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第1章 はじまりの街 編
N003 はじめての戦闘 <03/28(日)AM 09:52>
しおりを挟む今回も 新人のネイコさん視点 でのお話となります。
※主人公(達)がスルーしてきた「最初の一度きりの説明」とは、
一体どういうモノなのか? というお話になります。
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チュートリさんに付いて、南の門のすぐ近くにやって来た。
「ほいほ~い。それじゃ~また視線の下の方に意識を集中してみてね?」
「下~」……?? ん? 『灰色の盾にバツじるし』…のままだ。
「よ~し、それじゃ~『それ』を≪見ながら≫外に出てみよ~」
そう言ってチュートリさんが門の外に出ていく。
私も言われた通り『バツじるしの付いた灰色の盾』を見ながらついていく。
「…………あ」
「んふふ、変わったのが~わかったかな~?」
『灰色の盾にバツじるし』だったのが、『青色の盾』に変わった。
「それが〈戦闘状態〉に切り替え可能な時の〈通常状態〉の印だよ~。
その『青色の盾』の時は、「戦闘したい~」とか、「戦うぞ~」とか念じれば~、
〈戦闘状態〉に切り替えられるわよん」
とにかく『そんな感じ』に≪念じればいい≫と……割と適当なのね。
「それから~、〈戦闘状態〉に切り替えられるって事は~?」
「え? ……『安全』じゃない?」
「んふふ~、そうよん。『青色の盾』の場所では~油断は禁物だよ~」
『青色の盾』の場所では『油断は禁物』…。
「さて、それじゃ~ あっちを見てね」
チュートリさんが指差す方を見ると―― かわいい…まん丸な…うさぎ?
「あれが『バルーンラビット』、風船兎だよ~。じ~っと見てみて」
じ~
《バルーンラビット :LV000:オンソン周辺 :?G:通常:???:レア:???:激レア:??? 》
「LV0?」
「〈説明用の街〉だからね~、実際にはLV1だよ~。それで『???』の部分は~、倒して手に入れると自動で記録されていくから~、後から確認する時に便利よん」
『自動で記録してくれる』のね。
「さて、大事なお話しよん。モンスターには『非アクティブモンスター』と『アクティブモンスター』が居て~、『非アクティブモンスター』は、こっちから攻撃しない限り襲ってこないんだよ~、この子達みたいにね~」
「『非アクティブモンスター』は襲って来ない……」
「そうだよ~、すると『アクティブモンスター』は~?」
「『アクティブモンスター』は…… 襲って来る?」
「んふふ、よく出来ました~。『アクティブモンスター』は見つかったり、大きな音を出したり、とにかく≪何かに反応する≫と、す~ぐ〈戦闘状態〉に切り替えて襲ってくるのよん」
「モンスターも切り替えるの?」
「そ、つまり、この子達は?」
「『非アクティブモンスター』で…… 〈通常状態〉?」
「んふふ、正~解~。『積極的に切り替え無い』から≪非アクティブ≫ モンスターね~」
なるほど……
「さ~て、それじゃクエスト開始よん。バルーンラビット×5の討伐、がんばってねん。
回復アイテムは≪好きなだけ使っていい≫からね~」
「えっと…… 『戦うぞ~』」
『青色の盾』だったのが『2本の剣をクロス』させた様な感じに変わった。
バルーンラビット?には特に変化は無い… 好きに攻撃しちゃっていいのかな?
「えいっ!」
右手に持った『ナイフ(オンソン専用)』で、隙だらけの『バルーンラビット』に向け、右上段から斬りつけてみた。すぐに反撃に備える。
「キュウウ~~」
いきなり斬りかかられ…… 『バルーンラビット』はピョンピョン跳ねて逃げ出した。
「………」あれ? 攻撃したら襲ってくるんじゃなかった?
「そうそう~、『時々』モンスターは『逃げだす』事があるわよん」
時々って、いきなり逃げ出したんだけど…… とりあえず追いかけよう。
少し逃げた後で『バルーンラビット』は止まって、また草を食べはじめた。
私が追いかけて来てるのに、≪のん気≫なのね…… とにかくまた≪隙だらけ≫なので、大振りな攻撃で大丈夫かな? 右上段から『ナイフ』を振り下ろす。
「やあっ!」
「キューッ!」
斬りかかられた『バルーンラビット』が怒りの声? をあげた。…その瞬間!
