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第一章

真実と邂逅

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閉じた門を振り返って見て、何が起きたのかトーマ達は困惑しグリムのほうに振り向く

「さぁて、トーマ!テメーとそこの女!オメェらを帝国に連れて行く!」
 
「――!」
「ウチ?」
「テメーじゃね~!……まあテメーも連れてってもいいけどな……別に……」 

――グリム……なんか憎めん……しかしやっぱそうなるよな~――

「グリム悪いけど帝国に行く気ははないんだよ、その鏡だけ持って帰ってくれる?」

「貴様~!敵と戦わずに済むと思うのか!」
「いや~テメーが「アゥフ」になっちまったらしいからな~……帝国はテメーを必要としている」
「な!っこの小僧が「アゥフ」だと!」
「帝国に「アゥフ」が必要ならエリィは連れて行かなくていいだろう?」
「この娘はアッシュハート家だ!グリディアを裏切ることはない!」
「その女の持つ「オーパーツ」が必要なんだとよ~知らんけど」
「なんだと!貴様ら帝国が何故そのことを!」
 
「……時がどうとか言ってたなレイジンが、オレが「アゥフ」になったからオレが必要だとする……「オーパーツ」はいずれ「時が来たら奪う」つもりだったが「神託者しんたくしゃ」であるエリィが持ってないといけない……という事は……帝国が必要としている物は「三種の神器じんぎ」「オーパーツ」「アゥフ」……ということか……「アゥフ」が現れたから慌てて予定を繰り上げた……とか?」

 トーマとグリムはズークが喋っているにもかかわらず二人だけで会話している

 ――急に予定を変えたってことはオレが「アゥフ」に成りつつあることを知っている人物が工作員!……だとしたらやっぱり「マイメロ」さん!?――

「……トーマ……テメ~頭がいろいろ回るようだな……オレはよくわからん、ただテメーが行かないっつてもチカラずくで連れて行くんだけどな!」
 グリムの顔色が変わり、闘気が満ちている

「テメーとは戦ってみたかったんだ!殺さね~程度に痛めつけてやる!」
 
「マジかよ……」

「オレは魔将校六席グリム・フォレスト!」

「トーマくん!」 
「トーマっち!グリムんをぶっ飛ばせ!」

「魔将校だと!われ退くぞ」
 トーマは周りを巻き込まないようにグリムの左側に旋回し距離を取る

 冒険者トーマvs魔将校六席グリム・フォレスト

 ――魔将校ってことはレイジンと同じくらい?――

 グリムの武器は槍、トーマは大剣により間合いの取り方が難しい
 基本的に戦いにおいて槍のほうが有利だと言われており、戦争では状況にもよるが槍を使う兵士が多い
 一対一でもそれは同じ、圧倒的なリーチの差がある

 トーマは依頼の時にグリムの動きを見ている
 全力を出していなかったとはいえトーマの中ではある程度グリムの実力を把握している

 トーマはグリムに対して勝つつもりはあまり考えていなかった、出来れば時間を稼いでシュンカが戻るのを待ちたいと考える

 大剣としては相手の攻撃をかいくぐりカウンターを狙いたい、トーマは魔力を体に巡らせ相手の出方を待つ
「行くぜ!槍が最強だ!」
 グリムは凄まじい速さで槍を回し始めた
 片手で回す槍はその先端が見えないほどの速さでトーマとの距離を詰める

 高速で回る槍から振り下ろされる一振りをかわしカウンターでグリムの足に一閃入れる刹那せつな、トーマの肩に衝撃が走る!
 たまらず体をひねり間合いを取る

 ――痛~これが槍か!かわしても持ち手の柄のほうで殴られるんだ!師匠と槍の訓練しとくんだった……――

「オラオラどうした~そんなもんじゃね~だろが!」
 グリムが地面を蹴り一瞬で槍の間合いに詰めて振り抜く!
 トーマは魔力めぐりを目に集中させる、紙一重で躱しニ撃目を躱すが血飛沫ちしぶきが舞う!

 ――なっ!三箇所斬られた!――

「トーマくん!」「トーマっち~!」
 トーマから血飛沫が舞い、エリィとコーラルはトーマのもとに向かおうとするがトーマは来るなと手で制す
「強えぇ~グリム……でもおもしれ~」
 トーマの魔力が膨れ上がる!
 
 体に魔力を巡らせエンジンをかける!
 
 蒸気が身体中を覆う!

「おお~そう来なくっちゃ~やっと本気出すのかよ!エンジンかかるのおせ~よ!」
 グリムの一振りには二振り三振りの斬撃がある
柄の部分の攻撃を合わせるとその倍以上の攻撃に及ぶ
 グリムが突っ込み、回る槍から無数の攻撃がトーマを襲う!

 防御も兼ね備えた攻撃に隙はない!
「人間相手に真剣しんけん使うの初めてだから死ぬなよグリム!」
めんな~!」

 二人の間に血の雨が降る!全てトーマの血だ!
「マジかよ!」
 ジリジリ下がるのはグリムだった!

 全ての攻撃を敢えて少しかすめて槍の軌道を読み間合いを詰める!

 ――あと一センチ……入った――

 凄まじい一閃がグリムを捉える!
「ぐっ!」
 
 グリムの胸の肉を切り裂く一撃!
 
 一撃の衝撃に吹き飛ぶグリムは倒れず片膝をつき俯くと地面に血が流れ落ちる
 しかしトーマも切り傷だらけの血まみれ状態で片膝かたひざをついた
「――っ」
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