サウザンド・ジョブ・オンライン ~あるみならい僧侶の話~

アヤマチ☆ユキ

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第2章 出会いの街 編

057 ”夢”に見そうなその姿 <04/05(金)PM 01:11>

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 ※※※ 注意 ※※※

 ただいま [夢の洞窟] 中です。


 大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。

 [夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。

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 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]の探索を開始した俺達は、『最初の小部屋』で『虫地獄』の中から宝箱を2つも発見し、『斥候せっこう』LV17のヒイラギによって、両方の宝箱の罠を分析、解除して無事にアイテムを入手する。
 その後、もう一方の『まっすぐな通路』を進みはじめたところで、ヒイラギが壁の向こうの『罠LV32のスライム』を『探知』するが、とりあえず無視して通路を進む。

 そして次の分岐を右へと進んだ先の小部屋で、またも2つの宝箱を発見。
 まず右の宝箱の罠の分析、解除を行って、順番通りその宝箱のアイテム『弓(不確定名)』は、俺が獲得したのだった。


「ゴホン…… え~、それじゃ、あっちの宝箱だな」
 ヒイラギが少し≪申し訳無さそう≫に言って、もう一方の宝箱へ向かう。
 まぁ不人気な『弓』…とは言え、まだゴミと決まったわけじゃ無ぇし~、売れないとも限ら無ぇし~…… うおぉ~、この『弓』はやれば出来る子っ。(自己暗示)

「そ、そうですね。気をつけて下さい」
 俺達も、また少し離れて周囲を警戒しつつ、回復の用意をしておく。

「…分析:罠[トラップアナライズ]」
 ヒイラギがスキルを使用すると、いつもの様に宝箱の上面部から下底部に向けて、『光る板状のモノ』がス~っと降りて…… しかしその様子を最後まで見る事無く、ヒイラギが バッっと振り返り、部屋の入り口の方を見る。

「気をつけろっ! 1体来るぞっ!」
 ヒイラギに警告され、指差している方を振り向くと、部屋の外の通路側の虫の群れの中から、何か『長い棒状のモノ』が、ウゾウゾ、ワサワサとやって来ていた。
 『斥候せっこう』の常時発動パッシブスキル、”警報:急襲[レイドアラート]”で、いち早く敵の『急襲』を『察知』したのだ。


「ちっ」
 ケイが〈戦闘状態〉に切り替え、やって来るモンスターに向かって走って行く。すぐに戦闘BGMが流れはじめる。
 部屋の奥に居たヒイラギが見つかった可能性は低い… 『仮FA』は俺かケイだろう。どちらにせよケイは『壁役』として、『本FA』を取るため素早くモンスターに向かって行く。

「GYUGYaaaa!」
 よくわからない声? 音? を発して、虫の群れの中から、長い棒…板? 状のモンスターが姿をあらわす。『G百足』だっ!

 「………」『G百足』 LV18。ご想像の通り? この[夢の洞窟]における唯一の『アクティブモンスター』であり、こいつで≪このダンジョンのモンスターは全て≫となる。

 幅15cm、2cmほどの≪節ごと≫に足が2本…… 全長が1mほどなので、足が計100本でございます。尻尾には2本の飾り角? 頭部には… 見たくない感じの『立派な触覚』と、『立派な≪毒牙≫』を備えております。
 色は黒を基調として、腹部側? は黄土色…黄色? と、頭部と、ところどころに赤色、テカテカとした光沢で、自身の毒々しさ、危険さをアピールしています…見たくないです。
 攻撃方法は頭部の『立派な毒牙』? による、『噛み付き』のみ。
 ≪毒牙≫とは言え『毒』になる事はめったに無く、純粋な攻撃力での攻撃となります。よく聞く? 「刺す」という攻撃はございません。

 一見すると、凶悪な『攻撃』を誇るモンスターの様なのだが、実際には『強固な硬殻』と『饅頭マントウひつじ』LV7以上の、高VITによる≪高いHP≫という…『頑強さ』が特徴のモンスターだ。もちろん攻撃力も≪それなり≫にある。つまり『STR + 高VIT』 タイプのモンスターという感じだ。
 ”元ネタ”からして「半分に切断しても1日以上も生きていた」…と言われるほど『タフ』な生き物で、攻撃力に欠けるパーティだと、長時間の戦闘で徐々に回復アイテムやMPを消耗し、いわゆる『ジリ貧』となって敗北する事がある。

