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第2章 出会いの街 編
060 ”夢”の無双条件 <04/05(金)PM 01:57>
しおりを挟む※※※ 注意 ※※※
ただいま [夢の洞窟] 中です。
大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。
[夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。
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出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、『最初の小部屋』で宝箱を2つ発見しアイテムを入手。『次の小部屋』で更に2つの宝箱を発見し、1つ目の宝箱のアイテムを入手する。
続いてもう1つの宝箱を分析中に、[夢の洞窟]で唯一の『アクティブモンスター』、『G百足』LV18の急襲を受けるも、なんとか討伐し残る宝箱のアイテムを回収した。
そして北(↑)へと進んだ先のT字路で右(→)に進んだ俺達は、その『中部屋』の中に、たくさんの『オイシイ』モンスター『G竈』LV16と、3つの宝箱を発見し歓喜したのだった。
宝箱の前にまず『部屋内の大量のG竈LV16ども』…を片付ける事にした俺達は、戦闘を開始しようとしていた。
「よし、部屋の中央のコイツからだ。回復は頼む」
そう言いながらケイが中央付近の『G竈』LV16に近寄っていく。
「了解です」
「あぁちょっと待て …探知:罠[トラップディテクション]」
ヒイラギが、この『中部屋』全体がスキル範囲に入る辺りで、罠を調べる。
「大丈夫だ。この部屋に罠は無いぞっ、やっちまえ」
「わかった」
ヒイラギの『GOサイン』を受けたケイが『中部屋』内をキョロキョロと見渡して、丁度『部屋の中央』付近で〈戦闘状態〉に切り替える。すぐに戦闘BGMが流れはじめる。
そして初戦と同様に、目の前で”ぼ~”っとしていた『G竈』の後部(尻?)を、『布の靴(初期装備※、防御力0)』で蹴り上げた。
(※『青銅のブーツ』を外して収納したため、自動で装備されたモノ)
「ギチギチギチ…」
やはり歯軋(はぎし)り? に似た音を出して、『G竈』の憎しみが、FAを取ったケイに集中する。
俺とヒイラギは「ケイがFAを取った『G竈』」を3角形の中心にして、囲む様に位置取る。俺達3人の10m範囲から『陸海空3軍の覇者』達が退散をはじめた。
中央付近なので、ほぼ部屋内から3種の姿が無くなっていく。
しかし『逃走本能』が弱い『G竈』達は、その辺りで”ぼ~”っとしていて、時折ピョンと飛んだりしている。
まぁ普通の『非アクティブモンスター』的な習性であるだけ、…なのだが、この[夢の洞窟]だと『G竈だけ』が、「やけにのんきなモンスター」に見えるから不思議である。
(『バルーンラビット』や『シマブタ』、『饅頭ひつじ』なども、ずっと”こんな感じ”だった…というのに何故なのか?)
…そんな事を考えていると、蹴り上げてFAを取った後、何もせず突っ立っている(憎い)ケイを目掛けて、『G竈』が”後ろ足”での『キック』を繰り出した。
ドガッ、と鈍い音を立て、ケイの腹部の『鉄の鎧』にヒットする。やはり32%? ほどのダメージだ。
「…治癒魔法[ヒーリング]」
すぐにケイのダメージを回復する。当然1回で全快した。
「フフフ…… それじゃいくぞっ!」
そう言いながらケイは『ニヤリと笑い』〔※1〕、背中の『鉄の大剣』を右手で掴むと、そのまま ”スッ”と抜いて、真っ直ぐ天に向かってつき上げ、左手をそっと添える様に両手で構えた。やはり『蜻蛉の構え』? に似ている。
「そらっ」
構えにそぐわない”気の抜けた声”を出しながら、その『鉄の大剣』を『G竈』目がけて振り下ろす。
ドガガ――ンッ、と爆音と衝撃音が響き渡り、『G竈』が”一刀両断”されて霞んで消えていく。そのままケイは、叩きつけた『鉄の大剣』を両手でズルズルと引きずる様にして、別の『G竈』に向かって走っていき、
「くらえっ」
と言いながら、引きずってきた『鉄の大剣』を左下段から右上段に向かって斬り上げた。
ゴウッ、と空気を斬り裂く様な音と、ズバッ、と2体目の『G竈』が”寸断された音”が聞こえ、2つに裂けて霞んで消えていった。ケイはそのまま、右上段に振り上げた『鉄の大剣』を右肩に担ぎ、次の『G竈』目指して走っていく……
『鉄の大剣』を肩に担いだ状態から、両手に力を込めて右上段から左下段に、ズガガガーンッ、と振り下ろし『G竈』を”一刀両断”する。
そのまま『鉄の大剣』をズズズ……っと引きずっていき、次の『G竈』を左下段から右上段に、ブオンッ、ズザ――ッ、と斬り上げて”真っ二つ”にしては、また担ぐ…
ケイはそのまま『中部屋』内の『G竈』に向かって行っては、ドガーン、ズバーッ、っと『鉄の大剣』を振るい続けた…………
「………」ところで、突然であるが… 「TJOのゲーム時代の画面範囲はおおよそ20mである」という話を覚えているだろうか?