《警報:急襲[レイドアラート]:半径15m範囲内で”戦闘状態”の存在を察知しました!》
目の前の空間に文字が浮かび上がり、頭の中に誰かの声が聞こえてくる。それと同時に目の前の『バルーンラビット』が、『チカチカ点滅』して強調? された。
「??? なに? これ」
「ん~? あ~〈みならい斥候〉だったわね~。そういう『スキル』があるんだよ~。とりあえず気にしないで倒しちゃってね~」
よくわからないけど、とりあえず倒せばいいのね。
『バルーンラビット』が飛びかかってきたのを、左にかわしながら背後に回りこみ、隙だらけの背中?(まん丸でよくわからないけど)に、踏み込みながら『ナイフ』を突き刺した。
「キュウン……」
一声鳴いてバルーンラビットが倒れこんだ。後には金貨?みたいな物が残されている。
「んふふ~お見事~。それじゃ説明…の前に~、忘れずに〈通常状態〉に戻そっか。
「戦わない~」、「通常に戻れ~」とか、そんな感じに念じてね~。
武器も腰にでも提げるか、差しとけばいいわよん」
これも適当でいいのね。「通常に戻れ~」…… 『2本の剣をクロス』させた様なマークから、また『青い盾』のマークに戻った。
(※オプション設定が初期状態なので、主人公の様なBGM等はありません)
「さて、それじゃ説明するわね~。
まず『攻撃を受けた』からモンスターも、反撃しようとして〈戦闘状態〉に切り替えたのね~。
それで〈戦闘状態〉に切り替えたから、攻撃可能になって『攻撃』をはじめた。
そして倒されちゃったから『ドロップ』を残して消えちゃった… ってわけよん」
「ドロップ?」
「ん~、そのまま「落とし物」とか~、「報酬」とか~、「隠し持っていた財宝」とか~、そんな感じだよ~。ココは〈説明用の街〉だから、その『 1G 』しか落とさないんだけどね~。
実際には『色々な物を落とす』から~ 自分で確かめてみてね~」
「1G ?」
「このゲームでの、お金の単位だよ~。1Gが最低ね、そうね~まぁ1円って考えていいわよん」
「1円でいいんだ……」
「さ、それじゃ落ちてるソレを、じ~っと見つめて~」
じ~
《名:1G 所有者:なし》
「ね? ウカウカしてると盗られちゃうから、さっさと拾うといいわよん」
なるほど…とりあえず金貨?みたいなのを拾った。軽いのね、本当に1円玉みたい。
「そしたらその『腰の袋』にしまって~。「ステータス~」、はい」
袋? にしまって、「ステータス~」
LV:1
職業:みならい斥候
所持金:1G
武器:ナイフ(オンソン専用)
防具:布の服
所持品:2/50 薬草(オンソン専用)×99、ポーション(オンソン専用)×99
「ね~、そうやって『お金』を貯めてね~。そんな小さな袋に見えて~いっくらでも入るんだよ~。出す時は取り出してもいいし、面倒なら「〇G出したい~」って、念じてもいいわよん」
……これも無限財布? なの?
「あとソレもギルドカードと同じで~、『他人の袋』に触ったり盗もうとすると~?」
「ビリビリ~って、なるのね?」
「んふふ~そうよん。気をつけてね~」
盗んだりするつもりは無いけど、財布? を盗まれる心配も無いのかな。
「ほ~い、それじゃ~『スキル』の説明だよ~。『魔法使い』は~ さすがに最初に説明すんだけどね~、他の職は1体倒してから~って、”段取り”なのよん」
段取りって……
「それじゃ「スキル一覧」って念じよ~」
「スキル一覧~」
《スキル一覧》
《警報:罠[トラップアラート][P]》
《警報:急襲[レイドアラート][P]》
《盗賊の直感[シーフセンス][P]》
《探知:罠[トラップディテクション]》
《探知:襲撃[レイドディテクション]》
《分析:罠[トラップアナライズ]》
あ…… さっきのスキル? がある。 ……[P]?
