サウザンド・ジョブ・オンライン ~あるみならい僧侶の話~

アヤマチ☆ユキ

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第1章 はじまりの街 編

N004 転職ショック <03/28(日)AM 10:53>

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今回も 新人のネイコさん視点 でのお話となります。


※主人公(達)がスルーしてきた「最初の一度きりの説明」とは、
一体どういうモノなのか? というお話になります。

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 チュートリさんの後について南の門を通り、北《↑》へ歩いて行くと、前方に、ゆっくりと回転しながら、ぷかぷか浮いている〈青い色の丸い水晶玉〉が見えてきた。

「んふふ~、そんじゃ、もっかい”コレ”にさわってみよっか~」
 目の前でふわふわ回転している『水晶玉』にさわってみる。するとまた、目の前の空間に文字が浮かび上がり、頭の中に誰かの声と、ファンファーレ?が聞こえてきた。

《おめでとうございます!LVが上昇しました! LV1 →LV2》
《このクリスタルではLV2までしかチェック出来ません、以降は別のクリスタルでチェックを行って下さい。》

《おめでとうございます! ”らびっとはんたー(仮)” への転職条件を満たしました。》
《”らびっとはんたー(仮)” へ転職しますか? yes / [no] 》

「らびっとはんたー(仮)?」
「ん~、とりあえず「イエス~」って念じてねん」
 えっと、「イエス~」

 するとまた目の前の空間に文字が浮かび上がり、頭の中に誰かの声と、先ほどとは別のファンファーレ?が聞こえてくる。

《おめでとうございます!”みならい斥候” → ”らびっとはんたー(仮)” へ転職しました。》


「ほ~い、これが『LVUP』と『転職』ね~」
「『LVUP』と… 『転職』…」

「順に説明するよ~。まず『LVUP』は~、色々な経験をして、経験値をためて、『クリスタルにさわってLVUPのチェック』をした時に、経験値が十分足りていればLVUPするのね~。 『クリスタルにさわらないとLVUPは絶対にしない』から~、ちょくちょく触ってチェックした方がいいわよん」
 なるほど、よくあるゲームみたいに、経験値がたまった瞬間にLVUPとかはしないのね。

「それから~『昇格』と~ 『転職』ね~」


▼▼▼▼▼ 補足、解説 ▼▼▼▼▼

TJOにおける昇格(クラスチェンジ)と転職(ジョブチェンジ)、について

TJOでは大まかに、
昇格=クラスチェンジ=階級等が変わる(上昇する)事 (例、みならい戦士 →戦士)
転職=ジョブチェンジ=職種が大きく変わる事 (例、戦士 →商人)
となっている。

基本的には、
・昇進、昇級などの『上級職へ変わる事』を、昇格(クラスチェンジ)と呼び、
・任意の職業変更を、転職(ジョブチェンジ)と呼ぶ、
 ……くらいに考えていれば良いのだが、

例外として、
・『赤色ネーム』になると行われる『賞金首』への、転職(ジョブチェンジ)や、
・上級職から下級職へ変わる、降格(クラスチェンジ)、
 ……といった、『マイナス的な職変更』も存在する。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


「それじゃ~「スキル一覧~」、はい」
 また? 「スキル一覧~」

《スキル一覧》
《脱兎[ランナウェイ]》


「………ええぇ??? 一つ?」
 転職前は、6個くらい? スキルがあったのに?

「ね~? こ~んな風に、『転職』とかする場合は~、前の『職業専用だったスキル』とかが、ど~んと『無くなっちゃう事がある』んだよ~。だから『転職とかする場合』は、よ~く考えてね~、もちろん無くならない事もあるわよん」
 え?…… そんな『運まかせ』なの?

「それで~『いきなり』だと困るだろうから、『冒険者ギルド3階』〈資料室〉、『オンラインマニュアル』で~、『今』、『転職』、『昇格』出来る職については~、事前に調べられるわよん」
 ……なんだ、事前に調べられるんだ…… ん?