そして、「モンスターは…『プレイヤーの周囲20m範囲にはPOPしない』という条件」、「〈戦闘状態〉では逃走出来ない」 …という仕様。
TJOのこれらの仕様、システムを列挙すると、ゲーム時代の”様子”、”流れ”が見えて来たのでは無いだろうか? ようするに〈戦闘状態〉に切り替えると、この『プレイヤーのゲーム画面(20m範囲)』が、『固定』されるのだ。
一般的なRPGなどでは、プレイヤーが『画面の中心』に表示され、移動にあわせて画面も移動するので、プレイヤーが『常に中心や決まった場所に表示される』… というモノが多いが、TJOも似たシステムであった。
そしてTJOでの戦闘は通常は『シームレス(画面が切り替わったり、途切れたりしない)』で行われる。
〈戦闘状態〉に切り替える事でステータス等が反映され、移動速度の上昇や『戦闘専用スキル』が使える様になり、〈通常状態〉のプレイヤーとは≪戦闘力が桁違い≫になる。
当然そのまま冒険した方が”強い”し”速い”わけだから、高価なポーションをガブ飲みするなど『財力』にモノを言わせれば、「〈通常状態〉での『微回復』など”クソ食らえ”だ」などと言って、常に〈戦闘状態〉で冒険、探索するプレイヤーが出るだろう。
「せいっ」
ブンッ、ズバ――ッ…
そこで〈戦闘状態〉に切り替えた時に、その画面移動を『固定』して、固定された20m範囲が『そのプレイヤーの戦闘区域(バトルエリア、バトルフィールド)』となるわけだ。
もちろん『その戦闘区域内』では、プレイヤーは本来? の能力を発揮して戦闘を行う事が出来るし、その戦闘区域内は、プレイヤーの20m範囲であるので、『新たなモンスターはPOPしない』。
そして画面が固定されているので『〈戦闘状態〉のままでは、逃げられない』…というわけだ。〈通常状態〉に戻して、『画面の固定』を『解除』して、『逃走』する事になる。
このあたり”リアル”になって分かりにくくなっているが、†カムイ†を見た感じだと、やはり固定? された20m範囲の外には、『透明な? 見えない壁? 的なモノ』があって、逃げられない(俺を追いかけられない)様だった。
「うらっ」
ズガガ――ン、ズズズズ………
…さて突然こんな話を始めた理由であるが…… ケイは『狂戦士』である。
その正確な条件(であり制限、制約)は、『自分のLV以上の敵と戦い、戦闘中に一度以上、一撃で30%以上のダメージを食らう』…だ。
このうち、『自分のLV以上の敵』と戦う …という≪前半の条件≫は、『絶対不可侵』、『他に何の解釈のしようも無い』。
だが、『戦闘中に一度以上、一撃で30%以上のダメージを食らう』、…という≪後半の条件≫には、『拡大解釈』の余地がある。
TJOにおいて、『戦闘中』とは、『〈戦闘状態〉の間』 …の事である。
つまり、『〈通常状態〉に≪戻さなければ≫戦闘中』 …なのだ。
ようするに、先ほど「戦闘中に一度、32%程度のダメージを受けた」『狂戦士』のケイは、以降「〈通常状態〉に切り替えるまで、『自分のLV以上の敵』であれば、いくらでも倒して良い」 …という事になる。
「おらっ」
ゴウッ、ズバ――ッ……
もちろん、〈戦闘状態〉の間は”微回復”が止まり、戦闘区域(バトルエリア、バトルフィールド)の20m範囲では、新たな標的(モンスター)がPOPしないので、いつまでも〈戦闘状態〉のまま、狩り続けられるわけでは無い。
だが、こと『条件』さえ合えば、今 俺とヒイラギの眼前で『大暴れ』、『無双』しているケイの様に、自分のLV以上の相手を、軽々と蹂躙して回る破壊者となる。
その有様は、「これぞまさに『狂戦士』」 …と呼ぶに相応しい姿だ。
