158 / 169
第五部
幼馴染
しおりを挟む
―――御鈴達は夜まで俺達の部屋で寛ぐつもりらしく、早々に戻ってきた。
談笑している御鈴達を遠巻きに見ている悠斬さんと目が合い、少し気まずくなる。
糸繰曰く厳しいけど優しい人らしいのだが、どうも彼から漂う厳かな雰囲気に
慣れない。
・・・そして何故か分からないが、悠斬さんから大切な何かを失ったような感覚を
感じていた。
「・・・何だ」
「あ、いや、すみません・・・」
どうしても気になって悠斬さんから目が離せないでいると声を掛けられてしまう。
咄嗟に謝ると、糸繰が不思議そうな顔で首を傾げた。
何となく居心地が悪くなり、トイレを理由に部屋から出る。何故か令も付いて
きたが、部屋を出る口実が欲しかっただけなので特に何も言わなかった。
・・・廊下を少し歩くと、庭の見える場所に出る。そこに真悟さんと八雲さんの
姿を見つけ、思わず気配を消して物陰に隠れた。
「真悟が客連れてくるって言ったから楽しみにしてたけど・・・神が二柱に、妖が
二体、そんでもって人間が三人か?妖に関しちゃ猫又はともかく、鬼・・・しかも
人型に近い奴だから相当な力があるやつだろ。そんなのまで連れてくるとはなあ」
「令と糸繰か。まあ、蒼汰くんの家族だしその辺はな。・・・いやでも、俺も
悠斬さんを呼ぶとは思ってなかったから驚いちゃって」
「あのおっさん強そうだよなあ。・・・もしかして、妖憑きだったりすんのか?」
「まさか。噂じゃ、元々神社の人間らしいぞ」
「へぇ。ま、過去とか興味無いけど」
「八雲のそういう所、嫌いじゃないよ」
八雲さんと真悟さんの会話が聞こえる。昔馴染みと言っていただけあって
二人の仲は良さそうで、互いに砕けた口調で談笑していた。
会話が少し気になったので、暫く聞き耳を立ててみる。すると、八雲さんが
クツクツと笑いながら言った。
「・・・で?いつまで変化しっぱなしなんだ、真悟。ここじゃそういうの
気にすんなって言っただろ」
「一人で泊まりに来てるならな。・・・しょうがねえだろ、変化した俺の姿しか
知らない奴も来てるんだし」
「気ぃ張ってたら、休むもんも休めねえぜ?ほら、手伝ってやるよ」
「は?!おい馬鹿やめろっ」
何が起きているんだと、物陰からこっそり顔を出す。八雲さんの手には煙管が
握られており、それを吸った彼が息を吹き出すと煙が瞬く間に真悟さんの全身を
包み込んだ。
煙が晴れると、真悟さんの変化は完全に解けており。犬耳を垂れ下げながら、
不満ありげな顔で獣っぽい黄色の目を八雲さんに向ける。
「やっぱ、そっちの姿の方が好みだわ」
「覚えとけよ、八雲。こんな姿、誰かに見られでもしたら・・・」
クツクツと笑う八雲さんにそう言った真悟さんが、辺りを見回す。隠れようと
思ったのだが、彼が俺を見つける方が早かった。
「あ・・・・・・」
「すみませんすみません、本当にすみません!!」
必死に謝る俺に、真悟さんが近付いてくる。
まずい、消されるかもしれない。そう思っていると、真悟さんが溜息を吐きながら
言った。
「まあ、蒼汰くんだから良いけどさ。盗み見は良くないと思うよ」
「うっ・・・ごめんなさい」
俺の頭を優しく撫でてきた真悟さんを見て、八雲さんが目を丸くする。
「真悟、神を手懐けてるのかよ」
「違ぇよ、俺を何だと思ってるんだ」
八雲さんの言葉に、真悟さんが間髪入れずに言う。そして、俺を見て八雲さんを
指さすと彼は言った。
「八雲は、雲外鏡っていう妖と人間のハーフなんだ。半妖ってやつだね」
「雲外鏡って・・・大妖怪の?!」
ずっと黙っていた令が驚いた声を上げる。
真悟さんは頷くと、八雲さんとアイコンタクトを取った。
「はいはい、説明な。俺・・・いや、わたくしの母が雲外鏡という妖でして。
雲外鏡の妖術は真実を暴くというものなので、真悟のように変化をしている者も
妖術を使えば真の姿を現すのです。強い力を持った神様の変化などは、暴くのに
相当な妖力を消費しなければいけないんですけどね」
