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第46話
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久賀は完璧な笑顔で「ごめんね、今回は安田くんと組むよ」と誘いをすべて断って、後はThe・二人の世界。
うふふ、あはは、なんて、二人の頭上にピンクのお花がとんでるよーに見えるのは、俺の気のせいですかね?
「意外な組み合わせだなぁ。にっこり笑顔で受け入れちゃってる久賀に“意外ですねポイント”1ゲッツ贈呈」
ごめん。大山。その意外ですねポイントってなんだよ?ポイント溜まったら、お前をぶん殴って良いとかそーゆーやつ?
「ま。今回は俺と組もうぜ」
ガシガシッと人の頭を乱暴に撫でる大山。
髪が抜けるかと思ったが、大山なりの励ましなのだろう。コイツは基本的に良いヤツだ。
ぶん殴るとか思ってごめんな。
八つ当たりです。
「……サンキューな」
友人の肩を叩き、久賀たちから顔を逸らした。
努力かどうかは分かんねぇけど、勇気を持って立ち向かっている……つもりなんですけど、ね。現在、全力で空回ってます。
大山と二人で課題にとりかかるが、どうにも久賀たちが気になってチラチラとそちらを見てしまう。
プロモデル並の素敵な笑顔のバーゲンセールは終わらない。
うーん。つくり笑顔だと分かっているが、完璧過ぎて感心するよ。ってゆーか何でそんなにサービス精神が旺盛なわけ?いったい何があった。
(安田みたいなのが好みとか……?)
みたいな、といっても俺は安田と親しくないから、性格とかその他諸々の情報なんて持ってないですがね。
チラ見はいつの間にかガン見になってた。
大山に「尾上、余所見するな」と三度くらいツッコミを入れられるが、どうにも授業に集中できない。
結局、課題はほとんど手つかずのまま四限目が終わり、今度こそと久賀に突進した。
「飯食いに行こうぜ!!」
美術室中に響いちゃった大音量。
安田がビビって肩をすくめた。
久賀のつくり笑いはそれでも崩れなくて、不安と悲しみで心はズキズキと痛んだ。
「今日は安田君と食べる約束をしてるんだよ。ごめんね」
ごめんだなんて、ちっとも思っていない微笑みだ。
あー、キッツいなぁ。コレって完璧、避けられてるよな。絶対、避けられてるよな。現実から目ぇそらすとか、自分を誤魔化すとか、無理ですわ。
凹む。かなり凹む。
ほんのちょっと話す時間すらないわけ?あ。話なんかしたくないから避けてるのか……。ううっ、泣きそうだ。
俺さ、そんなに酷いコトしたか?
会話するのもイヤなくらい、馬鹿なことをしでかしたのかな……したか。
目の奥が熱くなったが、こんな所で泣くことも出来ず、ぐっと歯を食いしばった。
見下ろす先には、もはや視線を合わせることすらしてくれない相手がいる。
ほんのり笑顔を唇の端に乗せた彼は、綺麗でカッコ良くて嘘つきで軽くて最低な男だ。
意地悪で、冷たくて、時々優しくて、やっぱり最低な男。
それでも、好き。
会話できるだけで心が弾むくらい好き。
視線が合うだけで胸が痛むくらい惹かれている。
側にいられるだけで頬が緩むくらい幸せだ。
たとえ嘘でも好きだなんて言われたら、うれし涙で枯れてしまうかもしれない。
それくらい好きだけど、カケラほども好かれていない。
コレは一方通行の恋。
隠し続けなきゃいけない想い。
バレてしまったら拒否られて、嘘の笑顔も会話も関係も、全部なくなって……。
ああ。でも、ツラいな。
「久賀ちゃんよぉ。そんなツレ無いこと言わねぇーで、輝ちゃんのコトもかまってやってよ」
救世主大山参上。
どうしたよ、大山。今日のお前は3割り増しでイイ男だ。
がっと雑な仕草で肩を抱かれて、ちょっと痛かったんだけど許すよ、許します。
お前の口八丁で久賀さんを説得して下さい。
マジで頼みます!
オガミンはさ、ちょー健気なわんこチャンなんだから、飼い主の責任があるだろー。とか、大山はいった。
続けて、忠犬ハチ公なみに大人しく……は無かったが、ご主人様を待ち続けたんだから、そろそろご褒美やってもいーんじゃない。と。
も。お前等が飯食ってる間、床に伏せさせときゃいいから取り敢えず連れてってやれよ。
っておひ。
「俺は犬じゃねえ!」
あまりの言い種に力一杯突っ込んだ。
犬扱い。何度止めろと言っても犬扱い。
前言撤回。3割り増しで意地悪じゃね?
「……んー。困ったね。どーするよ安田君?」
ことりと首を傾けながら、久賀が背後に隠れている安田に視線を移動させた。
安田はふるふると首を横に振って拒否を示す。が、そんな事で「はい、そうですか」と引き下がる大山ではなかった。
我らがヒーロー大山クンは、持ち前の図々しさで安田に詰め寄りあーでもない、こーでもない、と彼を説得する。
黒縁のメガネの奥で、怯えた瞳が不安げに揺れ動く。
ぎゅぎゅっと久賀の制服を掴んでプルプル震えるさまは、ちっちゃいウサちゃんみたいだ。
もっさり髪や、ぶ厚いレンズに阻まれているが、良く見りゃ可愛い顔をしていたりする。
どーせ俺は平凡代表だよ、ちくしょう。
うふふ、あはは、なんて、二人の頭上にピンクのお花がとんでるよーに見えるのは、俺の気のせいですかね?
