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第2章 出会いの街 編
072 ”夢”の終焉 <04/05(金)PM 03:44>
しおりを挟む※※※ 注意 ※※※
ただいま [夢の洞窟] 中です。
大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。
[夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。
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出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の『大きめの北に伸びた長方形の大部屋(もしくは広い通路?)』から、右、東(→)の『脇通路ルート』を探索し、『合計9個もの宝箱』を発見し、アイテムを回収した。
そして元の入り口付近まで戻ってきた俺達は、続けて『北(↑)ルート?』の探索を開始し、最初の曲がり角で10個目の宝箱を発見、アイテムを回収する。
その後その先の『コブ状の小部屋』で発見した宝箱は、LV21の『ミミック』と判明。作戦を立てた俺達は『みみっく?』との戦闘を開始したのだった。
北(↑)
┃
┃
┠─ これまで探索していた東(→)の脇通路
入り口
(※↑大雑把に この様な感じです)
「うりゃあぁぁっ!」
ケイが『鉄の大剣』を右手で真っ直ぐ天に向かってつき上げ、左手をそっと添えて両手で構える、お馴染み? の”蜻蛉の構え”? から、気合いを込めて『ミミック』の外殻に『鉄の大剣』を叩きつける。
ガゴゴ――――ンッ、と『ミミック』の外殻? の硬さ、堅固さを物語る様な音が響く。本当にケイが『お堂の鐘』を破壊しよう…としている様にも思えてくる。
「khayakbulugthombgraguno!!!」
聞き取り辛い、何とも形容しがたい、怒り? の音? 声? をあげて、『ミミック』が”かつて宝箱のフタ部分”? だった口で、ケイに対し反撃の『噛み付き』攻撃をしかけてくる。
「………」ケイの攻撃も、ヒイラギの攻撃も≪あまり効いていない≫のだろう。
ほぼ一定のタイミングで『ミミック』が、ヘイトの高いケイに対して、『噛み付き』攻撃を繰り出してくる。
2人の攻撃によって『仰け反ったり』、『仰け反り』による攻撃の『妨害』が、『出来ていない』…という事だ。
格闘ゲームをされる方には”お馴染み”? 『スーパーアーマー状態』とか、『ハイパーアーマー状態』みたいな感じである…と言えばイメージしやすいだろうか?
とにかく「こちらの攻撃に関係無く『ミミック』が行動している」様子なのだ。
それはつまり、≪通常の1体との戦闘≫で「仰け反らせたり、攻撃を妨害して、相手に『何もさせず』に勝利する」…のとでは、『壁役』のケイの受ける”攻撃の回数”が”桁違い”になるという事だ。
バックンッ―! と『ミミック』がケイに噛み付いた。
「ぐうっ!」
『鉄の大剣』を振りおろした直後の反撃で、満足に防御体勢も取れなかったケイは、『鉄の大剣』でガードしたりする暇が無かった。やはり『53%くらいのダメージ』である。
「…治癒魔法[ヒーリング]」
当初の予定通り、俺は2人よりも”かなり南(↓)の方”に位置取って、そこから治癒魔法を唱え、ケイのダメージを回復する。客観的には「俺だけ逃げる気マンマン」に見えるだろう。
「………」おや? 何故か『ギルドカード』の中のミケネコさんが、ジト目で俺を見上げている…気がする。いや、そんなはずは無い。
まさかミケネコさんが、ミケネコさんがそんな…ハハハ……。
「おらぁっ!」
「こうかが いまひとつ」だろうが、やる事に変わりは無い。ケイの攻撃後に、ヒイラギは右手に持った『鋼のメイス』を思いきり振りかぶって、ケイに『噛み付き』攻撃をしていた『ミミック』の、頭? フタ? 部分の外殻? に叩きつける。
ゴガンッ、という鈍い音を響かせ、『鋼のメイス』が『ミミック』の後頭部? にヒットし、しっかりと『衝撃』を内部に伝えたようだ。しかし『ミミック』にあまり変化は見られない。
「くそっ、少しは痛がりやがれっ」
叩きつけた『鋼のメイス』を持って、”さっ”と離脱しながら、ヒイラギが悪態をつく。
「………」確かに「カエルの面に水」、「暖簾に腕押し」、「ヌカにくぎゅぅ…」、といった感じで、まるで≪手応え≫というモノが無い。
こういった場合『ゲーム』とかだと、漫画でも読みながら『Aボタン』、『〇ボタン』を『連打』して、『何も考えず、ひたすら全員で殴る』的な対応になりそうなところだが、『実際にやる』となると、「無反応で成果が分かりにくいのに、攻撃を続ける」…というのは嫌になる行為だ。出口があるのか? 不安になる。
