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第71話
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まったく、久賀といい、西河原といい……コイツ等は善悪の線引きがテキトー過ぎる。
「賭事は法律で禁止されています」
「バレなきゃ罪には問われません」
「じゃあ悪いことだって自覚はあるんですね。最悪」
「子どもの遊びじゃん。マジになっちゃイヤよん」
子どもの遊びにしちゃあ、タチが悪すぎるだろ。
ジト目で相手を見ると、久賀はぷっと吹き出した。
「あはは。うん、知ってたけど、ホントお前って真っ直ぐだよなぁ」
ケラケラと笑われて、ますますむすっとしてしまう。
バカにされているって事くらい分かるぞ。
どうせ頭がカタくて融通気かねぇよ。
「さてと、取りあえず勝ってるし、後半はテキトーに流そうかな」
背伸びをしながら、今度は不真面目発言だ。
この野郎。
「真面目にやって来いよ」
腕組みしながらそう言うと「んー。給料分は働いたしなぁ」と呟かれた。マジで損得勘定で動くヤツだな。
こーゆー時くらい高校生らしくがむしゃらになってみたらどーなんですかね?
「おまえさー。折角才能があるんだから、出し惜しみするなよな」
「えー?だって、りゅーじさん疲れちった。てきとーに走って、あとはギャラリーにサービススマイルでも振りまいとくよ」
どうやら気力は前半で使い果たしたらしく、目の前の最低男はやる気ナッシング。
フィールドを爽やかな笑顔でだらたらと走りながら、女子たちに過剰なサービスをする事が残りのお仕事になりそうで……うむむ、阻止しなければ、別に嫉妬ではなく、真面目に試合に取り組んでるほかの選手に失礼だからだ。
断じて嫉妬ではない。
「普段がチャラいんだからさ、真面目にスポーツしてる姿の方が格好いいしウケも良いと思うぞ」
所謂、ギャップ萌ってヤツかこれが。
前半、真面目にスポーツをしているこいつは、ホント格好良かった。ま……普段もカッコイイですけどね。けっ!
「尾上に褒められちった」
何故だか、にっこり上機嫌でそんな事を言う。おい、俺がいつ褒めたよ。
「褒めてねぇ」
「あれ?カッコイイって言われた気がしたけど、幻聴?」
「……言ったね」
「うん、聞こえた。アレは嘘とか建前ですか?」
「いや、ちげぇけど……」
「だよなー。お前ってそーゆーの苦手そうだもんな、バカだから」
「お前ケンカ売ってる?」
「まさか。ハジメテの友情を深く噛みしめてる」
にこにこ笑ってそんなことを言われても……子どもか、お前は。
先日、俺と久賀は晴れてお友だちとなりました。
トモダチ宣言をしてから数日、久賀さんは緩い。
何がどう緩いのかと聞かれると上手く説明できないが、頭のネジがちょっと飛んでる緩さ。
昼休みにさ、ヒトの膝を枕にして、くーすか昼寝モードに突入された時は、何が起きたのかわかんなくて、フリーズしましたよ、ええ。
11月も後半ですが、その日は天気が良くてぽかぽか陽気だったので、中庭で昼飯にしたんだよ。
西河原には呆れられて、物事に興味なさ気な椎名にも十秒くらい凝視されました。
いたたまれないってあーゆー気持ちを言うんですかね?
友人のなんたるかが全く分かっていないバカに、俺は友情のノウハウを教えている最中です。
常識の道から、軽く三つくらい脇道にそれちゃってる久賀さんにアレコレ教えるのは、はっきり言ってかなり骨が折れる。
ぶっ飛びまくった思考と発言に、俺は日々、心が惑わされてます。
カッコイイの一言で、ガキみたいに嬉しがられても……なにそれ、どーしよう、にやける。
なんかよく分からないけど、嬉しくて顔がにやけるんだよ。
ポーカーフェースを保つのにどれくらい、精神が擦り減ってるかわかるか?
