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08.臆病
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雨であった。
窓から雨がたたきつけられる音が部屋中に響き渡る。二人はその音で目覚めたのだ。
「おはよう」
「おはよう」
アルザは寝ぼけながら起き上がった。カリアは元気よく目覚めたようだ。昨晩のことなど忘れているかのように、カリアはいつも通り過ごしているようだ。
「今日は雨だね」
「そうだね」
「外で遊べないや、今日は何して遊ぶ?」
雨の日はかなりがっくりと切ない表情を浮かべるのだ。外で思いっきり遊べないからだろう。カリアはアルザと違ってとてもわんぱくな少女だ。
「お外で遊べないなら私は本を読むよ。まだ地下から持ってきた本で読み切っていないのたくさんあるから」
そう言いながら部屋の隅にある本棚を見つめる。真ん中の棚には古い本が何冊かあった。相も変わらずに難しい本が並んでいた。
「またあの意味不明な本を読むの? よく読めるよね、文字ばっかりだし辞書みたいにかなり分厚いし……」
カリアはかなり嫌という感情を顔に出しながらアルザに聞く。だがアルザは何食わぬ顔で答えを返した。
「うん、読んでみたら結構面白いよ。カリアも読んでみる?」
無邪気な誘いが逆に恐ろしい。カリアは全力で拒否をするだろう、カリアは絵本すら読まないのだから。
「……いいよ、今日は何もできないし」
それは意外な回答であった。アルザからしてみても予測できないことであった。
「じゃあ、朝ごはん食べに行こうよ。じゃないと難しい本も読めないよ」
カリアが部屋から出ようとしたときに、アルザは手をつかみ部屋から出ることを止めた。
「どうしたの?」
見るとアルザは少しばかり怯えた表情をしていた。手は強く握られていて何かを訴えているようであった。
「昨日のことが怖いの?」
カリアは心配するかのようにアルザの顔色を窺った。カリアの質問にはうなずき、答えた。昨日のこととは地下室のことだった。あの青年が、ずっと一緒に過ごしていた親のような存在がこの二人には秘密で恐ろしいことをしていたのだ。誰よりも臆病なアルザにしてみれば青年に会うことが恐怖そのものだろう。
「大丈夫だよ。いつも通りの行動をすれば問題ないよ。きっとばれていないと思うし」
「でも……」
「ほら昨日ほこりとか汚れとか落としてきたでしょ。カンテラだって持ってきてある。あの後追いかけてきていないのが疑ってもいない証拠じゃない?」
「……分かった。カリアがそういうなら」
しばし沈黙が流れた。いくら説得をされても怖いものは怖い。カリアのように振舞うのはできないだろう。この緊張かき消すためかカリアから腹の音がした。
「はやく朝食を食べに行こう?」
「うん」
二人は部屋から出て食堂へ向かった。
窓から雨がたたきつけられる音が部屋中に響き渡る。二人はその音で目覚めたのだ。
「おはよう」
「おはよう」
アルザは寝ぼけながら起き上がった。カリアは元気よく目覚めたようだ。昨晩のことなど忘れているかのように、カリアはいつも通り過ごしているようだ。
「今日は雨だね」
「そうだね」
「外で遊べないや、今日は何して遊ぶ?」
雨の日はかなりがっくりと切ない表情を浮かべるのだ。外で思いっきり遊べないからだろう。カリアはアルザと違ってとてもわんぱくな少女だ。
「お外で遊べないなら私は本を読むよ。まだ地下から持ってきた本で読み切っていないのたくさんあるから」
そう言いながら部屋の隅にある本棚を見つめる。真ん中の棚には古い本が何冊かあった。相も変わらずに難しい本が並んでいた。
「またあの意味不明な本を読むの? よく読めるよね、文字ばっかりだし辞書みたいにかなり分厚いし……」
カリアはかなり嫌という感情を顔に出しながらアルザに聞く。だがアルザは何食わぬ顔で答えを返した。
「うん、読んでみたら結構面白いよ。カリアも読んでみる?」
無邪気な誘いが逆に恐ろしい。カリアは全力で拒否をするだろう、カリアは絵本すら読まないのだから。
「……いいよ、今日は何もできないし」
それは意外な回答であった。アルザからしてみても予測できないことであった。
「じゃあ、朝ごはん食べに行こうよ。じゃないと難しい本も読めないよ」
カリアが部屋から出ようとしたときに、アルザは手をつかみ部屋から出ることを止めた。
「どうしたの?」
見るとアルザは少しばかり怯えた表情をしていた。手は強く握られていて何かを訴えているようであった。
「昨日のことが怖いの?」
カリアは心配するかのようにアルザの顔色を窺った。カリアの質問にはうなずき、答えた。昨日のこととは地下室のことだった。あの青年が、ずっと一緒に過ごしていた親のような存在がこの二人には秘密で恐ろしいことをしていたのだ。誰よりも臆病なアルザにしてみれば青年に会うことが恐怖そのものだろう。
「大丈夫だよ。いつも通りの行動をすれば問題ないよ。きっとばれていないと思うし」
「でも……」
「ほら昨日ほこりとか汚れとか落としてきたでしょ。カンテラだって持ってきてある。あの後追いかけてきていないのが疑ってもいない証拠じゃない?」
「……分かった。カリアがそういうなら」
しばし沈黙が流れた。いくら説得をされても怖いものは怖い。カリアのように振舞うのはできないだろう。この緊張かき消すためかカリアから腹の音がした。
「はやく朝食を食べに行こう?」
「うん」
二人は部屋から出て食堂へ向かった。
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