悪役同士の開拓生活

コリモ

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開拓地へ

閑話 送り出す側1

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sideガイアス陛下(ジェームス父)

これでよかったんだ。考えても考えても答えはこれしあない。そう思ってしまった。今回の騒動はジェームスたちの婚約破棄騒動に隠れていたもう一つの婚約破棄が目的で起きた騒動だったが、これによりそれぞれの嫌な面を見てしまっては、他の婚約者も探しづらい。その上、きちんとした罰を与えないと、各家に傷がつく。だから婚約破棄騒動を起こしたものたちを貴族籍を剥奪して、過去を誰も気にしない開拓団にいれれば醜聞を気にしなくて良い。それなりに成果を上げることができたものを准男爵にする方法はある。そして、別々の開拓団に入れることで軋轢も起きることがない。どうか元気で皆の名前を王城で聞ける日が来る事を願うしかない。


sideジード・ジャン・メルク子爵(カイル父)

最終的に廃嫡になってしまったが、最初に考えていた開拓団への参加が認められたのはよかった。しかし、家の領地から遠い開拓団に入れられたのはいささかびっくりだ。仕方がない。
「おい誰かスイ・レイ・マーサの3人を呼んでくれ」そう声をかけて2~3分後、
「お呼びでしょうか旦那様」そう言って3人をつれてジョンが現れた。
「すまんな。今日国王陛下の裁定で、カイルが廃嫡の上開拓団に強制参加となった。そなたたち3人とも冒険者をしていたな」と問うと
「はい。こちらにお世話になる前から活動をしておりまして、今はBランクになっております」とマーサが代表で答えると、
「年はカイルとそんなに変わらなかったな」
「はい。私で4歳年上、レイが同い年、スイが2年下でございます」
「それは開拓団の要綱にぴったりですね」とジョンが言うので
「ああ。そなたたち、1週間休暇を与えるので、冒険者ギルドに行き開拓団へ志願してこい」と言うと
「まさかこの間のつまみ食いがばれた?」「いいや掃除の時誤って花瓶を壊したのがバレたかも」と不穏な空気になってしまった。それはそれで叱らなといけないが、
「違う。カイルとジェームス君とマリアさんを助けてほしいのだ」と言うと
「びっくりしました。まさか解雇になるとは思わなかったので」
「旦那様ごめんなさい。一応《修復》で直しておきました。でもあの二人につくのは嫌です」
「同じくすいませんでした。それにカイルぼっちゃまと離れたくないです」とそれぞれに口にしたので、
「そう言うな。本来カイルがしっかりとマリアさんと交流していれば起きなかったすれ違いだ」
「まさかの冒険者をオススメしたのが仇になるとは」
「…仕方がないだろう。私もこういうことになるとは思わなかったのだから。報告書を見ても、かなり的外れな事をしていたみたいだしな。裁定が降ったあと、メリアさんを含めて4人は和解している。話し合ってどの開拓団に参加するか決めてくれ」そういうと
「わかりました。ではメリアさんについてはどうされますか?」と聞かれたので
「公爵家で見つけているはずだ」
「了解いたしました。では準備などがございますのでお側を辞させいただきます」そう言って3人は出て行った。

その後開拓団が出発する前日ジョンが3人を連れてきた。
「旦那様。少しよろしいでしょうか」そう声が掛かったので
「いいぞ入ってくれ」と声をかけると
「お時間を頂きありがとうございます。それぞれ派遣される開拓団が決まりましたので、報告と退職のご挨拶に参りました」というので
「どうなった?」
「個人では受け付けないと言われ、パーティごとの参加として申請を受け付けると言われたため、東の森開拓団に所属することになりました。これまでお世話になりました。ぼっちゃまについては冒険者仲間としてサポートさせていただきますのでご安心ください」
「そうか。無理をせず、頑張ってくれ。あと、これは私からの選別だ」そう言ってカイルと同じ装備を一人ずつに渡した。
「これは?」
「マジックバックだ。必要なものが最低限1年間分入っている。うまく使う事だ」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
「カイルには話したのか?」
「これからです。そのあと、集合場所の近くの宿に泊まるつもりです」
「そうかこれは宿代だ。どうか元気で」そう言って3人に退職金替りの宿代10日分と携帯食を出した
「ありがとうございます。ここまでしてもら得るとは思っても見ませんでした」
「気にするな。無理に退職してもらってカイルについて行ってもらうのだからこれくらいさせてくれ」そう言って別れを惜しんでいると
「あまりこちらで話し込むと、カイルさんが出ていかれますよ」とジョンに言われて3人は
「お世話になりました」
「近況報告を送りますね」
「美味しいものを見つけたら報告します」とそれぞれ言って出て行った。
「この家も代替わりをするべきかな?」とジョンにいうと
「良い頃合いかもしれませんね。ジェシカ様にはお伝えされますか?」
「ああ。呼んでくれ」そういうと玄関の方でざわめきが起きているのを感じたので玄関へくと
「「「「では子爵様お世話になりました」」」」そう言って4人は出て行った。
見送りの中にジェシカもいたので、
「ジェシカ、そなたに子爵位を譲ることにした。このあと執務室へ来てくれ」と伝えて爵位の譲渡についての書類を作成をしに執務室へと入って行った



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