うそつきな友情(改訂版)

あきる

文字の大きさ
41 / 135

side久賀1-8

しおりを挟む
 尾上はこう主張した。

 体調が悪いのにカラダを酷使するようなマネはさせられない。と。
 まして、高校生の手を縛りあげるようなヤツの所になんざ行かせてたまるか。と。
 そんなツラいことをさせるくらいなら、俺が買う。と。
 ああ。そーゆー思考だったのね。
 反吐がでそーなオキレイサ。でもさ、買うって言っちゃった時点で、他の客と同じだって分かってんの尾上くん。
 ま、どーでもいいや。

「いいぜ、買われてやんよ。お望み通り抱いてやる。そうと決まれば有言実行。さっさと壁に手ぇーついてパンツ下ろしてケツ上げろや。五分でイか……ぶっ!」

 ばしっと後頭部を叩かれて、掌でおさえた。
 カバンで叩かれた時より痛いのは何故かってーと、叩き方にコツがあってだな、芸人のツッコミとは真逆なカンジ。

 痛くないけど音はスゴイのが芸人さん。
 無音に近いのにちょー痛いのが優雅サマ。
 テクニシャンであらせられる。
 先に言っておくが、夜の勝負じゃ場数の関係で俺の方がやや上だから。

 そんな事より、叩かれた時に噛んだ舌が痛いんです、優たん。
 鉄の味がするのは気のせいって事でいいですかね?

「下品」

 簡素で冷たい一言をいただきました。
 そんな理由で人の頭をぽんぽん叩かないでくれないかな、優雅サマ。
 冷ややかな視線を向けてくる相手に、暴力反対と小さく呟く。

「そっ、そーゆー意味じゃねぇよ。エロバカ!」

 俺の台詞の意味をちゃんと理解していたらしい尾上は、真っ赤になって叫んだ。うるせぇ相手を見下ろしながら、じゃぁどういう意味ですかねぇ?と首を傾げた。
 この疑問が浮かぶのは何度目ですかね。
 言葉の意味を突き詰めて確かめるべきか迷い、面倒くさくて、諦めが勝つ。

「なんだ。お前が龍二に突っ込みたいのか」

 悪友の言葉に、思考がちょびっと止まった……いや、それはちょっと、想定外過ぎるぜ、優たん。
 いきなり何を言っちゃってるわけですかね。ないから、それはないからね?
 色々と、総合的にあらゆる視点からの考察を交えて推測してみた結果、有り得ないという答えがでましたよ。
 ほら。ワンコも目が点になってるよ?
 あまりにぶっ飛んだ発言だったから、俺の怒りもぶっ飛んだよ。ビックリだ。今のは軽く暴動起きるレベルの発言だったからね。誰が起こすかは知らないけど。
 あとさ、お前も十分下品だから。
 さっきのお返しに殴らせろやてめぇ。

 俺が仕返しの一発を繰り出す前に、目が点から立ち直った尾上が叫んだ。

「なんでそうなるー!テメェ等の脳内にはそれしかねぇのかー!」

 キーンと耳鳴りが起きる。
 コイツの声ってデカいよな。無駄に。
 ああ、うるさい。子猿か。

「ならどういう意味だ」

 と、容赦なく追及する優雅さま。
 わぁ。直球コースだ。
 俺には真似出来ないというか、真似したくない。
 嫌な予感がひしひしするわけでさ、全力疾走で逃亡しろやと第六感だか七感だかが告げているわけだよ。
 もう、理由だとか何だとか、その辺りのコトは曖昧にしたまま関係を断ち切った方が賢い気がする。
 そんな内に秘めたる友人の葛藤なんざお構いなしで、オレサマ優雅は視線だけで尾上を追い詰めた。
 ちなみにこっそり逃げ出そうとしたけど、尾上は手を離してくれないし、なぜだか優雅には然り気無く退路を遮られた、何がしたいの優たん。

 二人の間に挟まれた形になっている俺は、「ちょっと、そのワンコをイジメるのは俺の役目ですよ?」なんて阿呆な事を危うく口走る直前で思いとどまり、脳みその疲れ具合にげんなりする。

 シリアスな雰囲気が悪い。
 それを敬遠するがゆえに、ついつい気が抜けそうな軽口ばかり思い浮かぶんだよ。
 心にもない事ばかり。多分ね。

 左手が自由だったら、優雅の首根っこひっつかんで愛の逃避行……じゃなくて、愛がない逃避行をかましていた。
 いっそ一人っきりも清々しい。
 対峙したけりゃ二人で好きなだけやってろよ。
 俺のことは気にするな。
 豊満な胸のベッドに向かって俺は走るからさ。ってゆーか、いい加減俺の左手さんを自由にしてやって下さい。地味に擦り傷が疼いて痛いんだよね。

「だ、だからさ、ヤりたいとかじゃなくて……」

「なんだ」

 俺を挟んで、俺に関する話を二人で進めないでくれない?寧ろ俺を解放してくれない?おぃ、優雅さんよ。わざわざ迎えにきたのは下らない話に花を咲かせる為ですかぃ?
 真面目な空気に耐えられなくなって、叫んで発狂する一歩手前。
 精神的にはそんなカンジ。

「久賀の、時間を買うって、意味だよ」

 は?
 なんて言いやがった?
 今日は脳みその動きが鈍くてね。
 龍二さんはハナシの展開についていけないみたいなんで、今日はもう帰っていいか?

「俺が久賀の時間を買うよ。キスとか……えーと……なんだ、ああ、もうっ。とにかく、その他いろいろetc.はしなくていいからってゆーかするな。ただ寝てればいいから!」

 寝るって、ヤるじゃなくて、ただ本当に睡眠の意味……って事か?なにがどうして、そんな結論に至ったのか。

 オガミテル。
 
 まじで理解できない。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

僕の王子様

くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。 無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。 そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。 見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。 元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。 ※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

処理中です...