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第13話
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久賀の秘密を知って三日。ヤツは学校をサボりやがった。
あの夜。
悔しいやら意味も分からず悲しいやらで、イライラムカムカする気持ちを自室を荒らす事で紛らわし、姉に騒がしいと怒られ、荒らした時間の約三倍かかって部屋を片付け、逆切れ混じりに久賀を罵倒した頃には既に真夜中だった。
そして、再び姉に怒られた。
ベッドの上で悶々と、アレやコレやキスやらの事を考え、最終的に辿り着く『久賀とはお友だち未満だぜぃ』という答えに激しく落ち込み、笑顔で拒否られたことに落ち込み、笑顔に騙されていたことにも落ち込んだ。
落ち込み過ぎて、埋まるのではないだろうか。
翌朝。
睡眠不足な目を擦り、だらだらと学校への道のりを進む。
昨日の今日でどんな顔をすりゃぁ良いのかと、内心ドキドキハラハラしながら登校すると不整脈の原因であるKくんはお休みだった。
むっとするような、ほっとするような、微妙なカンジ。
その日は俺の脳みそも軽くスト状態だったので、却って良かったのかもしれない。
家に帰り着く頃には、頭の中もちょっとはマシになって、取りあえず久賀を一発殴った後、この間のことを謝って貰おうと決意した。
そう言えば、取引の内容を決めとけつってたなぁ。
ベッドに入って天井を見上げながら、思考する。
取引か、取引ね。
確かに、先にバラすぞって脅したのは俺だけどさ(売り言葉に買い言葉じゃないけど、つい言ってしまった言葉だ。一度吐いた言葉は取り消せない。気をつけよう)それにしても、ダチなんだから理由を話してお願いしてくれたら、秘密にしてやるのになぁ。
ウリに賛成するわけじゃぁなくて、ただ秘密を守るだけなら。
(あ……ダチだと思われてなかったか)
もしくは、お互いに弱みを握って取引しなけりゃぁいけないくらい、信用されてないか。
両方だ。
「やっぱ、最低だ」
くるりと寝返り壁側を向いて目を閉じた。
明日会えたら、一発殴って、謝って貰って、もう一度、ウリを止めるように説得してみよう。
通帳の残高を頭の中に思い浮かべ、バイトをしようと決意した。
ちゃんとしたバイトを一緒にしないか?と誘ってみよう。
無利子で金は貸してやるからさ、あんな事しなくても生きていける方法を探してみよう。
甘い考えだけど、実行してもいないで諦めるなんて、ダメだよな。
決意を胸に、一日目が終わった。
二日目。
前日の夜の決意を胸に、勇んで学校へと向かった。
朝の挨拶を交わす友人たちに「どったの尾上。なんか背中燃えてね?」と首を傾げられた。
「燃えてる」
「青春?」
「ある意味で!つか、久賀は来てる?」
「リュージ?さぁ。まだ見てねえけど」
礼を言って、どかっと自分の席に座った。
腕組みをし、斜め前を睨みつける。昨日は誰も使用しなかったそこが、ヤツの席だ。
さぁ。来てみやがれ。といつもより若干早く登校した俺は、険しい目で空席を睨み、クラスメートたちは何があった?と互い顔を見合わせた。
そして、始業ベルがなる。
試合は不戦勝。いや、勇んで来ただけにある意味俺の不戦敗。
殴る。
↓
久賀が三つ指ついて謝罪する。
↓
寛大な輝さんは、愚かな子羊を許す。
↓
輝サマの心の広さに。久賀さん感動。感謝感激あめふらし……あれ、なんか違うがまぁいいや。
↓
あやしいバイトをやめる方向に話を持って行く。
たぶん完璧なシナリオだ。多分。不安だから二回言った訳では……ある。
しかし、実行にはうつせない。
あのヤロウ。学業を疎かにするとは良い度胸じゃないか。と、先日のことで頭がいっぱいで、授業内容などまともに頭に入ってこない自分を棚に上げ、姿を見せない友人を責めた。
明日こそは絶対に殴ってやると、もはやバイトを止めるように説得するよりも、殴ることがメインになりつつイライラの二日目が終わり、翌日の三日目。
一限目の授業が始まると同時に、机に突っ伏してストライキ。
古典や数学や日本史の先生たちに非があるわけではないのデス。悪いのはあの男だ。
(なぁぁにぃぃがぁぁあ『また明日な』だっ、嘘つきがぁぁあっ!!!!)