八雲さんの説明に、なるほどと頷く。
神に妖術が効きにくいとしても、八雲さんの妖術のように姿を暴くなどは効果が
あるらしい。
「面倒なことに、八雲の妖術は時間経過で解けるんだ。だから暫くはこの姿で
いなきゃいけない」
「そんな顔すんなよ・・・」
悲しそうな顔で困ったような笑みを浮かべた真悟さんに、八雲さんがばつの
悪そうな顔をした。
「・・・それにしても、お前そんな姿だったんだな。にゃんか新鮮だ」
「君は口が堅そうだから念を押す必要は無いかもしれないけど。普段は隠して
いるんだ、言いふらしたりしないでね」
令の言葉に、真悟さんが暗い声で言う。にゃうと令が頷くと、真悟さんは小さく
ありがとうと言ってその場から離れようとした。
その時である。
「お話し中、申し訳ありません!支配人、来ていただけますかっ!」
慌てたような声で、従業員らしき女性が駆け寄ってくる。どうしました?と
八雲さんが首を傾げると、従業員は俺達に一礼して口を開いた。
「お客様同士が口論から殴り合いに発展しそうでして・・・」
「お客様の種族は?」
「神様です・・・」
従業員の言葉を聞いた途端、八雲さんの顔がげんなりとしたものになる。そして
真悟さんを見ると、彼は助けを求めるような目で言った。
「出番だぞ、神主・・・」
「いや、知らねえよ。俺が守ってるのはうちの神社だけだ、客の面倒事を押し付けて
くるな。ほら行ってこい、支配人」
ぴしゃりと言い放った真悟さんに、八雲さんは溜息を吐く。
「神同士の争いは厄介なんだ、神通力を使われたら俺達旅館の者にはどうすることも
できないしな。生憎、神の力を持った従業員がいないもんでね」
八雲さんの言葉に、真悟さんは彼が言いたいことを察したのか溜息を吐いて
言った。
「神通力使ったら教えるだけだからな。対処は自分でしろよ」
「助かるよ。ありがとう、お前が親友で良かった」
「・・・クソ、乗せられた」
恥ずかしさを隠すようにボソッと呟いた真悟さんに、八雲さんはクツクツと笑って
早足で歩き出した。
談笑している御鈴達を遠巻きに見ている悠斬さんと目が合い、少し気まずくなる。
糸繰曰く厳しいけど優しい人らしいのだが、どうも彼から漂う厳かな雰囲気に
慣れない。
・・・そして何故か分からないが、悠斬さんから大切な何かを失ったような感覚を
感じていた。
「・・・何だ」
「あ、いや、すみません・・・」
どうしても気になって悠斬さんから目が離せないでいると声を掛けられてしまう。
咄嗟に謝ると、糸繰が不思議そうな顔で首を傾げた。
何となく居心地が悪くなり、トイレを理由に部屋から出る。何故か令も付いて
きたが、部屋を出る口実が欲しかっただけなので特に何も言わなかった。
・・・廊下を少し歩くと、庭の見える場所に出る。そこに真悟さんと八雲さんの
姿を見つけ、思わず気配を消して物陰に隠れた。
「真悟が客連れてくるって言ったから楽しみにしてたけど・・・神が二柱に、妖が
二体、そんでもって人間が三人か?妖に関しちゃ猫又はともかく、鬼・・・しかも
人型に近い奴だから相当な力があるやつだろ。そんなのまで連れてくるとはなあ」
「令と糸繰か。まあ、蒼汰くんの家族だしその辺はな。・・・いやでも、俺も
悠斬さんを呼ぶとは思ってなかったから驚いちゃって」
「あのおっさん強そうだよなあ。・・・もしかして、妖憑きだったりすんのか?」
「まさか。噂じゃ、元々神社の人間らしいぞ」
「へぇ。ま、過去とか興味無いけど」
「八雲のそういう所、嫌いじゃないよ」
八雲さんと真悟さんの会話が聞こえる。昔馴染みと言っていただけあって
二人の仲は良さそうで、互いに砕けた口調で談笑していた。
会話が少し気になったので、暫く聞き耳を立ててみる。すると、八雲さんが
クツクツと笑いながら言った。
「・・・で?いつまで変化しっぱなしなんだ、真悟。ここじゃそういうの
気にすんなって言っただろ」
「一人で泊まりに来てるならな。・・・しょうがねえだろ、変化した俺の姿しか
知らない奴も来てるんだし」
