになるくらい。仕方がないので、きれなくなったものや流行から外れたものは中古品を扱うお店に。花は匂いを嗅ぐことのない場所へ持って行ってもらったり、ドライフラワーにしてもらって飾っております。髪留めはもったいないので、わたしように3点。それ以外は侍女に処分をお願いしました」
「なるほど。それで?」
「あまりにも婚約者としてふれ合わないで物だけを貰い続けるのは良くないと思い、殿下が声をかけてくださったのを機会に橋渡しをお願いいたしました」
「顔合わせはしたのではないのか?」
「当時のカイル様はかなりふくよかで、今のようになるとは全然想像もつかなかったのです。その上、男性らしい声をされたために同一人物とは…」
「そなたたちの婚約は幼き時であったな。学園に上がるまでに会う機会はなかったのか?」
「はい。当時私は婚約は白紙になっていると思っていたこともあり、気にも留めておりませんでした」
「なるほど。そなたたちのことはあいわかった。でクリス嬢、そなたの意見は?」
「私といたしましては、このまま婚約を白紙にしていただきたく存じます」
「ジェームスよそなたは?」
「一度口にした事を覆すわけにはいきません。白紙にさせていただきたく存じます」
「双方の意見はわかった。カイルよそなたはどうしたい?」
「話し合いを持つ前の問題でした。一度白紙にさせていただきたく存じます」
「マリア嬢は?」
「はい一度白紙に戻していただきたく存じます」
「各家もそれで良いのだな」と聞かれたので公爵様が代表として
「依存はございません」と答えた。
「ではこの後についてもわたしが決めさせてもらう明日同じ時間に集まるように」そう言って部屋を出て行った。

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