 黄土色っぽい腹部と、常にウゾウゾ、モゾモゾと不規則に動き続けている大量の足(100本)が、とにかく気持ち悪い。気色悪い、見たく無い、見ているだけでSAN値がごっそり持っていかれる系のモンスターだ。(※TJOにSAN値や正気度といった概念はありません)

 うが――っ! 『百足』だからって、≪本当に足100本≫にする事無いじゃないっ! 本物は100本無いじゃないっ! なんで≪そんなとこ≫頑張るわけ? もっと別のとこ(量産型とか)頑張れよっ! ヤマコウ許さんっ。


「GYUGYUUU!」
 よくわからない声? 音? を発して、『G百足』が走って行ったケイに『噛み付き』攻撃をしかけてくる。どうやらケイを最初に発見していた(仮FA)ようだ。
 『ヒイラギを回復する』ために俺は少し部屋の奥寄りに居て、逆にケイは『周囲を警戒する』ために、気持ち 部屋の出口寄りに居たからだろうか。
 そのケイは例によって何もせず、棒立ちで『G百足』の『噛み付き』攻撃を受ける。

「ぐぅっ」
 ガブッっと『G百足の毒牙』で噛み付かれたケイは苦痛の声を漏らした。HPゲージを確認すると55%ほどのダメージを食らっている。
 『Gカマド』LV16を狩る(被ダメージ30%以上にする)ために、防具をかなり外して弱体化しているから仕方が無い。『狂戦士』の辛いところだ。

「…治癒魔法[ヒーリング]」
 急いでケイのダメージを回復する。このダメージでも1回で全快した。

 「………」俺が『LV10、VIT10』の『†カムイ†事件』の時、回復量は45%だった。
 その後『LV12、VIT12』に上昇してMAXHPが増えたから、回復量は更に何%か下がっているだろう。
 『55%のダメージが全快する』…という事は、ケイのMAXHPは≪俺よりかなり低い≫…という事だ。やはりSTR極降りで、MAXHPは増やしていない可能性が高い。まぁ『狂戦士』育成の≪セオリー通り≫ではある。


「助かるっ」
 そう言いながらケイは『Gカマド』の時の様に、背中の『鉄の大剣』を右手で掴んで スッと抜いて、真っ直ぐ天に向かってつき上げ、左手をそっと添えて両手で構えた。
 『八相の構え』? というよりも、示現流? 自顕流? の『蜻蛉トンボの構え』に似た感じだ。 ……まぁ≪一撃必殺≫的なイメージといい、ジゲン流と合うとも言える…のか? 詳しく無いのでよくわからないが。

「うりゃぁっ!」
 と、力をこめて巨大な『鉄の大剣』を『G百足』目がけて振り下ろした。その瞬間、

 ズガガガ――――ンッ、と何かが爆発したかの様な、爆音と衝撃音が響き渡り、『G百足』はその場に叩きつけられて のたうち回った。
 さすがに3LVも上のモンスターで、高防御&高VITタイプ。しかも今回は『スキルでの攻撃力上昇』は、初撃の+55%の上乗せのみだったので『一刀両断』とはいかなかった様だ。

「クソっ、硬いっ」
 ケイが不満を漏らしながら、叩きつけた『鉄の大剣』を再び持ち上げている。そこへ…

「GYUGYOOUU!」
 ジタバタとのたうち回っていた『G百足』が、ぐりんと頭部だけをよじる様にして、不自然な角度と体勢でケイに噛み付いた。

「ぐあぁっ」
 追い打ちを掛けようと『鉄の大剣』を持ち上げていたところを、変な角度でガブリと『G百足』の毒牙で噛み付かれたケイは、苦痛の声を漏らす。
 HPゲージを確認すると、やはり55%ほどのダメージを食らっている。50%以上のダメージを食らうと かなりの『痛み』があるのだ。早めに回復をかけねば戦闘に影響が出かねない…… これはもう≪ゲーム時代とは違う点≫の一つと言えるだろう。

「…治癒魔法[ヒーリング]」
 急いでケイのダメージを回復する。しっかり1回で全快した。

「助かるっ」
「おりゃあっ」
 ケイが回復中で『同士討ち、FFフレンドリーファイア』になる心配が無いと見て、ヒイラギが右手の『鋼の剣』で『G百足』に斬りかかった。

 ガギ――ンッ、と鈍い音が響き渡る。

「うわっ、硬ってぇぇぇぇ、なんだこりゃ」
 ヒイラギが『G百足』に斬りつけたものの、表面の硬い甲殻に弾かれて、手に持った『鋼の剣』を痺れた様にブルブルさせている。

