うそつきな友情(改訂版)

あきる

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第79話

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 羨望の眼差しを受けながら、それに気づかないのか平然としているその人は、天使の異名を持つ久賀史彦ふみひこくん……久賀の従兄弟さんだった。

 なんつーか、ホント生物としての次元が違ぇよな。

「……こんにちは」

 と、軽く目を伏せながら挨拶をされて、思わず最敬礼だ。

「こんにちわ!!いい天気ですね!ふみさんはお買い物ですかっ!」

 坂もっちゃんの呼び方が移って“史さん”だなんて馴れ馴れしい呼び方をしてしまったが、気に障らなかっただろうか。
 相変わらずの無表情だったから、何を考えて感じているのかは分からない。

 なんか、無駄に緊張するよ。
 なんとゆーか、ホント人間っぽく無くて……実はちょっぴし苦手だったり。

 足音をさせずに近づいてきた天使さんに、ぽむっと頭を撫でられた。
 どーも、幼子を相手にするような仕草だと感じるのは、俺だけでしょうか。

「えっと……てんし、ぢゃなくて、史……彦さん?」

 くん?
 むしろ、5ホームの皆さんみたいに、久賀サマ呼びをしなきゃダメですかね?
 無機的な目をした従兄弟さんに「史彦でいい」と言われて、内心冷や汗だ。
 いやいやいやいや。
 無理だから、無理だから!流石に天使サマを呼び捨てとか、ありえねぇ。
 信者にリンチにされる。大山的に言うと「オガミン大ピーンチ」ってヤツです!

 オガミン言うな大山。

 あまりの衝撃だったため、脳内妄想の大山に突っ込みを入れてしまった。
 脳内の大山ごめん。
 いやでも、実際にここに大山おまえがいたら、間違いなく今みたいな台詞を言うだろーから、やっぱ俺の突っ込みは間違ってない、いや、なにアホなこと考えてんだ俺、取りあえず落ち着け。深呼吸だ。

 すー。はー。と深く息を吸って吐き出した。……どーでもい……くは無いですが、何でまだ頭を撫でられているんだろう。

「おいで」

 すっと手を握られて、何の説明もなく連れて行かれる。

 予想外っ。

 え?ええっ?と混乱しながら足を動かした。
 いったいどこへ連れて行かれるのかと思えば、目的地はすぐ近くにあった大きなおもちゃ屋の前だった。
 えーと……?クリスマスプレゼントでも買うんですか?
 クリスマスバージョンに装飾された店。
 入り口に立てられた巨大ツリーのキラキライルミネーションを見上げた。
 ハテナを飛ばしていると、目の前のドアが開く。

「史ちゃんお待たせー……って、何で尾上がいるの?」

 店のロゴ入り巨大袋を下げて、自動ドアの向こうから現れたのは久賀さん(弟)でした。

(うわ……反則的なカッコ良さだ)

 久賀をみて思わず唇を半開きにして固まってしまった。
 
 学校の制服も似合っているし、大人びたスーツも似合っていたし、この間家に無理矢理連れ帰った時<お粥事件の時>のシャツ&Gパンなラフな格好も似合ってはいた……が、今日はレベル違いませんか?と、頭の先から靴の先まで舐めるようにガン見する。

 黒のスリム系のパンツは、ただでさえ長い足がさらにスマートに見えるし、黒地の片側に炎を模した絵柄をプリントしたシャツもワインレッドのアシメジャケットもショートブーツも、さり気なく首と胸元を飾る長さの違うチョーカーとクロスネックレスも、物凄く似合っていて格好いい。

「どったの尾上……つか、何で二人が手ぇ繋いでんの?」

 いつの間に仲良くなったんだよ、と不満をありありと顔に乗せる久賀は、いつもより若干子どもっぽい表情かおをした気がする。

 服装はスタイリッシュで全く隙のねぇ感じなのに、ちょろりと覗かせたガキっぽい顔がアンバランスになると思いきや、そのギャップに悶えました。
 すんません。ちょっとマジで目玉をクリーニングすべきだろうか?

 俺の目は腐っているのかも知れない。
 もしくは脳内フィルターが、久賀の悪いところを濾過しつくして、良いところしか感じなくなってんのかもしれない。

「拾った」

 拾われてません!
 むしろアレは誘拐レベルの強制連行だったと思います。
 熱を感じさせないセリフを短く告げた従兄弟さんにビックリだ。
 あと、隣に並んでみて分かったんですけど、天使さんは背も高かったよ……。
 久賀龍二よりは確実に低いけど、174か5センチくらいはありそうです。
 スタイル良い二人に挟まれると、自分の平凡さが際立って、凹む。
 めためた凹む。

「なんだよ。“拾って下さい”って書かれたダンボールに入れられて、クンクン鳴いてたのか?わんこ」

「鳴いてた」

「鳴いてねぇよ!!!!」

 ちょっと!従兄弟さんにまでわんこ扱いされるとかどんな!
 美人さんは表情筋を一ミリも動かさず「冗談だ」と言った。
 まったく笑えない冗談です。

「で、マジで尾上はなにやってんの?」

「いや……俺が聞きたいです」

 何がどうなっているんでしょう?とゆーか俺はどーなるの?
 ちらりと、隣に視線を向けても、すました横顔があるだけだ。
 いや、ほんと、どーしろと?
 
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