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松本大翔に喧嘩もしてもらえず、その上以前は大泣きして反応の面白かった藤野佳奈多は黙って我慢するようになった。
一度、クラスメイトが藤野佳奈多を囲んで帰れと騒ぎ立てたことがあった。松本大翔と、昴も教室にいなかった。止める人間のいない教室はヒートアップしていく。
ジュンもその空気に乗っかった。
藤野佳奈多を軽く蹴って脅かしてやろうとしたら逆に、松本大翔の足がもろに腹に入ってふっ飛ばされた。
『聞いてんだから、答えろよ』
冷たい目をした松本大翔は、ジュンと喧嘩をしていた頃の松本大翔とは別人だった。幼稚園児の頃も手加減していたのではないだろうか。いずれにしても、小学生になった二人は、ジュンにとっては大変つまらない、絡みづらい人間になった。
それからジュンは勇斗にちょっかいをかけ続けた。
元々藤野佳奈多よりも勇斗をからかったほうが反応が良く、ジュン自身の気分も違った。勇斗をからかうのは楽しいし、接触できることが嬉しかった。
きっとあの頃から、ジュンは勇斗が好きだった。
いつも勇斗を見ていた。だからわかった。
勇斗は昴が好きだ。
いつも勇斗は昴を目で追っている。昴を見る時の瞳はジュンを見るときとはまったく違う。昴を見つめる勇斗の瞳はいつも蕩けていた。
ずるい、とジュンは思った。同じ幼稚園児からの知り合いで、仲の良さや、話をしたり接触した回数は昴よりもジュンのほうが遥かに多いのに。何故勇斗は昴を好きなのか。好きになるなら自分じゃないのか。
自身の恋心に気づいたジュンは今まで以上に勇斗に絡んで接触する回数を増やした。
勇斗はあまり頭が良くない。人のことは言えないが。
勇斗はジュンの気持ちになんて一つも気づかなかった。気づいてもらえないまま、高等部に進級して高校生になった。これがこの学園での最後の学生生活となる。周りは吐き気がするほど色めき立っている。
ジュンは学内にも学外に友人がたくさんいる。
あちこち遊び歩いているうちに友達が増えた。金を持っていて見た目も良いジュンは同性にも異性にも好かれた。そのため女性と関係を結ぶのも早かった。そんなジュンを知ってか知らずか、学園ではジュンを畏怖して嫌悪するものもいるが、あえて近づいてくる人間もいる。
しかしどんな人間といても、勇斗以上の人間はいなかった。
おどおどしているくせに時々変に強気でジュンに言い返してきたりする。傍にいる人間は誰もがちやほやともてはやしてくれるのに、勇斗だけは怯えながらもジュンになびくことはなかった。それが余計に気になったのかもしれない。
反応のいいオモチャだと思っていた相手に、気づけばジュンはどっぷりハマりこんでいた。
どうにもこちらをむいてくれない勇斗が教室ではしたない真似をしている姿を見かけたのは、打開できない関係に悩んでいた時だ。こんなに好きなのに、勇斗はジュンになびかない。ジュンを見ない。昴という壁が邪魔をする。
それなら利用してやろうと、体育祭の日に昴のロッカーから上着を拝借した。ロッカーは鍵がかかっていたが、解錠するのは簡単だった。貴重品には触れずに上着だけを持ち出した。金品ならともかく、上着なら大した問題にもならないだろう。問題になっても親にもみ消してもらえばいい。
ジュンは昴の上着で勇斗を釣った。効果は絶大だった。勇斗は簡単にジュンの家に来て、簡単に体を開いた。悔しいが、昴様々だ。
それに、最中に好きだと言ってくれた。勇斗からそんな言葉が聞けるなんて思いもしなかった。勇斗はジュンの想いに答えてくれた。
ジュンは幸せだった。夏休み中はなんども自宅に呼び寄せて何度も行為に耽った。最初は最後まで出来なかったが、今はジュンのすべてを受け入れてくれるまでになった。
受け入れてくれるということはつまり、勇斗はジュンを愛してくれているということだ。ジュンは幸せに包まれていた。
夏休みが開けた登校日。ジュンは先に教室に来ていた勇斗に歩み寄った。
「おはよぉ、勇斗♡」
「あ、お、おはよう、ジュン君」
あんなに求めあった仲なのに、勇斗はどこか余所余所しい。横目に昴の姿が見えた。勇斗はチラチラと昴を盗み見ている。