「っりゃあぁぁぁっ!」
再びケイが、巨大な『鉄の大剣』を、硬くて堅固な『ミミック』の外殻に叩きつける。
ゴガガ――――ンッ、という『お堂の鐘』の様な音が響き、『ミミック』の外殻? にヒットする。しかし残念ながら『ミミック』にあまり変化は見られなかった。
「ちっ」
ケイも少しずつイライラしてきた様だ。
「………」しかしまぁ仕方が無いだろう。
ケイはLV15、『ミミック』はLV21だ。少々LV差がありすぎる。
それに≪勘違い≫しそうになるが、本来『壁役』が「『通常』ダメージで『50%以上』も食らう」様な、『LVにそぐわない強敵』と、戦闘など≪してはいけない≫のだ。
言うまでも無く「クリティカルで100%を超える =即死する」…からである。
ケイが『狂戦士』で、『鋼の肉体[ボディオブスチール][P]』という『極めて強力なスキル』…を所持しているから「挑戦している」のであって、これが(特殊なスキルの無い)ユウコさんだったら、即座に撤退していただろう。
(というより、最初から諦めて『立ち去る』事にしていただろう)
これまでの戦闘では、ケイは≪防具を外したりしていた≫が、今回は全力の…『フル装備』だ。それなのに「53%もの大ダメージ」なのである。
舐めプ(相手を舐めた(軽んじた)プレイ)で、通常ダメージが55%だった『G百足』戦とは違うのだ。(もちろん「舐めて」防具を外していたわけでは無い、比喩である)
普通は『壁役が50%以上食らう』ような相手だと、他のメンバーは「『通常』ダメージで”大ダメージ”、下手をすると即死する」…レベルだ。つまり壁役が『クリティカルなどで殺される』と、そのまま『パーティは全滅』してしまう。
通常、モンスターは『一番ヘイトの高いプレイヤー』が、『死亡』、『逃走』などで『居なくなる』と、『自分の戦闘範囲』に居る中で『次にヘイトの高い相手』を、攻撃対象に選択(仮FA or 本FA)し、攻撃してくる。
今回の場合、『FAを取ったケイが死亡』すると、次に『攻撃をしていたヒイラギ』が狙われる。この場合「すでに攻撃を加えているため『本FA』扱い」となる。
そして『ヒイラギが死亡』すると、戦闘範囲内に居た、つまり『発見されていた俺』が狙われる。この場合「まだ攻撃をしていないので『仮FA』扱い」となる。
『ファーストアタック(最初の攻撃)』という意味からすると、違和感があるかも知れないが、「死亡、逃亡した時点で、FAなどの権利は消滅する」…のである。
つまり居なくなったプレイヤーは「その戦闘に存在していないモノ、居なかったモノ」とされるので、2番目に攻撃をした者が≪繰り上がり≫、1番に攻撃をした…つまり「FAを取った、取っていた」と≪みなされる≫という仕組みだ。当然、討伐出来れば『FAの経験値ボーナス』は、この2番目に攻撃をした者に与えられる。
そして「攻撃を加えた者が居なくなる」と、攻撃を加えていない者が、通常の「ただ発見されただけ」程度のヘイト、つまり『仮FA』状態となり狙われる。
(※余談だが、『†カムイ†事件』の時も、まず『仮FA』だった第一目標の俺が『逃亡』し、戦闘範囲内に居た†カムイ†が、次の『仮FAで狙われた』事になる)
・
・
・
「いい加減、くたばれっ」
ケイが一体何度目になるか、『鉄の大剣』を硬くて堅固な『ミミック』の外殻に叩きつける。
「………」幸い「ここまでクリティカルヒットは出ていない」(残念ながら、こちらも出ていないが)まぁ元々『ミミック』は”痛い”、”固い”、”速い”の3拍子揃った強敵である。
そう≪ホイホイ≫クリティカルを連発されては討伐しようが無い。
それだけに「識別もせずに不用意に開けよう」として、『不意打ち』補正の『先制クリティカル』を喰らうのが、どれだけ危険か分かるというモノだ。
ケイが『狂戦士』で無ければ、53%の倍、つまり『106%食らって即死する』わけだ。そして後に残された『斥候』と、『僧侶』の末路も同様だろう。うわ、みみっく? つよぃ。
「うがあっ」
ケイが『ミミック』に噛み付かれ、苦痛の声をあげた。急いで回復する。
「…治癒魔法[ヒーリング]」
いつもの様に俺は〈通常状態〉のままだ。つまり『MPは常に微回復している』のだが… 普段の戦闘と違い、『ミミック』が≪仰け反ったり≫せず、『攻撃が妨害出来ない』ので、ケイの被弾ペースが早く、MPの微回復は全然追いついていない。(寝転がって回復すればワンチャン…無いな。というか、このダンジョンで『座る』のもご免だ)
「すみませんっ、残りMP30%切りました」