だってさ……友人が嬉しそうだから、ワケも分からず俺も嬉しいとか……それって友情なの?なんて突っ込まれたら、困るだろ。
恋心に友情の名前をつけちゃってる俺としては、たまらないワケです。
嬉しい、けど、心が暴走しそうで怖い。いや、もう十分してると思うけど。
「つーかお前さ、そんくらいの褒め言葉なんか言われ慣れてるだろう?」
「ん。もの凄く」
きっぱり肯定してくれやがって、ちょっぴりムカついた。
仕方がない。俺も雄だ。
自分より出来がよくて、モテる同性にジェラシーを感じるのは生物としてとーぜんだよな。
「でも、お世辞とかノリとか口先だけの賛美だからさ、そんなの意味ないでしょ?」
ニンゲンはみんな嘘つきだから、語られる言葉も語る言葉にも、たいした意味なんてないよ。だからね、言葉なんてモノは誰の心に残ることも出来ずに、ただ消えていくだけなんだ。
綺麗な笑みを浮かべながら、うそつき男は言った。
嫉妬してしまうほどの賞賛や好意を、たくさんの女の子たちから向けられていても、ほんのヒトカケラだってコイツの心には届いていないし、響いていない。
女の子大好きー。と笑うこいつの言葉は多分嘘じゃないけど……心の奥には誰にも足を踏み込ませない。
平等に好きで、平等にどーでもいい。
それがコイツのスタイル。
ホント、最低ですね。
「お世辞とかその場の雰囲気の流れで、とかもあるかもだけど、ちゃんと本気で思ってる人だっているだろ。あの子たちも、試合中お前ばっか応援してたぞ」
数人が集まっている観覧場所で、此方をチラチラ伺いながらきゃぁきゃぁと可愛らしく笑っているのは、クラスの女子をはじめ、同学年や上級生もちらほらいる。
あれ……外部の生徒もまざってんじゃん。別に久賀が目当てってわけじゃないだろーけど、あんなに活躍したら嫌でも目立つし……。
「はは。あれこそノリと建前そのものでしょ」
ひらひらと女の子たちの方に手を振りながら久賀はいった。にっこり営業スマイル付です。
「賭事は法律で禁止されています」
「バレなきゃ罪には問われません」
「じゃあ悪いことだって自覚はあるんですね。最悪」
「子どもの遊びじゃん。マジになっちゃイヤよん」
子どもの遊びにしちゃあ、タチが悪すぎるだろ。
ジト目で相手を見ると、久賀はぷっと吹き出した。
「あはは。うん、知ってたけど、ホントお前って真っ直ぐだよなぁ」
ケラケラと笑われて、ますますむすっとしてしまう。
バカにされているって事くらい分かるぞ。
どうせ頭がカタくて融通気かねぇよ。
「さてと、取りあえず勝ってるし、後半はテキトーに流そうかな」
背伸びをしながら、今度は不真面目発言だ。
この野郎。
「真面目にやって来いよ」
腕組みしながらそう言うと「んー。給料分は働いたしなぁ」と呟かれた。マジで損得勘定で動くヤツだな。
こーゆー時くらい高校生らしくがむしゃらになってみたらどーなんですかね?
「おまえさー。折角才能があるんだから、出し惜しみするなよな」
「えー?だって、りゅーじさん疲れちった。てきとーに走って、あとはギャラリーにサービススマイルでも振りまいとくよ」
どうやら気力は前半で使い果たしたらしく、目の前の最低男はやる気ナッシング。
フィールドを爽やかな笑顔でだらたらと走りながら、女子たちに過剰なサービスをする事が残りのお仕事になりそうで……うむむ、阻止しなければ、別に嫉妬ではなく、真面目に試合に取り組んでるほかの選手に失礼だからだ。
断じて嫉妬ではない。
「普段がチャラいんだからさ、真面目にスポーツしてる姿の方が格好いいしウケも良いと思うぞ」
所謂、ギャップ萌ってヤツかこれが。
前半、真面目にスポーツをしているこいつは、ホント格好良かった。ま……普段もカッコイイですけどね。けっ!
