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第二部
夢
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―――目を開ける。ここは何処だ。フワフワとした感覚・・・ああ、これ夢だ。
明晰夢ってやつか。そう思いながら、見慣れない河川敷を歩く。目的も何もないが、
ただ足を動かし続けていた。
少し歩くと、河原で白いものが動いていた。何だろうと近付くと、それは着物姿の
白い髪の少女で。何処か見覚えのあるその少女は赤い目をこちらに向けると、首を
傾げる。
・・・思い出せそうで思い出せない。君を知っているのに、名前が出てこない。
「誰じゃ?」
「俺は・・・」
少女の問いに俺は名前を言おうとするが、声が出ない。まるで名前を言うことを
拒んでいるかのように、口だけがパクパクと動く。
「まあ良い、お主と会ったのも何かの縁じゃ。名など知らずともどうとでもなる」
少女はそう言うと、石を一つ掴んで差し出してくる。
「一緒に遊ぼう!」
笑みを浮かべて俺を見た少女に、俺も笑みを向ける。
差し出された石を手に取ると、少女は足元の石を拾って川へと投げた。
キラキラとした目で俺を見る少女に、俺は聞いた。
「水切り・・・って訳じゃないのか?」
「どっちでも良いぞ!妾よりも遠くに着水すればお主の勝ちじゃ!」
少女の言葉になるほどと頷き、大きく振りかぶって石を投げる。夢だからか着水
しても音はならなかったが、少女は満足そうな顔で俺を見ていた。
―――暫くの間、少女と川へ向かって石を投げまくる。漠然とした楽しさを感じ
ながら石を投げていると、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
声のした方を見ると、そこに居たのは両親で。どうやら俺を探しているらしく、
俺はそちらへ駆け出そうとする。
「どうした?あの人間が気になるのか?」
少女がそう言いながら俺の腕を掴む。
「親が探しに来たんだ、行かないと」
俺の言葉に少女は首を傾げると、不思議そうな声で言った。
「親?あの人間がお主の親なのか?」
少女の様子に違和感を感じ、無言で頷く。すると少女は困惑した顔で言った。
「何を言っておる。お主、あの人間共と気配も姿も違うではないか」
「・・・は?」
何を言っているんだと今度は俺が困惑する。俺と少女が互いに首を傾げている間
にも、両親は俺の名前を呼びながら近付いてくる。
この距離なら両親からも俺の姿が見えるはずだ。・・・なのに何故、キョロキョロ
しているんだ?
「俺、どんな姿してる・・・?」
震える声で少女に聞く。
「自分の姿も分からぬのか?ほれ、水面に顔を映してこい」
少女がそう言って川を指さす。
フラフラとした足取りで川へ向かい水面を覗き込もうとした、その時。
・・・目の前が、暗転した。
明晰夢ってやつか。そう思いながら、見慣れない河川敷を歩く。目的も何もないが、
ただ足を動かし続けていた。
少し歩くと、河原で白いものが動いていた。何だろうと近付くと、それは着物姿の
白い髪の少女で。何処か見覚えのあるその少女は赤い目をこちらに向けると、首を
傾げる。
・・・思い出せそうで思い出せない。君を知っているのに、名前が出てこない。
「誰じゃ?」
「俺は・・・」
少女の問いに俺は名前を言おうとするが、声が出ない。まるで名前を言うことを
拒んでいるかのように、口だけがパクパクと動く。
「まあ良い、お主と会ったのも何かの縁じゃ。名など知らずともどうとでもなる」
少女はそう言うと、石を一つ掴んで差し出してくる。
「一緒に遊ぼう!」
笑みを浮かべて俺を見た少女に、俺も笑みを向ける。
差し出された石を手に取ると、少女は足元の石を拾って川へと投げた。
キラキラとした目で俺を見る少女に、俺は聞いた。
「水切り・・・って訳じゃないのか?」
「どっちでも良いぞ!妾よりも遠くに着水すればお主の勝ちじゃ!」
少女の言葉になるほどと頷き、大きく振りかぶって石を投げる。夢だからか着水
しても音はならなかったが、少女は満足そうな顔で俺を見ていた。
―――暫くの間、少女と川へ向かって石を投げまくる。漠然とした楽しさを感じ
ながら石を投げていると、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
声のした方を見ると、そこに居たのは両親で。どうやら俺を探しているらしく、
俺はそちらへ駆け出そうとする。
「どうした?あの人間が気になるのか?」
少女がそう言いながら俺の腕を掴む。
「親が探しに来たんだ、行かないと」
俺の言葉に少女は首を傾げると、不思議そうな声で言った。
「親?あの人間がお主の親なのか?」
少女の様子に違和感を感じ、無言で頷く。すると少女は困惑した顔で言った。
「何を言っておる。お主、あの人間共と気配も姿も違うではないか」
「・・・は?」
何を言っているんだと今度は俺が困惑する。俺と少女が互いに首を傾げている間
にも、両親は俺の名前を呼びながら近付いてくる。
この距離なら両親からも俺の姿が見えるはずだ。・・・なのに何故、キョロキョロ
しているんだ?
「俺、どんな姿してる・・・?」
震える声で少女に聞く。
「自分の姿も分からぬのか?ほれ、水面に顔を映してこい」
少女がそう言って川を指さす。
フラフラとした足取りで川へ向かい水面を覗き込もうとした、その時。
・・・目の前が、暗転した。
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