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第57-2
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※お詫び 公開中の57話の編集を間違ったようで、1000文字、中抜けしていたようです、申し訳ありません。再編集いたしましたので、57話はこちらの57-2と合わせてお読みください※
ちゃぶ台返しセットなるモノは販売されていないのか?超欲しい。今欲しい。
あつあつ湯飲みの熱湯……は危険だから、ちょっとぬるめのお茶とか頭からかぶってしまえ。
お茶も滴るいい男になってしまえ。
写真撮ってばらまいてやる。
そしてフレームに入れて部屋に飾……現実逃避している場合じゃなかった。
脱力してベッドの端に縋りつき拳をどんどんしても、スプリングの所為でピョンピョン跳ねて、いまいち気が晴れない。
拳をつくっていた手の首をきゅっと握られて「ヤるの?」といっそ泣きたい質問だ。
「なんでお前、そんな思考回路なの?俺、ひとっっこともヤりてぇだなんて言ってないよな。なんか勘違いさせるような言動をしたか?」
「え……だって、バイトだろ?」
「………………」
いや、それはさそーだけど、俺は前と同じ目的で、ただお前の体を休ませたかっただけなんですけど。
ヤりたい目的で、買ったわけじゃないんだけど。
え……分からなかったのか?
「あの……俺はそーゆーのがしたかったわけじゃ……」
「なんだ…………特殊なプレイは、さらに料金上乗せだぞ」
「ちーがーいーまーすぅぅぅー」
全く違う。全然違う。そしてお前は特殊なプレイも金次第で受け入れるのかよぉ、嘘だろ、これ以上混乱させるなよ、勘弁してくれよ久賀さん。
ああ、泣きたい。会話が繋がらない………くっ、諦めるな俺ぇ。諦めたら、マジでここから進めない!
珍しく、非常に珍しく、今日の久賀さんはお喋りだ。多分眠たさマックスと疲労の所為で、うそつき仮面が緩くなってるとみた。
こうなったらとことん突っ込んだ話をして、聞きたい事も聞いて言いたいことも言ってしまえ(いや、流石に久賀を好きなことまでは暴露できねぇですが)
「バイトしろつったから、あんなコトしたわけかよ」
「……連れ込まれたし、セックスしたいって意味じゃねぇの?」
「違います。俺は前と同じ意味で言ったんだよ」
「…………」
久賀の動きが止まった。緩く瞬きを繰り返すばかり。
あー……この顔はニセモノかなホンモノかな。
ホンモノだといいな。
「お前がムチャばっかして、歩くのも無理なのに強がって、それなのに病院は嫌だってだだこねて、冬空の下で寝るなんて言うから……そんなのほっとけないじゃん」
「……同情とか、いらね」
「同情じゃねぇよ。可哀相だなんて思わねぇもん、頭の中は残念だけど」
鈍く、久賀のまぶたが閉じて、開く。
表情が無くなったみたいだ。
やっぱ、従兄弟君ともどことなく似てるな。
造形は違いすぎて、美しさは従兄弟の圧勝。
だけど、俺はお前の方が好き。
目つきが悪くても、視線が冷たいばかりでも、唇が酷い言葉を発しても。
「……優しさも、いらね」
「別に優しくねぇよ。優しいヒトは殴ったりしねぇだろ。あと、多分……襲われたときに大きな愛とかで受け入れるんじゃね?」
それはちょっと言い過ぎだが、まぁ良いだろう。
「別に、俺がヤりたかったわけじゃねぇから、受け入れられても……」
「おう。俺もヤりたくねぇから拒否った。でもさ、俺はお前が“ビジネスだから仕方なく襲いかかってきた”事なんてわからなかったから、もし俺が優しいヒトだったら受け入れたんじゃね?残念ながら、俺は優しくねぇしお前とヤりたいだなんて毛ほども思って無いから、ぶん殴って逃げたんだよ」
後半は嘘だ。
好きな人と、ヤりたくないだなんて思えるほど、涸れてねぇし、潔癖ぶるつもりもない。
キス一つで、脈拍異常。
セックスなんて前戯だけで、トリップ寸前。
だけど、心が得られなきゃ、カラダが繋がっても惨めなだけだ。
どんなに欲しても、誰かの心が手にはいるとは限らない。そして俺の場合、答えはでているのと同じだ。
俺はきっと、愛する人の心を手にすることは出来ないだろう。
得られないと分かり切っている愛情の代わりに、滑稽な友情を演じよう。ああ、お前の言うとおりだな、久賀。ニンゲンなんかみんな嘘つきばかりだ。
でも、この友情以外は、全部ホントウだから。
「尾上は……俺のなに。俺とどーなりたいの?」
困惑の色が瞳の奥にある。
それはニセモノ、それともホンモノ?
