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第1章 はじまりの街 編
N002 クエスト(仮) <03/28(日)AM 09:28>
しおりを挟む今回も ある新人さん視点 でのお話となります。
※主人公(達)がスルーしてきた「最初の一度きりの説明」とは、
一体どういうモノなのか? というお話になります。
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「それじゃ、とりあえず武器が無くっちゃね~。
ここはショップとか使えないから~、使ってみたい武器を貸してあげるよ~」
「………」『銃』も使ってみたいけど、早く『ナイフ』に慣れた方がいいかな。
「ナイフがいい」
「ほいほ~い、ナイフね~」
チュートリ? さんが≪どこからか≫ナイフを取り出すと…… 顔の高さに持ち上げた『ナイフ』を、指でつまんで≪ぷらぷら≫させる。
「ほ~い、そんじゃコレを… 『じ~っ』と見つめてみてね~」
じ~?
《名:ナイフ(オンソン専用) 所有者:チュートリ 〈警告〉取得すると窃盗となります》
「わかった~? このゲームでは~全ての物に『所有者』が設定されてるんだよ~。
そうやって『じ~っ』と見つめて〈簡易鑑定〉して、『所有者:なし』っていうの以外を、勝手に取得すると≪盗んだ≫事になっちゃうのよん」
「見つめればいいのね」
「そうだよ~。慣れない内は~こまめに〈簡易鑑定〉するといいわよん」
「………」知らずに泥棒になるのは嫌ね。全部じ~っと見つめるようにしよう。
《チュートリ がアイテムの交換を持ちかけてきました。受けますか? yes / [no] 》
ん? えっと、「イエス~」?
《チュートリ の: ナイフ(オンソン専用)》
《ネイコ の:(なし)》
《以上の条件で交換を行います、よろしいですか?(よく確認して下さい) yes / [no] 》
「(なし) …っていうのは?」
「ん~、『交換』したい時は、そこで交換に出したい物を念じて選ぶんだよ~。アイテムでもGでも、複数でもOKよん。(なし)だと、『譲渡』になるわけね~」
……交換に出したい物を念じて選ぶ。
「そうね~、これは”高い物”とか? 『確実にアイテムの交換をしたい、売買をしたい』って場合のやり方なのよん。他にもやり方はあるんだけど~、とりあえず『正式な交換と譲渡の仕方』を覚えとかないと~、”酷い目にあう”かもよ~? まぁ面倒かもしれないけど~これも説明の一つなのよん」
『正式な交換と譲渡』ね…… とりあえず「イエス~」でいいのかな。
《チュートリ の:ナイフ(オンソン専用) と、ネイコ の:(なし) の交換が成立しました》
チュートリ? さんが持っていた『ナイフ』が、私の手元に現れた。
「ほ~い、それじゃソレを、じ~っと見つめてみて」
じ~
《名:ナイフ(オンソン専用) 所有者:ネイコ 耐久値:∞/∞》
「ね、これで正式に『アナタのもの』ってわけよん。もうアタシが取ると≪アタシが盗んだ≫事になるんだよ~」
「耐久値っていうのは?」
「ん~武器とか~使ったりすると『耐久値』が少しずつ減っちゃうのよね~。ゼロになると『品質』が下がっちゃって~。また≪耐久値は復活する≫けど、繰り返すと~どんどんボロくなっちゃうの」
「『品質』?」
「アイテムには -9~0~+9 まで品質があってね~ 『0が普通で基本』ね。
実はそれも『0』なんだよ~。でも面倒だから? 『”0”は省略されちゃう』の。
品質が下がると~、ナイフ-1(オンソン専用)って感じになるのよん」
品質0は省略されちゃう、ね。
「だから耐久値が0になる前に、武器屋さんとか鍛冶屋さんとかで『修理』してもらうといいわ、職業によっては自分で”修理”出来るわよん」
「耐久値:∞/∞ って事は壊れないの?」
「んふ正解~、練習用だからね~。実際には≪そういうの≫は無いから~ 最初に確かめるといいわよん」
とにかく『じ~』っと見る癖をつけた方が良いみたいね。
「それじゃ、それは~『装備~』って念じて、装備しちゃってねん」
「装備~」
《ナイフ(オンソン専用) を装備しました》
「そしたら~ 『ステータス~』、はい」
「ステータス~」
LV:1
職業:みならい斥候
所持金:0G
武器:ナイフ(オンソン専用)
防具:布の服
所持品:0/50
「『装備されてる』のを確認できたかな?」
「はい」
