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第29話
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因みに、成績が悪いモノには私服登校不可期間と鬼がつく補習授業が待っている。
ファッションの自由のために一部の生徒は猛勉強。
テストで65点以下45点以上は×ひとつ。鬼補習対象と再テストだ。×がひとつにつき一週間の補習をして再テスト。
(例えば、数字と現国でそれぞれ45~65点の点数だと、数学一週間、現国一週間の計二週間の鬼補習になる)
再テストでも成果が出なければ、再び補習。
44点以下だと、一ヶ月が暗黒……もとい、鬼に支配される事になる。恐ろしい。
つーわけで、鬼的高校生活なんて冗談じゃないと、特にファッションに興味ない生徒たちも勉強するわけですよ。ええ。
そんな訳で、見た目アレな不良さんたちだが、必然的に成績は悪くない、ハズだ。
実際に、ちゃらんぽらんでおちゃらけ、へらへら、ふよよんな久賀龍二は、俺より成績が上である。
どうせ俺は、いつでもセンターラインにいてますよーだ。容姿も普通……よりブサイクって言われたな久賀に、アレは地味に胸に刺さった、ちくしょぅ、てめぇはいいよなイケメンでよ。
白状すると運動は好きだが、飛び抜けて得意なスポーツがあるわけでもない。
平々凡々とは俺のことだよ、チクショウめ。
「ちっこいゆーなし。俺と同じくらいだろソイツ」
ヤンキーがブーブーと騒ぎ出す。
もっと言ってやって。
俺は確かに平均身長だ。
先に言っておくが、短足ではない。
「五月蝿ぇ。短足黙れ」
「だから違うって言ってんだよ、ゴリマッチョ」
「ゴリまではいかねぇ。程よく鍛えられた肉だ。何なら脱いで証明してやろう」
「いらねぇし!見ねぇし!あーたーまー沸いてんのかー」
「そうだな。お前は脱いだらウソが露顕するから出来ねぇもんな。俺が先に証明して、じゃぁ西河原も証明しろよってなったら困るからな。悪かったな、今の発言は無かったことにしよう。短足」
「むっきぃー!良いよ、脱いでやるよ!俺サマの華麗なるぷろぽーしょんの前に平伏して崇め奉ればればいいよ」
「あー、そうかよ」
突如始まった生着替え……ではなくては生ストリップ。
ガチャガチャとアクセをならしながら騒ぐ男子生徒二人(騒がしいのは主にヤンキーの方だが)をシカトして、美少女じゃなくてツインテールさんは必死に久賀に呼びかけていた。
状況の展開についていけず、呆気にとられて立ち竦む俺の足元に、ばばっと脱ぎ捨てられた上着が落ちる。
お次はズボンのボタンへと手を伸ばすヤンキーにハッとなり、力の限り叫んだ。
「こんな所で脱ぐなぁぁぁぁ!あと、病人がいる前でぎゃぁきゃぁ騒ぐんじゃねぇよ!!!」
はぁはぁと肩で息をする。
しんっと静まった空気に、そろりと顔を上げると、半裸のヤンキーと、脱ぐつもりは全くなかったらしく、一糸乱れずな不良と視線が合った。
うおっ。直情径行は時として災いのモトだ。
人生で関わり合いになりたくないベストスリーに、なんてコトしちゃったよ、オイ。
因みに、他の二つは「ヤクザ」と「警察」な。
「……うるせぇ」
空気が凍るような、冷たい声音が背後から発せられた。
「ヒトが折角、いい気分で寝てるのに……お前等、まとめて簀巻きにするぞ。トモ以外。それとな、尾上」
ああああ。背中に張り付く重い気配に、理不尽でも何でも良いから頭を下げたくなった。
すっと動いた手に、顎を掴まれて硬直する。
首にあたる息の熱さに、体がざわざわした。
「お前が、一番煩い。口、塞ぐぞ」
ぎゃぁあと心の中で悲鳴をあげながら、背負っていた相手を放り出す。
思わず隠れる場所を探すが、前門の虎=ヤンキー&不良。
後門の狼=寝起き最悪っぽい久賀龍二。
ああ、ダメっぽい。
どっちに向かっても勝てそうにない。
脱出経路は既に塞がれている状態だ、もう死ぬしかない。
この世は理不尽と無慈悲に溢れている。
救いはないんですね、神さまなんて俺は信じねぇ。
がしっと、首をホールドされて、ひっと小さな悲鳴を飲み込んだ。
「ちちちち、ちょま、待って落ち着こう!な?俺、まだ何もしてないし、誰にも言ってねぇからっ」
手首の傷も、ウリの事も。
言外にそう込めて、視線で訴えた。
にっこりと、綺麗な笑顔を浮かべる久賀の顔がすぐ側だ。
恐怖も忘れて見惚れたりするな、俺の阿呆。
「久賀ってもしかして寝起き悪いの?低血圧だろ。お前偏食激しいもんな、はは……はははっ」
うっとりするくらい綺麗な笑顔は、一ミリも崩れない。
従兄弟の史彦君とは似ていないけど、天使つっーより悪魔の微笑みだけど、俺は昨日よりも数倍ドキドキしていた。
昨日、大山がさ、久賀の従兄弟さんの美麗さに『男でもアレなら惚れるわ。あの笑顔のためなら死ねるってゆーのも納得』なんて事を言ってたのだけど、俺はそこまで惹かれなかった。