多分きっとホンモノなんだと思う。
うそつきの仮面じゃなくて、ホントの感情。
「友人に、なりたいというか……そうありたいと、願っている」
ひとこと、ひとこと、嘘を紡ぐ。
人生ではじめて“全力”で、俺は嘘をついた。
親に怒られるのが怖いとか、友人をちょっと困らせてやろうとか、幼い子どもがつくような、そんなレベルじゃない。
うそつきな男が珍しく見せるホントの感情に、俺は全力の嘘で向かい合う。
ああ、酷いな。とても滑稽だ
ごめんな、久賀。
嘘ついてゴメン。
でも、それでも俺は……。
「心許せる、友だちになりたいよ」
嘘をついてでも、お前の側にいたいんだ。
ちゃぶ台返しセットなるモノは販売されていないのか?超欲しい。今欲しい。
あつあつ湯飲みの熱湯……は危険だから、ちょっとぬるめのお茶とか頭からかぶってしまえ。
お茶も滴るいい男になってしまえ。
写真撮ってばらまいてやる。
そしてフレームに入れて部屋に飾……現実逃避している場合じゃなかった。
脱力してベッドの端に縋りつき拳をどんどんしても、スプリングの所為でピョンピョン跳ねて、いまいち気が晴れない。
拳をつくっていた手の首をきゅっと握られて「ヤるの?」といっそ泣きたい質問だ。
「なんでお前、そんな思考回路なの?俺、ひとっっこともヤりてぇだなんて言ってないよな。なんか勘違いさせるような言動をしたか?」
「え……だって、バイトだろ?」
「………………」
いや、それはさそーだけど、俺は前と同じ目的で、ただお前の体を休ませたかっただけなんですけど。
ヤりたい目的で、買ったわけじゃないんだけど。
え……分からなかったのか?
「あの……俺はそーゆーのがしたかったわけじゃ……」
「なんだ…………特殊なプレイは、さらに料金上乗せだぞ」
「ちーがーいーまーすぅぅぅー」
全く違う。全然違う。そしてお前は特殊なプレイも金次第で受け入れるのかよぉ、嘘だろ、これ以上混乱させるなよ、勘弁してくれよ久賀さん。
ああ、泣きたい。会話が繋がらない………くっ、諦めるな俺ぇ。諦めたら、マジでここから進めない!
珍しく、非常に珍しく、今日の久賀さんはお喋りだ。多分眠たさマックスと疲労の所為で、うそつき仮面が緩くなってるとみた。
こうなったらとことん突っ込んだ話をして、聞きたい事も聞いて言いたいことも言ってしまえ(いや、流石に久賀を好きなことまでは暴露できねぇですが)
「バイトしろつったから、あんなコトしたわけかよ」
「……連れ込まれたし、セックスしたいって意味じゃねぇの?」
「違います。俺は前と同じ意味で言ったんだよ」
「…………」
久賀の動きが止まった。緩く瞬きを繰り返すばかり。
あー……この顔はニセモノかなホンモノかな。
ホンモノだといいな。
「お前がムチャばっかして、歩くのも無理なのに強がって、それなのに病院は嫌だってだだこねて、冬空の下で寝るなんて言うから……そんなのほっとけないじゃん」
「……同情とか、いらね」
「同情じゃねぇよ。可哀相だなんて思わねぇもん、頭の中は残念だけど」
鈍く、久賀のまぶたが閉じて、開く。
表情が無くなったみたいだ。
やっぱ、従兄弟君ともどことなく似てるな。
造形は違いすぎて、美しさは従兄弟の圧勝。
だけど、俺はお前の方が好き。
目つきが悪くても、視線が冷たいばかりでも、唇が酷い言葉を発しても。
「……優しさも、いらね」
「別に優しくねぇよ。優しいヒトは殴ったりしねぇだろ。あと、多分……襲われたときに大きな愛とかで受け入れるんじゃね?」
それはちょっと言い過ぎだが、まぁ良いだろう。
「別に、俺がヤりたかったわけじゃねぇから、受け入れられても……」
「おう。俺もヤりたくねぇから拒否った。でもさ、俺はお前が“ビジネスだから仕方なく襲いかかってきた”事なんてわからなかったから、もし俺が優しいヒトだったら受け入れたんじゃね?残念ながら、俺は優しくねぇしお前とヤりたいだなんて毛ほども思って無いから、ぶん殴って逃げたんだよ」
後半は嘘だ。
好きな人と、ヤりたくないだなんて思えるほど、涸れてねぇし、潔癖ぶるつもりもない。
キス一つで、脈拍異常。
セックスなんて前戯だけで、トリップ寸前。
だけど、心が得られなきゃ、カラダが繋がっても惨めなだけだ。
どんなに欲しても、誰かの心が手にはいるとは限らない。そして俺の場合、答えはでているのと同じだ。
俺はきっと、愛する人の心を手にすることは出来ないだろう。
得られないと分かり切っている愛情の代わりに、滑稽な友情を演じよう。ああ、お前の言うとおりだな、久賀。ニンゲンなんかみんな嘘つきばかりだ。
でも、この友情以外は、全部ホントウだから。
「尾上は……俺のなに。俺とどーなりたいの?」
困惑の色が瞳の奥にある。
それはニセモノ、それともホンモノ?
多分きっとホンモノなんだと思う。
うそつきの仮面じゃなくて、ホントの感情。
「友人に、なりたいというか……そうありたいと、願っている」
ひとこと、ひとこと、嘘を紡ぐ。
人生ではじめて“全力”で、俺は嘘をついた。
親に怒られるのが怖いとか、友人をちょっと困らせてやろうとか、幼い子どもがつくような、そんなレベルじゃない。
うそつきな男が珍しく見せるホントの感情に、俺は全力の嘘で向かい合う。
ああ、酷いな。とても滑稽だ
ごめんな、久賀。
嘘ついてゴメン。
でも、それでも俺は……。
「心許せる、友だちになりたいよ」
嘘をついてでも、お前の側にいたいんだ。
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