25歳の俺とJKギャルの恋は、社会的にアウトですか?

黒猫

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第24話 「心の奥に浮かぶ名前」

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 月曜日の朝。
 眠気まなこで電車に揺られながら、俺はつい昨日のメッセージを思い出していた。

『今日はありがと』
『……変な人。でも、また遊んでもいいよ』

 短い言葉なのに、どうしてこんなに残るんだろう。
 心臓の奥に、まだその余韻が残っている。

(……いやいや、落ち着け。相手は高校生だぞ? それ以上でも以下でもない。ただの、お礼……そう、お礼だ)

 必死に自分に言い聞かせる。
 けれど、心のどこかで妙な高揚を隠しきれない。



 会社に着くと、早速いつもの同僚コンビが声をかけてきた。

「おはよー翔真。なんか顔がニヤけてない?」
「週末、デートでもしてたんじゃないの?」

 俺は思わずむせかえった。
「げほっ、ち、ちがっ……!」

 二人はすかさず顔を見合わせてニヤニヤ。
「うわ、図星だ!」
「いやー、そういうとこ隠すの下手だよなぁ」

 机に荷物を置きながら必死に誤魔化す。
「いや、ただの……散歩だよ。買い物ついでにちょっとな」

「ふーん? で、その“ついで”に誰と?」
「……っ!」

 鋭い追撃に、思わず視線を泳がせてしまう。
 脳裏に浮かぶのは、ひなたの笑顔。
 「変な人」と送ってきたときの、少し照れくさそうな文字。

(いやいや、違うだろ。ここで名前を出すなんて絶対ダメだ!)

「……べ、別に。ご近所さんだよ」
「お、なんか怪しいなぁ」
「翔真、ついに春来たかぁ」

 同僚たちのはやし立てる声に、俺はただ顔を覆うしかなかった。



 昼休み。
 弁当を広げようとしたとき、周囲の女性社員がひそひそと話しているのが耳に入った。

「また翔真くんのお弁当だ……」
「ねぇ、あれ、絶対誰かに作ってもらってるよね?」
「奥さん? 彼女? それとも……」

 ――カチリ。
 心臓が跳ねる。

 そうだ。
 この弁当は、ひなたが「お礼」として作ってくれたもの。
 たった一度のはずだった。
 でも、気づけば毎日カバンの中には綺麗に洗った弁当箱が忍ばせてある。
 もしまた渡せる機会が来たら……なんて、子供じみた期待を抱いて。

 俺は慌てて席を立ち、人気のない給湯室でこっそり弁当を食べた。

(やばいな……俺、完全に浮かれてる)

 自分を叱るように呟きながらも、頬はどうしても緩んでしまう。
 
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