「[P]っていうのは?」
「んふふ~いいところに気付いたわね~。[P]は『パッシブスキル』って印で~、『特定の状況』になると~『自動で発動』してくれちゃうのよ~」
「自動……」
「そうね~、それじゃ、さっきのスキルを選ぶ様に考えながら、「スキル詳細」~って念じてみて~」
えっと? 「警報:急襲[レイドアラート]…のスキル詳細~」?
《警報:急襲[レイドアラート][P] 半径15m範囲の”戦闘状態”の存在を察知する。》
「わかったかな~? バルーンラビットが〈戦闘状態〉に切り替えたのを、自動で『察知』したってわけね~。さっきは目の前だったけど~、物陰からや暗闇からの攻撃(急襲)を察知して、いち早く警報を鳴らしてくれるスキルなのよん」
「へ~、凄い便利そう」
「そうね~。でも色々な職に~、色々な『スキル』や『補正』とかがあるのね?
だから~ ≪どの職にも長所短所はある≫んだよ~?」
そっか……1000職? だもんね。
「それで、その『色々なスキル』だけど~、
・〈戦闘状態〉でしか使えないスキル
・〈通常状態〉でしか使えないスキル
・どちらでも使えるスキル
・特殊な条件でしか使えないスキル
……っと色々あるのね~。
だからスキルが増えた時は~『スキル詳細』で調べておいた方がいいわよん」
……なるほど。
「それとスキルを使う場合は~、
①使いたいスキルをイメージしながら~、「前部分」か「[ ]の中」を口に出して唱える方法
②さっきの『スキル一覧』から使いたいスキルを「使う~」って念じる方法
…があるわよん」
「「前部分」か「[カッコ]の中」?」
「例えば~ 分析:罠[トラップアナライズ] だったら~…… 『分析:罠』…でもいいし~、
『トラップアナライズ』…でもいいのよん。まぁ『両方でもいい』けどね」
≪両方でもいい≫のね。
「ただ~≪間違って発動≫しない様に、その『使いたいスキル』を『しっかりイメージ』していないと~発動しないんだよ~、間違っててもダ~メ。
覚えるのが面倒なら~、②番目の『スキル一覧から使う』のが確実ね~。でもこれだと~とっさに使用出来ないかもね~」
スキルが増えたら? どちらで使うか? とか分けた方が良さそうね。
「……とまぁ、こんなところよん。後はまた自分で調べたり試したりして~、少しずつ覚えていってね~。それじゃ~、ちゃっちゃかクエスト終わらせちゃお~」
軽いなぁ……
「そうそう、HPやMPって〈通常状態〉だと、少しずつ回復するんだけど~。
これは練習だから~ 遠慮なく『アイテムで回復』してみてねん」
「はい」
ともかく それから『せまい広場』にいた、残りの『バルーンラビット』4体も、時々『薬草』や『ポーション』を使ってみたりしながら全て倒した。
「………」『リキャストタイム』? の『1分』って、戦闘中だと結構≪長く感じる≫のね。
もしもの為にも、出来たら『ポーション+1』とか『+2』も買っておいた方が良さそう。
《クエスト(仮):バルーンラビット×5の討伐 の達成条件をクリアしました! 冒険者ギルドで報告して下さい》
「おっつかれさま~、本当はこれで『冒険者ギルド』へ報告して~報酬を貰うんだけどね~。 ……悲しいけどこれ、『報酬:なし』なのよね」
「そうなんですか……」
でも報酬があっても『全部無かった事になる』のよね? 悲しい…のかな?
「だから~ クリスタルに戻るわよ~。はい、ご~」
「え、はい」
こんな感じで『はじめての戦闘』と、『クエスト(仮)』を終えた私は、すたすたと歩いていくチュートリさんの後を追いかけて、また街へと戻っていった。
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LV:1
職業:みならい斥候
所持金:5G
武器:ナイフ(オンソン専用)
防具:布の服
所持品:2/50 薬草(オンソン専用)×96、ポーション(オンソン専用)×97
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