確かに、破壊力抜群の美しさだったけど、俺はコイツの笑顔の方が好きだな。と、そう思った。
ファッションの自由のために一部の生徒は猛勉強。
テストで65点以下45点以上は×ひとつ。鬼補習対象と再テストだ。×がひとつにつき一週間の補習をして再テスト。
(例えば、数字と現国でそれぞれ45~65点の点数だと、数学一週間、現国一週間の計二週間の鬼補習になる)
再テストでも成果が出なければ、再び補習。
44点以下だと、一ヶ月が暗黒……もとい、鬼に支配される事になる。恐ろしい。
つーわけで、鬼的高校生活なんて冗談じゃないと、特にファッションに興味ない生徒たちも勉強するわけですよ。ええ。
そんな訳で、見た目アレな不良さんたちだが、必然的に成績は悪くない、ハズだ。
実際に、ちゃらんぽらんでおちゃらけ、へらへら、ふよよんな久賀龍二は、俺より成績が上である。
どうせ俺は、いつでもセンターラインにいてますよーだ。容姿も普通……よりブサイクって言われたな久賀に、アレは地味に胸に刺さった、ちくしょぅ、てめぇはいいよなイケメンでよ。
白状すると運動は好きだが、飛び抜けて得意なスポーツがあるわけでもない。
平々凡々とは俺のことだよ、チクショウめ。
「ちっこいゆーなし。俺と同じくらいだろソイツ」
ヤンキーがブーブーと騒ぎ出す。
もっと言ってやって。
俺は確かに平均身長だ。
先に言っておくが、短足ではない。
「五月蝿ぇ。短足黙れ」
「だから違うって言ってんだよ、ゴリマッチョ」
「ゴリまではいかねぇ。程よく鍛えられた肉だ。何なら脱いで証明してやろう」
「いらねぇし!見ねぇし!あーたーまー沸いてんのかー」
「そうだな。お前は脱いだらウソが露顕するから出来ねぇもんな。俺が先に証明して、じゃぁ西河原も証明しろよってなったら困るからな。悪かったな、今の発言は無かったことにしよう。短足」
「むっきぃー!良いよ、脱いでやるよ!俺サマの華麗なるぷろぽーしょんの前に平伏して崇め奉ればればいいよ」
「あー、そうかよ」
突如始まった生着替え……ではなくては生ストリップ。
ガチャガチャとアクセをならしながら騒ぐ男子生徒二人(騒がしいのは主にヤンキーの方だが)をシカトして、美少女じゃなくてツインテールさんは必死に久賀に呼びかけていた。
状況の展開についていけず、呆気にとられて立ち竦む俺の足元に、ばばっと脱ぎ捨てられた上着が落ちる。
お次はズボンのボタンへと手を伸ばすヤンキーにハッとなり、力の限り叫んだ。
「こんな所で脱ぐなぁぁぁぁ!あと、病人がいる前でぎゃぁきゃぁ騒ぐんじゃねぇよ!!!」
はぁはぁと肩で息をする。
しんっと静まった空気に、そろりと顔を上げると、半裸のヤンキーと、脱ぐつもりは全くなかったらしく、一糸乱れずな不良と視線が合った。
うおっ。直情径行は時として災いのモトだ。
人生で関わり合いになりたくないベストスリーに、なんてコトしちゃったよ、オイ。
因みに、他の二つは「ヤクザ」と「警察」な。
「……うるせぇ」
空気が凍るような、冷たい声音が背後から発せられた。
「ヒトが折角、いい気分で寝てるのに……お前等、まとめて簀巻きにするぞ。トモ以外。それとな、尾上」
ああああ。背中に張り付く重い気配に、理不尽でも何でも良いから頭を下げたくなった。
すっと動いた手に、顎を掴まれて硬直する。
首にあたる息の熱さに、体がざわざわした。
「お前が、一番煩い。口、塞ぐぞ」
ぎゃぁあと心の中で悲鳴をあげながら、背負っていた相手を放り出す。
思わず隠れる場所を探すが、前門の虎=ヤンキー&不良。
後門の狼=寝起き最悪っぽい久賀龍二。
ああ、ダメっぽい。
どっちに向かっても勝てそうにない。
脱出経路は既に塞がれている状態だ、もう死ぬしかない。
この世は理不尽と無慈悲に溢れている。
救いはないんですね、神さまなんて俺は信じねぇ。
がしっと、首をホールドされて、ひっと小さな悲鳴を飲み込んだ。
「ちちちち、ちょま、待って落ち着こう!な?俺、まだ何もしてないし、誰にも言ってねぇからっ」
手首の傷も、ウリの事も。
言外にそう込めて、視線で訴えた。
にっこりと、綺麗な笑顔を浮かべる久賀の顔がすぐ側だ。
恐怖も忘れて見惚れたりするな、俺の阿呆。
「久賀ってもしかして寝起き悪いの?低血圧だろ。お前偏食激しいもんな、はは……はははっ」
うっとりするくらい綺麗な笑顔は、一ミリも崩れない。
従兄弟の史彦君とは似ていないけど、天使つっーより悪魔の微笑みだけど、俺は昨日よりも数倍ドキドキしていた。
昨日、大山がさ、久賀の従兄弟さんの美麗さに『男でもアレなら惚れるわ。あの笑顔のためなら死ねるってゆーのも納得』なんて事を言ってたのだけど、俺はそこまで惹かれなかった。
確かに、破壊力抜群の美しさだったけど、俺はコイツの笑顔の方が好きだな。と、そう思った。
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