うそつきな友情(改訂版)

あきる

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第28話

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 はじめに言っておきますが、ここは数年前まで由緒正しい私立の男子校だったのです。なんて、そんな腐的エロワールドは存在しないので悪しからず。

「りゅーちゃん」

 近づいてきた相手を見て、思わず口があんぐりと開く。
 おいおい、美少女ハダシ逃亡確定レベルの容姿ではないか。

 なっがい睫に、くりくりな目に、ふっくらした唇。
 すべすべお肌にほんのりピンクなほっぺたに、すらっとした首。うわっ、顔ちっさ。

 久賀の従兄弟の史さんはちょっぴり人外的な美しさの上に無表情だったので、精巧な人形のようで実はちょーっとだけ怖かったのだが、ツインテールさんは身近なアイドルってカンジでドキドキと緊張する。

 ……相手は男だ。俺っ、しっかり!

「りゅーちゃん、だいじょーぶ?ねぇ、何があったの?」

 顔が近いからっ!!

 至近距離。
 くりくりのおめめを向けられて、内心はキョドりまくりだ。が、視線は釘付けでどーにもならない。

 これで履いているのがズボンじゃなくてスカートだったら、状況も忘れて名前を聞き出していただろうな。
 そう思わせるくらい、目の前の人物は麗しい。

 まぁ、久賀とどっちか選べって言われたら、迷うことなく久賀さんに一票を投じるだろうけどね、げふんげふん。
 うん。自分に呆れるよ、マジで。

「トモピーすげぇ!」

 うっかりかかってしまった石化の魔法を解いたのは、大きくて明るい声だった。

 トモピーってなに?柿ピーじゃないよな。なんて、抜けてる頭で思う。

「今の見た?シーナ!ちょー凄くない?」

「真似するなよ、西河原にしがわら。短足には無理だ」

「ちょっ!誰が短足だ!俺は平均値なんだよ!平均身長でーす」

「平均身長≠短足という考えはいただけないな。胴長なら、身長が平均でも短足だろう」

「うわ。なんて小憎たらしい子なんでしょー!ひょろ男のクセに」

「ひょろ男は龍二だ。俺は脱いだら凄い」

「そんな情報マジいらねぇー」

 非常階段を楽しく(?)言い合いしながら降りてくる二つの人影。

 あわわ。これ以上、人数増えて良いのか。ダメだろう。
 手首の痕は、ぎりぎりセーフで隠れているが。どうする俺。

 とっさに頭に浮かんだのは【逃走】の二文字だ。

 保健室に行けば手首の事はバレるし、どんなに先生方が注意しても、噂は止められないと思う。
 おしゃべりや憶測や空想や過大広告が大好きな奴らはどこにでもいて、無自覚な悪意で人を陥れる。
 時には自覚ありきの悪意でだ。

 それでも物的証拠の【有る・無し】では多少の違いがある、と思う。
 まぁ、ヒトの悪意の前だと、噂がウソか真実かなんて事が全く意味を持たないなんてことも多々あるわけだが。

 それでも。思う。
 ここで生徒に、久賀のケガを見られるのは避けた方がいい。

 俺は久賀を助けたいから保健室に行くことを決意した訳であって、秘密をバラすために行動しているわけではないのだ。

 ウリを止めさせるために出来ることがあるならば、俺は精一杯の努力はする。
 でも、久賀が中傷や非難を受けるやり方は、やっぱり無理だ。

 どうやってこの危機的状況を回避しようかと、脳みそを一生懸命動かすが、悲しきかな、打開策なんてひとつも浮かんできやがらない。
 そうこうしている内に敵軍は増兵。
 進行経路を塞がれました。

「とうちゃーく。遅れてきたヒーロー!いぇい!」

「騒ぐな、鬱陶しい」

「あっれー!ちょっとりゅーってばどーしたのさ。おんぶなんかされちゃって」

「聞いちゃいねぇし。おう、そこのちっこいの。その背負ってるヤツを寄越せ」

 ヤンキーと不良の組み合わせ。

 同じ意味だろっていわれたらごもっともだが、俺の中ではちょっと違う。

 ヤンキーと表現した平均身長君は、ブリーチ頭。ピアス多数。腰にはジャラジャラアクセサリー。指や首にも沢山だ。重そうだな。
 深夜のコンビニ前で、たむろって通行人の邪魔をするのが仕事です。って感じ。

 不良と表現した脱ぐと凄いらしいヒトは、黒髪オールバック。着崩した制服に、右手の中指にシルバーのちょっとゴツ目だが派手すぎないデザインのリングが一つ。手首に黒い皮とシルバーを合わせたアクセがひとつ。
 鋭い眼光と、本人の言葉通りしっかりしたガタイの兄さんは、裏路地で喧嘩三昧。
 俺は群れるのは好きじゃねぇ。授業なんて受けてられるか、かったりぃ。ああ?喧嘩売ってんのか。いいぜ、買ってやるよ。死にたい奴からかかってきな。的な。

 うん、ごめん。あくまでも俺の第一印象です。
 あと、俺の勝手な主観です。

 しかーし出来れば関わり合いになりたくない種類のヒトタチだな。

 もっとも、俺が背負っているヒトは、真っ赤な髪の毛をしているわけですがね……。

 生徒の個性の尊重と自由性を重んじるこの学校は、成績さえ良ければ服装などがある程度自由で、式典時以外の私服登校も許可されていた。

 まぁ、半数以上が基本制服登校でちょっとしたアクセサリーなんかで個性を主張するくらいだが、中には和服で通う強者生徒もいたり、イベント時(バレンタインとかクリスマスとか七夕とか色々)にはコスプレ大会状態になったりもする。

 それを目当てに受験する者も毎年多いらしい。
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