ジュンを見ない勇斗に腹が立ち、頬に口でもつけてやろうかと思っていたら教室がざわついた。扉を見ると松本大翔と藤野佳奈多が入ってきたところだった。
一度、クラスメイトが藤野佳奈多を囲んで帰れと騒ぎ立てたことがあった。松本大翔と、昴も教室にいなかった。止める人間のいない教室はヒートアップしていく。
ジュンもその空気に乗っかった。
藤野佳奈多を軽く蹴って脅かしてやろうとしたら逆に、松本大翔の足がもろに腹に入ってふっ飛ばされた。
『聞いてんだから、答えろよ』
冷たい目をした松本大翔は、ジュンと喧嘩をしていた頃の松本大翔とは別人だった。幼稚園児の頃も手加減していたのではないだろうか。いずれにしても、小学生になった二人は、ジュンにとっては大変つまらない、絡みづらい人間になった。
それからジュンは勇斗にちょっかいをかけ続けた。
元々藤野佳奈多よりも勇斗をからかったほうが反応が良く、ジュン自身の気分も違った。勇斗をからかうのは楽しいし、接触できることが嬉しかった。
きっとあの頃から、ジュンは勇斗が好きだった。
いつも勇斗を見ていた。だからわかった。
勇斗は昴が好きだ。
いつも勇斗は昴を目で追っている。昴を見る時の瞳はジュンを見るときとはまったく違う。昴を見つめる勇斗の瞳はいつも蕩けていた。
ずるい、とジュンは思った。同じ幼稚園児からの知り合いで、仲の良さや、話をしたり接触した回数は昴よりもジュンのほうが遥かに多いのに。何故勇斗は昴を好きなのか。好きになるなら自分じゃないのか。
自身の恋心に気づいたジュンは今まで以上に勇斗に絡んで接触する回数を増やした。
勇斗はあまり頭が良くない。人のことは言えないが。
勇斗はジュンの気持ちになんて一つも気づかなかった。気づいてもらえないまま、高等部に進級して高校生になった。これがこの学園での最後の学生生活となる。周りは吐き気がするほど色めき立っている。
ジュンは学内にも学外に友人がたくさんいる。
あちこち遊び歩いているうちに友達が増えた。金を持っていて見た目も良いジュンは同性にも異性にも好かれた。そのため女性と関係を結ぶのも早かった。そんなジュンを知ってか知らずか、学園ではジュンを畏怖して嫌悪するものもいるが、あえて近づいてくる人間もいる。
しかしどんな人間といても、勇斗以上の人間はいなかった。
おどおどしているくせに時々変に強気でジュンに言い返してきたりする。傍にいる人間は誰もがちやほやともてはやしてくれるのに、勇斗だけは怯えながらもジュンになびくことはなかった。それが余計に気になったのかもしれない。
反応のいいオモチャだと思っていた相手に、気づけばジュンはどっぷりハマりこんでいた。
どうにもこちらをむいてくれない勇斗が教室ではしたない真似をしている姿を見かけたのは、打開できない関係に悩んでいた時だ。こんなに好きなのに、勇斗はジュンになびかない。ジュンを見ない。昴という壁が邪魔をする。
それなら利用してやろうと、体育祭の日に昴のロッカーから上着を拝借した。ロッカーは鍵がかかっていたが、解錠するのは簡単だった。貴重品には触れずに上着だけを持ち出した。金品ならともかく、上着なら大した問題にもならないだろう。問題になっても親にもみ消してもらえばいい。
ジュンは昴の上着で勇斗を釣った。効果は絶大だった。勇斗は簡単にジュンの家に来て、簡単に体を開いた。悔しいが、昴様々だ。
それに、最中に好きだと言ってくれた。勇斗からそんな言葉が聞けるなんて思いもしなかった。勇斗はジュンの想いに答えてくれた。
ジュンは幸せだった。夏休み中はなんども自宅に呼び寄せて何度も行為に耽った。最初は最後まで出来なかったが、今はジュンのすべてを受け入れてくれるまでになった。
受け入れてくれるということはつまり、勇斗はジュンを愛してくれているということだ。ジュンは幸せに包まれていた。
夏休みが開けた登校日。ジュンは先に教室に来ていた勇斗に歩み寄った。
「おはよぉ、勇斗♡」
「あ、お、おはよう、ジュン君」
あんなに求めあった仲なのに、勇斗はどこか余所余所しい。横目に昴の姿が見えた。勇斗はチラチラと昴を盗み見ている。
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