「ん~と、それじゃ―― ほい」
チュートリ?さんが何かを取り出して、ポイっと地面に置いた(捨てた?)。
「それを、じ~っと見てみてね~」
じ~
《名:薬草(オンソン専用)×99 所有者:なし》
「ね~、こんな感じに、街とかフィールドとかに~置いたり捨てたりしちゃうと、
『所有権を破棄した』(捨てた)事になるんだよ~。宿屋で借りた自分の部屋とか~、自分の店や家なら置いても大丈夫よん」
「自分の店や家?」
「ん~、すっ…ごく高いから~、買える頃には自分でわかるわよん。今は”そんなもん”って思ってればいいよ~」
自分の店や家が買えるんだ。
「それじゃ~、手を開いて上に向けてくれるかな~?」
言われた通りにすると、チュートリさんがまた『何か』を取り出して、ポイっと私の掌の上に、その『何か』を置いた。
「それを、じ~っと見てみて~」
じ~
《名:ポーション(オンソン専用)×99 所有者:ネイコ HPを若干回復する》
「わかったかな? こうやると~、『アタシが捨てた』瞬間に、『アナタが拾った』… って扱いになるんだよ~。『正式に譲渡』とか面倒だったら~これでも おっけ~よん」
なるほど、安い物とかは、手渡せばいいのね。
「ほい、そんじゃ、その落ちてる薬草も拾っちゃって~。
…こう、お腹の前に~≪袋があるつもり≫で~、『収納しよう』って念じながら、≪その袋≫へ両方入れてみて?」
????? 袋? 収納?
「ん~、まぁ≪やってみればわかる≫わよん。レッツトラ~イ~」
えっと? ……「収納しよう~」
そう念じながら、お腹の前の袋? に向かってそっと手をはなした。
「あれ? 消えちゃった……」
「んふ~、それが〈インベントリ〉よん」
「『インベントリ』??」
「ん~、無限収納、カバン、持ち物袋、みたいな?
とにかく、な~んでも50種類、99個ずつ、持ち運べる…ようになってるのよん。
そしたら~今度は『取り出そう~』って念じてみて?」
えっと…… 「取り出そう~」
《所持品:2/50 薬草(オンソン専用)×99、ポーション(オンソン専用)×99》
「見えたかな~? その中で『取り出したい物』と『個数』を念じれば~、〈インベントリ〉の中から、自分の手の中にあらわれるわよん。とりあえず「薬草3つ」と念じてみてね~」
「薬草3つ~」
その瞬間どこからか、右手の中に『薬草×3』があらわれた。
「わ、ほんとだ」
「こうやって、いつでもどこでも収納、取り出し出来ちゃうから~上手く使ってねん」
なんか凄く便利なのね。さっきからチュートリさんが、空中から突然『何か』を取り出してたのはコレだったわけね……
「んふふ、さ~て、それじゃクエストのお話しよん」
「クエスト?」
「この街では受けられないから~≪最初から受けてる≫事になってるんだけどね~。
実際には、さっきの冒険者ギルドで受けて~、終わったら達成報告して~報酬を貰ったりできるから、覚えておいてね~」
これも『冒険者ギルド』なのね。
「それじゃ『クエスト』、『クエスト内容確認』って念じてみて~」
「クエスト、クエスト内容確認~」
《クエスト(仮):バルーンラビット×5の討伐:期限:なし:報酬:なし》
「わかったかな~?」
「『バルーンラビット』×5の討伐?」
「そうだよ~、実際でも~〈バルーンラビットLV1〉っていうのが、いっちばん弱い敵だから~、最初はコイツを倒してLVを上げるといいわよん」
バルーンラビットLV1…… まぁLV1っていうくらいだし、一番弱そうね。
「それから~この『サウザンド・ジョブ・オンライン』では~。普通は~ 街とかの『南に弱い敵』、『北に強い敵』が出るのね~。それで~東と西は中くらいって感じなのよん」
「南に弱い敵、北に強い敵……」
「そうよん、まぁ≪絶対じゃ無い≫んだけど~。
はじめての街とかは~、『とりあえず南』から挑戦するのが≪おすすめ≫だよ~」
『とりあえず南』ね……
「それじゃ、その南に行くわよん~」
そう言ってチュートリさんが歩きはじめる。ずんずん進んで宿屋? を通りすぎて、少し進むと広場の様な場所にやってきた。
「そこの正面の門を出ちゃうと~、モンスターが出るようになるから~ 気を抜かないようにした方がいいわよん」
正面には門? というには少し貧相な感じのモノがある。
申し訳程度に衛兵? の人が2人立っていた。
「そしたら、ん~視線の下の方に意識を集中してみて?」
今度は下? 「下~」…… ん? …”灰色の盾”にバツじるし?
