セリと王子

田中ボサ

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閑話 便せん選びですよね?

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  本日はサロンをお借りしてミーナリア様のお姉さまへのお手紙のための文房具選びです。

文房具選びだったっけ?

便せんとインクって言ってなかったっけ?

男性陣は私と同じ感想のようだ。

なぜか、部屋中に文房具、と名の付く物があふれかえっている。



ミーナ様もびっくりしてる。

「マリアンヌ様、イザベラ様、これは?」

「お手紙を書くために色々選びませんといけませんから、でも本日は少しだけ持ってきていただいたのですよ」

「えぇ、ミーナリア様のお姉さまの好きな色ですとか、お好きなお花の種類、それをミーナリア様のお好きな色のインクと合わせていきませんと」

な、なんだと?

手紙を書くためだけにこんな大量に?

それが少し??

こっから選べと??

どんな修行だ?

ミーナ様も若干引いてるに違いない・・・あれ?すごい前のめりだ。



「すごいわ、お義姉様のためにいろいろ考えて選ぶのね、たのしそう~」

うん、ミーナ様は前向き。

っていうか、すんごく楽しそう。



「まずは、ギルバート殿下」

「えっ?あ、なんだろうか?」

「ミーナリア様のおねえさまは殿下の婚約者と伺っています」

マリアンヌ様、いつもよりぐいぐい行くな。

「あ、あぁ」

「では、婚約者様のお好きな色は何でしょうか?」

「え?あ~、青と金色だと思う」

「何故ですか?」

「いや、いつもその色のドレスやアクセサリーをつけて「それは殿下の贈り物以外ですよね?」

イザベラ様、かぶってるよ。

「いや、あの、私が贈った物の色だが・・・」

「まぁ」

そういって、マリアンヌ様、イザベラ様はバサッと扇を広げた。



「お聞きになりました?」

「えぇ、婚約者様のお好きな色はご自分の贈った物ですって」

「まぁ、それって自分の色を贈っていることに気が付いてないと」

「いやですわ~、愛する婚約者を自分の色に染めたい気持ちはわかりますが、お好きな色が自分の色と思い込むなんて・・・」

「ですわね~」

「どれだけご自分がお好きなのかしら」

「もしかしたら、婚約者様は自分を好きで当たり前と思っているとか?」

「まさか、何の努力もしないで自分の色だけ贈るなどと・・・最悪ですわぁ」

ひそひそしている様子は全くなく、にっこりと微笑みながらお互いを見ているだけのように見えるのに、なのに声だけははっきりくっきり聞こえるという・・・。



「ねぇ、セリーヌ、お二人の声がすごくよく聞こえる気がするんだけど、単に扇を広げて微笑んでるようにしか見えないんだけど」」

ミーナ様が困惑している。

これは・・・多分あれだ。

「ミーナリア様、あれは淑女の必殺技らしいです、聞かせたい相手に的確に声を届け、淑女の技だと、以前マリアンヌ様達から伺いました」

「必殺技・・・」

あ、なんかミーナリア様がやる気になってる。



「ギルバート殿下、では婚約者様のお好きなお花は?」

「ギルバート殿下、婚約者様のお好きな動物は?」

「ギルバート殿下「ギルバート殿下「ギルバート殿下」」」

マリアンヌ様、イザベラ様の質問は止まらない。

そのうち、ギルバート殿下は真っ白に・・・燃え尽きていた。



なんかぶつぶつ言ってる。

「私の髪と目の色のドレスや宝石はすきじゃなかった??

私は婚約者の事が分かったような気になってた?」



「「本日はありがとうございました」」

マリアンヌ様、イザベラ様がカーテシーでギルバート殿下に挨拶をする。

「あ、あぁ、こちらこそありがとう?」

何故疑問形?



「あの、ギルバート殿下」

ミーナ様が声をかける。

「本日はお時間いただきありがとうございました。

あの・・マリアンヌ様、とイザベラ様は、私のためにいろいろしてくださって・・・

その、今日の事を失礼と思って罰がないようにお願いします」

「大丈夫だ!」

なんで叫ぶ、ギルバート殿下。

「私はそんな小さい男じゃない!」

「は、はい」

「リリーシャが喜ぶ。頑張って書いてやってくれ」

 

もしかして、小さい男だって言ったの・・・結構気にしてる?



アレクセイ殿下たちがその様子を見て笑っていたのは気が付かなかった。



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