握り拳をつくり、叫びたいのを必死に堪える。
一発ではなく二発にしようと、ぶん殴る回数を増やして、ぎりっと奥歯を噛み締めた。
ふつふつと煮えたぎる怒りも、四限目が間もなく終わるという頃には落ち着いて、今度は逆に不安になった。
久賀龍二は決して真面目な部類の人間ではない。しかし、三日連続で授業をサボるような男でもない。
最初は、例のアレが気まずくて来れないのかな、なんて考えたが、気まずいのは自分であってヤツではない。
あれが、あのふてぶてしい、飄々とした、へらへらアハハにやにや男が(最後はよく分からないけど、まぁいい)あんな事くらいで学校に来れないとかあり得ない。
あの夜。
悔しいやら意味も分からず悲しいやらで、イライラムカムカする気持ちを自室を荒らす事で紛らわし、姉に騒がしいと怒られ、荒らした時間の約三倍かかって部屋を片付け、逆切れ混じりに久賀を罵倒した頃には既に真夜中だった。
そして、再び姉に怒られた。
ベッドの上で悶々と、アレやコレやキスやらの事を考え、最終的に辿り着く『久賀とはお友だち未満だぜぃ』という答えに激しく落ち込み、笑顔で拒否られたことに落ち込み、笑顔に騙されていたことにも落ち込んだ。
落ち込み過ぎて、埋まるのではないだろうか。
翌朝。
睡眠不足な目を擦り、だらだらと学校への道のりを進む。
昨日の今日でどんな顔をすりゃぁ良いのかと、内心ドキドキハラハラしながら登校すると不整脈の原因であるKくんはお休みだった。
むっとするような、ほっとするような、微妙なカンジ。
その日は俺の脳みそも軽くスト状態だったので、却って良かったのかもしれない。
家に帰り着く頃には、頭の中もちょっとはマシになって、取りあえず久賀を一発殴った後、この間のことを謝って貰おうと決意した。
そう言えば、取引の内容を決めとけつってたなぁ。
ベッドに入って天井を見上げながら、思考する。
取引か、取引ね。
確かに、先にバラすぞって脅したのは俺だけどさ(売り言葉に買い言葉じゃないけど、つい言ってしまった言葉だ。一度吐いた言葉は取り消せない。気をつけよう)それにしても、ダチなんだから理由を話してお願いしてくれたら、秘密にしてやるのになぁ。
ウリに賛成するわけじゃぁなくて、ただ秘密を守るだけなら。
(あ……ダチだと思われてなかったか)
もしくは、お互いに弱みを握って取引しなけりゃぁいけないくらい、信用されてないか。
両方だ。
「やっぱ、最低だ」
くるりと寝返り壁側を向いて目を閉じた。
明日会えたら、一発殴って、謝って貰って、もう一度、ウリを止めるように説得してみよう。
通帳の残高を頭の中に思い浮かべ、バイトをしようと決意した。
ちゃんとしたバイトを一緒にしないか?と誘ってみよう。
無利子で金は貸してやるからさ、あんな事しなくても生きていける方法を探してみよう。
甘い考えだけど、実行してもいないで諦めるなんて、ダメだよな。
決意を胸に、一日目が終わった。
二日目。
前日の夜の決意を胸に、勇んで学校へと向かった。
朝の挨拶を交わす友人たちに「どったの尾上。なんか背中燃えてね?」と首を傾げられた。
「燃えてる」
「青春?」
「ある意味で!つか、久賀は来てる?」
「リュージ?さぁ。まだ見てねえけど」
礼を言って、どかっと自分の席に座った。
腕組みをし、斜め前を睨みつける。昨日は誰も使用しなかったそこが、ヤツの席だ。
さぁ。来てみやがれ。といつもより若干早く登校した俺は、険しい目で空席を睨み、クラスメートたちは何があった?と互い顔を見合わせた。
そして、始業ベルがなる。
試合は不戦勝。いや、勇んで来ただけにある意味俺の不戦敗。
殴る。
↓
久賀が三つ指ついて謝罪する。
↓
寛大な輝さんは、愚かな子羊を許す。
↓
輝サマの心の広さに。久賀さん感動。感謝感激あめふらし……あれ、なんか違うがまぁいいや。
↓
あやしいバイトをやめる方向に話を持って行く。
たぶん完璧なシナリオだ。多分。不安だから二回言った訳では……ある。
しかし、実行にはうつせない。
あのヤロウ。学業を疎かにするとは良い度胸じゃないか。と、先日のことで頭がいっぱいで、授業内容などまともに頭に入ってこない自分を棚に上げ、姿を見せない友人を責めた。
明日こそは絶対に殴ってやると、もはやバイトを止めるように説得するよりも、殴ることがメインになりつつイライラの二日目が終わり、翌日の三日目。
一限目の授業が始まると同時に、机に突っ伏してストライキ。
古典や数学や日本史の先生たちに非があるわけではないのデス。悪いのはあの男だ。
(なぁぁにぃぃがぁぁあ『また明日な』だっ、嘘つきがぁぁあっ!!!!)
握り拳をつくり、叫びたいのを必死に堪える。
一発ではなく二発にしようと、ぶん殴る回数を増やして、ぎりっと奥歯を噛み締めた。
ふつふつと煮えたぎる怒りも、四限目が間もなく終わるという頃には落ち着いて、今度は逆に不安になった。
久賀龍二は決して真面目な部類の人間ではない。しかし、三日連続で授業をサボるような男でもない。
最初は、例のアレが気まずくて来れないのかな、なんて考えたが、気まずいのは自分であってヤツではない。
あれが、あのふてぶてしい、飄々とした、へらへらアハハにやにや男が(最後はよく分からないけど、まぁいい)あんな事くらいで学校に来れないとかあり得ない。
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