「ん? 見えたかな~? それが〈通常状態〉の印なのね~」
「〈通常状態〉?」
「そうよ~、『〈戦闘状態〉では無い』状態だよ~。それで『灰色でバツじるし』になってるのは~、〈戦闘状態〉には、なれない場所… って事なのよん」
「〈戦闘状態〉になれない?」
「えっとね、街中で~クリスタルの周囲100m以内では〈戦闘状態〉になれないんだよ~。100m範囲内でも~街の外に出ちゃうとなれるんだけどね。まぁつまり~それが灰色になってる場所は『安全』って事よん」
「安全?」
「そうよん、この『サウザンド・ジョブ・オンライン』では、≪他のプレイヤーを襲う事も出来る≫のよね~。でも赤い名前の〈賞金首〉以外のプレイヤーを襲うと~、自分の名前も黄色くなって『軽犯罪者』になっちゃうわ。
そのまま犯罪を続けるか、赤色《賞金首》以外のプレイヤーを殺害しちゃうと~、一発でアナタも赤い名前の〈賞金首〉になっちゃうのよん」
……思ったより物騒なゲーム… なのかな?
「まぁそういう詳しい事は~、実際の『冒険者ギルドの3階』に~〈資料室〉って名前の、
『オンラインマニュアル』があるから~、知りたいならその都度調べてちょうだいね~。
今は『基本の説明だけ』なのよん」
そっか……マニュアルはあるんだ。この『サウザンド・ジョブ・オンライン』とかいうゲームの事は全然わからないし、最初に一通り目を通しておこうかな。
「とにかく盾に色が付いてたら~、いつでも〈戦闘状態〉に切り替えられるのね~。『攻撃』とかは~〈戦闘状態〉じゃないと出来ないから~、その灰色の盾の場所は安全って事よん」
「切り替えるのは、また『念じる』の?」
「んふふ、そうよ~わかってきたようねん。そうそうクリスタルの無い街とか~、周囲100m以上の場所だと、『警告』は出るんだけど、街中でも〈戦闘状態〉に切り替えられるんだよ~。でも『警告』を無視して切り替えちゃうと、名前が黄色くなっちゃうし~、守衛がやってきて捕まっちゃったりしちゃうから~ 気をつけてねん」
……街中でいきなり包丁を取り出して、うろつく様な感じ? なのかな?
確かにそんな事をしていたら≪警察を呼ばれそう≫だ。
「まぁこんなところかな~? ここまでで何か質問はあるかな?」
「さっきの薬草とかは、『使う~』って念じるの?」
「んふ、そうよ~。取り出してからでもいいし~、『インベントリ』にあれば、『薬草、使う~』って、念じても省略して使えるわよ」
「そのまま使えるんだ」
「ただ~『薬草』は安いけど、あまり回復しないのね~。
それでポーションには〈リキャストタイム〉っていうのがあるのよん」
「『リキャストタイム』?」
「そうね~、『再使用可能になるまでの時間』ね。
ポーションを飲むと~、視線の左の方に『使用したポーションの品質』と、『時計のマーク』が表示されるのね。それでその時計が1周(1分)して~、表示が消えるまでは『その品質のポーション』は使用出来ないのよん」
「その品質?」
「渡したポーションは、ナイフと同じで 品質0なんだよ~、他に-9~+9まであるわ。
だから『ポーション0』、『ポーション+1』、『ポーション+2』…と、色んな品質で持ってれば~、1分待たなくても3回連続で回復出来る… ってわけね~」
なるほど……
「他にあるかな~?」
とりあえずは無いかな? 『オンラインマニュアル』もあるらしいし。
「大丈夫 …だと思います」
「んふふ、それじゃ~いよいよ戦闘に行くわよ~。こっちよん」
そう言うとチュートリさんが南の門? に向かってずんずん歩いて行く。
あわてて私も付いていった。
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LV:1
職業:みならい斥候
所持金:0G
武器:ナイフ(オンソン専用)
防具:布の服
所持品:2/50 薬草(オンソン専用)×99、ポーション(オンソン専用)×99
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