「『今』?」
「そうよん。この『サウザンド・ジョブ・オンライン』ってゲームは~、
 「どんな職があるんだろ~?」、「どうやったら なれるんだろ~?」って~、
色々考えたり~挑戦とかするのも~≪楽しみの一つ≫なのよん。
 だから~『条件を満たして無い職業』については『調べられない』のよね~」
「そっか、条件を見つけて満たしたなら、どんな職業か? 調べる権利が得られるのね?」

「まぁそんなところね~。それでココでは~、「迂闊うかつに『転職』しちゃうと~、
≪こんな風に後悔しちゃう≫かもね~」 …っていう説明なんだよ~。
実際には『らびっとはんたー(仮)』っていう職も、そのスキルも存在して無いわよん」
 …どうやら『冒険者ギルド3階』の〈資料室〉?には、何度もお世話になりそうね。


「それじゃ~最後に、『LVUPボーナス』の『ptポイント振り』についてよん」
「pt振り?」
「とりあえず~、「ptを振る~」とか、「パラメータを振る~」とか念じて~」
 ?? 「ptポイントを振る~」?

 また、目の前の空間に文字が浮かび上がり、頭の中に誰かの声が聞こえてくる。

《ボーナスポイントを振りわけます。残り 10pt》
《STR DEX INT VIT MAG <今は振らない>》

「表示されたかな~? 『STR』とかの意味は~後で自分で調べてね。
 とりあえず~「全部に1pt~」って念じてみて」
 ? 「全部に1pt~」?

《ボーナスポイントを振りわけます。残り 5pt》
《STR+01 DEX+01 INT+01 VIT+01 MAG+01 <今は振らない>》

「あ……」
「出来たかな~?
ポイントはLVUPして、すぐ振ってもいいし~残しておいても『消えたりはしない』わよん。
それと~『何にどう振っても職には関係しない』から~、好きな時に~自由に振ってね~」
 ……でもすぐ振った方が強くなるのよね? 残してどうするのかな?

「それから~それぞれの『最大値は+50まで』よん。
 最大にしちゃったら別のパラメータに振ってね~」
 ふ~ん、最大値は『+50まで』…… ね。

「それじゃ~、残りはSTRに振ってみよっか? 「STRに残り全部~」、はい」
 「STRに残り全部~」

《ボーナスポイントを振りわけます。残り 0pt》
《STR+06 DEX+01 INT+01 VIT+01 MAG+01 <今は振らない>》

「わかったかな? 一気に振るも、少しずつ振るもアナタ次第だよ~。
 それで~間違えちゃったら~、「取り消し~」とか~、「キャンセル~」って念じれば、
『その表示を消す前なら』キャンセル出来るわよん、はい」
 「キャンセル~」

《ボーナスポイントを振りわけます。残り 10pt》
《STR DEX INT VIT MAG <今は振らない>》

「あ、戻った」
「ね? 表示を消して『確定』しちゃうと~、もう変更もキャンセルも出来なくなるんだよ~。気をつけてねん」
 とりあえず振る前に、『どれ』が、『どういう意味』なのか…調べて決めないとね。





「ほいほ~い、お疲れ様~。これで『サウザンド・ジョブ・オンラインに関する基本的な説明』は全て終了だよ~。最後に何か質問はあるかな~?」
 …と言われても「何を質問すればいいのか?」が分からないんだけど……あ!

「あの、この『布の服』? が、あまり着心地良く無いんだけど、その…… 下着とか? 売ってる店ってあるの?」
「んふ~、そ~んな質問してきたのは~アナタがはじめてだよ~。下着ね、武器屋さんの裏の方に~、服を売るお店があったはずよん」
 『武器屋さんの裏』ね。この服も下着もチクチクしてて、凄い気になるんだけど、他の人は気にならないのかな?

「他にあるかな~?」
 ん~、後は『冒険者ギルドの3階』…で調べればいい…のかな?