「気ぃ張ってたら、休むもんも休めねえぜ?ほら、手伝ってやるよ」
「は?!おい馬鹿やめろっ」
何が起きているんだと、物陰からこっそり顔を出す。八雲さんの手には煙管が
握られており、それを吸った彼が息を吹き出すと煙が瞬く間に真悟さんの全身を
包み込んだ。
煙が晴れると、真悟さんの変化は完全に解けており。犬耳を垂れ下げながら、
不満ありげな顔で獣っぽい黄色の目を八雲さんに向ける。
「やっぱ、そっちの姿の方が好みだわ」
「覚えとけよ、八雲。こんな姿、誰かに見られでもしたら・・・」
クツクツと笑う八雲さんにそう言った真悟さんが、辺りを見回す。隠れようと
思ったのだが、彼が俺を見つける方が早かった。
「あ・・・・・・」
「すみませんすみません、本当にすみません!!」
必死に謝る俺に、真悟さんが近付いてくる。
まずい、消されるかもしれない。そう思っていると、真悟さんが溜息を吐きながら
言った。
「まあ、蒼汰くんだから良いけどさ。盗み見は良くないと思うよ」
「うっ・・・ごめんなさい」
俺の頭を優しく撫でてきた真悟さんを見て、八雲さんが目を丸くする。
「真悟、神を手懐けてるのかよ」
「違ぇよ、俺を何だと思ってるんだ」
八雲さんの言葉に、真悟さんが間髪入れずに言う。そして、俺を見て八雲さんを
指さすと彼は言った。
「八雲は、雲外鏡っていう妖と人間のハーフなんだ。半妖ってやつだね」
「雲外鏡って・・・大妖怪の?!」
ずっと黙っていた令が驚いた声を上げる。
真悟さんは頷くと、八雲さんとアイコンタクトを取った。
「はいはい、説明な。俺・・・いや、わたくしの母が雲外鏡という妖でして。
雲外鏡の妖術は真実を暴くというものなので、真悟のように変化をしている者も
妖術を使えば真の姿を現すのです。強い力を持った神様の変化などは、暴くのに
相当な妖力を消費しなければいけないんですけどね」
八雲さんの説明に、なるほどと頷く。
神に妖術が効きにくいとしても、八雲さんの妖術のように姿を暴くなどは効果が
あるらしい。
「面倒なことに、八雲の妖術は時間経過で解けるんだ。だから暫くはこの姿で
いなきゃいけない」
「そんな顔すんなよ・・・」
悲しそうな顔で困ったような笑みを浮かべた真悟さんに、八雲さんがばつの
悪そうな顔をした。
「・・・それにしても、お前そんな姿だったんだな。にゃんか新鮮だ」
「君は口が堅そうだから念を押す必要は無いかもしれないけど。普段は隠して
いるんだ、言いふらしたりしないでね」
令の言葉に、真悟さんが暗い声で言う。にゃうと令が頷くと、真悟さんは小さく
ありがとうと言ってその場から離れようとした。
その時である。
「お話し中、申し訳ありません!支配人、来ていただけますかっ!」
慌てたような声で、従業員らしき女性が駆け寄ってくる。どうしました?と
八雲さんが首を傾げると、従業員は俺達に一礼して口を開いた。
「お客様同士が口論から殴り合いに発展しそうでして・・・」
「お客様の種族は?」
「神様です・・・」
従業員の言葉を聞いた途端、八雲さんの顔がげんなりとしたものになる。そして
真悟さんを見ると、彼は助けを求めるような目で言った。
「出番だぞ、神主・・・」
「いや、知らねえよ。俺が守ってるのはうちの神社だけだ、客の面倒事を押し付けて
くるな。ほら行ってこい、支配人」
ぴしゃりと言い放った真悟さんに、八雲さんは溜息を吐く。
「神同士の争いは厄介なんだ、神通力を使われたら俺達旅館の者にはどうすることも
できないしな。生憎、神の力を持った従業員がいないもんでね」
八雲さんの言葉に、真悟さんは彼が言いたいことを察したのか溜息を吐いて
言った。
「神通力使ったら教えるだけだからな。対処は自分でしろよ」
「助かるよ。ありがとう、お前が親友で良かった」
「・・・クソ、乗せられた」
恥ずかしさを隠すようにボソッと呟いた真悟さんに、八雲さんはクツクツと笑って
早足で歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる