夢の始まり

星野あずみ

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第1章

悪夢の始まり 下

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 山に着いたのだろうか。車が止まった。パパが怖くって眠気どころか、あくびもでない。このまま3人で死ぬのかな?怖い、怖い、怖い……無力で何も出来ない自分が嫌だ。怖くって何かしようなんて考えてもいなかった。そんな人任せの自分が嫌だ。今ならママが背負ってた物がわかる気がする。
「ほら、着いたぞ!今から、そこらへんの木に縄をかけるから!準備ができたら呼ぶから。心の準備をしとけよ!」
「あなた、お話をしましょう?大丈夫、なんでも受けとめますから。」
「話す事なんてない。今やってるから話しかけるなよ。どの木がいいかなぁ!」
ママは何もできなかった。本当にもぉ死ぬのかな。死ぬって怖い。みんな気軽に、お前死ねとか言ってるのに、こんな重みがあるなんて……
今までを振り返って後悔してる場合じゃない!
今からなら何かできるはず。でも今起きても何ができるのかな。いや、前向きに考えよう!
「おい、準備できたぞ!ほら出てこい。」
「あなた、私まだ死にたくない!お願い考え直して!」
「ここまで来て何を言ってる!ほら、先にお前をやってから、アイリスもやろう。最後に俺も追いかけるから。」
「嫌だ。離してちょうだい!」
今起きなかったらきっと後悔する。起きるなら今しかない。大丈夫、何かできるはず!!
「パパ、ママ、ここどこ?なんでママ泣いてるの?大丈夫?」
これで少しは、空気が変われば…
「大丈夫だよ!ママは嬉しいんだよ!みんな一緒になれるからな!」 
「今でも一緒じゃん!どおゆうこと?」
パパは無言で、ただただ涙を流し出した。静かに涙が流れていく。本当にどうしたのだろうか?パパはママを静かに離した。きっとパパも辛かったんだろうな。
「パパ、大丈夫だよ。寂しかったの?辛かったの?分からないけど、私とママならずっと一緒にいるから、ね?」
「アイリス……ごめんな。こんなパパで……」
ママは緊張が解けたのだろうか、腰が抜けてただ座っている。
「ママもパパも私も、家族って助け合えるから家族なんでしょ?これからはママと私でパパを支えるから。」
「ありがとう。さぁ、山登りは今日はこのくらいにして帰るか!!」
よかった。考え直したみたい。これが危機一髪って奴なのかな?まぁ、とにかくやっと寝れる。大丈夫、家族は見えない絆があるから。
「ジュリ、ごめんな。ちょっと疲れてたんだ。許してくれ。ほら、帰ろう。」
パパが優しく手を伸ばして、ママもただうなずいて、手をとりあう。三人で車に乗り家に向かった。私は色々疲れて、車の揺れが気持ち良くって、気づけば家のベッドに寝ていた。
 朝起きると、昨日何もなかったのかと疑うくらい、いつも通りになっていた。これならきっと大丈夫だろう。私もいつも通りに振る舞う。ポワポワしたいつもの感じだ。なんだろう、すごく嬉しい。なんでいつも通りってだけで嬉しいのだろうか。私はこのふわふわとした温かい気持ちで私は学校へ行った。
 「アイリス、もお寝る時間よ!」
今日って日を終えて、大切な物がわかった気がした。学校で遊んで疲れたし眠ろう。
「はーい。おやすみなさい。」
「おやすみ。」
いつも通りって大切だなぁ。すごく幸せだ。明日も明後日もこの先、永遠にあんな事がもお起こりませんようにと、願いながら深い深い眠りについた。
 「アイリス、朝よ!ごはんできてるから!」
もお朝。早いな。さっき寝たばっかりみたいにふわふわしてる。
「はーい」
私は学校の準備をして下に行った。
「はい、ごはんよ!」
「ありが……」
また、新しい傷がママの腕にできてる。これ、夢かな?そうだよね。私、早く起きてと願いながら、自分のほっぺをつねった。痛い。現実の世界だった。なんでまた?わかった、きっとママはどこかで転んだのよ。じゃないと説明がつかないもの。大丈夫。家族は見えない絆があるから、同じ過ちを繰り返さないように支えあえるの!きっと、何もないはず……
 この日から、毎日朝ママの体には傷増えていった。

つづく
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