まぁ『G竈』が『非アクティブモンスター』だから出来る事であって、30%もダメージを食らう『アクティブモンスター』の集団相手に≪こんな真似≫をすれば、回復が追いつかなくて、あっという間に死んでしまうだろう。『”条件”さえ合えば』… なのだ。
・
・
・
「終わりだっ」
ドガガ――ンッ、と最後の『G竈』が”一刀両断”されて霞んで消えていった。
俺達(ケイ1人)の勝利だっ!(キリリッ)
「………」ところで『狂戦士』が暴れ回る場合、大体は今の様に、FAの30%、本体100%、FBの20%の、計150%分の経験値が得られる、ガメてしまう。
つまりパーティの『他のメンバーに経験値が入らない』のだ。高い攻撃力 = 取得する経験値%の多さ、であり、≪高すぎる≫破壊力 = 経験値の独り占め、に繋がってしまう。
元々俺は『回復による経験値、治癒回数稼ぎ』…が目的なのであるが、今回の場合、それも最初の32%ダメージの『治癒1回分だけ』だ。
ヒイラギに至っては経験値0である。戦闘前に”探知:罠[トラップディテクション]”を使用したが、『新たな罠が発見出来なかった』ので、経験値は得られず使用回数もカウントされないのだ。
俺の”治癒魔法[ヒーリング]”で、「HP満タンのプレイヤーを治癒しまくっても、経験値も得られず治癒回数もカウントされない」…のと同じである。不正防止のための仕様だ。
よって『モンスターにダメージを与える』事で経験値を稼ぐ…『純粋な戦闘職』のプレイヤーには、「『狂戦士』の人と(冒険、探索)は ちょっと…」、という者も多かった。まぁこれは仕方の無いところだろう。
ともかく『中部屋』内の大量の『オイシイ』モンスター『G竈』…は、こうして『条件』を満たした『狂戦士』…ケイ1人の『無双』により一掃されたのである。
視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 02:14>と表示されていた。
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LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:12/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)
〔※1〕ただ”笑っただけ”である。
”麻痺”したり、”エナジードレイン”されて、≪LVが下がったりしない≫ので安心してほしい。慌てて『うさぎのマークのトムキャット』で、「ちょっとコンビニまで(テト〇ジャマーを買いに)行ってきたり」… しないように。
探知:罠[トラップディテクション] 半径15m範囲の罠の存在、形状、名称を探知し、罠LVを半減させる(小数点以下切捨て)
補足:”罠、トラップ扱い”のモンスターだった場合は、そのモンスターのLVも識別する、ただしモンスターのLVは半減出来ない。
理力塊[ランプフォース] 術者の精神力の塊を、対象1体にぶつけてダメージを与える。
「ご主人さまは、せんとうじょうたい にしないの~?」
「あぁ、戦闘に影響するステータスに振って無いし、補正も無いからな」
「ふ~ん」
「それと『僧侶』には〈戦闘状態〉で無くても使えるスキルが多い。切り替えの隙が無いから逃げやすい」
「べんり~?」
「まぁそういう職だ。もちろん 理力塊[ランプフォース]を使用するなら、〈戦闘状態〉に切り替える必要があるが、まぁ使う『僧侶』は居ない」
「らんぷふぉーす つかえない?」
「あぁ、なんなんだろうな。早い内に「魔法で倒すのは諦めろ」…というメッセージ、なのかもな」
「やさし~」
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