こういう事は≪適当なところ≫で報告しておいた方が良い。突然「MP切れました」では、『リーダー』のヒイラギだって、作戦や方針の立てようが無いだろう。
「わかった… MPが15%を切ったら教えてくれ、撤退しよう」
『リーダー』のヒイラギが方針を決める。まぁあまりギリギリになってもマズイ、『追撃』される可能性も高いし、『逃げた先で戦闘』があると回復出来ずに詰んでしまう。(一応ケイ達は『ポーション』等があるだろうが、俺は『回復アイテムは買っていない』しな)
「了解です」
「わかった… せいっ」
ケイは返事をしながら、『ミミック』に攻撃を加える。
『お堂の鐘』の様な音が、ガゴゴォ――――ンッ…と響く。
「………」『ミミック』は『移動する時』と『攻撃する時』以外は、しっかりと殻? に閉じこもっている。俺達の場合、こうやって地道に外殻? を叩きつけていくしか無い。
「ローリスク、ローリターン」だ。
ちなみに… 『細剣』などで、口? を開けた瞬間を狙って、素早く内部を突く…などすれば、『効果は高い』のだが、”狙い”や”タイミング”を誤ると硬い外殻にヒットして、『無効打』となり、『耐久値が大きく減少』してしまう。
その場合、元々の『耐久値』が低めの『細剣』などは、品質低下の恐れがある。つまり「ハイリスク、ハイリターン」となっている。
「嫌になるなっ、と」
ヒイラギが、ケイの攻撃に合わせて、右手に持った『鋼のメイス』を思いきり振りかぶり、『ミミック』の後頭部? に叩きつける。
ゴガンッ、という鈍い音を響かせ、『鋼のメイス』が『ミミック』の外殻にヒットし……
「phnglimglwnahcthlulhurlyehwgahafglhatanee!!……」
と、速くて聞き取り辛い、何とも形容しがたい、音? 声? を発したと思ったら、『ミミック』が動きを止め…少しずつ霞んで消滅していった。
「え?」
「は?」
「へ?」
呆然とする俺達をよそに、かなりの時間に渡り繰り広げられた、強敵『ミミック』LV21との『激闘』は、こうして≪何の盛り上がりも無く≫終了したのである。
…………うん、よしっ俺達(俺以外)の勝利だ。『逃走ルート確保』のため、1人南(↓)寄りに居た俺は、ともかく2人の所へ駆け寄る。
「え~っと、やりました、ね?」
「…おぅ」
「…そうだな」
…… ( ´・ω) (´・ω・`) (ω・` ) ……
「少しは盛り上げろっ」
「今のは≪無い≫ですよねぇ……」
ヒイラギのトドメ(FB)について、俺達の≪ダメ出し≫が入る。
「しょうがねぇだろっ、無茶言うなよっ」
俺達の≪ダメ出し≫に対し、ヒイラギの抗議の声が響く。
厳しかった『激闘』の、”あんまり”な幕切れだった。
視界の右下の方へ意識を向けると<04/05(金)PM 03:58>と表示されていた。
-------------------------------------------------------------------------
LV:12(非公開)
職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)
サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)
所持金:4,961G
武器:なし
防具:布の服
所持品:15/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)、篭手(不確定名)
鋼の肉体[ボディオブスチール][P] 一撃で80%以上のダメージを受けた時、80%以上のダメージをカットし、カットした分の”%MP”を消費する。(上限40%まで)
補足:常にHPを80%以上に保っていれば死ににくいが、一部の特殊系、即死系のスキルなどには効果が無い。継続ダメージや連続攻撃にも弱い。また”140%以上のダメージ”を受ければ、上限の40%までカットされても、残りが100%を超えるため即死する。
「ご主人さま~”すーぱーあーまー”ってなに~?」
「『スーパーアーマー状態』、『ハイパーアーマー状態』は、攻撃を受けてもビクともせず、移動したり、攻撃してきたりする、出来る状態だ」
「ん~?」
「例えば… ミケネコが俺に『肉球パンチ』していても、俺は”仰け反ったり”、”行動を取り消し(キャンセル)”されたりしない」
「ほんと~? (ピシッピシッ)」
「効かぬわ~ (ズズズズと顔面からミケネコに近付く)」
「ほんとだ~♪」
「まぁこんな感じで、『(こちらの)攻撃が弱かったり』、『相手が物凄く固かったり』…すると起こりやすい」
「む~、よわくないよ~ (ピシッピシッ)」
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