ダイヤモンド・リリー

zzz

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「閉まってる」

紫桜をからかうのに夢中になっていたら、思いの外時間が経っていた様だ。
役所は閉まっていた。

「フン、くだらん事ばかりしているからだ」

「紫桜だって楽しんでただろ」

馬鹿にした様な言い方に腹が立ったが、悟られない様冷静に言い返す。

反応を伺うと、やはり紫桜も腹が立った様だが、先の事を思い出したのか、口元を手で隠した。

フードで見えないが、恐らく赤面しいるのだろう。

キスをしようとしたら分かりやすく狼狽えた紫桜。

赦してくれたのは一瞬だった。
こちらに身を委ねる様に目を閉じた紫桜だったが、見惚れている内にその気配はすぐに消えてしまった。

キスをした事がない様で、随分居心地が悪そうだった。まあ、お仕置きとしては良かったのかも。

惜しい事をしたという気持ちは消えないが。

「今日は宿か何処かに泊まる。あ、城に泊めてくれたりなんかは…」

するわけないよな。

「ん、僕も宿を取ろう。」

するわけないのはわかっていたけど、そうじゃないだろ。

「俺はお前と寝たくて城に泊めてって言ったんじゃないぞ。紫桜まで宿に泊まる必要ないだろ」

「ねねね寝るだと!?そんな不埒なことをしてみろ!えっと、その…っ極刑だぞ!!」

恋愛に不慣れなヤツをからかうと、たまにこういった弊害が出るんだよな。

「寝るって、普通に睡眠だけど?睡眠取ると極刑になるなんて変わった世界だな。」

「え、あ、そういう……な、なら…極刑には、ならない…な、」
 
寝るってどういう意味だと思ったんだって問い詰めたかったが、今回はやめよう。そろそろ泣かせてしまう。

真っ赤になって使えない紫桜を引っ張りながら、俺は手頃な宿を探す。

きょろきょろと周りを見ると、ギルドが目に付いた。

と言っても、ギルドは想像を遥かに超えた大きさで、そのせいで近くに行っても、これがギルドだと聞くまでわからなかった。

ギルドは役所の隣にある、大きな塔だった。何処までも高く伸びた塔の先は雲にまで届き、果てが見えない。

紫桜曰く、何処まで伸びているのかは誰も知らないし、実際塔を登ることは古くから禁じられていると言う。

天界は神の領域。踏み入れた者は神からの裁きが下る。と。

神と言えばネーレは元気かな。昼に別れたばかりだけど。

チラリと横にいる紫桜を見る。

「何だ。見るな。」

からかいすぎたせいで冷ややかな視線を向けられる。

眉間に皺寄せる程嫌なら城に帰れば良いのに。
なんて言えるはずもなく。

ギルドの近くに良さそうな宿があったので、そこに入る。こじんまりとしていて綺麗な宿だ。

王子様なら「貧乏くさい」だの「狭い」だの文句を言ってくると思ったが、珍しいのか気に入ったのか知らないが、少し嬉しそうに借りた部屋の中をきょろきょろしている。

…可愛いとか思った自分を殴りたい。




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