「意外な組み合わせだなぁ。にっこり笑顔で受け入れちゃってる久賀に“意外ですねポイント”1ゲッツ贈呈」
ごめん。大山。その意外ですねポイントってなんだよ?ポイント溜まったら、お前をぶん殴って良いとかそーゆーやつ?
「ま。今回は俺と組もうぜ」
ガシガシッと人の頭を乱暴に撫でる大山。
髪が抜けるかと思ったが、大山なりの励ましなのだろう。コイツは基本的に良いヤツだ。
ぶん殴るとか思ってごめんな。
八つ当たりです。
「……サンキューな」
友人の肩を叩き、久賀たちから顔を逸らした。
努力かどうかは分かんねぇけど、勇気を持って立ち向かっている……つもりなんですけど、ね。現在、全力で空回ってます。
大山と二人で課題にとりかかるが、どうにも久賀たちが気になってチラチラとそちらを見てしまう。
プロモデル並の素敵な笑顔のバーゲンセールは終わらない。
うーん。つくり笑顔だと分かっているが、完璧過ぎて感心するよ。ってゆーか何でそんなにサービス精神が旺盛なわけ?いったい何があった。
(安田みたいなのが好みとか……?)
みたいな、といっても俺は安田と親しくないから、性格とかその他諸々の情報なんて持ってないですがね。
チラ見はいつの間にかガン見になってた。
大山に「尾上、余所見するな」と三度くらいツッコミを入れられるが、どうにも授業に集中できない。
結局、課題はほとんど手つかずのまま四限目が終わり、今度こそと久賀に突進した。
「飯食いに行こうぜ!!」
美術室中に響いちゃった大音量。
安田がビビって肩をすくめた。
久賀のつくり笑いはそれでも崩れなくて、不安と悲しみで心はズキズキと痛んだ。
「今日は安田君と食べる約束をしてるんだよ。ごめんね」
ごめんだなんて、ちっとも思っていない微笑みだ。
あー、キッツいなぁ。コレって完璧、避けられてるよな。絶対、避けられてるよな。現実から目ぇそらすとか、自分を誤魔化すとか、無理ですわ。
凹む。かなり凹む。
ほんのちょっと話す時間すらないわけ?あ。話なんかしたくないから避けてるのか……。ううっ、泣きそうだ。
俺さ、そんなに酷いコトしたか?
会話するのもイヤなくらい、馬鹿なことをしでかしたのかな……したか。
目の奥が熱くなったが、こんな所で泣くことも出来ず、ぐっと歯を食いしばった。
見下ろす先には、もはや視線を合わせることすらしてくれない相手がいる。
ほんのり笑顔を唇の端に乗せた彼は、綺麗でカッコ良くて嘘つきで軽くて最低な男だ。
意地悪で、冷たくて、時々優しくて、やっぱり最低な男。
それでも、好き。
会話できるだけで心が弾むくらい好き。
視線が合うだけで胸が痛むくらい惹かれている。
側にいられるだけで頬が緩むくらい幸せだ。
たとえ嘘でも好きだなんて言われたら、うれし涙で枯れてしまうかもしれない。
それくらい好きだけど、カケラほども好かれていない。
コレは一方通行の恋。
隠し続けなきゃいけない想い。
バレてしまったら拒否られて、嘘の笑顔も会話も関係も、全部なくなって……。
ああ。でも、ツラいな。
「久賀ちゃんよぉ。そんなツレ無いこと言わねぇーで、輝ちゃんのコトもかまってやってよ」
救世主大山参上。
どうしたよ、大山。今日のお前は3割り増しでイイ男だ。
がっと雑な仕草で肩を抱かれて、ちょっと痛かったんだけど許すよ、許します。
お前の口八丁で久賀さんを説得して下さい。
マジで頼みます!
オガミンはさ、ちょー健気なわんこチャンなんだから、飼い主の責任があるだろー。とか、大山はいった。
続けて、忠犬ハチ公なみに大人しく……は無かったが、ご主人様を待ち続けたんだから、そろそろご褒美やってもいーんじゃない。と。
も。お前等が飯食ってる間、床に伏せさせときゃいいから取り敢えず連れてってやれよ。
っておひ。
「俺は犬じゃねえ!」
あまりの言い種に力一杯突っ込んだ。
犬扱い。何度止めろと言っても犬扱い。
前言撤回。3割り増しで意地悪じゃね?
「……んー。困ったね。どーするよ安田君?」
ことりと首を傾けながら、久賀が背後に隠れている安田に視線を移動させた。
安田はふるふると首を横に振って拒否を示す。が、そんな事で「はい、そうですか」と引き下がる大山ではなかった。
我らがヒーロー大山クンは、持ち前の図々しさで安田に詰め寄りあーでもない、こーでもない、と彼を説得する。
黒縁のメガネの奥で、怯えた瞳が不安げに揺れ動く。
ぎゅぎゅっと久賀の制服を掴んでプルプル震えるさまは、ちっちゃいウサちゃんみたいだ。
もっさり髪や、ぶ厚いレンズに阻まれているが、良く見りゃ可愛い顔をしていたりする。
どーせ俺は平凡代表だよ、ちくしょう。
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