「尾上に褒められちった」
何故だか、にっこり上機嫌でそんな事を言う。おい、俺がいつ褒めたよ。
「褒めてねぇ」
「あれ?カッコイイって言われた気がしたけど、幻聴?」
「……言ったね」
「うん、聞こえた。アレは嘘とか建前ですか?」
「いや、ちげぇけど……」
「だよなー。お前ってそーゆーの苦手そうだもんな、バカだから」
「お前ケンカ売ってる?」
「まさか。ハジメテの友情を深く噛みしめてる」
にこにこ笑ってそんなことを言われても……子どもか、お前は。
先日、俺と久賀は晴れてお友だちとなりました。
トモダチ宣言をしてから数日、久賀さんは緩い。
何がどう緩いのかと聞かれると上手く説明できないが、頭のネジがちょっと飛んでる緩さ。
昼休みにさ、ヒトの膝を枕にして、くーすか昼寝モードに突入された時は、何が起きたのかわかんなくて、フリーズしましたよ、ええ。
11月も後半ですが、その日は天気が良くてぽかぽか陽気だったので、中庭で昼飯にしたんだよ。
西河原には呆れられて、物事に興味なさ気な椎名にも十秒くらい凝視されました。
いたたまれないってあーゆー気持ちを言うんですかね?
友人のなんたるかが全く分かっていないバカに、俺は友情のノウハウを教えている最中です。
常識の道から、軽く三つくらい脇道にそれちゃってる久賀さんにアレコレ教えるのは、はっきり言ってかなり骨が折れる。
ぶっ飛びまくった思考と発言に、俺は日々、心が惑わされてます。
カッコイイの一言で、ガキみたいに嬉しがられても……なにそれ、どーしよう、にやける。
なんかよく分からないけど、嬉しくて顔がにやけるんだよ。
ポーカーフェースを保つのにどれくらい、精神が擦り減ってるかわかるか?
だってさ……友人が嬉しそうだから、ワケも分からず俺も嬉しいとか……それって友情なの?なんて突っ込まれたら、困るだろ。
恋心に友情の名前をつけちゃってる俺としては、たまらないワケです。
嬉しい、けど、心が暴走しそうで怖い。いや、もう十分してると思うけど。
「つーかお前さ、そんくらいの褒め言葉なんか言われ慣れてるだろう?」
「ん。もの凄く」
きっぱり肯定してくれやがって、ちょっぴりムカついた。
仕方がない。俺も雄だ。
自分より出来がよくて、モテる同性にジェラシーを感じるのは生物としてとーぜんだよな。
「でも、お世辞とかノリとか口先だけの賛美だからさ、そんなの意味ないでしょ?」
ニンゲンはみんな嘘つきだから、語られる言葉も語る言葉にも、たいした意味なんてないよ。だからね、言葉なんてモノは誰の心に残ることも出来ずに、ただ消えていくだけなんだ。
綺麗な笑みを浮かべながら、うそつき男は言った。
嫉妬してしまうほどの賞賛や好意を、たくさんの女の子たちから向けられていても、ほんのヒトカケラだってコイツの心には届いていないし、響いていない。
女の子大好きー。と笑うこいつの言葉は多分嘘じゃないけど……心の奥には誰にも足を踏み込ませない。
平等に好きで、平等にどーでもいい。
それがコイツのスタイル。
ホント、最低ですね。
「お世辞とかその場の雰囲気の流れで、とかもあるかもだけど、ちゃんと本気で思ってる人だっているだろ。あの子たちも、試合中お前ばっか応援してたぞ」
数人が集まっている観覧場所で、此方をチラチラ伺いながらきゃぁきゃぁと可愛らしく笑っているのは、クラスの女子をはじめ、同学年や上級生もちらほらいる。
あれ……外部の生徒もまざってんじゃん。別に久賀が目当てってわけじゃないだろーけど、あんなに活躍したら嫌でも目立つし……。
「はは。あれこそノリと建前そのものでしょ」
ひらひらと女の子たちの方に手を振りながら久賀はいった。にっこり営業スマイル付です。
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