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第1章 はじまりの街 編
N001 [オンソン]へ <03/28(日)AM 09:00>
しおりを挟む今回は ある新人さん視点 でのお話となります。
※主人公(達)がスルーしてきた「最初の一度きりの説明」とは、
一体どういうモノなのか? というお話になります。
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…基本的な………しますか?……
《サウザンド・ジョブ・オンラインに関する基本的な説明を希望しますか? [yes] / no 》
「………」??? え、なに? サウザンド? 何?? 説明????
《サウザンド・ジョブ・オンラインに関する基本的な説明を希望しますか? [yes] / no 》
「なに? なんなの? わからない、no よ」
《この説明はこの一度きりしか受けられません、本当によろしいですか? yes / [no] 》
「………」え? 一度きり? ……説明…………
「待って! やっぱり、何かわからないけど…… えっと、 no !」
《サウザンド・ジョブ・オンラインに関する基本的な説明を希望しますか? [yes] / no 》
「yes よ!」
《それでは サウザンド・ジョブ・オンライン の世界をお楽しみください》
「…………」
《それでは 説明のため [オンソン]へ》
「オンソン? ……」
・
・
・
ここは? …すぐ目の前に〈青い色の丸い水晶玉〉の様な物が、ゆっくりと回転しながら、ぷかぷか浮いている。どうやって浮いてるんだろう?
シュッ…………
「ほいほ~い、そんじゃ新人さんに、ちゃっちゃか説明するよ~」
「………」突然、目の前に女性が現れた。
長身でスレンダーな体形、色白で、真っ赤な唇、真っ赤な瞳、真っ赤なさらさらロングヘアー。それに赤い色の……鎧? とにかく凄い美人、なんだか軽いけど。
「ん~、新人さんは『サウザンド・ジョブ・オンライン』は初めてなのかな~?」
「えっと、私ですか?」
「そうだよ~」
「え、はい…… 聞いた事も無いです」
そもそも私はゲーム機もパソコンも持っていない。兄さんのパソコンで、≪調べもの≫とか、ゲームとか? させてもらっていたぐらいだ。
「そっかそっか、ん~まぁ簡単に言うと、1000の…職業がある…オンライン…のゲームだよ~」
オンラインゲームって、ネットゲームよね? 兄さんのパソコンでやってたのと同じ?
「とりあえず順番に説明してくよ~」
「あ、はい」
「まず正面の”この丸いの”。 これが『クリスタル』 ……の代わりだよ~」
「クリスタル? 代わり?」
「ここ『説明用の街』なのよね~。実際の街には~この場所に〈本物のクリスタル〉があるわよん」
説明用の街?
「さ、それじゃ~、さっそくコレにさわってみて」
言われるままに、目の前でふわふわ浮かんで、回転している水晶玉にさわってみる… !! 目の前の空間に文字が!? それから頭の中に誰かの声が!?
《LVUPには経験値が足りません》
「わかったかな~? 経験値をためたら”コレ”にさわって~、『LVUPのチェック』をするんだよ? その時に『条件を満たした職業』があったら~、『転職』先や『昇格』先が表示されるから、なりたい職業だったら、そのなりたい職業を選ぶんだよ~。嫌だったら~無視しちゃえばいいからね~」
「………」よくわからないけど、そうやって1000職? から選ぶのかな。
「そんじゃ指さすから見てね~。まず北~ あそこに『冒険者ギルド』があるよ。そんで東~ そこに『武器屋』さんがあるよ~。そんで西~ あれが『道具屋』さんだよ~。…それから後ろ向いて~、南~ あそこが『宿屋』さんね~」
みんな≪すぐそこ≫なのね。あまり複雑じゃないんだ。
「迷ってもココに来て~ ≪あれ≫ね。あの『冒険者ギルド』を見れば~方角がわかるから忘れないでね~」
「………」水晶玉(クリスタル?)に来て、『冒険者ギルド』があるのが北……
「そしたら~まずは、その『冒険者ギルド』で登録ね~」
「冒険? 登録?」
「そうよん。あなたのお名前、まだ決まってないでしょう?」
「決まってない?」
「ん~、ここでは~あなたは、まず『冒険者』としてスタートするんだよ~。その後は好きな職に就けばいいんだけど~、その冒険者としての『名前』と、最初の『職業』を選ぶのよん」
「………」プレイヤー名がまだ登録されてないって事かな?
「ん~、まぁとりあえず行きましょ~。そのうち≪こういうもの≫ってわかるわよん」
「はぁ」
「………」とにかく私は、この『サウザンド・ジョブ・オンライン』とかいうゲームは知らない。
この人の言う通り、≪とりあえず≫説明してもらうしか無いか……
「ほ~い、ここが冒険者ギルドだよ~。ね? クリスタルのすぐ北でしょ」
確かに迷いようも無い距離だ。
「それじゃ中へ入りましょう、こっちよん」
言われるままに付いていく。カウンターの先におばさんがいる。
「姉ちゃんはじめて見るね、冒険者ギルド[オンソン]支店へようこそ。それじゃここに名前を書いてくれるかい」
「名前だけ?」
「名前だけでいいよ~。ん~、まぁ好きにつけてもいいんだけど~、変な名前を付けちゃって、後で後悔しても~≪変更は出来ない≫わよん」
そうね、前みたいに”変な名前”で呼ばれ続けるのは嫌かも。名前を書いておこう。
「そしたら職業を選ばないとね、”みならい戦士”、”みならい斥候”、”みならい僧侶”、”みならい魔法使い”のどれにする?」
「??? 職業って? 『冒険者』じゃないの?」
「ん~、そうね、その冒険者としての職業だよ~。それで最初は”その4つしか”選べないのね~、ルールだから~」
最初は4つ? ……1000職じゃ無かったのかな?
