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第一章〜商店街は妖怪騒ぎの巻〜
その⑯
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ようやく屋根の上へと上り終えることができたむすびちゃんは、駆け回る小鬼を追いかけていた。
この小鬼は今まで捕まえた妖怪たちと違って、やたらとすばしっこい。
建物間の段差をひょいひょいと飛び越えたり、くねくねと回ってみたり。
調子が狂う。
むすびちゃんは珍しく悪戦苦闘していた。
どうにかして鬼が牢屋にたどり着く前に捕まえなくてはならないのに…
「意外と大したことないんよー!」
小鬼はあっかんべえをしてみせた。
かちんときた。
いつもは挑発にのるほど心の狭い巫女ではないが、今回は本当に我慢できない。
「もう!私怒ったんだから!」
むすびちゃんは手を前に突き出した。
「当たって!浄炎☆邪心一括!!」
複数の火の玉が小鬼目掛けて一直線に飛んでいく。
「ほい!ほい!ほい!」
小鬼はそれを華麗に避けていく。
「当たらなければどうってことないんよー!」
「じゃあちょっと本気出すわよ」
「よよ?」
「浄炎☆邪心一括!いっぱい!!」
さっきの倍の倍々の倍々々くらいの量の火の玉が、むすびちゃんの周りに現れる。
その姿はまるで花火。
赤い、赤い、真っ赤な花火。
いつまで経っても消えない花火がどんどん小鬼に迫ってくる。
「よーー!!」
手足をばたばたと振る。
十分に離れていても、熱い熱い熱気が伝わってくる。
「もう、もう、いいでしょう!降参すれば許してあげるから!」
「降参なんてしないんよー!」
「このままだと消滅するわよ!」
「いやなんよいやなんよー!」
「だってあなた達、ただ人間と楽しく遊びたいだけなんでしょう⁉」
「…」
一人と一体の間に静寂が訪れた。
「人間が妖怪…物の怪を怖がる気持ちもわかるわ。でも私、物の怪全員が悪い奴ばかりじゃないって思うの!」
「もしあなた達に敵意がないなら私から話を通すわ。そうすればみんなわかってくれると思うし、きっと仲良くできるわよ!」
「だから…」
その間にも炎は一刻一刻と迫ってくる。
「それでも…男には負けるとわかっていてもやらねばならぬことがあるんよー!」
そして炎から離れようと走る。
行き止まり。
下を見ると、川。
とてもじゃないけど降りられない。
火と水、どっちも怖い!
あっ、終わった―
「よよよーー!!」
健闘空しく、大きな塊となった火の玉が小鬼にぶつかった。
その衝撃で下へと川へと落ち、しばらくしてぷかぷかとアフロの小鬼が浮かんできた。
「頑張ってあなたの身体が燃え尽きないように力を調節したわ。それでも丸焦げになっちゃったけど」
むすびちゃんは上るときにはすっかり忘れていた高さの恐怖に怯えながら、そしてそれを悟られぬようにわざと威勢のいい声で言う。
「意外と大したことないのね」
「負けたんよ…でも、親分はもっともっと強いんよ…」
「親分ねぇ…」
「そう、このメンバーで一番強い大蝦蟇親分は…数百人…誰にも倒すことができなかったんよ…一人を除いてだったけど…」
「大蝦蟇…」
時刻は只今四時半頃。
日が傾き始めている。
影が伸び、きらきらと光る夕日が瓦に反射する。
良い子は家に帰る時間だ。
でも、自分はまだ帰れそうにないかもしれない。
もう晩御飯の時間には間に合わないだろうな、と思った。
残り一体。
「でも、それをあなたに言われてもね…」
「おっしゃる通りなんよ…」
ようやく屋根の上へと上り終えることができたむすびちゃんは、駆け回る小鬼を追いかけていた。
この小鬼は今まで捕まえた妖怪たちと違って、やたらとすばしっこい。
建物間の段差をひょいひょいと飛び越えたり、くねくねと回ってみたり。
調子が狂う。
むすびちゃんは珍しく悪戦苦闘していた。
どうにかして鬼が牢屋にたどり着く前に捕まえなくてはならないのに…
「意外と大したことないんよー!」
小鬼はあっかんべえをしてみせた。
かちんときた。
いつもは挑発にのるほど心の狭い巫女ではないが、今回は本当に我慢できない。
「もう!私怒ったんだから!」
むすびちゃんは手を前に突き出した。
「当たって!浄炎☆邪心一括!!」
複数の火の玉が小鬼目掛けて一直線に飛んでいく。
「ほい!ほい!ほい!」
小鬼はそれを華麗に避けていく。
「当たらなければどうってことないんよー!」
「じゃあちょっと本気出すわよ」
「よよ?」
「浄炎☆邪心一括!いっぱい!!」
さっきの倍の倍々の倍々々くらいの量の火の玉が、むすびちゃんの周りに現れる。
その姿はまるで花火。
赤い、赤い、真っ赤な花火。
いつまで経っても消えない花火がどんどん小鬼に迫ってくる。
「よーー!!」
手足をばたばたと振る。
十分に離れていても、熱い熱い熱気が伝わってくる。
「もう、もう、いいでしょう!降参すれば許してあげるから!」
「降参なんてしないんよー!」
「このままだと消滅するわよ!」
「いやなんよいやなんよー!」
「だってあなた達、ただ人間と楽しく遊びたいだけなんでしょう⁉」
「…」
一人と一体の間に静寂が訪れた。
「人間が妖怪…物の怪を怖がる気持ちもわかるわ。でも私、物の怪全員が悪い奴ばかりじゃないって思うの!」
「もしあなた達に敵意がないなら私から話を通すわ。そうすればみんなわかってくれると思うし、きっと仲良くできるわよ!」
「だから…」
その間にも炎は一刻一刻と迫ってくる。
「それでも…男には負けるとわかっていてもやらねばならぬことがあるんよー!」
そして炎から離れようと走る。
行き止まり。
下を見ると、川。
とてもじゃないけど降りられない。
火と水、どっちも怖い!
あっ、終わった―
「よよよーー!!」
健闘空しく、大きな塊となった火の玉が小鬼にぶつかった。
その衝撃で下へと川へと落ち、しばらくしてぷかぷかとアフロの小鬼が浮かんできた。
「頑張ってあなたの身体が燃え尽きないように力を調節したわ。それでも丸焦げになっちゃったけど」
むすびちゃんは上るときにはすっかり忘れていた高さの恐怖に怯えながら、そしてそれを悟られぬようにわざと威勢のいい声で言う。
「意外と大したことないのね」
「負けたんよ…でも、親分はもっともっと強いんよ…」
「親分ねぇ…」
「そう、このメンバーで一番強い大蝦蟇親分は…数百人…誰にも倒すことができなかったんよ…一人を除いてだったけど…」
「大蝦蟇…」
時刻は只今四時半頃。
日が傾き始めている。
影が伸び、きらきらと光る夕日が瓦に反射する。
良い子は家に帰る時間だ。
でも、自分はまだ帰れそうにないかもしれない。
もう晩御飯の時間には間に合わないだろうな、と思った。
残り一体。
「でも、それをあなたに言われてもね…」
「おっしゃる通りなんよ…」
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