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24.本名
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「僕の本名かい? 昔名乗ったことがあったよね。……おぼえていないか」
声を出した後に私ではなくどこかを見つめている。そういえばとこの部屋は見覚えがあると改めて思考回路を変換してまた見渡す。
確かにここはこの青年と二人で来たことある。あの時何を思ってここに来たんだっけ。
小さく呼吸をして日のにおいで現実に連れ戻される。
「僕はね……名前がないんだよ」
「名前がない?」
「そう、昔のことはあんまり言いたくないんだけどね。僕には親がいなくてね、家がなくさまようように過ごしていたよ。いまこうして話していられるのも先生のおかげかな。あの人にあこがれて医者になろうと決意したんだよね」
だからこの家にはたくさん医学関係の本があるんだなと思った。
「先生には名前を付けてもらえなかったの?」
「先生は育ての親だよ。ただご飯と家を与えてもらっただけの人さ」
「じゃあ、私にはなんて名乗ったの? 誰にも与えられてない名前を名乗ったの?」
「なんとなくじゃだめかな。その時はこんな名前になりたいなって思っていたんだ。だからその時に名乗っちゃったんだよね」
軽く笑いながら目を合わせない。私は相変わらず何も言えないままでいた。
「名前何だったけな、確かどこかに本があるはずなんだ」
「この地下の深くにあるの?」
青年は立ち上がりアルザのほうへ向いた。
「どうしてそう思ったんだ?」
「ごめんなさい、カリアを探して地下に勝手に入ったの」
「……そうか、じゃあカリアちゃんを探すついでに本も探そうか」
「はい」
荒くとがってしまった椅子からその体を離し、青年のもとへ歩み寄る。青年はカンテラに火を入れ机にあるロウソクの火をけして一緒に部屋から出た。
先生か。私はこの青年のことをあまりにも理解していなかった。この人にも過去があり目的に沿って生きている。私がかつてもとめていた人間とは何かの答えの一つかもしれない。どうして今まで気が付かなかったんだろうと今になって後悔する。取り戻すことができない空白のように過ぎ去った時間、これからはきちんと生きていこう。
ああ、どうして私の脳みそはこんなにも愚かなんだろう。いつにも増して心の底から憎んでしまう。この青年は見知らぬ人にひどいことをしたじゃないか。
「アルザ、地下はそんなに怖くないよ」
私に向けられたその笑顔はさっきまでは優しさを感じ取れていた。今はもう見えない。私は逃げれない選択をしてしまった。
「もしかすると大きな虫でもくるかもね」
声を出した後に私ではなくどこかを見つめている。そういえばとこの部屋は見覚えがあると改めて思考回路を変換してまた見渡す。
確かにここはこの青年と二人で来たことある。あの時何を思ってここに来たんだっけ。
小さく呼吸をして日のにおいで現実に連れ戻される。
「僕はね……名前がないんだよ」
「名前がない?」
「そう、昔のことはあんまり言いたくないんだけどね。僕には親がいなくてね、家がなくさまようように過ごしていたよ。いまこうして話していられるのも先生のおかげかな。あの人にあこがれて医者になろうと決意したんだよね」
だからこの家にはたくさん医学関係の本があるんだなと思った。
「先生には名前を付けてもらえなかったの?」
「先生は育ての親だよ。ただご飯と家を与えてもらっただけの人さ」
「じゃあ、私にはなんて名乗ったの? 誰にも与えられてない名前を名乗ったの?」
「なんとなくじゃだめかな。その時はこんな名前になりたいなって思っていたんだ。だからその時に名乗っちゃったんだよね」
軽く笑いながら目を合わせない。私は相変わらず何も言えないままでいた。
「名前何だったけな、確かどこかに本があるはずなんだ」
「この地下の深くにあるの?」
青年は立ち上がりアルザのほうへ向いた。
「どうしてそう思ったんだ?」
「ごめんなさい、カリアを探して地下に勝手に入ったの」
「……そうか、じゃあカリアちゃんを探すついでに本も探そうか」
「はい」
荒くとがってしまった椅子からその体を離し、青年のもとへ歩み寄る。青年はカンテラに火を入れ机にあるロウソクの火をけして一緒に部屋から出た。
先生か。私はこの青年のことをあまりにも理解していなかった。この人にも過去があり目的に沿って生きている。私がかつてもとめていた人間とは何かの答えの一つかもしれない。どうして今まで気が付かなかったんだろうと今になって後悔する。取り戻すことができない空白のように過ぎ去った時間、これからはきちんと生きていこう。
ああ、どうして私の脳みそはこんなにも愚かなんだろう。いつにも増して心の底から憎んでしまう。この青年は見知らぬ人にひどいことをしたじゃないか。
「アルザ、地下はそんなに怖くないよ」
私に向けられたその笑顔はさっきまでは優しさを感じ取れていた。今はもう見えない。私は逃げれない選択をしてしまった。
「もしかすると大きな虫でもくるかもね」
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