アルザカリア

pizzeman

文字の大きさ
上 下
6 / 24

06.恐怖

しおりを挟む
小声でアルザはカリアに話しかける。

「ここやばいよ、早く出よう」

しかしカリアは動かず奥に突き進んでいく。

「カリア?どうしたの、そこは危ないよ」

「みんな寝てるから大丈夫だよ、もっと奥に行こうよ。話し声も聞こえるし」

それを聞いてアルザは聞き耳を立てる。たしかにここから先には大人の男の声が聞こえた。

「会わないとダメかな……」

アルザはカリアについていく。カリアは暗い道をただ真っすぐに突き進んでいく。

カリアはなんでこんなに堂々と進めるんだろう?

ふとアルザの心には疑問が現れた。
カリアは何も持っていなかった。なのにこんな暗い場所にいた。

「ここから先だね。あの声がするのは」

その声はどう聴いても青年だった。

「だが、ここから先はどうするつもりだ?あの子は最近様子がおかしいんだ」

その内容を聞いてカリアが小声でアルザに聞く。

「あの子って誰のことだろう?あのベッドで寝ていた人なのかな」

「このまま変化なしではだめだ。最近は独り言が減ってきている」

青年は誰かと話しているがもう一人の声は聞こえなかった。

「ところでそこにいるやつは寝たのか?」

扉を少し開けてみる。そこには確かに青年の姿があった。ろうそくがあり、そこから部屋の様子が見える。

「誰かいるね。そこ、右のほう」

カリアが言ったほうを見るとそこには男がいた。男はなぜか拘束されている。青年は男の口を開け、口の中を見ている。

「では今のうちにひと思いにやってしまうとしようか」

青年は金属でできた工具を取り出した。男の口にそれを入れ、次の瞬間歯を引きちぎった。
男の口から血があふれ出してきたのが分かる。

カリアが悲鳴を上げる。アルザは勢いよく扉を閉めてしまった。

「誰だ。そこにいるのは」

アルザは咄嗟にカリアの手を引きそこから逃げ出す。牢獄を抜けベッドのある部屋まですぐにたどり着いた。

足音で青年がこちらに来ているのが分かった。カリアはアルザが持っていたカンテラを奪い火を消す。

「こっち」

カリアはアルザと一緒に誰かが寝ているベッドの下に潜り込んだ。

瞬間に青年は部屋に飛び込んでくる。もし数秒でも遅れていたらアルザとカリアは見つかっていただろう。
アルザの脳裏には見つかった後のことが思い浮かぶ、先ほどの光景が思い浮かびきっと自分も同じことをされるんだと思った。これまで読んでいた本のことを思い出しあれは拷問だったということが分かる。

アルザは青年に恐怖を覚えた。

青年は一つ一つベッドで寝ている人の顔を確認している。

次はアルザとカリアがいるベッドを確認した。
しおりを挟む

処理中です...