「多分、無いです」
「ほ~い、それじゃこれで、この〈説明用の街〉とも お別れになるんだけど~……」
 チュートリさんが何か『袋』を取り出し、私に持たせてくれた。

「んふふ、アナタ見込みありそうだし応援しちゃおっかな~、これでいい武器買ってがんばって^^」
 「なんだろう?」…… そう思った時には、周囲の風景がボヤけてきて、すぐに眩しく光って、それから真っ暗になった。


▼▼▼▼▼ 補足、解説 ▼▼▼▼▼

チュートリアルキャラクター チュートリ(CV:能登麻美子)

 ゲーム開始時にプレイヤーに対して、サウザンド・ジョブ・オンライン(Thousand Job Online)TJO の『基本的な説明』を行うサポートキャラクター。

 180cmと長身で、真紅の鎧姿。スレンダーな体形ながら、色白で、真っ赤な唇、真っ赤な瞳、真っ赤なさらさらロングヘアー。その美しい容姿と、ちょっとお茶目?な口ぶりとのギャップが受けて、某掲示板等では『チュートリさん』と呼ばれ人気がある。

 キャラクターメイキング後、ゲーム開始時に、《サウザンド・ジョブ・オンラインに関する基本的な説明を希望しますか? [yes] / no 》 …と選択肢が表示される。
 ここで『yes』を選択すると「ほいほ~い、そんじゃ新人さんに、ちゃっちゃか説明するよ~」…と、軽い感じでチュートリさんが登場するのであるが――、攻略wikiでは、この『説明』は、『一度きりなので我慢して受けた方が良い』…と強く推奨されている。

 チュートリさんとパーティを組み、チュートリアル専用の”ちょっとしたクエスト”をしながら説明を受けるのだが…、『チュートリさんとPTを組める』のは、≪後にも先にもこの一回きり≫、「そんな貴重なチャンスを、すてるなんてとんでもない」(チュートリさんFCファンクラブ談)…というのが理由の一つ。

 そしてこの『基本的な説明』を受けた場合には、『通常スタート時の所持金が 10,000G』であるのに対し、チュートリさんの援助(チュートリアル終了報酬)として、≪もう10,000G支給される≫のだ(合計20,000G)。

 チュートリさんいわく…「んふふ、アナタ見込みありそうだし応援しちゃおっかな~、これでいい武器買ってがんばって^^」…との事だが、どんな『へっぽこ』なプレイをやらかして(なんの見込みなんだよw)などと、色々複雑に思うところがあっても、最後までやり遂げれば、しっかり10,000G貰えるので安心だ。

 さて『通常10,000G』の内、数日分の宿泊費や冒険用の細々とした道具に3,000G程度、防具の事も考えると武器に回せるのは『無理しても5,000G程度』である。
 そしてその『無理した5,000G』で買えるのは、『棍棒』だったり、『ワンド』…とは名ばかりの「コレただの木の枝では?」…な代物。

 しかしチュートリアルを受けて『最初から20,000G』あれば、『無理すれば15,000Gも武器に回せる』…のだ。これにより最初から『1ランク上の青銅製の武器』や、ナイフ等の小さめの武器であれば『鉄製品』等が購入でき、結局≪かなりのスタートダッシュ≫が出来る。
 『急がば回れ』である… ありがとうチュートリさん。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 真っ暗な空間に文字が浮かび上がり、頭の中に誰かの声が聞こえてくる。

《チュートリアル終了報酬:10,000G を獲得しました。 10,000G →20,000G》


《それでは はじまりの街[スパデズ]へ》

 「……はじまりの街[スパデズ]?……」






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LV:1
職業:みならい斥候
所持金:20,000G
武器:なし
防具:布の服
所持品:0/50


「やっぱ~? 最初『10,000G』と『20,000G』じゃ、差がありすぎでしょ? って~」
「だよねぇ」
「……すくない」

「あの説明、少しでも『スキップ』出来ればねぇ」
「だね~、はいはい~って? チュートリさんの~? 言う通りにしてても~、1時間以上かかるし~」
「……ながい」
「攻略サイトでも書いてたけど、『一度きりだから我慢』…だねぇ」
「な~んで改善? してくれなかったのかな~?」
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