 「………」『鋼の剣』とは、一般に『ショートソード』と呼ばれる武器である。
 元々は単なる『ソード』であったが、『長剣』と呼ばれる剣が普及すると、それより≪短い≫という事で『ショート』と付いたらしい。
 しかしTJOでは、長い剣は『長剣』なので、(ショート)ソードは『剣』である。

 特徴としては、『長剣』と同じで『切断属性』の武器であるが、「短めで取り回し易い」、「短い分 軽くて使い易い」、「『ナイフ』などの『短剣』よりはリーチがある」…等々、『ほどほど』には、「ほどほどの良さがある」……という武器だ。
 そして『長剣』より短い = 必要な原料が少ない。短い分作り易い…という事で、お値段もお手頃である。また『双剣使い』には、『剣×剣』、『長剣×剣』、『剣×短剣』 …という感じに人気があり大活躍の武器だ。

 その弱点だが、今の様な感じで堅固な相手に対して、著しく攻撃力が落ちてしまう。『切断』系武器の長所、『柔らかい部位を狙ってクリティカルヒット』…が出来ないのだ。またTJOでは『有効打』で無い場合、≪耐久値の減少≫も大きくなる。
 これは、ユウコさんの『鉄の長剣』や、シノブさんの『鉄の刀』も同様で、堅固な相手には手も足も出ない。
 まぁあの3人の場合、ケイと違う意味での『強力な攻撃担当アタッカー』であるツカサさんがいるため、火球[ファイヤーボール]によって、虫類などは≪黒焦げ≫となるだろう。(対応は出来るはず…という話であって、3人が『虫』が平気であるか? は別問題だが)

 これも有名? な話であるが、『G百足』の元ネタの生き物を、≪2つに切断≫しても1日生きているほどなのに、少し≪火であぶる≫と、あっという間に絶命するのだ。
 『タフ』とは何だったのか? ……
(※ただし『尋常ではない悪臭』がします。試す方は自己責任で)


「退いてろっ」
 ケイがヒイラギに警告? の言葉を発しながら、両手で『鉄の大剣』を振りかぶって『G百足』に斬りかかる。ヒイラギも素早くその場を離れる。

 ズドガ――――ンッ、と再び爆音と衝撃音が響き渡り、『G百足』をその場に叩きつける。『G百足』は≪100本の足≫を、不規則にウゾウゾモゾモゾ動かしながら、その場をビタンビタンと のたうち回る。

「ちぃっ、しぶといっ」
 ケイが2撃でも仕留められなかったので、かなり不満そうに思いきり叩きつけた『鉄の大剣』を持ち上げている。…そこへ『G百足』が のたうち回りながらも、憎しみヘイトを集中させているケイに対して反撃に出る。

「GYOGOOoo!」
 やはり不自然な角度でケイに噛み付こうと毒牙が迫る… それを見たケイは、持ち上げかけていた『鉄の大剣』を、ズドンと地面に突き刺して しっかりと両手で支えた。

 ガ―ンッ、と毒牙が『鉄の大剣』に接触した音が響く。ケイのHPは減少していない…完全に攻撃を防いだ様だ。
 まぁ『鉄の大剣』は≪丈夫な鉄板≫…みたいな物だしな。…防御性能で言えば『カイトシールド』と『タワーシールド』の≪中間ぐらい≫あるのではないだろうか?
 攻撃を防いだケイは『鉄の大剣』を地面からズッと引き抜き、そのまま両手で振り上げ

「くたばれっ」
 そう気合いの声をあげながら、『鉄の大剣』を力を込めて振り下ろす。

 ズガガ――――ンッ、と爆音と衝撃音が響き渡り、三度みたび地面に叩きつけられた『G百足』は、ようやく100本の足の動きを止め―― 少しずつ霞んで消滅していった。
 それを確認したケイが『鉄の大剣』を軽く振ってから背中に背負い、戦闘BGMが止まる。後には、『1,148G』、『952G』と『百足硬殻』…が落ちていた。


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LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:12/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)


警報:急襲[レイドアラート][P] 半径15m範囲の”戦闘状態”の存在を察知する。

火球[ファイヤーボール] ソフトボール大の火球を作り出し、対象1体にぶつけて炎と衝撃によるダメージを与える。


「うがあぁぁ、ウゾウゾ、モゾモゾと気持ち悪いっ」
「ご主人さま、ふぁいと~」
「…………」
「ご主人さま~?」

「…苦手な人は、興味本位で「百足」で画像検索…とかするなよ? 絶対にするなよ?」
「しないよ~?」
「……くれぐれも、「百足」で動画検索…とかするなよ? 絶対にするなよ?」
「しないってば~」
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