「『銃』とか『ナイフ』とか使える職業ってあるの?」
「あるわよ~、≪どっち≫の職業がいいの?」
あ、それはあるんだ。でもどちらか? なの?
「両方は? なれないの?」
「ごめんね~、どんな人でも1職だけなの~」
「………」どちらか… 『銃』の方が遠くから攻撃できるけど… やっぱり『ナイフ』よね。
(※「なんでや?」…と思われるでしょうが、とりあえず流して下さい)
「ナイフの職業がいい」
「ナイフの職業ね~。あまり詳しくは教えらんないんだけど~、『みならい斥候』を選んで~、≪ナイフばかり≫使ってるといいわよ」
「それじゃ… 『みならい斥候』にします」
「みならい斥候だね?ちょっと待っとくれ」
おばさんは私が名前を書いた紙を持って奥の扉へ入っていった。
・
・
・
「これが姉ちゃんのギルドカードだよ、内容を確認したら首にさげてくれるかい」
「………」ギルドカード? には、スミに穴が空いていてチェーンが通されている。受け取って名前と職業を確認し、間違いが無いので首からさげた。ぼうっと微かに光った。
「それじゃ登録されたか確認するよ、動かないどくれ」
「え?」
おばさんが頑丈そうなゴム手袋?を付けて、私の首からそっと『ギルドカード』を抜き取ろうとすると、ビリッっと電気が走った。
「えええっ!?」
「しっかり登録されてるようだね、あんたも他人のギルドカードを盗もうとかすると、今ぐらいなら軽い電気が走る程度ですむけど、完全に抜き取るともの凄い電撃が奔るから気をつけなよ」
「………」いや、別に「盗もう」…とか思わないけど、これ本当に危なくないの?
「おっめでと~、これであなたも立派な『みならい斥候』よん」
「え? はい…… ありがとう… ございます?」
こうして私は、わけのわからぬまま、流されるまま、聞いた事も無かった『サウザンド・ジョブ・オンライン』の世界で、『みならい斥候』としてのスタートをきったのだった。
・
・
・
「………」『真っ赤な女性』に連れられて、水晶玉の前に戻ってくる。
そう言えば『名前』…聞いて無かったなぁ。色々と「それどころじゃ無い」っていうのもあるけど、ひょっとして私って流されすぎ?
「ほ~い、それじゃ”大事なお話”だよ~。さっきも言ったけど~ ココ『説明用の街』だから~ これから説明とかでやる事は… 『全部無かった事になる』んだよね~」
「失敗とかしても大丈夫って事ですか?」
「まぁそういう事よん。だから不安に思ったり、よくわかんなくっても~『とりあえず やってみて』ねん。実際の街に行った時には~ その『ギルドカードを貰ったところ』からスタートになるのよん」
ふ~ん、無かった事になるなら… とにかく試してみればいいのかな。
「さてっと~、それじゃ~……」
《チュートリ からパーティに招待されました、参加しますか? yes / [no] 》
「パーティ?」
「ん~…… チームとか~、メンバーとか、協力者とか、そういうのだよ~」
「えっと、yes にすればいいの?」
「そうだよ~、「イエス~」って 念じてみて?」
よくわからないけど、「イエス~」っと念じてみる。
《チュートリ のパーティに参加しました》
「は~い、おっけ~よん」
どうやら出来たようね。
「そしたら、ん~視線の左上の方に意識を集中してみて?」
左上? 「左上~」 ……あ。
「ん?見えたかな~? アタシとアナタの名前とHPが、そこんとこに表示されてるでしょ~」
「はい」
『アタシ』とアナタの名前って事は、この真っ赤な女性は『チュートリ』って名前なのね。
「パーティを組むと~、同じパーティの人の状態が、そうやって常に表示されるんだよ~。
すっごく遠くに居てもピンチとか、す~ぐわかっちゃうから、冒険の時はなるべく最初にパーティを組むといいわよ~。パーティは6人までよん」
「………」なるほど、分隊みたいなモノなのかな。……あっ! ナイフの職業だとアレとか出来ないよね…… まぁいいか、トドも居ないだろうし。
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LV:1
職業:みならい斥候
所持金:0G
武器:なし
防具:布の服
所持品:0/50
「マドちゃんもシノちゃんも、『最初の説明』は受けたんだよね?」
「……うけた」
「まぁ~めんどいけど~、普通? 受けるでしょ~」
「やっぱり、面倒だよね」
「……めんどう」
「質問とかしなくても結構長いもんね、あれ」
「だね~、結局~改善とか? されなかったね~」
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